帚木蓬生のレビュー一覧

  • 水神(下)

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    下巻では未来の為、村人の為に借銀までしながら全ての責任を背負い命をかけた五庄屋の覚悟が益々凄まじくなってくる。また、筑後川に大石堰が集められた百姓達によって造られて行く様子が目の前に展開するように書かれていて読む速度が速まってしまう。五庄屋に最初反対した藤兵衛が助左衛門に謝りに来た時に「〜みんなこれから先の話を一生懸命するとです。そればで聞いていて、私は水が人をこうも変えるものかと、つくづく思いました。」と話すところが印象に残った。どんなに大変でも未来に希望が持てるなら人の会話は明るく弾むものだと思う。筑後川を改めて見に行きたくなった。

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    2012年06月27日
  • エンブリオ 下

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    事の善悪や生命倫理はおいておくとして、これほどの先端医療に関わり、次々と新たな治験を試み、生殖医療や再生医療の最新技術を切り拓いていけるとなれば、もはやとどまるところを知らず虜になってしまうに違いない。
    あくなき探究心、進みすぎた医療、そして実際にそれらの技術がよそでは救えなかった患者を救えるという事実。おそらくこの小説は決して未来の話ではなく、今やすでにこのような研究開発は行われているのではないかと思う。「患者のため」という免罪符をもって猛進する科学や医療を、どのような現実的なラインで線引きし、特に不妊治療や再生、移植などの方針を国が定めていくのか、明らかに国の方針が立ち遅れている感がありあ

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    2012年06月20日
  • 水神(上)

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    江戸時代、九州の筑後川で実際にあったお話し。側に筑後川があるのにその地形から村の稲田には水が届かず村人は生活に苦しんでいる。おまけに大水が出て川が氾濫するとさらに悲惨な状態になってしまう。長年のこのような状況を筑後川に堰を作る事で打開しようと決死の覚悟で立ち上がる五人の庄屋の想いが胸を打つ。軽快な九州弁での会話が全般を包み、筑後川から村人の為に水を汲む(打桶と言うらしい)元助と伊八の大変さや気持ちの美しさが心を打つ。打桶の際の二人の掛け声「オイッサ、エットナ」が聞こえてきそうであり光景が目に浮かぶような感覚になってしまった。堰がどのように出来ていくのか、下巻を急ぎ読みたい。

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    2012年06月19日
  • 国銅(下)

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    作品を読み進むにつれ、いつしか主人公の国人(くにと)と同じ目線で奈良をながめるようになり、大仏建立のそのシーンは、こちらまでもが思わず息を呑んでしまいそうな、荘厳な雰囲気に充ち満ちています。

    けれど、国人に感情移入をすればするほど、物語世界から抜けきれなくなって、読み終えたその時にはどっと疲れに見舞われることは必至。

    そうして気づくのです。

    ああこれは、浅田次郎さんの「蒼穹の昴」のような英雄譚ではなくて、『奈良の大仏造りに身を捧げ、報われずに散った男達の深き歓びと哀しみを描』いた作品だったのだな、ということに。

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    2012年06月19日
  • エンブリオ 上

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    天才産婦人科医による、法の網をかいくぐる生殖医療、あるいはもはや生殖産業か。
    生命倫理を考えるととんでもない医療技術なのだろうけれど、あくなき探究心で次々に新しい研究を進めていくのはとてもエキサイティングなのだと思う。医学の進歩には、過去に多くの黒歴史があり、その上に現代医学が成り立っていると考えれば、この小説のようにエンブリオを利用した技術がすでにどこかで開発されていたとしても決して不思議ではない。
    倫理、善悪を抜きにするならば、興奮でぞくぞくしてしまうほどの研究の数々。なじみのない生殖医療の用語もわかりやすく、読みやすい。
    下巻はどのような展開になるのか楽しみ。天才医・岸川がドナーになり続

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    2012年06月18日
  • 国銅(下)

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    ネタバレ

    国人の目線と登場人物の生き様を通じて生きるとはというところを考えさせられる
    それとやっぱり言葉の持つ力ってすごいなぁーって
    国人が字や薬草の知識を学んでいくところがステキだった
    何を学ぶかもとても重要なことなのだと
    苦難の中に喜びや驚きが点在しまた突然抗い難い残酷な一面を見せ付ける人生とはかくも感慨深いものだ

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    2012年05月31日
  • ヒトラーの防具(下)

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    ネタバレ

    下巻も基本的に上巻と変わらず。
    ベルリンの変化を主人公視点で見続ける。
    ヒトラー影武者説も取り入れて、軽く変化を加えて終了。
    おもしろかったです。

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    2012年05月26日
  • ヒトラーの防具(上)

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    現代ドイツで古い剣道の防具が見つかった。
    その防具には「贈ヒトラー閣下」との文字が。
    第2次大戦時いったい誰が、なぜ、防具をヒトラーに・・・?

    なんて歴史ミステリーかと思いきや、その謎はあっさり解かれるw
    期待した方向と違った製もあり、最初はイマイチかと思っていたが、歴史が動き始めてから一気に面白くなる。
    変わっていくベルリンとそれを見続ける主人公。
    ミステリとか深い人間ドラマとか期待しちゃうとあれだけど、当時のベルリンを一人の人間から見た記録なんて感じで読むといい感じ。

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    2012年05月26日
  • 国銅(上)

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    よくもまあこんなに幅広くジャンルを拡げて小説をまとめられるものだ!

