伊東潤のレビュー一覧

  • 黒南風の海 「文禄・慶長の役」異聞

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    半分を過ぎるまでは…残虐な戦の描写に息が詰まりそうだった。

    秀吉の朝鮮出兵の陰で翻弄された幾人もの男や女たち。しかしそれぞれが、自らの置かれた境遇の中で目覚め、成長し、大きくなっていく。朝鮮も日本も関係ない。もう人が死ぬのは嫌だ…そんな思いに従うことは、戦乱の世にはそれだけで自殺行為であることは、近くに太平洋戦争史をひもとくだけで知れること。

    しかし、嘉兵衛、金宦はその思いに生きた。その男たちの強さに自らの守ってきた価値観すら捨て、戦の終結に動いた加藤清正。清正に、本当にあるべき指導者の資質を見た。

    これがどこまで史実に迫っているかはわからないが、それでも読んでよかった。そう思う。

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    2013年11月27日
  • 武田家滅亡

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    ネタバレ

    長篠の戦の後から武田家滅亡までの話
    北条から武田勝頼に嫁いだ桂を軸に武田家の終焉を描いた。
    長篠の戦いに負けたことが原因でなく、マネジメントの失敗が武田家滅亡の原因であった。

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    2013年04月21日
  • 武田家滅亡

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    長篠の戦の後から武田家滅亡までの話。偉大な先代を父に持つ勝頼の、出生から持ち続けた苦悩と、陣代として武田家をまとめきれない心痛が描かれている。

    おかげで戦バカ的な印象しかなかった勝頼像だったのが変わってきた。

    また、勝頼の周りにいる正室や重臣たちだけでなく、下級武士たちの武田家に対する想い・感情も描かれており、本作が武田勝頼一人を主人公としたものではなく、タイトルどおり武田家滅亡にからむ多くの人物の視点からとらえた大作といえる。

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    2012年07月17日
  • 武田家滅亡

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    すごい面白かった!武田詳しくないんですが、真田太平記を思い出したり、天地人を思い出したり(笑)しながら前後関係の把握してました。




    しかし桂の勝頼への気持ちは男女の恋愛じゃダメだったのかしら?
    そもそもその辺の桂の心の遷移が共感できなくてそこだけはイマイチかな〜…

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    2011年09月07日
  • 浪華燃ゆ

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    「こうしたい。だがそれは今ではない」と思って無為に時を過ごしてしまう。そのうち若い頃の英気が失せてしまうのだ。
    それでは駄目だ。こうと思った時が立つべき時なのだ。
    この1文が心に響いた
    やらない後悔で悔やむのはもう止め
    挑戦の1年に決意した

    理想の社会を描いて与力を辞めてまで
    私塾を開いたにも関わらず
    1番弱い庶民だけが泣きをみるという
    最も皮肉な結果に乱が終わってしまったという
    何とも皮肉な人生を描いた本

    内容的には1番の盛り上がりの
    大塩平八郎の乱の内容が1番盛り上がらず

    前半がとても素晴らしい作品だったのに
    非常に残念
    乱の首謀者ことごとく⭕️亡しているので
    内容自体が残っていない

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    2026年03月16日
  • 叛鬼<文庫版>

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    面白かったんだが、似てる名前が多すぎて、やはり登場人物の区別がつかなかった。主役の長尾景春と太田道灌、上杉定正、上杉顕定が区別できるのが物語の中盤じゃ…

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    2026年03月02日
  • 覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子【電子特典付】

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    今までにない視点で面白く読み進めた。
    倉橋宮での崇峻天皇の描かれ方が斬新。
    厩戸皇子の死が日本書紀では唐突だと感じていたので、これもありかなと思うが、厩戸と馬子の関係性はしっくりこない。また、推古天皇の感情の描かれ方も雑だと感じた。
    誰にも本当のことがわからない歴史の解釈としては面白いが、一方、感情を持った人間関係の機微よりも、解説的でやや強引に物語を進めることを優先している感がある。

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    2026年03月01日
  • 鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス

