帚木蓬生のレビュー一覧

  • 悲素(下)(新潮文庫)

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    実際の事件の裏側。
    毒物研究者として捜査に協力し、犯人の非道な行いに戦慄する。
    カレー事件以前には、身近な人たちに多額の保険を掛け、それで裕福な生活を送っている。
    実際の事件には冤罪も囁かれていると聞くが、とてもそんな風には思えないほどに周到というか、人の命を金に変えることに躊躇していない部分が多く窺える。
    いずれにしても、恐ろしい人がいるものだと思わずにはいられない。

    2022.7.5

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    2022年07月05日
  • 悲素(上)(新潮文庫)

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    和歌山カレー事件を題材にしたノンフィクションに近いフィクション。
    事件の裏側で奮闘する警察と、それに協力する医師たちの使命感が窺える。
    カレー事件だけではなく、その前より始まっていたと思われる数々の砒素に纏わる事件の真相とは…
    実際に起こった事件だからこその恐怖が張り付いてくる。

    2022.7.1

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    2022年07月01日
  • 日御子(上)

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    卑弥呼が出てくるのかと思ったらそうでもなく、割と平坦な物語なので、上巻の終わりまでなかなか話に入れなかった。古代の通訳さんという設定は面白い。

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    2022年06月15日
  • 水神(上)

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    大河のすぐそばにある村にもかかわらず、それが水の恩恵を受けられない高台だったことで、長らく生産不良と貧困に悩まされてきた。そこで5人の庄屋が堰と溝渠を建設するために奔走する。

    本筋は単純でありきたりだが、それを動かすための場面描写や人間模様、権力(気遣い)関係、背景の記述が素晴らしい。

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    2022年04月30日
  • 受難

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    韓国で、細胞工学の治療院を経営する津村の元に、

    溺死して冷凍保存された少女の遺体が運ばれてきた。

    どんなに莫大なお金がかかろうと、

    この子をよみがえらせてほしいという以来だった。


    津村は、ips細胞と3Dプリンターを駆使して

    少女のレプリカを作ることに成功。


    高校生の彼女は、様々な記憶を呼び覚ましながら、

    自分が命を落とした事故の真相を探っていく。。。




    2014年、韓国で、大型旅客フェリー「セウォル号」が沈没した。

    この小説は、実際に起こった水難事故をモチーフに描かれている。



    3Dプリンターで人間を再生させる?!という、

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    2022年03月26日
  • エンブリオ 下

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    ネタバレ

    上巻よりは興味深く読めた。
    なんだろう、、岸川先生、、結局医療ではない別の法を犯していたけど、すべてが完璧すぎてちょっと感服してしまった。。
    もっと岸川先生のことが知りたいと思ったから続編?のインターセックスも読んでみようと思う。

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    2022年01月30日
  • インターセックス

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    読み応えのある長編。

    当人とその家族にしかわからない大変な辛い想いや葛藤。
    そういう人たちが実際にいるということは知っているべきである。
    信頼できる優れた医師に出会えることはこのような患者にとっていかに大丈夫なことか。

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    2021年09月06日
  • 悲素(上)(新潮文庫)

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    1998年に発生した和歌山毒物カレー事件を覚えておられる方も多いのではないでしょうか。本書はその事件を題材にした小説で、登場人物は架空(例えば容疑者の林眞須美は小林真由美の名前で登場)のフィクションの体裁をとっていますが、基本的には警察から調査協力を依頼された毒物中毒の専門医が調査を進める過程を忠実に描いています。
    著者が九州大学医学部卒の医師ということもあって、被害者の毒物中毒の描写、カルテや調書から混入された毒物が砒素であることを確定していくプロセスはかなりリアルです。私自身は毒物や医学に特別詳しくないので、本書で述べられている症状などがどの程度正確なのかの判断はできませんが、すべての描写

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    2021年07月07日
  • 襲来 下

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    蒙古の来ない、日蓮の話かな?話は淡々と進む。
    時間の流れを感じさせない文章だが、最後の旅から
    一気に時間を感じさせる。
    死や別れを淡々と書いてるし、旅で何かある訳でもないのに、普通に読めるのが不思議。

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    2020年10月13日
  • 襲来 上

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    長い間、敗戦後の占領政策で洗脳され、国内が経済的に発展すればそれでよいというようにのんびり暮らしてきた日本。「国防」というキーワードが意識されだしたのは、拉致事件が明るみに出た頃から強くなったのではと、わたしは思います。

    鎌倉時代の世も昔のこととはいえ、やはり狭い国内でだけで覇権争いをしていた。そんな時代に日蓮というお坊さんが現れ「外敵が攻めてくるかもしれない」と予言、その諜報員のような働きをした若者の物語を通して、やんわりと国を守るということを解き明かされているような作品です。

    主人公は千葉の先端で育った孤児の「見助」。「日蓮」に出会い、関わっていくうちにはるばる九州の沖の対馬まで旅

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    2020年09月19日
  • 襲来 下

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    ネタバレ

    題名から元寇の戦記物と思って購入したが、下人の成長譚・ロードムービー的なストーリーで、これはこれで面白さがあった。が、
    主人公は日蓮の耳目・手足として人生の大半を過ごす。想い人とも結ばれず、日蓮とも再会できずに亡くなるが、自分の一生は日蓮の依頼を全うし幸せだったと感じて亡くなる。
    信仰を持った者は幸せなのかもしれないが、自分には残酷な話にしか思えない。なんか、やるせない。
    主人公は無色透明というか、ロボット的。最初に受けた命令を実直にこなすだけ。かつての想いびとが蒙古に連れ去られても、日蓮の命令を優先して何もせず傍観するだけ。宗教の怖さを感じた。

