宮部みゆきのレビュー一覧
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納涼第三段は『このホラーが凄い!』でも紹介されている時代物ホラーです。
宮部みゆきさんはミステリー作家さんのイメージしか無かったのですが、実は時代物がお得意だと土瓶さんに教えて頂き、こちらをお勧め頂きました。
納涼レベルは0ですが、良質な和ホラー雰囲気5の切なさが4…。
そうです、怖いより切なさ溢れるホラーでございます。
和ホラーって悲しいイメージも強いんですが、これはまさに物悲しい…。
主人公のおちかは、生家の旅籠屋で非常に悲しい事件に遭遇してしまい、それが自身のせいであるとずっと苦しんでいました。
そこで叔父の家、三島屋へと預けられる事に。江戸で袋物屋を営んでいる主人と女将はおちかを本 -
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語って語り捨て。
聞いて聞き捨て。
三島屋変調百物語の第4弾。
本作ではおちかの恋愛にも発展しそうな振りが出てくる。もちろんただの恋バナではない。心に深い傷を負い、もう恋愛感情を抱くのが怖くなっているおちかの成長を描いているのだ。この変調百物語シリーズがおちかの成長物語でもあるのは異論のないところだろう。
今回はかなり怖い話も多い。「迷いの旅籠」「三鬼」「おくらさま」いずれも背筋が寒くなるような話で、日本古来の独特な宗教観が分かり易く伝えられていて興味深い。
その中でとてもほっこりするのが「ひだる神」だ。貧乏神は知っているがひだる神というのは知らなかった。
駆け出しの頃や下積み時代にお世話 -
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久々に読んだ百物語シリーズ。
前回はなんと平成24年に読んでた、、、、
どーりで覚えているような、いないようなわけだ。
にしても。宮部みゆきはすごい。
あの世を描く。
もうあの世とこの世の境目あたりのそんな亡羊としたものを描くんだけど、いちいちリアルなのよ。
いや、見たことないのに、
あぁ、そうそうそうだった、
こんな感じなんだよね。
ってまるで知ってるようなあの世なのよね。
しかも、なんかわからないけど遠い記憶で覚えてるんだよねぇ。
みたいな怖い体験なのよ、読んでて。
見たことないし、考えたこともないあの世なのに、読んでると
そうそうそれそれ
みたいなね。
なんで?
なんでそうなるの? -
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三島屋変調百物語の八之続で御座います。今回も、三十五話、三十六話、三十七話のあやかしの物語を側(はた)でコッソリ聴いた身共の、短い感想をお届けします。
お暑うございます。お身体(からだ)悪くなさらぬ様に身を楽にしてお聴きください。
実は、三十五話を聴いた時にかの南海トラフ地震臨時情報が発せられました。餅太郎さんのお話は、波瀾万丈だったのですが、畢竟大きな災厄に生き残った1人の小さな男の長い長い物語でございます。餅太郎は悪かない。それだけは確かです。私共も、これから何があるかわかりません。神様に縋って、それでもことを尽くすのみです。
身共も、三十六話を聴いてつくづく思い知りました。前の話は -
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宮部みゆきが描く人気の三島屋百物語・第8弾!
第1話の「賽子と虻」は博打好きな神様達によって、村人達が苦しめられる。ここに出てくる虻の神様なんて想像もつかないが、善良な人が虻の呪いにかけられ不幸になっていき、それを助けようとする者がその呪いを引き受けてしまうという血も涙もない恐ろしい話。
第2話の「土鍋女房」は土鍋の中にいる蛇の化身の女に巻きつかれてこの世から兄を奪われてしまう話。
第3話の「よって件のごとし」は〈ひとでなし〉と呼ばれる化け物に村人が次々と襲わる。その事情を池に潜らないと行けない隣村に若い娘が勇敢にも知らせに来る。そこから〈ひとでなし〉との戦いが始まる。
どの話も人と土地神の -
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おなじみのシリーズ
今回は3篇
ゾワゾワっとする話
ヒヤリとする話
じっと成り行きを見守る話
3篇とも、寝落ちしたら変な夢を見ると気合いを入れて読む場面が何度もあった。
特に、表題作の よって件のごとしは
恐怖が哀しみを背負って迫ってきた。
哀しみに立ち向かう姿も悲しいが、悲しむきっかけをつかめずに意地をはる人の姿も胸に迫るものがあった。
このシリーズは話しの聞き手の富次郎さんをはじめ
女中さんや丁稚さんたちが、さりげなく魅力的に描かれていてほっこりできるので救いがある。
今回で、ひと区切りのような終わりかたに見えたが
もう次の単行本が出ているのでどのような展開になっていくのか楽しみ。 -
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[1]妙に不敵で飄々とした雰囲気になったおちかはん。これが本来の姿に近いのかもしれへんなあ。
[2]チームおちかの新メンバー、お勝、青野利一郎、行念坊、いたずら三人組と新太。メンバーの増加はおちかの世界の広がりでもあり、成長でもある。青野はおちかのお相手役になるかも。清太郎には気が進まんみたいやし。
[3]今回もふくよかな一冊でした。
【逃げ水】金井屋の番頭、房五郎と丁稚の染松(平太)。平太が近寄るとあらゆる水が逃げてしまう。「お旱さん」という神様が憑いていると言う。三島屋の人たちの優しさが身にしむ。
【藪から千本】隣家の住吉屋の娘、お梅が嫁に行ったがなんだかいろいろ腑に落ちない段取りだっ