帚木蓬生のレビュー一覧

  • 白い夏の墓標

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    この作品が45年も前に書かれたとは思えないほど、決して古びない科学の進歩と科学者の向き合い方の問題が描かれる。
    貧しさと人間不信故にウイルス研究に憑かれた男の哀しい人生。死んだことにされ生涯を無名の科学者として国に奉仕することを強いられた男の行く末。
    手記の形で描かれる黒田の生い立ちや、唯一の拠り所だった研究が「逆立ちした科学」であることへの疑問と絶望がヒリヒリと胸に迫る。

    巻末の手紙が全ての謎を明らかにして、そこに一筋の希望が残されたことに安堵する。
    科学の進歩も使い方次第。人を生かすも殺すも紙一重の医学の闇。
    核兵器よりもはるかに安価で開発ができ、簡単に大量殺戮が可能な細菌兵器。あの国も

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    2024年02月02日
  • 薔薇窓の闇 上

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    下巻に向けてのプロローグの意味合いが強く、最初は少し退屈だなと思いました。下巻でどんどん物語が進捗・展開しエンディングに入ります。色々な事柄が最後1つに繋がり伏線回収しまくります。我慢して読めばそのうち面白くなります♪

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    2024年01月13日
  • 生きる力 森田正馬の15の提言

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    【星:3.5】
    メンタル的に弱っている時に、とある人に勧められて読んでみた。

    私はこれまで知らなかったのだが、精神症状療法に「森田療法」というのがあり、その森田療法のエッセンスを15個に分けて気軽に説明している。

    正直心に強く刺さるというのはなかったが、辛い状態も日常の中の一部分としてあるがままに受け入れて、考え込むのではなくとにかく行動し。今に全力を注ぐ、といったところであろうか?

    ひとつ面白いと思ったのが「平常心」の捉え方である。普通だったら「なにかあっても動じない心」とか何だろうけど、この本では逆に「何かあったらあたふたしてしまったりする」方が平常心だと説いている。
    そのうえで、あ

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    2024年01月08日
  • エンブリオ 上

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    天才が野心を持つと狂気をはらむのか。
    冷静で、人間関係もそつなく軽やかにこなし
    スマートで知的。

    だけど怖い。怖すぎる。

    どんな道を歩んでいくのか下巻も興味深い。

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    2023年12月23日
  • 閉鎖病棟

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    読んですぐは時代背景が予想より昔過ぎるのもあり、患者さん達にもなかなか入り込めず…でも読み進めるにつれて過去を知るにつれて、人を知るにつれて、応援したくなる気持ちが膨らむし、このまま穏やかに過ごして欲しいと願ってしまうほど入り込んでしまいました笑
    素敵な人たちばかり。優しい人たちばかり。
    チュウさんの詩も好きでした。
    最後の最後はほんとに泣けました。
    どうか、この物語のみんなが、穏やかな毎日を過ごせますようにと願ってしまうラストでした。

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    2023年12月07日
  • 襲来 上

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    主人公の見助は、その名の通り、日蓮上人の耳目として対馬に赴き、蒙古襲来の際には惨状の目撃者に徹する。故に激しいアクションは一切無し。かの“神風”の後も、生き残った元の船団が逃げ帰るのを山の上から眺めているだけである。また、作中で日蓮上人は浄土宗をボロカスにこき下ろしていたけど、念仏宗をはじめとする他宗派への非難・攻撃がいくら史実とは言え、関係方面からクレームが来なかったのか、ちょっと心配になるくらいの内容だった。

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    2023年09月19日
  • 襲来 下

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    主人公の見助は、その名の通り、日蓮上人の耳目として対馬に赴き、蒙古襲来の際には惨状の目撃者に徹する。故に激しいアクションは一切無し。かの“神風”の後も、生き残った元の船団が逃げ帰るのを山の上から眺めているだけである。また、作中で日蓮上人は浄土宗をボロカスにこき下ろしていたけど、念仏宗をはじめとする他宗派への非難・攻撃がいくら史実とは言え、関係方面からクレームが来なかったのか、ちょっと心配になるくらいの内容だった。

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    2023年09月03日
  • 受難

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    ネタバレ

    iPS細胞と3Dプリンターを使った細胞工学で人体のレプリカを作って、蘇生させるというSF設定は措くとしても、'14年のセウォル号沈没事故を下敷きにしたストーリーは、そっち方面から抗議が来なかったのかしらと、要らぬ心配をする程にそのまんま。ヒロインの春花(はるか)が、自分の父親が多数の乗客を見殺しにした《世月号》のオーナーであり、彼の財力とエゴで自分だけ蘇生したという事実を知った時の苦悩は如何ばかりか。結局、父親を抹殺し、自分も死を選ぶという選択をしてしまったことが、余りに哀しい。

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    2023年09月03日
  • 襲来 上

    購入済み

    日蓮上人伝記と鎌倉時代の旅日記

    題名に反して上巻は、日蓮上人伝記と鎌倉時代の旅日記であった。同じ作家の「国銅」を思わせる出だしであったので期待したが、日蓮上人の活動の記述がどうしても敬意を払わざるを得ないようで、逆に小説としては平板なものになっていると感じた。見助の九州への旅の記述のほうが当時の様子がよくわかって面白い。

