あらすじ
『閉鎖病棟』『逃亡』『蛍の航跡』などの小説で知られ、数々の受賞歴をもつ著者は精神科医として臨床の現場にも立ち続けている。20世紀の初頭、西のフロイトと全くかけ離れた、東の森田正馬が創出した「森田療法」とは何か。薬を用いず、現在も学校現場や職場のメンタルヘルスでも実践され、認知行動療法にも取り入れられている、その治療法の独自性と先進性を、彼の15の言葉から読み解く。
一瞬一生、見つめる、休息は仕事の転換にあり、いいわけ、即、自然服従、不安常住、生きつくす……。森田の療法の根底には、人生を無理なく生きる「あるがまま」の肯定があった。
著者が臨床三十五年のなかで、患者さんに応用し、一般の人々にもそして自らも指針としてきた療法とその創始者の生涯を、小説家と精神科医の二つの奥深い視点からとらえた画期的な書。
●「目次」から
はじめに 森田正馬の人生
1 一瞬一生 2 見つめる 3 休息は仕事の転換にあり 4外相整えば内相自ずから熟す 5 いいわけ 6 目的本位 7無所住心 8 即 9 なりきる 10 自然服従 11 生の欲望 12 不安常住 13 事実唯真 14 あるがまま 15 生きつくす
おわりに 私と森田療法の出会い
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Posted by ブクログ
なんだか好きそうな考えだなあと思いつつ深掘りしていなかった森田療法。噛み砕いてくれている本書は入門にぴったりでした。
「反省と吟味は自分の過去の小さな行動までに及びます。現在の行動よりも、過去の行動が重味をもってきます。(略)
こうなると現在の時間は、過去の言動を点検し、今後の行動を事前に決めるのにひたすら費やされます。いわば、今の時間が、過去と未来の時間に侵入されて、身動きがとれなくなった状態です。」
これって流行りのマインドフルネスでお馴染み「今ここ」と同じでは?と思いました。イマイチ理解し切れていなかったのですが、森田療法でするっと入ってきて驚きです。
あとがきにもあるように、考え方として活用できるものが多く、森田療法の本をもう一冊読んでみようかなと思える内容でした。
Posted by ブクログ
改めて森田療法のお勉強。以下メモ。
・見つめよ、逃げるな。
・悩みや心配は5分以上頭の中でこねくり回さない。
・ハラハラドキドキこそ平常心。寒がったり暑がったりするのと同じ。
・心の正直な動きの事実を認めない時必ず起こってくるのが「ねばならない」⇒「はからい」「思想の矛盾」
・解決方法は「あるがまま」⇒いろいろ生じてくる不安を起こらないように工夫したり克服しようと努力はせず「あるがまま」に放置する。
・ハマった時の脱出方法
①身近な日常の継続⇒「外相整えば内相自ずから熟す」
②身体を動かす⇒これは実感として効く。悩んだら酒より筋トレ
Posted by ブクログ
森田療法のエッセンスが凝縮されている、言わば森田療法のセルフヘルプ本といったところ。本書を読むと、悩んでいる人がいかに不毛な努力を続けてしまっているのかがよくわかるし、一つ一つの言葉にとても説得力がある。
ビオンの記憶(知識)、欲望、理解は治療者に対してだけのものではなく、「なりきる」ことを妨げる要因であるという指摘は興味深い。
Posted by ブクログ
神経症に対する解決策を示してくれる良書。
エッセイ形式なので読みやすかった。
現在に焦点を合わせ為今すべき事に集中する。
過去と未来を考えずに今この瞬間だけに意識を置く。
難しいが実践していけば強迫性障害の症状も軽くなるのだろう。
あるがままに生きる。この言葉の大切さを常に意識しながら生きていきたい。
Posted by ブクログ
目から鱗の連続。昔、物語を投稿した参加賞としていただいた岩波文庫にたくさん抜き書きしました。手帳貸出期限が来たので、つづきは購入して読みます。
Posted by ブクログ
本書は森田療法の核心がわかりやすく言語的に理解できるものとなっている。苦しい、悲しい、辛い、痛い、生きていれば苦しみは避けられない。しかし、森田はそれはあるがままにそのままにして、今成すべきことをとにかく成せと言ふ。森田自身もそういう生き方をしていた。およそ100年経っても森田の業績は語り継がれている。負のエネルギーは正のエネルギーに転換したときに大きな力となることを森田自身が証明しているようだ。不安や恐怖によって前にすすむことが怖くなってしまった人にオススメの1冊。
Posted by ブクログ
「あるがまま」の大切さを改めて認識できた。
不安はあるものとして、日々のやるべきことを淡々とこなしていこう。
何かに行き詰まったときは沈思黙考ではなく、手足を動かして突破口を見つけよう。
生きていく上で、心に留めておきたい考え方がいくつもあった。
Posted by ブクログ
昔、アフリカの蹄を読んだ記憶があり、ふと手に取った。大人になって自分に余裕が出来たからなのか、未来の不安を過剰に考えてるなと。
水のように、揺れる気持ちを客観的に受け取る。
抗うのではなく、手放す。自分を見つめる客観視。そんなことを思う。
Posted by ブクログ
「森田正馬の15の提言」は1つ1つが、心に響く。心に寄り添うものがある。森田正馬は、明治大正期の精神科神経科医。神経質に対する精神療法である森田療法を創始した人物。彼の言葉と人生のエッセンスが、大切にまとめられてる。自らの人生をムリなくあるがままに生きていく「生きる力」をもらうことができる。生き方の価値観を変えてくれる部分はある。ストレス社会だの、メンタルヘルスだの、そんな今だからこそ手に取りたい一冊なんだと思う。
