伊東潤のレビュー一覧

  • 西郷の首

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    ネタバレ

    面白くて一気読みしてしまった。
    残りのページ数がもうこれしかないって思ったのは久しぶり。
    幕末、維新の対照的な生き方をした男二人の話。
    ドストエフスキーの駅員を書いた短編にちょっとテーマが似ている気がした。
    体制の変革を願いながらも、どこかで旧体制である「武士」しがみつかなければいけなかった男が悲しい。
    文章もリズムは軽快。
    軽快であるけども、薄っぺらではない。
    説明臭くはないけれど、読み手に十分に情報が伝わり臨場感がある。
    お勧めです。

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    2020年12月02日
  • 茶聖【電子特典付】

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    この本を読むと千利休と秀吉の関係が思っていたのと違うことに気がついた。
    もちろん、歴史解釈の一説として受け止めれば良いのだろうが、圧倒的なリアリティがありこれが本当の姿かもしれないと思うくらいだった。
    また、「侘寂」も今まで思っていたのと全く異なるのが新鮮だった。秀吉の黄金の茶室も見方が変わること間違いなし。
    一読の価値のある一冊。

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    2020年12月01日
  • 決戦!関ヶ原

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    『決戦!関ヶ原』

    誰もが知る関ヶ原の戦い。
    4時間で決着がつき、そして最後の西軍 島津が退陣するまでが8時間。

    ●読みどころ
    1.関ヶ原
    家康と三成。
    戦い前に密談あり。
    互いの狙いは何か?

    2.戦終えての三成
    「勝者はいない。
     徳川も豊臣もそして毛利も、さらに私三成も全員   
     敗者なり。」
    その意図とは?

    3.織田信長弟 長益。兄に囚われた人生
     武勲無しの武将。
     最初で最後に近い戦いは家康方で。
     千利休の弟子であった長益。
     戦場で何を思えたか?

    4.島津義弘
     66歳。西軍の敗北が決まり、1500の兵で家康の   
     本陣3万人に向かう。
    「己の魂と引きかえに敵をうつ

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    2020年11月03日
  • もっこすの城 熊本築城始末【電子特典付】

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    歴史小説。
    安土城を築城した、父が本能寺の変で安土城と共に命を落とし、嫡男・藤九郎は残された築城の秘伝書を携え新しく肥後の国主となった加藤清正の家臣となり民を守るために隈本城を築城するまでの城取り一代記。
    冒頭から肥後の治水から始まり、秀吉の朝鮮出兵の足掛かりとなる名護屋城、朝鮮での築城などを越え、隈本城の築城に至る苦難の連続の物語。
    読む前はもっこすの城とは=隈本城の事だと思っていましたが、肥後もっこすが命を掛けて作った城たちのことでした。
    「無駄に長く生きるなら、己の才知を使いきって早死にしたほうがまし
    し」という台詞には同感しました。才知があればそうしたいものです。

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    2020年10月25日
  • 敗者烈伝<文庫版>

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    内容が面白いので一々感心しながら読み進めたが、同時に“日本史”のキーパーソンと言って差し支えないかもしれない人物達の話題を読み易い形で紹介してくれる、非常に価値在る一冊になっている。或いは、「“時代モノ”の作家として作品化してみたい人達を列記」という面も在るかもしれない。作者の作品に関しては意外に好きで、色々と読んでいるので益々そう思った側面も在るが…
    「勝敗」というようなモノは、「一定のルール」の下に争われる、例えば野球、サッカー、バスケットボールというようなモノの試合でもない限りは、些か抽象的で、同時に相対的ということになってしまうかもしれない。そういう意味で、本書で取上げられる人物達の中

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    2020年09月30日
  • 茶聖【電子特典付】

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    歴史は武士ばかりが目立っているけど、武士以外にも天晴れな人たちは沢山いたんだいういい話でした。武士以上にプライドが高く、策略に長けていて、自分らしく生きるという理想的な生き方かも?

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    2020年09月25日
  • 城を攻める 城を守る

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    人気歴史小説作家が城を訪れ過去の戦に思いを馳せる。城の構えなど具体的な記述が楽しい。

    最近多くの著作のある作家。小説ではなく実際に城を歩き歴史を交えて書いた作品。攻防戦について詳細に記述したところが特長だろう。

    一つの城ごとにもっと深く掘り下げても楽しめそう。戦国時代限定でなく島原の乱の原城と西南戦争の熊本城、戊辰戦争の白河城など広い時代を描く所も良い。やや東日本に偏ってはいるが。

    筆者の小説をさらに読んでみたくなるし、実際に城跡を訪ねてみたくなる。

    良くできた1冊でした。

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    2020年07月16日
  • 真実の航跡

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    伊東さんの作品を読んでいると、そこに一緒にいて、共に悩み、苦しみ、迷い、怒り、悲しみなど、様々な感情に襲われる。一作読む事に、自らの感性が研ぎ澄まされ、経験値も上がる。そんな気がする。

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    2020年07月12日
  • 横浜1963<文庫版>

    購入済み

    戦後はまだ終わっていない

    伊東潤氏の現代ものを初めて読んだ。横浜が舞台の警察小説ということで、はじめは
    森詠の「横浜狼犬シリーズ」みたいな作品を想像していたが、全然違っていた。
    伊東氏の文章は読みやすく、また多くの史実を丹念に調査して書かれているものが
    多いので殆どハズレがない。本作はオリンピック直前の横浜で発生する連続女性殺人
    事件を追って、ハーフの日本人警官(ソニー沢田)とアメリカ軍のSP(ショーン坂口)
    が活躍するという筋立てだが、戦後約20年を経過しても日本に駐留を続けるアメリ
    カ軍兵士に、日本人がどのように映っていたのかがよくわかった。そして、その傾向
    はおそらく今も変わっていない。アメリカ人(

