帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻では未来の為、村人の為に借銀までしながら全ての責任を背負い命をかけた五庄屋の覚悟が益々凄まじくなってくる。また、筑後川に大石堰が集められた百姓達によって造られて行く様子が目の前に展開するように書かれていて読む速度が速まってしまう。五庄屋に最初反対した藤兵衛が助左衛門に謝りに来た時に「〜みんなこれから先の話を一生懸命するとです。そればで聞いていて、私は水が人をこうも変えるものかと、つくづく思いました。」と話すところが印象に残った。どんなに大変でも未来に希望が持てるなら人の会話は明るく弾むものだと思う。筑後川を改めて見に行きたくなった。
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Posted by ブクログ
事の善悪や生命倫理はおいておくとして、これほどの先端医療に関わり、次々と新たな治験を試み、生殖医療や再生医療の最新技術を切り拓いていけるとなれば、もはやとどまるところを知らず虜になってしまうに違いない。
あくなき探究心、進みすぎた医療、そして実際にそれらの技術がよそでは救えなかった患者を救えるという事実。おそらくこの小説は決して未来の話ではなく、今やすでにこのような研究開発は行われているのではないかと思う。「患者のため」という免罪符をもって猛進する科学や医療を、どのような現実的なラインで線引きし、特に不妊治療や再生、移植などの方針を国が定めていくのか、明らかに国の方針が立ち遅れている感がありあ -
Posted by ブクログ
江戸時代、九州の筑後川で実際にあったお話し。側に筑後川があるのにその地形から村の稲田には水が届かず村人は生活に苦しんでいる。おまけに大水が出て川が氾濫するとさらに悲惨な状態になってしまう。長年のこのような状況を筑後川に堰を作る事で打開しようと決死の覚悟で立ち上がる五人の庄屋の想いが胸を打つ。軽快な九州弁での会話が全般を包み、筑後川から村人の為に水を汲む(打桶と言うらしい)元助と伊八の大変さや気持ちの美しさが心を打つ。打桶の際の二人の掛け声「オイッサ、エットナ」が聞こえてきそうであり光景が目に浮かぶような感覚になってしまった。堰がどのように出来ていくのか、下巻を急ぎ読みたい。
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Posted by ブクログ
天才産婦人科医による、法の網をかいくぐる生殖医療、あるいはもはや生殖産業か。
生命倫理を考えるととんでもない医療技術なのだろうけれど、あくなき探究心で次々に新しい研究を進めていくのはとてもエキサイティングなのだと思う。医学の進歩には、過去に多くの黒歴史があり、その上に現代医学が成り立っていると考えれば、この小説のようにエンブリオを利用した技術がすでにどこかで開発されていたとしても決して不思議ではない。
倫理、善悪を抜きにするならば、興奮でぞくぞくしてしまうほどの研究の数々。なじみのない生殖医療の用語もわかりやすく、読みやすい。
下巻はどのような展開になるのか楽しみ。天才医・岸川がドナーになり続 -
Posted by ブクログ
今まで私が読んだ帚木作品は、精神科医らしく心を病む人物の登場が多かった。
これは第二次大戦中憲兵として働き、敗戦後逃亡し続ける主人公の限界とも思える物語だ。
同時期に大陸で新聞記者として従軍した父の面影と重ね合わせた。
戦争は人を変えると言うが、随所にそれがうかがえる場面が出てくる。
しかし、極限状態にあっても友情の存在があることも知った。
小説としてより、ドキュメンタリーのような迫力、面白さを感じた。
敗戦後の混乱、戦争裁判の不条理、道を誤った国家の恐ろしさ
、どれも私年代(80歳)にとっては記憶にある事だけに胸を打ちまた痛みを感じた。