伊東潤のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西南戦争をモチーフとした作品で1870年代のパリを交わらせる試みは非常に興味深かった。
一方で西南戦争自体の描写は惰性で読んでしまった感が否めない。その理由には、史料が多く残りすぎているために描写や展開に遊びが見られず入りこめなかったこと、そもそもの戦争の大義名分や意義に共感ができなかったりことがあると思う。
古い武士の誇りと言えば綺麗なものだが、勝てる見込みもないのに大志ある若者の命を犠牲にし続ける西郷以下の幹部たちはリーダーと言えるだろうか。結果として、本戦争が士族の不平反乱を終わらせたという歴史的意義はあるものの、非常に苦い後味だった。 -
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読み終えた時の第一印象は、「戦の多い歴史小説だったなあ」というバカみたいな感想だったりする。応仁の乱から戦国時代へ。北条早雲を主人公とした『黎明に起つ』という歴史小説は、理想のために戦い続けた武将の物語です。
家と政治の思惑が絡み合う中、将軍、足利義正の弟である義視の元に仕えることになった、12才の新九郎(後の早雲)。しかし何の運命の悪戯か、その立場から実兄と対峙し、結果兄を自らの手で殺してしまう事態に。
政治と権力、そして様々な思惑が「魔」として跋扈する京を離れた新九郎は、家系が代々治める領土に戻るが、運命は再び新九郎を京へ呼び戻し……
伊東潤さんの歴史小説はいずれも漢くさいというか、 -
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本能寺を主題に沿えた、7作家によるアンソロジー。
実行者は明智光秀であるが、その動機あるいは黒幕については、いまだに諸説紛々。
本作では、葉室麟著『鷹、翔ける』は、明智光秀の家臣斎藤内蔵助こそ、変を起こした随一の者としている。
木下昌輝著『幽斎の悪采』では、細川藤孝の謀を示唆する。
天野純希著『宗室の器』は、宗室の独白で信長への思惑が語られる。
裁判などで分かるように、事実の裏にある真実や当事者の心理などを正確に明らかにすることは、現代の事件においてさえ困難を極める。まして、過去の歴史上の事件など。
だからこそ、あれやこれやと、作家の想像力を刺激するのだろう。読者にとっても、歴史小説を読む楽し -
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夏の課題図書《その1》
大日本帝国海軍の巡洋艦「久慈」がイギリス商船「ダートマス号」を撃沈、救助した捕虜のうち69人を殺害、海に投棄した。
「必要最低限の捕虜を除いて、すべての捕虜を処分せよ」という命令。「処分」の意味も明言されず、状況に応じて忖度せよというあいまいな状況下、上官の命令は絶対の軍隊において苦しい判断を迫られる「久慈」の艦長・乾。そして起こった最悪の事件。
敗戦後開かれたBC級戦犯裁判で、乾の上司で「久慈」が所属していた第16戦隊の司令官・五十嵐を弁護することになった若き弁護士・鮫島は、死を受け入れ何も語ろうとしない五十嵐を説得し、「死刑」という結論ありきの裁判で真実を追求す