あらすじ
享保十三年、久留米藩領井上村。大庄屋、高松家の長男である甚八と次男の庄十郎は、父に連れられて訪れた善導寺で、何千と集まる人々の姿を目の当たりにする。「ようく見とけ。これが百姓の力ぞ」。藩主から言い渡された増税に抗議して集まる群衆。あわや一揆かと思われたそのとき、あるお達しが下り――。九州の田舎で飢餓と圧政に苦しむ百姓のために医者を志した少年の成長を描く歴史巨編。
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Posted by ブクログ
幕府に翻弄される庄屋、圧政に苦しむ百姓、身命を賭して民を守る名君…。医師を志す大庄屋の次男・庄十郎が成長していく姿を通して、筑後平野に息づく、さまざまな人生の哀歓を描く。
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九州筑後川流域の農村の貧窮。享保年間ということは吉宗の享保の改革で幕府財政の立て直しがはかられた時代。改革の一環として、租税も検見法から定免法に移行、米の出来高に関わらず安定した徴収が意図されたが、凶作が続くと農民の生活が忽ち窮乏した。このあたりの背景にも本編では触れられている。塗炭の苦しい生活を直視し、成長していく主人公の姿を語る。2019.4.16