伊東潤のレビュー一覧

  • 決戦!本能寺

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    本能寺を主題に沿えた、7作家によるアンソロジー。
    実行者は明智光秀であるが、その動機あるいは黒幕については、いまだに諸説紛々。
    本作では、葉室麟著『鷹、翔ける』は、明智光秀の家臣斎藤内蔵助こそ、変を起こした随一の者としている。
    木下昌輝著『幽斎の悪采』では、細川藤孝の謀を示唆する。
    天野純希著『宗室の器』は、宗室の独白で信長への思惑が語られる。
    裁判などで分かるように、事実の裏にある真実や当事者の心理などを正確に明らかにすることは、現代の事件においてさえ困難を極める。まして、過去の歴史上の事件など。
    だからこそ、あれやこれやと、作家の想像力を刺激するのだろう。読者にとっても、歴史小説を読む楽し

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    2020年02月18日
  • 黒南風の海 「文禄・慶長の役」異聞

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    前半特にドラマが起こらず読むスピードが早まらなかったけども、喜兵衛と金カンの運命が交錯し始める後半面白くなる。こんな人物が実在したとは。清正の墓を参りたくなった。

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    2020年02月09日
  • 天地雷動

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    世は戦国時代ながらも、現代に当て嵌めるとなかなか面白い。カリスマリーダーからの事業承継に苦心する勝頼、上司からの無理難題を超克する秀吉、危機に瀕しながらも外部リーダーシップを駆使する家康、組織の命令に従いつつも地縁を重視する帯刀...。合戦のリアルより、互いの心理戦を楽しむ方が良いだろう。うん、一気読みでした。

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    2020年02月05日
  • 江戸を造った男<文庫版>

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    河村瑞賢が主人公。

    恥ずかしながら、そのような人物が存在したことさえ、
    まったく知らず、本書を読んで把握するに至った。

    タイトルから想起するものとは異なっていたけれども、
    江戸商人のひとつのモデルケースとして捉えるとなかなか興味深いものだった。

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    2020年01月05日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    北信濃の須田満親。上杉謙信のもと、義を貫いて、戦い抜いていく生涯を描く。信玄、謙信の合戦を謙信目線にて、捉えている。川中島の合戦について、かなり詳細に書かれており、読み応えがある。

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    2019年10月14日
  • 峠越え

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    幼少期を人質として過ごした家康は、織田と同盟を組むが、家臣同然の忍従を強いられる。
    信長の命で堺にいるとき、本能寺の変が起きた。
    三河へ戻るには、明智の追っ手から逃れ、敵が潜む伊賀を越えねばならぬ。
    部下たちもくせ者揃い。
    己の凡庸さを知る家康は、脱出できるのか? 
    本能寺の変の大胆仮説もふくむ大仕掛け

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    2019年11月11日
  • 真実の航跡

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    夏の課題図書《その1》

    大日本帝国海軍の巡洋艦「久慈」がイギリス商船「ダートマス号」を撃沈、救助した捕虜のうち69人を殺害、海に投棄した。
    「必要最低限の捕虜を除いて、すべての捕虜を処分せよ」という命令。「処分」の意味も明言されず、状況に応じて忖度せよというあいまいな状況下、上官の命令は絶対の軍隊において苦しい判断を迫られる「久慈」の艦長・乾。そして起こった最悪の事件。

    敗戦後開かれたBC級戦犯裁判で、乾の上司で「久慈」が所属していた第16戦隊の司令官・五十嵐を弁護することになった若き弁護士・鮫島は、死を受け入れ何も語ろうとしない五十嵐を説得し、「死刑」という結論ありきの裁判で真実を追求す

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    2019年08月01日
  • 真実の航跡

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    大日本帝国海軍の「久慈」艦長、乾。インド洋でイギリス商船「ダートマス号」を撃沈。救出した捕虜は上からの圧力もあり殺害してしまう。乾、そしてその上司である五十嵐は、その後、戦犯として起訴されてしまう。弁護士・鮫島は五十嵐の弁護をすることになり、軍の内情に迫る。
    戦争の小説は読んだことがあるけれど、戦後の戦犯の裁判については、初めて読んだかもしれない。捕虜や弱い立場とされるもの受ける悲劇、改めて戦争の悲惨さを感じる(そう行動しなければならなくなった時代、状況が怖いです)。そして、軍としての誇り、日本人としての矜持を最後まで持つ五十嵐の生き様、意見は様々でしょうが、読んでほしい本でもあります。

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    2019年06月03日
  • 決戦!関ヶ原

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    同時刻で起こったことが、様々な作家からの視点で、書かれている。もっと立体的になるかと期待して読んだ。新しい説での展開は良いが、ちょっとしっくりこない印象であった。

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    2019年04月06日
  • 修羅の都

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    ネタバレ

    伊東潤先生の初作品です
    面白かった、主人公にはイラついてたけど
    鎌倉初期の主導権争いは昨年勉強したから存じ上げているが、主たる原因のアノ方がアレだったからという設定を活かして話を組み立てています
    それなりに面白い
    奥州征伐の話は勉強になった
    確かにアノ時代であそこまでやれた事で武家政権が拡大したといえる
    わかりやすい表現でした

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    2019年03月29日
  • 巨鯨の海

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    まず、太地では江戸時代から古式捕鯨が行われていた、という概要だけは知識としてあったものの、これまで知らなかったその組織の実態や、漁の具体的な役割分担などの仕組みのイメージを、本書によって掴むことができたことに意義があった。
    今も太地町のコミュニティはある種の閉鎖性を備えているとは聞くが、当時のそれはとても現代の比ではないだろう。

