伊東潤のレビュー一覧
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ネタバレ鎌倉殿の13人に登場しそうな人物を予習するために読んだ。この小説の主役は、北条義時(政子の妹・小栗旬)・北条政子(頼朝の妻・小池栄子)・源頼朝(大泉洋)の3人。前半は鎌倉幕府の基礎を固めるためにじゃまになる者を親族だろうと権謀術数で殺し続ける3人のトライアングルがえがかれているのに対し、後半は容赦なく痴呆が始まった頼朝の奇行が容赦なく描写されてる。痴呆の描写が余りにながいのでもっと縮めてほしかった半面、だからこそ最後に頼朝が選んだ行動がぐっと心を打った。頼朝の兄弟殺しは容赦ないです。が頼朝の子どもはみな北条政子が死ぬよりも早く亡くなってしまうというのも、鎌倉幕府は誰のために創設されたのか、非常
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本作の主人公の一人は西南戦争で西郷隆盛の首を発見した軍人・千田文次郎。もう一人の主人公は大久保利通暗殺事件の実行犯・島田一郎。この二人がかつて親友同士だったというのはなかなか面白いですね。主人公たちの関係が西郷・大久保の関係と重ね合わせて物語が進むあたりは、確かに目の付け所がいいなと思いました。個人的にはこの時代に起こった多くの事件をさらっとトレースしすぎている印象が強く、主人公たちの影が相対的に薄くなったきらいがあるのと、例えば見せ場の一つだと思っていた西南戦争のクライマックスなんかも結構あっさり流されていた点なんかがいまひとつ物足りなく感じ、星一つ下げさせていただきました。バランスをどうす
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山岸凉子さんのコミック『日出づる処の天子』にハマった者としては堪らない作品だった。
あちらは厩戸皇子(聖徳太子)が政治的工作活動から汚れ仕事までを裏で行い、大王という飾り物ではなく摂政(=執政者)という実を取るために強かに立ち回るまでを描く話だったが、こちらは蘇我馬子が主役。
当時としては新しい宗教である仏教を日本に取り入れ、仏教で国を束ね一つにしていくことを理想とし、そのために時に手を血で汚しながらも邁進していく。
日本古来の神道を掲げ、仏教を国教とすることに猛反対する物部守屋を始めとする一派との戦い。
その一派が担ぎ上げる穴穂部皇子の排除。
即位した途端に強硬な姿勢で蘇我一族と対抗する -
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ネタバレ関東の騒乱は初耳戦国武将が多くて読むのが大変
少しずつ学ぶ
初代伊勢宗瑞1456~1519
1487備中所領を処分 駿河に人生を賭ける31歳
1500小田原城攻略
1516三浦一族滅亡へ(相模国領有)
此処までしか知らない(´・ω・`)
二代北条氏綱1487~1541 33才領土を倍にした
三代北条氏康1515~1571 27歳 臆病→豪の者
1566最大版図
著者が一番描きたかった人物(人格含めベタ褒め)
業績メモ書き
・税制改革で安定財源(Winwin)
・諸役賦課を平等にする行勢力(検地・所領役帳)
・民の声を吸い上げる目安箱
・民主的裁判制度(評定衆と奉行人体制)
・城郭都市(総構え -
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仏教国家を造ろうと奮闘した蘇我馬子の小説。
読み進めながら、馬子と一体化した。共に権勢の頂に上り詰め、排除し、老い衰え、この世を去っていく。天寿国の末席に行けただろうか。
伊東さんの読者を登場人物にグッと感情移入させるというか、一体化させる筆致は本当に素晴らしい。これは『修羅の都』の頼朝や政子の時もそうだった。今回は特に馬子と額田部。共に苦悩し、感情を押し殺し、嫉妬し、時にハッとさせられた。
しかし、人によって一概には言えないが、遺言とは人を縛るものであり(稲目→馬子)、子どもに親の思いはなかなか伝わらない(馬子→入鹿)ものであるなぁ。 -
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『城取り』
城を取り立てる際の選地から縄張りと事前準備、さらに実際の普請(土木工事)と作事(建築工事)全般を指揮する統括者。
本能寺の変にて、明智光秀が織田信長を倒し安土城に迫る。主人公の木村藤九郎秀範の父木村次郎左衛門忠範が緊急事態と城に馳せ参じるも、親方を失い我先にと逃げ出す輩ばかりで、守ることもできず…
城造りの極意書を引き継ぐも、逃れた先でその日暮らしであった藤九郎が、加藤家の仕官試験を経て肥後国へ。
肥沃な大地を守り、農民たちが安んじて農事に励めるようにすれば一揆は起こらないと、治水、街道整備、商いの振興から取り組むべきと言う加藤清正公は、勇猛果敢な武将と言うイメージが強かった -
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個人的にはいわゆる歴史小説の作家の中では当代一と思っている人の利休ものとあれば手に取らざるを得まい、という感じで。歴史ものだと最近はあまり人が取り上げないニッチな人物や時代を取り上げる人が多い印象でこの作者も初期は後北条家ものが多かった気がするがここに来てかなり骨太にいわば手垢のついた人物を取り上げられているように思う。利休なんかもそうで特にその死にざまが異様なだけにいろんな解釈の作品がある中で果たしてどんなふうに描いているのかという興味があったのだが...いやもう流石ですという他ないですね、史実はこうだったのでは、とすら思わせられた。革命的な天才である信長が武士の世の次を見越していわば文化で