【感想・ネタバレ】琉球警察【電子特典付】のレビュー

あらすじ

沖縄を取り戻せ!
すべてを奪われた戦後の沖縄。
その絶望の中でも前を向いていた男たちがいた。

奄美郡島徳之島出身の東貞吉(ひがしさだよし)は、琉球警察名護警察署に配属になり、
米軍現金輸送車襲撃事件の主犯逮捕の手柄を立て、公安担当になる。
沖縄刑務所暴動で脱獄した人民党の末端、島袋令秀(しまぶくろれいしゅう)に接近し、自分の作業員(スパイ)に育てることに――。

令秀が人民党の瀬長亀次郎(せながかめじろう)に心酔していくなか、貞吉は公安としての職務を全うするために、敬愛する瀬長を裏切ることができるのか。
矛盾と相克に満ちた沖縄で、主人公は自らの道を歩んでいく。
一気読み必至のバイオレンス・ロマン。

【電子書籍特典】
樋口耕太郎さん(『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』著者 / トリニティ株式会社代表取締役社長 / 沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学科准教授)・伊東潤対談
「『琉球警察』を通じて語られる、戦後から現代の沖縄の本質」

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Posted by ブクログ

沖縄をルーツの一つに持つ人間として,いい作品に出会えた.
描いたのが本土の人と言うのも,知っていてくれる人が本土にもいるって言う感触は,何と言うのか…言い表せない感覚だった.
僕自身は東京で生まれてほぼ東京周辺で今までを過ごして来て,沖縄との繋がりは,父,そして父方の親戚が沖縄に住んでる事くらい.沖縄に住まう人たちのがんじがらめの苦悩は,間接的にしか知らない.それでも,こう言う本を見かけたら手に取らずにはいられなかった.
瀬長亀次郎を敬愛する父に,次はプレゼントしようと思う.

後日談:父も楽しく読んでくれたようだ.奄美や,与論島出身者に対する「差別」についても良く書けている,もっと陰湿だったしあからさまだったけど,とも言っていた.
差別を受けた側の思いも,した側の思いも,きちんと持ち続けているのは,父の世代としてはかなりよいバランスの持ち主なのでは,と我が父ながら感心した次第.

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2022年04月28日

Posted by ブクログ

ハードボイルド小説のようなストーリーに戦後沖縄の置かれた状況をうまく取り混ぜられていた。
奄美大島出身の主人公が客観的に見た沖縄。
アメリカとの関係、沖縄の暗部を体感させられて
一気に読み終えた。

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2022年02月06日

Posted by ブクログ

戦後間もない、米軍による占領下の沖縄。米軍から差別される日本人、沖縄人から差別される奄美人と、当時の混沌とした沖縄の背景が色濃く盛り込まれた警察小説。徳之島出身の警察官・東貞吉は能力を買われ公安となるが、沖縄人民党に傾倒する青年との出会いで大きく運命を変えていく。人民党代表の瀬長の思想と警察官の立場の間で揺れる貞吉の選択とは…貞吉や彼を取り巻く様々な立場の人達の、沖縄の未来への熱い想いに目が離せなかった。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

戦後の琉球警察、瀬長亀次郎の物語。
米軍の沖縄に対する非道な行いが描かれてある。
アメリカは妄想と自己愛で他の国を不幸にしている。それは第二次世界大戦に勝利してから今まで続いている。
この本は、自民党議院すべてに読んで欲しい。
読めば、辺野古基地なんて作らないだろう。

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2021年10月08日

Posted by ブクログ

戦後の本土復帰(という言葉も差別的だと思うが)までのおよそ四半世紀にわたるUSCAR統治下前半の沖縄が舞台設定。瀬長亀次郎の人民党の不屈の政治闘争を伏線に、琉球警察公安刑事の活躍と精神世界の彷徨を、幼少期からの友情や傀儡組織である琉球警察刑事たちの葛藤等を絡めながら見事なプロットで描く。沖縄の悲惨な戦後史(勿論まだ終わっていない)をもっと沖縄以外の日本人は知るべきで、約3か月の悲惨な沖縄戦以降の米国領としての四半世紀のもっと悲惨な歴史を知る、とっかかりとしてはこのようなエンタメ要素もある優れた小説が最適では。。一つだけ難点はもっと適当なタイトルがあったんじゃないかということぐらい。

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2021年09月04日

Posted by ブクログ

切り離され支配された戦後の沖縄で、沖縄を取り戻すために戦った琉球警察の物語。
目の前の現実と自分の役割に葛藤しながら、それでも全ては沖縄のために。
沖縄人による島んちゅへの差別とか、USCARのありえない介入統治とか、そんな理不尽な社会の中でも生きていった人たちが実際にいたんだろな。それは現代人なんかよりもっと強く逞しいパワーで。
沖縄のこんな小説好きだわ。

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2021年08月07日

Posted by ブクログ

沖縄に来るすべての人と、国会議員にP175を読んでほしい。

しかし、経済的理由という名の元に沖縄を内地に売り渡す輩が存在するのも事実。

長期的に見れば不経済ということがわからないのか?

