伊東潤のレビュー一覧
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ネタバレ利休と丿貫の関係性が好きです。自分も友達とはこんな関係でずっといたいと思う。
『史記』に曰く、吾今日老子に見ゆ、其れ猶ほ龍の如きか。老子は孔子をして龍と言わしめた。何かの本で、それでも孔子は老子に倣うのではなく、己の信じる道を行ったという風に描写されていた。
此の老子と孔子の関係は、本作の丿貫と利休に一脈通じるものがある。利休は茶人として丿貫の生き方を尊敬し、憧れてもいた。然し丿貫とは敢えて違う道を選んだ。己の目指す道が修羅と知りながらである。
孔子も利休も己一個の幸福や人生といったものは一顧だにしなかった。其れを追究しさえすれば、老子や丿貫のように生きて、彼らと肩を双べる事は出来ただろう。だが利休も孔子も寧ろ社会の救世の為に自分の人生すら捧げた。己の幸福より世の静謐を望み、其の為に全てを犠牲にした。凡そ茶の湯に纏わる作品とは思えぬほど熾烈な闘争であった。 -
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高師直を主人公とした小説。
2013年の本なので、太平記の内容や、1965年の佐藤進一説を多く採用している。尊氏が躁鬱、って小説の中で文字として見るの初めて!
愛や情を知らず「野望」のため生きる師直の生き様。半分までは、周囲を馬鹿にして、ともかく自分(足利家)のために策謀を巡らし、戦で功を立ててるけど、篠(太平記の塩谷の妻)に惚れてから、どんどん人らしさを持ってしまう師直。篠が出てから王道感な流れになって面白くなってきた。
しかし師直も直義も絶対尊氏は守らないと!ってなるの良いね。
歴史物語は史実が必ず基になるので、オリキャラが脇キャラが展開を動かすのが常道だけど、今回の野望の憑依者は、オリキャラの動かし方が本当によかった。
鎌倉時代から打出浜までの、行為が悪役な師直の最盛期と没落。面白かった。
直義は最初から最後まで嫌なやつとして描かれて、師直目線だったらこう感じるだろうな……と足利兄弟推しになる物語との比較として面白かった。
あと、久しぶりに見た、尊氏が正成を好きじゃない本です。その代わりに師直&正成がかなりおいしい。敵としての関係、立場が真逆な二人としての関係性がよかった。おいしい関係性の師直と正成を見たい方は是非ともおすすめします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ江戸時代の絶体絶命な逃亡劇集。
「島脱け」
「夢でありんす」
「放召人討ち」
の3編収録。
「島抜け」はラストの爽快感も含めてよくできた時代劇のようです。
時代背景も田沼時代から寛政の改革で、佐渡奉行交代の史実をうまく取り入れていると思いました。
「夢でありんす」は捕物調で面白かったのですが、オチが残念。
時代背景は大河ドラマのちょっと後で、力蔵吉原捕物シリーズのようなものならよかったかも。
「放召人射ち」は追手と逃手の視点で最も逃亡劇として面白かった。
実在の久保田藩主の佐竹義格がとんでもない感じだが、元ネタがあるのだろうか?