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    ネタバレ

    戦艦大和の建造に係る若手技師の物語。

    単純な建造物語にしても面白かったと思いますが、読みやすさを考えると余計なエピソードがあるものの架空の若手技師でよかったです。
    ただ、本編の出だしで友鶴転覆事件や第四艦隊事件が出てくるのでもう少し技術的な話が中心になるかと思いましたが、特に後半はラブ&サスペンス中心でちょっと残念でした。
    実在の池田武邦がプロローグとエピローグを務めるのですが、TVドラマならこれでもいいと思うものの、小説なので他の実在の技師たち、牧野茂や西島亮二の戦後の話も欲しかったところです。

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    2026年02月21日
  • 鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス

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    プロジェクトX的なイメージかと
    思っていましたが少し異なりました
    技術士官目線からの物語は稀なので
    その部分は楽しめました

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    2026年02月01日
  • 一睡の夢 家康と淀殿

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    豊臣家は関ヶ原の戦い以後徳川家康によって公儀の場から徐々に遠ざけられる。淀君は秀頼を神格化するため公の場に姿を見せるのを極端に嫌がる。家康は豊臣家を残す事も考えるが秀忠は潰す事を考える。徳川幕府は天下の政を整え始めたが幕府内で本多父子と大久保忠隣との派閥争いがおこる。まだ豊臣家も健在な時いつ天下がひっくり返るとも限らない。家康はまだ世の中が安定してないので武辺者の忠隣ではなく謀略に長けた本多父子を残すことにして忠隣は改易とした。豊臣家を残す事を考える家康。滅ぼす事を考える将軍家。武家の誇りを遂げようとする茶々。大坂城と言う巨大な城を中心に三者の思惑が交錯する。

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    2026年02月14日
  • 叛鬼<文庫版>

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    これは関東での所領や権益を庇護してもらうべく山内・扇谷両上杉家の勢力圏での下剋上を潜り抜けた主人公の長尾景春と北条早雲の歴史小説だ。顕定への私恨から同盟同士だった太田道灌と敵味方に別れた。だが道灌もまた味方の騙し討ちから誅殺され、更なる私怨が芽生えた。息子もまた敵味方となり戦うが息子の親思いに生き様を敵として生き抜いた。「父上は己の信念を貫いたまで、何ら恥じることはありませぬ」と息子もまた顕定への怨念を剥き出して、のちに父子共に北条早雲と共に戦う。戦国下剋上では今日の味方が明日には敵に、更には私怨が叛旗する理由となる。現代でも騙し騙される相手への怨念は消え失せることがない、特に大国同士の立場か

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    2026年01月10日
  • 天下大乱

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    天下人豊臣秀吉が死に権力の空洞化を起こす中徳川家康は前田利家の死、石田三成の失脚、五大老毛利輝元との権力争いと着実に基盤を固めていく。豊臣家は朝鮮征伐に失敗し出兵した大名達に論功行賞をできないでいた。豊臣は徳川を潰す事で徳川は大老の4人に難癖をつける事で領地を接収し朝鮮出兵組に論功行賞を行おうとする。毛利輝元は西軍の総大将として大坂に入るが吉川広家に命じて徳川とも気脈を通じてどちらに転んでも毛利家の安泰を模索する。西軍は決着は長期化すると踏んで長期戦に備えていたが家康の采配で関ヶ原は1日で決着をみる。秀頼は俊才を垣間見せるが彼の登場前に事が決してしまう。

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    2026年01月26日
  • 叛鬼<文庫版>

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    ネタバレ

    主君・上杉顕定の横暴により敵対する古河公方・足利成氏の元へはしった長尾景春。下剋上を成し遂げるために突き進む景春の前に立ちはだかるのは、かつて兄と慕った太田道灌。

    「享徳の乱」は上杉、長尾、太田がたくさんいて混乱する…。ただこの小説はキャラクターが分かりやすくなっていて混乱しないで読めた。長尾景春、太田道灌、伊勢宗瑞とみんな魅力的。あっちで勝てば、こっちで負けて、圧倒的な力を持つ勢力がないから泥沼…。主従の関係に逆らう長尾景春とあくまで臣下の域を出ようとしない太田道灌の関係性も面白くて良い

