伊東潤のレビュー一覧

  • 覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    6~7世紀を描いた時代小説が少ないのは史実を裏付ける史料が少ないためと思料する。著者は今までにないぐらい大胆に大王や王子、蘇我・物部の大臣等を生臭く・人間臭く描き、作品の評価としては真っ二つに割れることは十分承知の上で上梓されたと思うが、私は是の方に与したい。私もこの時代の知識は教科書レベルしか知らないので史実云々は置いておくとして、この時代を生き、国を治めた為政者に親近感を抱かせることは十分貢献できる作品。歴史的評価はおいても、蘇我馬子や推古天皇、厩戸王子の人間臭さはとても興味深く面白く読ませてもらった。

    0
    2021年06月06日
  • 城をひとつ―戦国北条奇略伝―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    後北条氏や関東公方が描かれた東国の話は初めてで、興味深く読んだ。東国の城がたくさん出てきたが、いつか訪ねてみたい。

    0
    2021年05月29日
  • 巨鯨の海

    Posted by ブクログ

    昨今有名になった太地の捕鯨。太地の人間側の制度説明も、捕鯨の方法も説明しつつ、大多数が見たことのない捕鯨シーンを描かないといけないのだから、これを小説形式でやったのは凄い。
    太地の生き様が浮かんできて、現地に行ってみたくなった。最後の事故は実話がもとになってるのだな、、、。

    0
    2021年05月25日
  • 横浜1963<文庫版>

    Posted by ブクログ

    面白かった。東京オリンピック前年、戦後日本の加速する復興の波を受ける当時の横浜。まぶしくてそして闇も深い当時の横浜にタイムスリップした気持ちになれた。
    1963年、事件は戦後の日米関係、人種差別、宗教、などの問題が絡みつつエキゾチックな横浜を中心に展開される。アンタッチャブルな部分の多い事件=壁に向かい、白人との混血児である日本の警察官ソニー沢田と日系米軍人ショーン坂口という、それぞれの国でマイノリティ、アウトサイダーである二人が、お互いに共感を抱きながら地道に捜査をすすめていく様はカッコいいの一言。

    0
    2021年05月23日
  • 江戸を造った男<文庫版>

    Posted by ブクログ

    江戸時代の商人ながら治水、灌漑、鉱山採掘などの大型プロジェクトを主導した河村屋七兵衛の物語。その目覚ましい活躍は今の時代からは想像を絶するものだったのだろう。小説としてはやや武勇伝すぎる、また歴史の文献的な感じもあるが、それが七兵衛の姿を現しているのかもしれない。

    0
    2021年05月22日
  • 修羅の都

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    鎌倉殿の13人に登場しそうな人物を予習するために読んだ。この小説の主役は、北条義時(政子の妹・小栗旬)・北条政子(頼朝の妻・小池栄子)・源頼朝(大泉洋)の3人。前半は鎌倉幕府の基礎を固めるためにじゃまになる者を親族だろうと権謀術数で殺し続ける3人のトライアングルがえがかれているのに対し、後半は容赦なく痴呆が始まった頼朝の奇行が容赦なく描写されてる。痴呆の描写が余りにながいのでもっと縮めてほしかった半面、だからこそ最後に頼朝が選んだ行動がぐっと心を打った。頼朝の兄弟殺しは容赦ないです。が頼朝の子どもはみな北条政子が死ぬよりも早く亡くなってしまうというのも、鎌倉幕府は誰のために創設されたのか、非常

    0
    2021年05月06日
  • 西郷の首

    Posted by ブクログ

    本作の主人公の一人は西南戦争で西郷隆盛の首を発見した軍人・千田文次郎。もう一人の主人公は大久保利通暗殺事件の実行犯・島田一郎。この二人がかつて親友同士だったというのはなかなか面白いですね。主人公たちの関係が西郷・大久保の関係と重ね合わせて物語が進むあたりは、確かに目の付け所がいいなと思いました。個人的にはこの時代に起こった多くの事件をさらっとトレースしすぎている印象が強く、主人公たちの影が相対的に薄くなったきらいがあるのと、例えば見せ場の一つだと思っていた西南戦争のクライマックスなんかも結構あっさり流されていた点なんかがいまひとつ物足りなく感じ、星一つ下げさせていただきました。バランスをどうす