    連作を追うに従いおそらくは描かれている時代が下っていき、やがては実際にあった悲劇の”大背美流れ”をモデルとした最終話に至る、という流れも巧みにまとめられていると思った。
    そして何より、鯨という巨大哺乳類の命を、一人一人は脆弱な人間が力を合わせて命懸けで奪おうとする、

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    2019年02月26日
  • 武田家滅亡

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    長篠合戦後から武田家滅亡まで物語。
    「武田勝頼」、その妻「桂姫」。
    武田家家臣、長坂釣閑。
    「小宮山内膳佑友晴」。
    辻弥兵衛。
    武田家国衆片切監物・「宮下帯刀」。
     信玄亡きあと大国を受け継いだ武田勝頼は、内憂外患を抱えていた。
    近隣諸国からの脅威に加え、財政逼迫や家臣との対立も勝頼の孤立を深めてゆく。
    こうした状況のもと、同盟国・北条家から嫁いだ桂姫は、勝頼の苦悩に触れて武田・北条両家の絆たらんとするが…。
    信玄をも上回る武人の才に恵まれながら悲劇の主人公となった勝頼の後半生

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    2018年11月22日
  • 城を噛ませた男

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    「見えすぎた物見」(下野国人・佐野家)
    「鯨のくる城」(雲見 「小田原攻め」)
    「城を噛ませた男」(猪俣能登守邦憲、真田昌幸 「名胡桃城奪取」「小田原城攻め」)
    「椿の咲く寺」
    「江雪左文字」(板部岡江雪、徳川家康。「関ヶ原の戦い」)

    「奴に城を取らせる。そして俺は国を取る。」乱世に雄飛するため、希代の謀略家・真田昌幸が仕組んだ秘策とは?(表題作)
    強大な豊臣水軍を前に、城に篭もる鯨取りの親方が仕掛けた驚愕の大反撃!(「鯨のくる城」)
    戦国の世、大勢力がふづかる狭間で、ある者は平身低頭し、ある者は乾坤一擲の勝負に出る。

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    2018年11月01日
  • 鯨分限(くじらぶげん)

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    伊東潤『鯨分限』光文社時代小説文庫。

    『巨鯨の海』に続く太地・鯨シリーズの第2弾。江戸時代末期から明治時代までの紀伊半島の漁村・太地で組織捕鯨に携わる若き棟梁・太地覚吾の生き様を描く。

    はっきり言って『巨鯨の海』の方が迫力があり、断然面白かった。

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    2018年08月21日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    北条家から上杉謙信の養子に入り、謙信から景虎の名前ももらった三郎景虎。
    御館の乱ではもう一人の養子の景勝と争うことになるけど、越後での派閥争いにも大きく影響を受けた二人の養子。特に血縁も地縁もない景虎は一方の派閥に祭り上げられる運命だったのか。
    景勝派だから仕方ないだろうけど、樋口与六(直江兼続)の人物はこれまでの小説などには無い人物像として描かれいるので、兼続ファンには読んでいて辛いかも…

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    2018年08月11日
  • 決戦!本能寺

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    ついつい読んでしまうシリーズだ。
    最初の感動程はないがやはり面白い。

    一つの戦いに関わる人物達を別々の作家が書いている為に、事柄や登場する人物の捉え方がこの1冊の本の中でも全く異なってくる。
    本当はどうだったのだろうかが分からなくなるシリーズだ(笑)。

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    2018年06月09日
  • 決戦!大坂城

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    このシリーズは間違いがないと思う。
    例えばこの「決戦! 大阪城」で言えば、秀頼、淀殿、真田信繁は知っていてもその他については全くと言っていいほど知らなかった。何万人もの人々がこの戦いに絡んでおり、その何万人ものストーリーがあるのだとも思った。
    一般的の史実を分かっているとフィクションの部分も楽しめて面白みも感じる。

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    2018年05月15日
  • 修羅の都

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    いい国つくろう鎌倉幕府でお馴染みの源頼朝とその妻北条政子の物語で、前半は義経討伐に至る経緯がメインとなっていて、どうして義経が討たれなければならなかったのかが描かれていて、あぁ、これなら討たれてもしょうがないわ、と思える内容となっている。
    後半は言っていいか悩むが、ほぼ若年性痴呆症の話になっていて、家族に同じ立場の人がいると、まぁ、よくわかる内容になっている(かくいう私もよく理解はできたw)。
    でもその分、物語としては、展開が希薄で同じパターンの繰り返しでなかなか読むのがしんどくなってしまった。
    しかしやっぱり、そもそも鎌倉時代って、ほぼ古事記とか神話の時代と変わらない感覚で、なんだかドラマ成

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    2018年05月10日
  • 黎明に起つ<文庫版>

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    戦国時代初期の北条早雲の国盗りを描いた作品。搾取する旧守勢力を憎み、伊勢新九郎(後の早雲)は民を主とする政治を目指す。

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    2018年05月04日
  • 修羅の都

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    ネタバレ

    今まで時代小説と言うと戦国時代以降しか読んでいなかったが、鎌倉時代を舞台にした小説を初めて読む。
    頼朝がこんなにも猜疑心の強い人間だったのか。おまけに老人性痴呆症に冒されている設定。史実がどうであったかわからないが、三代で終わった状況を見ると激しい権力闘争があったであろう事は推測される。

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    2018年04月25日