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    2025年11月24日
  • 城をひとつ―戦国北条奇略伝―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    北条氏綱の前に現れた男。江戸城を奇略によって乗っ取ると宣言する。「城をひとつ」

    当代無双の小弓公方・足利義明が館に招き入れた僧・宗円。宗円は徐々に義明に信頼されていく。「当代無双」

    北条氏綱の娘を室に持つ古河公方・足利晴氏。両上杉家から河越城への出陣を求められるが…。「落葉一掃」

    国府台合戦に向けて万全の準備をした大葉一族。しかし、裏切りにより味方は崩れ…。「一期の名入れ」

    とても良い。「黄金の城」は小田原攻めだし、負けちゃうのは、どうするのかと思ったけど、良い終わりだった。

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    2025年11月24日
  • 城を噛ませた男

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    ネタバレ

    北条と上杉の間で揺れる佐野家。筆頭家老・天徳寺宝衍 は佐野家生き残りのために奔走する。北条を裏切り上杉に味方しようとするが…。「見えすぎた物見」。

    豊臣秀吉の小田原征伐。強大な豊臣水軍を前に城に籠もる鯨取りの親方・高橋丹波守の仕掛けた反撃。「鯨の来る城」。

    国を取るために北条方の武将・猪俣邦憲に自らの城である名胡桃城をとらせる真田昌幸。「城を噛ませた男」。

    武田家家臣・今福親子の家康暗殺計画。娘が出家した寺を訪れる家康を襲う計画をたてるが…。「椿の咲く寺」。

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    2025年11月24日
  • 茶聖【電子特典付】

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    ネタバレ

    野球選手の菊池雄星氏がおすすめしていた本。千利休が「茶の力」で武士の荒ぶる心を鎮めて、平安をもたらすべく戦う様子が新しかった。舞台は本能寺の変の直後からはじまる。その時点で千利休の人格と豊臣秀吉との関係が出来上がっているため、感情を読む時、一瞬取り残されてしまうところがあった。茶で政を制する千利休の信念の核、それが形成されるまでの過程など、そこに至るまでの描写がもう少しあれば違和感がなかったかもしれない。それでも物語としては楽しんで読めた。時代小説はさまざまな解釈があるから夢があっておもしろい。

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    2025年11月07日
  • 鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス

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    戦艦大和の設計に関わった技師、造船士官達から見た製造の是非、戦争の是非を問うもの。実在の人物を登場させながらフィクションにしてある。
    自由で進化された風潮の海軍とは言え会議でのピリピリ感がとても良い。5人の同期生の青春像も良いが、何で後半の無差別主義者らとのサスペンスモノにしたのかが勿体ない。主点がボケた様で残念。

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    2025年10月29日
  • 鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス

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    戦艦大和の設計者のお話。
    とても面白く、分厚い本だったが一気読みした。

    が、ちょっと物足りない。技術者の苦労、ジレンマを描くのかとおもいきや、後半はテロとの対決、とサスペンス小説になり・・・
    大和進水まで、ちょっとあっけない感じがする。

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    2025年10月23日
  • 琉球警察【電子特典付】

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     米軍占領下の沖縄を舞台に、公安刑事となった主人公が、公安としての使命と沖縄の状況を憂う心情の間で葛藤する。

     先日読んだ「宝島」とは別の視点で当時の沖縄を捉えており、興味深く読んだ。

     理不尽に土地などを奪われ、我慢を強いられてばかりの状況を打破すべく戦う人たちの想いに、心を強く揺さぶられた。

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    2025年10月04日
  • 歴史作家の城めぐり<増補改訂版>【電子特典付】

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    戦国の城を訪ね歩くことはただ石垣や天守を眺める行為ではない。そこに生きた人々の息遣いを追体験する旅である。築城の工夫や戦の記憶だけでなく廃城となった後に芽吹く草木や人々の暮らしの変遷にも眼差しを注ぐ。石は語らぬが時代の矛盾や夢を映す鏡となる。観光資源としての城にとどまらず歴史の連続性を感じ取る糸口となるだろう。

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    2025年09月12日