伊東潤のレビュー一覧

  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    「御館の乱」の敗者、上杉景虎の物語。話自体は北条家関連の作品が多い著者らしく完成されているが、ライバルの上杉景勝と樋口与六こと直江兼続の悪役っぷりが尋常ではなく、辟易してしまう。物語に悪役がいるのは必然だがここまでやると引いてしまう。

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    2017年10月02日
  • 走狗

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    この時代において下層武士又はその下の身分にあったものが時流に乗って出世欲に取り憑かれる心情は現代の人間には計り知れないものがあるんだろう。
    長い封建制度が崩れ新しい日本が一国家として作られるには裏や醜い闘争があって当たり前だろう。以前から大久保利通は好きになれないが、矢張り彼も暗殺される。
    伊藤博文も然り。
    人に恨まれす事を成す事など出来はしない。
    主人公川路利良も時流が引き上げた人間の一人。

    明治時代、国家として産声をあげた日本に命を懸けた男達の物語。良くも悪くも…

    伊東潤さんファンとしてはこれからも色々な視点から歴史小説を書いて欲しい。

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    2017年07月23日
  • 走狗

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    初代警視庁長官川路利良の生涯。
    立身出世を目指していた若者が、権力の力に気づき取りつかれて、身を滅ぼすまでの物語。見事なまでに、上昇と下降の曲線描きます。
    川路利良の自己評価と他人の評価のギャップが、結果論だけど分不相応なものを追い求めてしまって、使い捨てのような最後になってしまったのではないでしょうか。
    とはいえ、他人から使い走りと嘲笑われても、自分の職務を忠実にやり続けるというのは、なかなか。仕事の義務や意義以外でやりがいを見出さないと難しいのでは。それを補うのはシンプルに、個人への忠誠心だったりするのかな、と思います。
    やはり、西郷を裏切るべきではなかったのか。裏切った先にあったのが、国

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    2017年05月09日
  • 江戸を造った男

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    江戸初期の商人の河村瑞賢の物語。

    直前に門井慶喜の「家康、江戸を建てる」を読んだところでしたので、時代や登場人物やエピソードが重なるかと思いましたが、タイトルは似ているものの、時代は4代将軍家綱から5代将軍綱吉の時代で、河村瑞賢の一代記でした。前半は小説らしく、七兵衛(瑞賢)の過去と明暦大火後の現在を交互にラップさせる構成でよかったです。
    後半は幕府からの難題を、これまでの経験を生かして解決していく問題解決プロジェクトリーダー向けビジネス書であり、謙虚に崇高に生きる生き方指南書でした。
    そういう点で、七兵衛の功績は時系列的にもよく理解できて、歴史好きの自分としては、名前とメイン功績くらいしか

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    2017年04月29日
  • 峠越え

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     渋かったというかなんというか、信長や秀吉と比べて、家康の物語を華々しく描くことのなんと困難なことか。道理で主役になりにくいわけです(笑) しかしその「凡庸さ(言ってしまえば地味さ)」と信長の華々しさとの対比が面白く、かつ、終盤にはしっかり話を盛り上げてくるあたり、筆者の手腕にはさすがの一言です。しかし地味故に中盤は読むのがなかなか大変だった;
     イマイチまとまらない徳川家の面々のやりとりが楽しいような、妙な親近感で心境複雑なような(笑)

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    2017年03月11日
  • 巨鯨の海

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    現在の和歌山県、太地の江戸時代から明治にかけての、古式捕鯨にまつわる6つの短編集。相変わらず、意地でもすんなりハッピーエンドにしない伊東節に、なにもそこまでと思いながら、人生なんでもいってこいなのね、とか思ってみたり。古式捕鯨の現場の臨場感が伝わってきて、読み終わると古代捕鯨に詳しい人になれる。だからどうだって言われても困るが、そのシステマチックさと、畏敬、感謝などのプリミティブな感情のマッチングは、純粋に興味深い。

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    2017年03月08日
  • 江戸を造った男

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    ネタバレ

     新聞の紹介で知った本。
    江戸を造ったという事で、家康の時代に江戸の基礎を築いたのかな?と思って読み始めたら、全然違っていた。
     川村屋七兵衛の小さい頃から、順に書かれていたらもっとわかりやすかったと思うんですが、時々急に年代が飛ぶので、その辺が分かりずらかったのが残念でした。
     しかし、12歳で家を出されて何の元手も無く、川から流れてきたナス等を漬物にして売るというアイデアにはびっくり。
     そして、それが他の人にマネされてダメになると、又違った商売を思いつく発想の素晴らしさに感嘆しました。
    その発想力と人を使う巧みさで、商いを大きくし、立派な材木屋に。
     しかし、普通の商売人で終わらず、大人

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    2016年11月23日
  • 黎明に起つ

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    後の北条早雲、伊勢宗瑞の物語り。富樫倫太郎氏の北条早雲シリーズとはまた毛色が違って、ドラマ性というより、史実に沿って丁寧に戦国時代の先駆けとなった宗瑞の一生を描いている。ただやはり戦国時代初期の武将の名前が次々と出てきたり(しかも一文字違いとかで似てる)、敵味方が裏切ったり裏切られたりで、状況把握の段階で人の名前を憶える気力を失うのは、いたしかたないところか。でも最後までさくっと読めちゃうから不思議。