    0
    2021年05月03日
  • 覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    山岸凉子さんのコミック『日出づる処の天子』にハマった者としては堪らない作品だった。
    あちらは厩戸皇子(聖徳太子)が政治的工作活動から汚れ仕事までを裏で行い、大王という飾り物ではなく摂政(=執政者)という実を取るために強かに立ち回るまでを描く話だったが、こちらは蘇我馬子が主役。

    当時としては新しい宗教である仏教を日本に取り入れ、仏教で国を束ね一つにしていくことを理想とし、そのために時に手を血で汚しながらも邁進していく。

    日本古来の神道を掲げ、仏教を国教とすることに猛反対する物部守屋を始めとする一派との戦い。
    その一派が担ぎ上げる穴穂部皇子の排除。
    即位した途端に強硬な姿勢で蘇我一族と対抗する

    0
    2021年04月30日
  • 北条氏康 関東に王道楽土を築いた男

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    関東の騒乱は初耳戦国武将が多くて読むのが大変
    少しずつ学ぶ
    初代伊勢宗瑞1456~1519 
    1487備中所領を処分 駿河に人生を賭ける31歳
    1500小田原城攻略
    1516三浦一族滅亡へ(相模国領有)
    此処までしか知らない(´・ω・`)
    二代北条氏綱1487~1541 33才領土を倍にした
    三代北条氏康1515~1571 27歳 臆病→豪の者
    1566最大版図
    著者が一番描きたかった人物(人格含めベタ褒め)
    業績メモ書き
    ・税制改革で安定財源(Winwin)
    ・諸役賦課を平等にする行勢力(検地・所領役帳)
    ・民の声を吸い上げる目安箱
    ・民主的裁判制度(評定衆と奉行人体制)
    ・城郭都市(総構え

    0
    2021年04月05日
  • 覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    仏教国家を造ろうと奮闘した蘇我馬子の小説。
    読み進めながら、馬子と一体化した。共に権勢の頂に上り詰め、排除し、老い衰え、この世を去っていく。天寿国の末席に行けただろうか。

    伊東さんの読者を登場人物にグッと感情移入させるというか、一体化させる筆致は本当に素晴らしい。これは『修羅の都』の頼朝や政子の時もそうだった。今回は特に馬子と額田部。共に苦悩し、感情を押し殺し、嫉妬し、時にハッとさせられた。

    しかし、人によって一概には言えないが、遺言とは人を縛るものであり(稲目→馬子)、子どもに親の思いはなかなか伝わらない(馬子→入鹿)ものであるなぁ。

    0
    2021年03月28日
  • 覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    国を守り、そして仏教を守るため、蘇我馬子と額田部こと推古天皇は、あらゆる手を尽くす。
    蘇我氏が四代にわたり守り抜いた仏教は、大和国の隅々にまで浸透し、日本は仏教国として栄えていく事になる。
    今まで遠い世界であった歴史がこの本により、私たちの手元にきたように感じます。ドラマティックな展開で飽きさせない。是非いろいろな方に読んでいただきたい。

    0
    2021年03月15日
  • もっこすの城 熊本築城始末【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    『城取り』
    城を取り立てる際の選地から縄張りと事前準備、さらに実際の普請(土木工事)と作事(建築工事)全般を指揮する統括者。

    本能寺の変にて、明智光秀が織田信長を倒し安土城に迫る。主人公の木村藤九郎秀範の父木村次郎左衛門忠範が緊急事態と城に馳せ参じるも、親方を失い我先にと逃げ出す輩ばかりで、守ることもできず…

    城造りの極意書を引き継ぐも、逃れた先でその日暮らしであった藤九郎が、加藤家の仕官試験を経て肥後国へ。

    肥沃な大地を守り、農民たちが安んじて農事に励めるようにすれば一揆は起こらないと、治水、街道整備、商いの振興から取り組むべきと言う加藤清正公は、勇猛果敢な武将と言うイメージが強かった

