宮部みゆきのレビュー一覧
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語って語り捨て。
聞いて聞き捨て。
三島屋変調百物語の第3弾。
おちかの聞き役としての様子も段々と慣れてきた本作は、スケールアップ(?!)してきたというか「何でもあり」になってきた。なんせ怪獣が出るし、殺人犯も出てくる。怪獣ともなれば「日本むかし話」と「もののけ姫」を合わせたようなおどろおどろしくも珍妙な話になっているが、これまでの作品で徐々に読者を慣れさしてきたものだから、それほど違和感なく読めたところが面白いというか、宮部みゆきの上手さだろう。
さて、こうなると次回作はどんな話が出てくるのやら。更に何でもありになるのか、それとも毛色の違う話になるのか。いずれにせよ少しずつ心の傷が癒えて -
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ネタバレ【2024年54冊目】
変調百物語――通常の百物語は人々が一堂に会して行うが、三島屋で行われているそれは、語り部がやってきて、話が済めば帰ってしまう、まさに変調の百物語だ。とある事情で三島屋に身を寄せている「おちか」は、叔父の伊兵衛の依頼でその百物語の聞き手となるのだが…。
外れなしの宮部みゆきさんの三島屋変調百物語シリーズ第一作目です。やはり外れなし!五つの連作短編集をドキドキしながら読みました。
章が進む度に主軸となる主人公のおちかの過去のあれそれも明らかになっていき、最終章の五章では過去話となっていたこれまでのお話が一つになりました。見事!
おちかの成長ぶりも良いですし、最終章で姿 -
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「宮部みゆき」さんと言えば、言わずと知れた人気作家ですが、作品を読んだのは本書が初めてです。
初めて読む作品が小説(数えきれないほどの名作がありますね)ではなく、本書(書評エッセイ)というのも我ながら”どうか”とは思いましたが、
・あの「宮部みゆき」さんが選んだ本とは?
・それらの本に対する書評(文章)は?
等々を「知りたい・読みたい」という願望が勝りました。
さて、本書は読売新聞の「本よみうり堂」で2015年~2019年に掲載された128冊を集めたもののようですが、私の願望を満たすための行動は「正解」でした。
先ず、128冊で網羅されている範囲の広さ(ミステリー、ビジネス書、絵本、図鑑、ノン -
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『おそろし』に続く、三島屋変調百物語の2冊目です。今回も三島屋の姪おちかさんが不思議な物語を聞き集めます。
『逃げ水』
ある男の子の周りでは甕や花器の中の水が消えてしまい、、、この子のその後が気になるな。
『藪から千本』
とあるおうちの長男夫婦に双子の姉妹が生まれたけれど、姑は縁起が悪いと嫌がり、、、。
『暗獣』
暗闇を好む妖怪?幽霊?の話。
この先も登場しそうなキャラクター達が出てきます。
『吼える仏』
実際にあったんじゃないかと思えるような民間伝承のようなお話し。
今回も神様だったり、仏様だったり、幽霊だったり、妖怪だったり、人の怨念や執念や思い込みだったりと面白かったです。 -
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辛い経験をきっかけに心を閉ざしてしまった17才のおちかは、袋物屋「三島屋」の主人である叔父の元に身を寄せる。
叔父はおちかに三島屋を訪れる客から「変わり百物語」を聞くよう言い付ける。
三島屋を訪れる客達から辛く不思議な話を聞くうちに、おちかの心境にも変化が、、、。
三島屋シリーズ第一弾。
第一話『曼珠沙華』
第二話『凶宅』
第三話『邪恋』
第四話『魔鏡』
第五話『家鳴り』
江戸時代を舞台にしたお話しなので、慣れるのに時間がかかりましたが、内容自体はとても面白かったです。あと、昭和の死語だと思ってた言葉が江戸時代からの言葉だったと知りビックリしました。《おきゃん》《おちゃっぴぃ》《こ -
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宮部みゆきファンには必読本。でなくても、世のレビュアーには教科書になるような本です。
人は人を評しながら多くは自分を語っているという。本書も他人の書物を語りながら、自分の著作世界を語っている様な気がしてならない。時代小説、推理小説、SF小説作家としての宮部みゆきの創作の源泉のひとつは、類稀なる好奇心と読書欲だと常々思っている私にとっては、様(さも)ありなんというラインナップだった。
もう一つ感心したのは、500字から多くて800字という、極めて短いけれども、新聞書評欄としたら当然の長さの中に納めていること。これくらいの長さが、人が「序でに読んでやろう」と思えるギリギリのところなのだろう。し -
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心の闇、あやかし、どちらもおそろしい。
枠物語は枠でなく存在感あるメインストーリー。
ふくよかでこまやかな文章に、ええもん読んでる気分になれます。
事情あり他者と接したぁあらへんおちかに叔父の染物屋三島屋伊兵衛は、松田屋藤兵衛と曼珠沙華のできごとののち、変わり百物語を集めたいと言い出し訪ねてくる人々から怪談話を聞き出すよう命じる(おちかのリハビリ目的でしょう)。
心閉ざすおちかが他者の怖い話を聞くうち、なんやしらんけどいつの間にかタフになってもうてて怪談の方を救う。
メフィスト的なキャラが登場、おちかのライバルとなる?
曼珠沙華:曼珠沙華の影になにが見える?
凶宅:安藤坂の屋敷。おたかが語 -
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ネタバレ宮部さんのライフワークである「三島屋」シリーズの第7弾ですが、今回も面白かったです。
表題作の終盤で、義憤に燃えた吉富が葵の継母を懲らしめるシーンが爽快でした。
葵の継母は容姿は端麗ながら陰険な性格の持ち主で、葵が幼い頃から彼女を苛めていたのみならず、私利私欲のために、ごろつきを使って葵を貶めさせ、死に追いやってしまいます。その後、彼女は肥えた老婆となっていたので、きっと葵を殺したことを露ほども気に病んでいなかったんだと思います。
一方、吉富にも継母がいますが、彼の継母であるお竹は、吉富を苛める祖母に凄んで虐待を止めさせた大人物です。「おめえのはらわたには虫が湧いてる」だの「鉈で腕を