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    2020年06月14日
  • 城をひとつ―戦国北条奇略伝―(新潮文庫)

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    所謂「北条五代」(早雲・氏綱・氏康・氏政・氏直)の中、二代目の氏綱の頃から、豊臣秀吉との戦いに敗れる五代目の氏直の時代までを背景に6つの挿話で構成されている物語である。
    6つの挿話を通読すると、北条家が勢威を拡大し、関東の覇者となり、そして滅ぼされてしまうまでの経過が視えるのだが、本作はそういう経過を少し変わった視点で描いている。代々の北条家に仕え続けて独特な活動を展開していたという大藤家の人達を主要視点人物に据えて各挿話が綴られているのだ。
    最初の挿話の冒頭は「城をひとつ、お取りすればよろしいか」という台詞で始まる。この『城をひとつ』が最初の挿話の題名であり、同時に本作全般の題名ともなってい

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    2020年05月20日
  • 江戸を造った男<文庫版>

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    河村屋七兵衛(河村瑞賢)の生涯を描いた作品。

    七兵衛の人や仕事に対するスタンスにひたすら感銘をうける。なんといってもその柔軟さがはんぱない。こうありたいものだ。

    漬物屋から漆喰屋、人材派遣、材木問屋という商人として大成をするまでが序章という恐ろしさ。その後明歴の大火をきっかけにとし、江戸のインフラ整備に携わっていく…

    「今、自分が何をすべきかを常に考えていろ」という五郎八の教えが好き。

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    2020年05月14日
  • 決戦!本能寺

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    いやぁー、面白かった!
    お勧めは伊東潤先生、天野純希先生、木下昌輝先生ですね。
    「麒麟が来る」が更に面白くなる1冊です。

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    2020年02月22日
  • 黎明に起つ<文庫版>

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    伊勢新九郎盛時、いわゆる北条早雲を主人公とした物語。

    下剋上の象徴として挙げられているが、名こそ知れども、
    実際にどういう人物だったのかわかっておらず、
    それを少しでも知りたくて、本書を手に取った。

    著者の後北条氏に対する熱量は凄まじく、
    溢れんばかりの慈愛ともいうべき眼差しが随所に滲み出ているが、
    最新の学説をベースにしているということもあってか、
    やはりリアリティがあるように思え、一気呵成に読み通せた。

    福寿応穏、とてもよい言葉だと思う。

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    2020年01月23日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐<文庫版>

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    須田満親というマイナー武将が主人公。

    ただ、これが物語ではとてもうまくハマっていて、
    武田信玄と上杉謙信の激突が第三者の視点でうまく描かれている。

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    2020年01月15日
  • 江戸を造った男<文庫版>

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    初伊東。ブラック企業の経営者、人に教えを説く方々に読んで頂きたい作品。こんな上司の元、働きたいものですね、ホント…(^^;; 「新井白石」名前だけは知ってはいたが、こうして物語として血肉が与えられると歴史上の人物としての白石にも興味が沸き、少し親近感(?)すら感じますね。小説を通して歴史を学ぶ、良いものです。大変良い作品でした!星五つ。

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    2019年12月03日
  • 横浜1963<文庫版>

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    1963年の横浜を舞台にしたミステリー小説。著者本人が当時の横浜を再現することに力を入れたと述べているが、主人公が駆け抜けた地域に住む人間にはたまらない。当時の、匂いや音までも感じられるし、横浜の人々が米国人にどのように接していたかも追体験できる。似たようなバックグランドをもつ二人の混血人の活躍もスリリングで面白い。

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    2019年12月01日
  • 武士の碑

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    西南戦争の村田新八のお話。
    あまり詳しくない人物のため、とても興味深く読めた。
    戦争の記録を相当に読み込んで書いていると思った。明快かつ重厚な近代戦の描写に引き込まれた。
    西郷と村田新八と、西南戦争の意味合いなどなど、心理描写も面白かった。
    これも、西南戦争の西郷についての1つの解釈と思う。
    おすすめ。

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    2019年11月27日
  • 敗者烈伝<文庫版>

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    成功者と同じことをすれば、自分も成功者になれるか。答えは、否、だ。
    失敗した人と同じようなことをしたら、自分も失敗する。
    失敗から学ぶことは多いし、兎角この世は生きにくい。

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    2019年11月24日
  • ライト マイ ファイア

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    「ライト マイ ファイア」(伊東潤)を読んだ。
    これ面白い!もうイッキ読みでした。
    伊東潤、新たなステージに到達!
    1958年生まれの私はあの時代の高揚感も倫理の欠如も無分別さも本当には知らない世代だ。自分のことなので想像はつくが、あと5年早く生まれていたらやばかっただろうな。

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    2019年09月24日
  • 城を噛ませた男

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    「城を噛ませた男」(伊東 潤)を読んだ。
    いいね!
    六つの物語のどれもが見事な書きっぷりな訳で、やっぱり伊東潤氏にハズレなし。
    懐の深さというか引出しの多さというかそういうところがすごい。
    1年くらい前に訪れた関ヶ原古戦場跡は、
    土地の記憶なのか、喚くように強い風が吹いていた。

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    2019年09月24日