    0
    2021年03月13日
  • 修羅の都

    Posted by ブクログ

    来年の大河の予習、2冊目です。
    この本は読む前、特に期待してなかったのですが、予想以上に面白かったです。
    初めて読む作家さんですが、文章が上手かったですね。

    前回読んだ永井路子の本より北条義時の登場場面が多かったですし、頼朝が段々老化でぼけていくんですが、その様子が刻銘でリアルで良かったです。
    北条義時に関しても彼特有のずる賢いところが上手く描けてたと思います。

    2冊読んだので予習としてはもういいかな。
    あとは伊東潤さんの本は千利休の本が評価高いので今度読んでみようと思います。

    0
    2021年02月27日
  • 江戸を造った男

    Posted by ブクログ

    河村瑞賢。まさに江戸時代の日本を造り上げた偉人。東回り航路、西回り航路などの海運の基礎を構築、さらに治水工事や銀山採掘などにも貢献し、初期の江戸時代の経済の根幹を支えたと言っても過言ではない。
    本当にこんなすごい人がいたという事に驚きました。
    商人ではあるが、目先の小利にはこだわらず、万民のために働き、巨万の富を築きあげた。為政者ではなく、商人であるが、巨万の富でさらに新たな事業をてがけ、結果として人々を潤していった。
    この生き方が素晴らしい。

    0
    2021年01月04日
  • 国を蹴った男

    Posted by ブクログ

    戦国時代を舞台に、それぞれの信念を持って生きた人達の物語。自分は、茶人宗二の話が面白かった。天下人にも恐れず筋を通したところは爽快

    0
    2020年12月26日
  • 茶聖【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    個人的にはいわゆる歴史小説の作家の中では当代一と思っている人の利休ものとあれば手に取らざるを得まい、という感じで。歴史ものだと最近はあまり人が取り上げないニッチな人物や時代を取り上げる人が多い印象でこの作者も初期は後北条家ものが多かった気がするがここに来てかなり骨太にいわば手垢のついた人物を取り上げられているように思う。利休なんかもそうで特にその死にざまが異様なだけにいろんな解釈の作品がある中で果たしてどんなふうに描いているのかという興味があったのだが...いやもう流石ですという他ないですね、史実はこうだったのでは、とすら思わせられた。革命的な天才である信長が武士の世の次を見越していわば文化で

    0
    2020年12月13日
  • ライト マイ ファイア

    Posted by ブクログ

    歴史小説でない伊東潤氏の小説。
    2015年に川崎で起きた簡易宿泊所火災と1970年に発生したよど号事件をモチーフにした作品で、70年の学生運動の熱狂と、現代での事件サスペンスが交互に展開し、読み応え充分。
    いやあ、歴史小説でなくても、いけるんですね。

    0
    2020年12月08日
  • 茶聖【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    正当な歴史物という感じ。

    視点も千利休一点、順を追って丁寧にかかれた印象。

    ただ、私が豊臣秀吉をあまり好きでないので読んでいてどうしても楽しみきれないっていう、もうただの個人的理由ですが、そんな気持ちを漂わせながらよみました

    2020.11.21
    116

    0
    2020年11月21日
  • 天地雷動

    Posted by ブクログ

    作者らしい精緻で細かい史実に沿った描写に最初は読み進めづらかったが長篠の合戦に近づくにつれて加速していった。創作性の強い歴史物が多い中、本作は正面から長篠前後の武田、織田、徳川を描いた正統小説。一人称が10pくらいで転々としていく形式であるが、秀吉の場面が非常に興味深かった。長篠が銃の戦い方を変えたという史実を知っているだけに、どうやってそこに向かっていくのだろうかという思いで手が動いた。

    0
    2020年11月14日
  • もっこすの城 熊本築城始末【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    自らに課せられた役割を必死にこなす。自分ではまだまだと思いながら、必死に努力する。その姿は、周りの人々が見ている。人々は徐々に心を動かされ、助けてくれるようになる。到底無理そうだったことも、成し遂げられていく。人の力って、凄い!

    0
    2020年10月25日