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    2023年09月03日
  • 守教(下)(新潮文庫)

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    下巻でようやく面白くなってきて、静かに終わる。星2寄りの3かな。説明書きが多いのは仕方ないのだけど、それをあまりセリフにして欲しくなかったかな...読み終わると後味は悪くなくて、九州行きたくなる笑

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    2022年12月30日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

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    実際の事件の裏側。
    毒物研究者として捜査に協力し、犯人の非道な行いに戦慄する。
    カレー事件以前には、身近な人たちに多額の保険を掛け、それで裕福な生活を送っている。
    実際の事件には冤罪も囁かれていると聞くが、とてもそんな風には思えないほどに周到というか、人の命を金に変えることに躊躇していない部分が多く窺える。
    いずれにしても、恐ろしい人がいるものだと思わずにはいられない。

    2022.7.5

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    2022年07月05日
  • 悲素(上)(新潮文庫)

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    和歌山カレー事件を題材にしたノンフィクションに近いフィクション。
    事件の裏側で奮闘する警察と、それに協力する医師たちの使命感が窺える。
    カレー事件だけではなく、その前より始まっていたと思われる数々の砒素に纏わる事件の真相とは…
    実際に起こった事件だからこその恐怖が張り付いてくる。

    2022.7.1

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    2022年07月01日
  • 日御子(上)

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    卑弥呼が出てくるのかと思ったらそうでもなく、割と平坦な物語なので、上巻の終わりまでなかなか話に入れなかった。古代の通訳さんという設定は面白い。

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    2022年06月15日
  • 水神(上)

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    大河のすぐそばにある村にもかかわらず、それが水の恩恵を受けられない高台だったことで、長らく生産不良と貧困に悩まされてきた。そこで5人の庄屋が堰と溝渠を建設するために奔走する。

    本筋は単純でありきたりだが、それを動かすための場面描写や人間模様、権力(気遣い)関係、背景の記述が素晴らしい。

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    2022年04月30日
  • 受難

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    韓国で、細胞工学の治療院を経営する津村の元に、

    溺死して冷凍保存された少女の遺体が運ばれてきた。

    どんなに莫大なお金がかかろうと、

    この子をよみがえらせてほしいという以来だった。


    津村は、ips細胞と3Dプリンターを駆使して

    少女のレプリカを作ることに成功。


    高校生の彼女は、様々な記憶を呼び覚ましながら、

    自分が命を落とした事故の真相を探っていく。。。




    2014年、韓国で、大型旅客フェリー「セウォル号」が沈没した。

    この小説は、実際に起こった水難事故をモチーフに描かれている。



    3Dプリンターで人間を再生させる?!という、

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    2022年03月26日
  • エンブリオ 下

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    ネタバレ

    上巻よりは興味深く読めた。
    なんだろう、、岸川先生、、結局医療ではない別の法を犯していたけど、すべてが完璧すぎてちょっと感服してしまった。。
    もっと岸川先生のことが知りたいと思ったから続編?のインターセックスも読んでみようと思う。

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    2022年01月30日
  • インターセックス

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    読み応えのある長編。

    当人とその家族にしかわからない大変な辛い想いや葛藤。
    そういう人たちが実際にいるということは知っているべきである。
    信頼できる優れた医師に出会えることはこのような患者にとっていかに大丈夫なことか。

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    2021年09月06日
  • 悲素(上)(新潮文庫)

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    1998年に発生した和歌山毒物カレー事件を覚えておられる方も多いのではないでしょうか。本書はその事件を題材にした小説で、登場人物は架空(例えば容疑者の林眞須美は小林真由美の名前で登場)のフィクションの体裁をとっていますが、基本的には警察から調査協力を依頼された毒物中毒の専門医が調査を進める過程を忠実に描いています。
    著者が九州大学医学部卒の医師ということもあって、被害者の毒物中毒の描写、カルテや調書から混入された毒物が砒素であることを確定していくプロセスはかなりリアルです。私自身は毒物や医学に特別詳しくないので、本書で述べられている症状などがどの程度正確なのかの判断はできませんが、すべての描写

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    2021年07月07日
  • 襲来 下

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    蒙古の来ない、日蓮の話かな?話は淡々と進む。
    時間の流れを感じさせない文章だが、最後の旅から
    一気に時間を感じさせる。
    死や別れを淡々と書いてるし、旅で何かある訳でもないのに、普通に読めるのが不思議。

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    2020年10月13日
  • 襲来 上

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    長い間、敗戦後の占領政策で洗脳され、国内が経済的に発展すればそれでよいというようにのんびり暮らしてきた日本。「国防」というキーワードが意識されだしたのは、拉致事件が明るみに出た頃から強くなったのではと、わたしは思います。

    鎌倉時代の世も昔のこととはいえ、やはり狭い国内でだけで覇権争いをしていた。そんな時代に日蓮というお坊さんが現れ「外敵が攻めてくるかもしれない」と予言、その諜報員のような働きをした若者の物語を通して、やんわりと国を守るということを解き明かされているような作品です。

    主人公は千葉の先端で育った孤児の「見助」。「日蓮」に出会い、関わっていくうちにはるばる九州の沖の対馬まで旅

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    2020年09月19日