払ってもいい金額:1,900円
貼った付箋の数:5

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2023年06月04日

Posted by ブクログ

涙無しでは読めない一冊。「あぁ……」ってなって、ショックで何度が読む手が止まる。
今まで沖縄には何度も行ったけど、敗戦から返還までの間の状況が垣間見ることができる。本当はもっと色々なことがあって、悲惨なこともあっただろうと想像させられる。今度沖縄に行ったらそういうことも考えながら、これからの沖縄のことも考えながら、過ごしてきたいと思う。

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2022年07月03日

Posted by ブクログ

方言を取り込んでみても、沖縄出身の作家に比べるとどうしても頭で書いている感じがしてしまうが、瀬長亀次郎の本土復帰運動や、その背景にある米国軍政下の沖縄の人々の虐げられた状況など丁寧に書き込まれている。

いろいろと綺麗ごとを並べたところで、本土返還まで差別意識丸出しに圧政を続けたことは間違いなく、その流れは現在にも繋がっている。

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2021年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊東潤氏の作品は史実を徹底的に調査されている。実在する瀬長亀次郎氏も登場し、占領下から返還に向けた沖縄における人々の心情や、想いだけではどうにもならない事実との葛藤などを交え、沖縄人としての誇りを伝えてくださっている作品でした。

コロナ禍で行くことが憚られるが、日本わ代表するリゾート地の一つ沖縄。

第二次世界大戦で米軍の占領下にあったとは知っているが、生まれた時には既に返還されており、教科書レベルの情報しか持ち合わせていない不勉強を恥じた。

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2021年08月14日

Posted by ブクログ

 米軍占領下の沖縄を舞台に、公安刑事となった主人公が、公安としての使命と沖縄の状況を憂う心情の間で葛藤する。

 先日読んだ「宝島」とは別の視点で当時の沖縄を捉えており、興味深く読んだ。

 理不尽に土地などを奪われ、我慢を強いられてばかりの状況を打破すべく戦う人たちの想いに、心を強く揺さぶられた。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ


昭和30年代、日本本土が復興を遂げる中、沖縄は米軍に蹂躙され続ける。沖縄の自立を目指す瀬長亀次郎と人民党。人民党を共産主義者と見るアメリカ軍。そんな中、沖縄人でありながらアメリカ軍の指令で人民党の内部を探る琉球警察公安の主人公は、次第に亀次郎に惹かれていく。

ハードボイルド小説としてとても面白かったです。
ただ、全てを沖縄に押しつけているようで、本土の人間としては罪悪感を感じる小説でもありました。

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2025年03月11日

Posted by ブクログ

息を持つかせぬ展開。
戦後から返還まで、このような戦いが沖縄にあったことを知るというだけでも自分には貴重な内容であったが、さらに登場人物の設定から時代に巻き込まれる変遷。最後が少し単純だったかな。後を引くような終わり方をして欲しいところ。

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2022年01月19日

Posted by ブクログ

戦後沖縄の歴史物。初作家さん。
400頁越えでなかなかの読み応えだが、途中から面白くてスラスラ読めた。
琉球警察で活躍する、貞吉、沖縄返還に挑む瀬長、取り巻く情勢…

長い割に、最後もう少し続きを読みたい感じだったのは少し残念…

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2021年12月18日

Posted by ブクログ

11月-21。3.5点。
戦後の沖縄。刑事となった奄美出身の主人公、公安の研修を受け、ある政党に協力者を作ろうと画策する。。

面白かった。一気読みした。戦後の米軍支配と従うしかない沖縄の苦悩が、読みやすい文章で描かれる。
冒頭のプロローグに対する、ラストの締め方も上手かった。

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2021年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

占領統治下の沖縄を舞台にしたサスペンス。

週刊ポストで柳広司の「南風(まぜ)に乗る」という歴史小説が始まっていて、それと同じ時代ということで読みました。
著者なので歴史小説なのかと思ったら、徳之島出身の警察官が主人公のサスペンスでした。
主人公が公安になってからの展開が面白かったです。
当時の沖縄が米軍によって虐げられ翻弄されるところとか、沖縄人の気持ちとかは勉強になりました。
せっかくなので、エピローグで沖縄返還、琉球警察解散まで説明してほしかった。

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2021年12月01日

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