帚木蓬生のレビュー一覧
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『アフリカの蹄』の姉妹編。
白人極右組織による黒人抹殺の陰謀を書いている『アフリカの蹄』の後、南アフリカは黒人政権の国となったのだが、貧困は変わらず、そのうえエイズが国中に蔓延して、希望を失った人々はアルコールに依存したりするのだった。
出口の見えない南アフリカの現実。
白人は高価なエイズの治療薬を使うことができるが、黒人は病院にかかるお金も病院へ行く交通費もないのに、エイズの治療薬なんて買えるわけがない。
経済的に豊かな国が、企業が、個人が、ほんの少しのお金をエイズ撲滅のために使ってくれたら。
“要するに、アフリカの貧困とエイズから日本が学ぶことは多々あるのに、日本の眼はアフリカには向け -
Posted by ブクログ
私は自分が生まれる前の出来事は書物に出てくる「歴史上の出来事」として一歩引いて見ているが、アパルトヘイトは紛れもなく私が生まれてからもしばらくは存在していて(中学生の時に文化祭の壁新聞でアパルトヘイトについて書いた覚えがある)、そういう意味では私にとってアパルトヘイトは歴史上の出来事ではなく、現実に認識できた出来事と言える。
にもかかわらず、中学生の頃、「名誉白人と呼ばれる日本人を私はちっとも名誉だとは思いません。」みたいなことを偉そうに壁新聞に書いた私は、アパルトヘイト撤廃のために何かした訳でもなく、その後は正直遠い国の話としてあまり考えたこともなかった。
今更ではあるが、この本を読んで -
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帚木さん、「全部同じような話でどれがどれかわからなくなってくる」なんて言ってごめんなさい。
全然違うお話も書かれるんですね。
しかし、重い。重すぎる。
そして、これが史実に近いかと思うと・・・。
日本に強制的に連れてこられ、強制労働を強いられた朝鮮の人々のお話。
人間でいることが嫌になる。
強制労働を強いる日本人のひどさ。
その手先となり、同胞を苦しめまくる人々のひどさ。
こういう時、一番残虐なことができるのは実は、敵より味方なのかもしれない。
鞭打たれる仲間たちと同等になるのであれば、忌み嫌っていたはずの日本人の手先となっても、鞭打つ立場でありたいと思うその気持ちを責めることはできないけれ -
Posted by ブクログ
戦争が犯した罪の一つ。強者が弱者を対等な人として、認めてこなかった事。
帚木氏は戦争の罪を書きとどめてきている作家の一人だと思う。
この作品の凄さは、人さらいの様に連れて来られ、強制労働を強いられた韓国人を軸となっていること。あまり知ることのない、韓国人の習慣などを描き、民族の違いを浮き出さしている。でも本来だったら、もっと朝鮮民族の”恨”の感情が強いのではないのだろうか。
日本に残した子、そして孫までもが日本と韓国の橋となろうとしている展開。現実より、さらに一般に受け入れ易い様に、すこし柔らかいニュアンスにしているところ、そのもどかしさが、作品そのものを弱めてしまったのでは・・・ -
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「森田正馬の15の提言」は1つ1つが、心に響く。心に寄り添うものがある。森田正馬は、明治大正期の精神科神経科医。神経質に対する精神療法である森田療法を創始した人物。彼の言葉と人生のエッセンスが、大切にまとめられてる。自らの人生をムリなくあるがままに生きていく「生きる力」をもらうことができる。生き方の価値観を変えてくれる部分はある。ストレス社会だの、メンタルヘルスだの、そんな今だからこそ手に取りたい一冊なんだと思う。
・「一瞬一生」…種々の悩みはあるが、生きている現時点の瞬間瞬間に、自分の一生をつぎ込んで進む。(P28-29)
・腰を上げやらなければならない仕事にとりあえず手を出す。身を忙しく -
Posted by ブクログ
インターセックスを扱った医療ミステリー。医師の翔子が、インターセックスに対する偏見と闘いながら、亡くなった親友の死の真相に迫る。
『エンブリオ』の続編となっているけれど、単体でも十分理解できる。
ミステリー部分については、犯人がほぼ分かっているので、物足りない気もするけれど、専門用語が多いのに分かりやすく、医療ものとしてはかなり楽しめる。
半陰陽、両性具有という言葉には馴染みがあったけれど、インターセックスは初めて聞いた。広義のインターセックスの新生児が、100人に1.5人の割合で生まれるということにビックリ。
性同一性障害はだいぶ認知されてきたけれど、それ以上にマイノリティな存在であるイ