    元寇は神風により撃退できた印象が一般的である

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    2020年09月06日
  • 国銅(下)

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    なんか史料館か博物館を見学した気分。とてもみっしり丁寧に当時の様子が描きこまれていて読み応えあり。でも大きな舞台のわりに主人公の心の波が小さくていまいち共感できず…

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    2020年08月17日
  • 三たびの海峡

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    28年前に初版の小説。
    ドキュメンタリータッチの反日小説という感じ。
    炭鉱に関する資料の入手先で如何で主題が変わってくる。

    物語としては面白いのかもしれない。
    復讐劇だけど都合のいいことが起こりすぎるような気もした。
    炭鉱での過酷な生き様は日本人も外国人も変わりなかったという資料が多い。差別する余裕もなかったはず。

    この作者の本は二冊読んだだけだが感動してきたのに。
    今、同じテーマで書かれるとしても同じ設定になるのだろうか。もっとも、書き切ったのでありましょうが。
    ちょっと、問いたい気持ちもする。

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    2020年04月22日
  • 安楽病棟

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     痴呆病棟を舞台にした終末期医療について考えさせられる作品。
     全てが日記・手紙調で書かれており、病棟での歳月を追っているため、文章はかなり長めになっている。文章自体は読みやすいのだが、登場人物も多いため「誰がどんな症状で、家族はどんな様子…」といったことを確認しながら読み進めるとかなりの時間を要する。
     167ページまでは入院患者の紹介(患者本人や家族などから)のため、看護師の視点がなく本書を読み始めたときは「?」といった感じだったが、徐々に読み進めていくうちに内容が明らかになってきた。
     ミステリーとされているが、謎解き要素は少ない。ただ、痴呆の現状と医療の問題点は浮き彫りにされているよう

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    2020年01月20日
  • 空の色紙

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    帚木蓬生の初期作品3作を収めた本書は、時代背景もあり、鬱屈した、しかしなにか正義の上に立ち続けたいという複雑な意思を表明しつつ環境に流されてしまうもどかしさあるいは諦めが表現されている作品である。つまり、文学的であるというよりも著者の意図が前面に立ち、言いたいことは何かあることはわかるが、分かりにくいといったある意味それが若々しさなのかもしれん、と感じたのだ。(「つまり」になっていなようだが。)

    表題作『空の色紙』は精神鑑定に携わる精神科医の視点から、精神鑑定の意義を問いかけていることとは別に精神的に病むほど思い込んでしまう男女関係の疑いの恐ろしさと、精神科医といえでもその状況にはまり込んで

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    2020年01月11日
  • 天に星 地に花 下

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    時は1700年前半、久留米の大庄屋の次男として生まれた主人公。各地の庄屋を取りまとめる大庄屋は兄が継ぐことは決まっているなかで、自分の道を決められずにいた。
    ある日領主の理不尽な要求に反発した百姓たちが城下を火の海にしようと集まり手に鋤や鍬を持って続々と城下へ向かう場面に遭遇する。結果的には領主と百姓の間に入った家老が事を収めるのだが、その光景は主人公の心に焼きつき、さらにその家老の立派な処置に感銘を受ける。
    そうこうしているうちに疱瘡にかかり生死をさまようが腕利きの医師に命を救われるが、彼がうつしてしまった母と女中が死んでしまう。それを機に兄との確執が生まれ、そして主人公は命を救ってくれた医

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    2020年01月05日
  • 賞の柩

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     ノーベル賞を巡る疑惑を追及したサスペンス。
     結論からすると、話の筋は非常に簡単なのだが、登場人物の多さと、日本・イギリス・フランス・スペインを舞台にした国際的なスケールが話を複雑化している。外国の情景は割と詳細に書かれているが、イメージがわかない人にはやや小難しい内容となってしまうかもしれない。
     人間は、名声と権威を得ると傲慢になってしまうのかなと思ってしまう(もちろんそうでない人も数多くいるが)。謙虚さが欠けるというか、真摯な姿勢ではなくなるというか…。そのようなことも考えさせられる作品。

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    2019年12月22日
  • 風花病棟

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    性別、診療科、状況のそれぞれ違う10人の医師の視点から描かれる短編集。淡々とした筆致の中に、著者の主張・テーマが差し入れられた内容は、素直に共感できる。「かがやく」と「終診」に心惹かれた。
    「逃げんで、踏みとどまって、見届ける。」支援者としてのあるべき姿だと...。

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    2019年12月07日
  • 水神(上)

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    ネタバレ

    筑後川の灌漑の話だ。
    水が、百姓がそそいだすべての労力に、命を吹き込むといってよかった。毎年、水不足や氾濫に悩まされてきた村が筑後川に堰を造り、豊かな土地にすることに心血を注いだ5つの庄屋の話だ。庄屋というと、これまでは百姓をいじめて年貢を巻き上げるイメージしかなかったが、この話では、命も財産もかけて闘う5庄屋がかっこいい。
    上巻の半分ぐらいまでは、もたもたした書きぶりだが、堰の話をお奉行様に洩っていくあたりからひきこまれていく。
    全二巻

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    2019年12月07日
  • エンブリオ 下

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    タブーのオンパレード。
    不妊治療に悩む夫婦には、神様のような存在だが、
    自分の研究を邪魔するものには容赦ない先生が怖い。でも実はどこかでこんな研究が進められているのかも知れないな。

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    2019年11月29日