帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なるほど。こちらを先に読んでいれば、『インターセックス』で一部なぞとなっている部分は、なぞでも何でも無かったのですね。
知らずに逆の順序で読んだことで、実は『インターセックス』をちょっと多めに楽しむ事が出来たのかもしれませんし、こちらで岸川の性格、やり方が分かっていたら違った視点から読めたのかもと。。。
しかし、驚いたのは、年間に生まれる子供と堕胎される子供の数が同じくらいであること。もしかして少子化の原因には堕胎のリスクが昔よりも少なくなり、一昔前なら生まれたかもしれない命が、避妊意外にもこういった方法で盛んにBirth Controlが行えてしまっていることも含まれるのではと邪推せずには入られません。
本書は、不妊治療、生まれ来る命と既存の命、現代の神の領域に近くなりつつある医療のあり方色々考えさせられることが満載ですが、ストーリーとしても楽しめるので、お得な感じです。 -
Posted by ブクログ
(上)
目の前を悠然と流れる筑後川。
だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。
助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。
その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。
彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。
新田次郎文学賞受賞作。
(下)
ついに工事が始まった。
大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。
百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。
「水が来たぞ」。
苦難の果てに叫び声は上がった。
子々孫々にまで筑後川の恵みがもたらされた瞬間だ。
そして、この大事業は、領民の幸せをひたすらに願った老武士の、命を懸けたある行為なくしては、決して成されなかった。
故郷の大地に捧げられた、熱涙溢れる歴史長篇。
江戸時代、筑後川の近辺にありながら水利工事の不徹底のため水不足にあえぐ村が舞台になっています。
一部の庄屋の財産、生命を賭して郡役所、近隣の村、百姓など関係者を説得し、一大堰渠造成、灌漑事業を成し遂げる物語。
前半は、江南原の百姓たちの貧しい暮らしぶりが描かれ、主人公と4人の庄屋たちの真摯な姿に胸を揺さぶられます。
上巻の一番の見せ場は、主人公と庄屋たちが、藩のお偉方を前に堰の工事を願い出る口上のくだり。
下巻で堰の工事が始まってからは、難局を上手く乗り切っていくかが見せ場になっています。
そして終盤、涙なくしては読めない箇所もありこの主人公たちには心から頭の下がる思いがしました。
筑後川に堰を作って水を引くことを決意した主人公と4人の庄屋、地方藩の郡代である下級武士、工事に携わった百姓、それら大勢の人々の苦闘と栄光を描いた傑作です。
今の時代だからこそ、昔の方の苦労や一丸となる大切さを再認識するのに良い小説になっていると思います。
人のために生きる、生活を捧げるという行為が胸を熱くさせらました。
何が人間にとって大切なことなのか...
まだ読んでみえない方は是非一度読んでみて下さいね☆ -
Posted by ブクログ
(上)
目の前を悠然と流れる筑後川。
だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。
助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。
その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。
彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。
新田次郎文学賞受賞作。
(下)
ついに工事が始まった。
大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。
百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。
「水が来たぞ」。
苦難の果てに叫び声は上がった。
子々孫々にまで筑後川の恵みがもたらされた瞬間だ。
そして、この大事業は、領民の幸せをひたすらに願った老武士の、命を懸けたある行為なくしては、決して成されなかった。
故郷の大地に捧げられた、熱涙溢れる歴史長篇。
江戸時代、筑後川の近辺にありながら水利工事の不徹底のため水不足にあえぐ村が舞台になっています。
一部の庄屋の財産、生命を賭して郡役所、近隣の村、百姓など関係者を説得し、一大堰渠造成、灌漑事業を成し遂げる物語。
前半は、江南原の百姓たちの貧しい暮らしぶりが描かれ、主人公と4人の庄屋たちの真摯な姿に胸を揺さぶられます。
上巻の一番の見せ場は、主人公と庄屋たちが、藩のお偉方を前に堰の工事を願い出る口上のくだり。
下巻で堰の工事が始まってからは、難局を上手く乗り切っていくかが見せ場になっています。
そして終盤、涙なくしては読めない箇所もありこの主人公たちには心から頭の下がる思いがしました。
筑後川に堰を作って水を引くことを決意した主人公と4人の庄屋、地方藩の郡代である下級武士、工事に携わった百姓、それら大勢の人々の苦闘と栄光を描いた傑作です。
今の時代だからこそ、昔の方の苦労や一丸となる大切さを再認識するのに良い小説になっていると思います。
人のために生きる、生活を捧げるという行為が胸を熱くさせらました。
何が人間にとって大切なことなのか...