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    2016年09月15日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    北条氏康の息子として生を受け、上杉謙信の養子となった北条三郎こと上杉景虎。
    戦国の荒波に挑む彼の生き様を描く。

    謙信の死後、上杉を二分した「御館の乱」
    その勃発に至る経緯と終わりを語られることのない景虎側の視点から描いていく。

    普段は義の人として描かれる上杉景勝・直江兼続が悪人として描かれているのも面白い。

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    2016年07月23日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    須田満親、知らなかったなぁ。wikipedia見ると、謙信、景勝と仕え、重用されたらしい。この物語はその前半生、第5次川中島の戦いまでとなる。まだまだ知らないいい武将がいるな、と思えただけで、良しとしたい。

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    2016年07月01日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    真田丸の少し前の時代、武田晴信が甲府から撃って出て、信濃を足掛かりに越後を狙おうとするその時期に、信濃の地を守り抜こうとする信濃の国衆がいた。

    自ら喰うに足りる分の領地を治めるだけでは飽き足らず、自らに歯向かうものには、容赦なくその矛先を向ける。
    必要とあらば、調略の限りを尽くし、親兄弟までもを裏切らせ、国を制圧していく武田勢。

    そのいわば合理的という戦い方に対し、義を重んじ武士たろうとする若武者須田満親。
    その須田満親を中心に描きつつ、五度にわたる川中島の決戦を描くのは伊藤潤。
    これが、面白くないわけはなかろうという布陣で、結果その通り面白く最後まで読み切った。
    須田満親、長尾景虎、そし

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    2016年05月31日
  • 武田家滅亡

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    物語を膨らませる上で作者はいい仕事はしていると思うが、武田氏滅亡の過程について史実を変える訳には行かず、返って膨らませた部分の作り物感が強調されてしまうのがこのテーマの難しいところではないだろうか。

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    2016年05月30日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    川中島の戦いを,須田満親を主人公として描いている.自ずと上杉謙信側の目で捉えることになるが,武士によって死んでいく弱き者たちが哀しい.城の位置など地図が添付してあり,わかりやすかった.

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    2016年05月29日
  • 城を攻める 城を守る

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    日本の城の解説本だが、美しい写真集や名所案内ではなく、攻城・籠城戦を紹介する異色作。対象となる城そのものの攻略法・守り方というよりは、近隣の城主の調略や陸海路の確保など、大局的な要素が勝敗を握る重要な鍵となった事例が多いのが興味深かった。

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    2016年05月20日
  • 城を噛ませた男

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    真田丸やってるけど、まさにその辺のお話し。
    非情の戦国の世で、さまざまな策をめぐらせる人たちの生き方を描いている。
    真田昌幸の読み筋の恐ろしいこと。

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    2016年05月11日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    私は北信濃全体の地理がわからないので、p.3,4の地図を確認しつつ読んだので、疲れてしまい、肝心のストーリーが楽しめなかった。どうしてこうもわかりにくい本を作るのか理解できない。

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    2016年05月04日
  • 城を噛ませた男

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    小田原北条氏と豊臣秀吉、徳川家康らの新興勢力の進出の最中、どの武士団も生き残るために戦々恐々としていた。特に、戦場に所領を持つ家にあっては、大きな決断が迫られていた。戦国の世は、その繰り返しであった。この小説でも、秀吉は武士団が勝手に侵略することを御法度とすることにより、敢えて秀吉自身の進出を企てる戦略がとられていた。その時代に、自らの城を乗っ取られたように見せかけ、相手を潰しにかかった戦国末期の事実を基にした小説である。小説の題名も上手い。これぞ本屋大賞。

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    2016年01月19日
  • 巨鯨の海

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    鯨の捕獲で有名な伊勢太地町を舞台にかつて男たちが生死を賭けて鯨と闘ってきた物語。伊東潤の小説は、丁寧な取材や資料づくりにより、江戸期の太地の鯨捕りの細かな描写を投影しながら、庶民の生活に視点を当てながら、人情話を織り込んでいく。此処でも読み手の期待を裏切らなかった。。

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    2016年09月29日
  • 巨鯨の海

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    太地の鯨漁をテーマにした短編集。網と銛での古式漁は命がけ。捕鯨シーンは壮絶で臨場感溢れる。そんな厳しい生業を暮らしの基にしている共同体のヒエラルキーや掟の厳しさ、絆の強さ、閉塞感が伝わってくる。心に残る1冊。

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    2015年10月06日
  • 巨鯨の海

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    鯨漁で繁栄した村とそこに生きる人々という設定だが… 
    まあ… 鯨の血の臭いがしてきそうで残酷だという感じは拭えない。なら、鮪ならいいのかと言われると困るが…
    豊かであるがゆえに、厳しい掟と閉鎖された社会の息苦しさが辛い。

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    2015年09月26日