帚木蓬生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
30年以上前に書かれた作品。
アフリカの大学病院に留学して心臓移植手術を学んでいる日本人の作田信。
彼は黒人差別が横行していることに反発を抱き、大学病院へ行かない日はスラム地域での診療を始めた。
しかし、それに目をつけられ厳重注意を受けるが、それには従わず、スラムへ通い続ける。
そんな中、絶滅した筈の天然痘の症状が黒人地区の子どもたちばかりに見られるようになる。
それは人為的なものと見られる、作田は益々、黒人たちの側につくことになる。
しかし、この国での黒人に対する扱いは留まるところを知らずに、それに加担する作田も危険にさらされる。
何人もの犠牲を出しながら、戦う黒人たちの姿に、時代の残酷さを -
Posted by ブクログ
10年振り再読。
題材はとても面白いが、展開がやや回りくどく、前半は正直退屈に感じた。一方で終盤は一気に畳みかけるように進み、読み終えたあとはスッキリとした爽快感がある。
生体実験というテーマは、倫理的な問題が強く問われる一方で、今後の医療発展に大きく関わる可能性を持っている内容でもある。
しかし、その裏で犠牲になる被験者一人ひとりの人生や幸せを無視するような考え方は、決して許されるものではないと感じた。
『閉鎖病棟』では患者の目線から苦悩が描かれていたが、本書では医療者や研究者の立場からの思考が前面に出ており、読後に重さの残る作品だった。
-
Posted by ブクログ
日本でネガティブ・ケイパビリティを広めた帚木蓬生さんによる新書。依存症の当事者グループ(ギャンブラーズアノニマス)や、福祉現場におけるオープン・ダイアローグなどのありようにネガティブ・ケイパビリティの実践を読み取る。「答えは質問の不幸である」というネガティブ・ケイパビリティの態度(個人的にはケイパビリティというより視点や態度と認識している)の重要性は強く共感する。そして紹介される現場におけるネガティブ・ケイパビリティ的な対話を「ほんとうの会議」ということも、企業等の多くの組織における会議がそれとは程遠いものであることもまったくその通りであると思う。ただ、(著者がつけたのではないと推測するが)副