まだ読んでみえない方は是非一度読んでみて下さいね☆ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師」の話。
医療系のパニック小説も実は好きなので、本の紹介文を見て予約。
だが実際に読んでみて、ウィルスの怖さ以上に人種差別の問題が何よりも大きく重い。
アパルトヘイトについて、恥ずかしい事に大雑把な知識しか持っていないが
本書に描かれる「この国」の様子は、当時の実際の状況を表しているのだと思う。
黒人医師サミュエルの言葉「黒人が解放されることは、白人が解放されることなんだよ」が胸に来る。
誰かを抑圧し支配して生きる事は、実際には自分自身が、人間として大切なものをすり減らし失って生きていくことなのだと思う。
久しぶりに真面目なことを考えたような・・・心に残る一冊です。 -
Posted by ブクログ
下巻では未来の為、村人の為に借銀までしながら全ての責任を背負い命をかけた五庄屋の覚悟が益々凄まじくなってくる。また、筑後川に大石堰が集められた百姓達によって造られて行く様子が目の前に展開するように書かれていて読む速度が速まってしまう。五庄屋に最初反対した藤兵衛が助左衛門に謝りに来た時に「〜みんなこれから先の話を一生懸命するとです。そればで聞いていて、私は水が人をこうも変えるものかと、つくづく思いました。」と話すところが印象に残った。どんなに大変でも未来に希望が持てるなら人の会話は明るく弾むものだと思う。筑後川を改めて見に行きたくなった。
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Posted by ブクログ
事の善悪や生命倫理はおいておくとして、これほどの先端医療に関わり、次々と新たな治験を試み、生殖医療や再生医療の最新技術を切り拓いていけるとなれば、もはやとどまるところを知らず虜になってしまうに違いない。
あくなき探究心、進みすぎた医療、そして実際にそれらの技術がよそでは救えなかった患者を救えるという事実。おそらくこの小説は決して未来の話ではなく、今やすでにこのような研究開発は行われているのではないかと思う。「患者のため」という免罪符をもって猛進する科学や医療を、どのような現実的なラインで線引きし、特に不妊治療や再生、移植などの方針を国が定めていくのか、明らかに国の方針が立ち遅れている感がありありと描かれる。おりしも6歳以下の子供の脳死移植が行われた時期でもあり、実際にこのような分野がこれからどの方向に向かっていくのかとても興味深い。
天才産婦人科医岸川は、普通に考えれば「悪」なのかもしれないけれど、ここまで徹底した自分の主義主張があるならばむしろ爽快。 -
Posted by ブクログ
江戸時代、九州の筑後川で実際にあったお話し。側に筑後川があるのにその地形から村の稲田には水が届かず村人は生活に苦しんでいる。おまけに大水が出て川が氾濫するとさらに悲惨な状態になってしまう。長年のこのような状況を筑後川に堰を作る事で打開しようと決死の覚悟で立ち上がる五人の庄屋の想いが胸を打つ。軽快な九州弁での会話が全般を包み、筑後川から村人の為に水を汲む(打桶と言うらしい)元助と伊八の大変さや気持ちの美しさが心を打つ。打桶の際の二人の掛け声「オイッサ、エットナ」が聞こえてきそうであり光景が目に浮かぶような感覚になってしまった。堰がどのように出来ていくのか、下巻を急ぎ読みたい。