・「一瞬一生」…種々の悩みはあるが、生きている現時点の瞬間瞬間に、自分の一生をつぎ込んで進む。(P28-29)
・腰を上げやらなければならない仕事にとりあえず手を出す。身を忙しくしているうちに、縛られていた心も解き放たれ、解決策も見つかる。(P46)
・外相整えば内相自ずから熟す、健康のふりをしていれば健康になる。(P62)
・気分にはとらわれず、目の前のやるべきことをやる「目的本位」(P84)
・自然服従…環境と境遇を受け入れ、その中で全力で(P126)
・不安常住…人は不安がある。不安があるのが平常心(P154)
Posted by ブクログ
繋驢桔(けろけつ)=ロバが繋がれた杭の周りを回って動けなくなる様=心配事をじっと考えて動かないこと。
それよりも、身を忙しくして目の前のやらなければならない仕事にとりあえず手を出す。休んで考える間なないほど日課を組む。小事を疎かにして大事ができるはずがない。
禅僧の修行=座禅、掃除、禅問答
本人の心理は無視=外相を整えれば内相も整う
朝から晩まで勤勉かつ簡素な生活をし続ければ、心が邪悪になるはずがない。
健康人のふりをしていれば健康になる。
素直な心、の反対語は頑固、ではない。言い訳が反対語。言い訳は進歩の芽を食いつぶす。
いいわけ=嘘をつく、責任転嫁、事態を過小化する、正当化、でも~。
気分本位の生き方は怠惰に直結する。怠惰を正当化するために気分が理由にされる。
その反対は、目的本位。気分がどうの、ではなく目的を果たそうと行動する。目的の行動をすれば、結果はともかくそれで良しとする。
無所住心=周囲にまんべんなく注意を払いつつ、心は何か一つに固着しない。
ハラハラ・ドキドキは、理想の精神状態である。集中している状態。ぼんやりしていない。
過去と未来に着目せず、現在に集中している状態。
即は人が食卓について食べようとしている状態。直ちに、近づく、取りも直さず。
渾沌=莊子 しゅつこつ=あっという間の短い時間
渾沌とは、矛盾を払いながらも成立しているこの世界のこと。
幸即不幸。煩悩即解脱。雑念即夢想。この世は渾沌としている。
なりきる=その場と一体化する
妨げる3要素=記憶、欲望、理解
悟りは、いかなる場合にも平気で生きていること。
痛みはそれ意外の影響力はない。無我夢中でこの一瞬を生きる。
心配事はつらい。これを受け入れる。自然服従。
与えられた環境に自然服従し、そこから出発するしかない。
吾唯足るを知る=口を共有している
生の欲望に気づくこと。目の前の仕事に手を出す。
我思う故に我なし。割れ動くゆえに我あり。
不安は生活していく上で避けられない副産物。道路にあらわれるトンネルと同じ。両者は不可分で共存している。=不安常住。
恐怖突入=真っ暗なトンネルの中で、前に突き進むこと。
不安常住=常に不安を抱きながら生きていき、毎日恐怖突入していく。毎日が本番であり練習はない。
Posted by ブクログ
森田正馬は明治から大正にかけて活躍された精神医学者ですが、正直この本を読むまでは全く知らない人でした。ただ自身も神経症であったのを克服。その森田正馬の数ある言葉からよりすぐりの15の言葉を選んだのがこの本の内容です。正直どんな本か分からずに読んだのですが想像以上に良い内容でした。
私が印象に残ったのは以下の4つの記述です
・「素直」の反対は「言い訳」
・過労死は単一の仕事を長時間続けた末に発生しやすく、ちょこちょこ頻繁に仕事の中身を変えておれば起こりにくい
・悩みや心配は5分以上頭で考えてはいけない。5分立てば体を動かした方がまし
・「ねぱならない」は英語ではMUST。「ねぱならない」を念頭において行動する生き方を「マスタ-べ-ション」と言う
精神の病にかからないようにする秘訣はともすれば、極めて単純であることが分かりました。それ程分厚い本でありませんので、一歩間違うと誰もが精神の病にかかりかねない現代の日本では、多くの人に読んでもらいたい本だと思いました。
Posted by ブクログ
【星:3.5】
メンタル的に弱っている時に、とある人に勧められて読んでみた。
私はこれまで知らなかったのだが、精神症状療法に「森田療法」というのがあり、その森田療法のエッセンスを15個に分けて気軽に説明している。
正直心に強く刺さるというのはなかったが、辛い状態も日常の中の一部分としてあるがままに受け入れて、考え込むのではなくとにかく行動し。今に全力を注ぐ、といったところであろうか?
ひとつ面白いと思ったのが「平常心」の捉え方である。普通だったら「なにかあっても動じない心」とか何だろうけど、この本では逆に「何かあったらあたふたしてしまったりする」方が平常心だと説いている。
そのうえで、あたふたする自分をあるがままに受けいれて、とにかくいつも通り目の前にあることをせよ、と。
なるほどと言えばなるほどである。
Posted by ブクログ
■生きる力
A.休息は仕事の転換にあり
休息が長くなれば、脳はいらぬ働きをする。悩みをもつ人であれば、脳はその間にいろいろ考え出す。仕事の中味を適宜変え、身を忙しくしていると脳は悩まない。
B.目的本位
自分の感情や気分を基準に行動することを「気分本位」、気分にとらわれず、目の前のやるべき事柄を行うことを「目的本位」という。この目的本位の生き方の方が、気分本位より実のある生き方ができる。
C.目的本位
自分の感情や気分を基準に行動することを「気分本位」、気分にとらわれず、目の前のやるべき事柄を行うことを「目的本位」という。この目的本位の生き方の方が、気分本位より実のある生き方ができる。