    筆を持つほどに自ずと文章が溢れ出るのであろう。

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    2012年05月21日
  • 聖灰の暗号(下)

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    ネタバレ

    初めての帚木 蓬生 さん

    面白い
    細かな描写でグイグイ引き込まれる

    悠久の歴史に思いを馳せタイムスリップ

    宗教と人間とそれを取り巻く巨大な力に翻弄されながらも立ち向かう人々の姿に感銘を受けた

    信念を貫くことはシンプルでいてとても難しい

    いつの時代も歴史を作るのは揺ぎ無い信念と情熱を持つこういう人達なんだろうな

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    2012年05月05日
  • エンブリオ 下

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    男性を妊娠させたり胎児を品物のように扱う岸川に反感を持ちました。また、自分を利用しようとした相手に反撃するシーンは恐怖感でいっぱいでした。

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    2012年04月08日
  • 逃亡(下)

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    ”逃亡”とは、憲兵の戦後を描いた大作である。国のために働いた彼らが戦後連合国に追われ、自国にも追われるという悲哀の物語である。プロの作家は資料を読み込むことで90%作品を完成させることができる。残りはリアリティをいかに追求するかがカギとのこと。本作品のリアリティのすごさとは、戦後の日本の農家の暮らしぶりや焼け野原となった博多の街並みと闇市の様。当時の人々の苦しみや希望を見事なまでに描いている。また戦犯への追及。戦争は終わってない。戦争は継続していることに対する緊張感。それにしてもリアリティの源泉が・・とは。解説を読んでびっくりです。

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    2012年03月10日
  • 国銅(上)

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    ネタバレ

    奈良の大仏を作るための銅をつくる人足が主人公。

    その後、奈良で実際に大仏造営にもたずさわる。

    1000年

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    2012年02月12日
  • 逃亡(下)

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    今まで私が読んだ帚木作品は、精神科医らしく心を病む人物の登場が多かった。
    これは第二次大戦中憲兵として働き、敗戦後逃亡し続ける主人公の限界とも思える物語だ。
    同時期に大陸で新聞記者として従軍した父の面影と重ね合わせた。

    戦争は人を変えると言うが、随所にそれがうかがえる場面が出てくる。
    しかし、極限状態にあっても友情の存在があることも知った。

    小説としてより、ドキュメンタリーのような迫力、面白さを感じた。
    敗戦後の混乱、戦争裁判の不条理、道を誤った国家の恐ろしさ
    、どれも私年代(80歳)にとっては記憶にある事だけに胸を打ちまた痛みを感じた。

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    2012年01月31日
  • 空の色紙

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    著者は九州で開業している精神科医。
    メディカルフィクションと言うらしい。
    専門医療用語は難解な面もあるが、私にはほとんどが未知の世界なので面白かった。
    野次馬的興味かもしれないが・・・
    「象牙の塔」と言われる医学界、医師の世界も垣間見えた。

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    2012年01月18日
  • 安楽病棟

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    サスペンスとしては★★。終末医療の現場をリアルに描いた作品としては★★★★★。この作品にでてくる患者さんは純粋で生き生きしており、訴えかけられる部分が多い。なのでサスペンスにしてしまったのはとても残念。

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    2012年01月16日
  • 風花病棟

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    帚木 蓬生
    新潮社 (2011/10)
      (新潮文庫)

    現役の精神科医
    以前「三たびの海峡」を読んであまりの過酷さに最後まで読めなかった

    これは市井の良医10人のやさしいストーリー
    「死」を見つめ生きていく人たちと向き合う医師が描かれている
    それぞれのストーリーに投げ込まれたそれぞれの花が印象的だった


    ≪ 病棟に かざはな舞えば 窓蒼く ≫

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    2012年01月15日
  • 千日紅の恋人

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    あったかい物語だった。

    主人公の洞察力、目に見えているものが丁寧に生々しく描かれてて、
    扇荘の住人の様子が容易に想像できた。

    扇荘の住人しかり、デイサービスしかり、親しかり、
    主人公の周りにお年寄りが多いせいもあって
    この作品も「死とは何か」が静かに横たわっていた。

    主人公が人を思いやる(思いやりすぎる?)人だから、
    私には少しキレイすぎた。かも。

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    2012年01月04日
  • 風花病棟

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    かなり生々しくリアルな描写があり、多くの作中に悲しみなり寂寞感が漂っているのに、最後は希望を抱けるところが素晴らしい。著者の淡々としながら人間を信じる目線は透徹って言葉がぴったりだ。
    ストーリーによって診療科が違うところ、植物の描写が文字通り花を添えているところなども読んでいて飽きない。個人的には戦争を絡めた2つのエピソードが印象深かった。

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    2011年12月12日
  • 風花病棟

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    ご自身もお医者さんである、箒木蓬生さんの、お医者さんの良心を描いた短篇集です。
    病を治すということは、単に医学的な事だけではなくて、人と人との繋がりが基本にあるんだなあ~と、思わせてくれます。
    お医者さんは、単に知識があるだけの、施術士になって欲しくない。
    この物語に出てくるような、未熟でも人としての心を持つ医者であって欲しい…
    と、思わずにはいられないです。

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    2011年12月04日