伊東潤のレビュー一覧

  • 横浜1963<文庫版>

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    母方の実家が横浜にあったので、子供の頃にマリンタワーへ連れて行ってもらった記憶が蘇る。題名通り、作品の舞台は1963年の日本。敗戦国の名の下に米軍統治下となった横浜で起きた連続女性殺人事件に挑むのは混血の刑事・ソニー沢田と日系三世の米軍SP・ショーン坂口のバディ。ミステリーとしての目新しさは全くないが、ギミック一切なしの直球なハードボイルドが胸をすく。どちらの国にも根を張れない二人の目を通した当時の日米関係や港町の情景描写が秀逸。あとがきにて著者は将来の日米関係に想いを馳せるが、見通しは決して明るくない。

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    2020年11月27日
  • もっこすの城 熊本築城始末【電子特典付】

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    戦国末期の世の中の動きを加藤清正を通して、築城という独特な切り口から描く。

    石垣の積み方や築城方法など興味深いし、朝鮮出兵時の半島各地での攻防など、本書で始めて知った。

    数多の城を築きながら早逝する藤九郎の愁嘆場で物語を閉じるのがよかったのかはわからない。

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    2020年11月24日
  • 巨鯨の海

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    捕鯨漁で生計を立てていた地域の人々の短編小説集。

    死が近くにあり、掟に厳しい中での人びとの生き様を書いている。短編小説だけど、各ストーリーにしっかりと重みがあって、読み応えがあった。練りに練った伏線や読者を驚かせるようなカラクリがある訳では無いけど、読んでいても苦にならない、そんな小説でした。

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    2020年10月03日
  • 武士の碑

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    西南戦争をモチーフとした作品で1870年代のパリを交わらせる試みは非常に興味深かった。

    一方で西南戦争自体の描写は惰性で読んでしまった感が否めない。その理由には、史料が多く残りすぎているために描写や展開に遊びが見られず入りこめなかったこと、そもそもの戦争の大義名分や意義に共感ができなかったりことがあると思う。

    古い武士の誇りと言えば綺麗なものだが、勝てる見込みもないのに大志ある若者の命を犠牲にし続ける西郷以下の幹部たちはリーダーと言えるだろうか。結果として、本戦争が士族の不平反乱を終わらせたという歴史的意義はあるものの、非常に苦い後味だった。

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    2020年10月03日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    歴史の結末は分かっていても、義を通した者が敗れ、滅びるのはやはり後味が悪い。作者が言いたかったことは何か、戦国にも現代にも通じる世の中の理不尽さか。

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    2020年09月30日
  • 茶聖【電子特典付】

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    戦国時代、群雄割拠の中、最後のフィクサー

    ただただ世の中の静謐を求め続けた芸術家……
    信長により見出だされ、秀吉とともに没することに。
    表の顔は秀吉、心の顔は宗易、利休

    お互いの領域を越えることなく、着実に静謐に近づく先にあるのは、乱世か太平か?

    茶の湯を通し、天下を手にした利休……ここにあり。
    最後に手にしたものは何だったのか。

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    2020年09月08日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐<文庫版>

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    武田信玄の野望に翻弄された北信濃の国衆を須田満親の目を通して描いた作品。
    他の本との併読で読み終わるのに時間がかかってしまったが、クライマックスの第四次川中島の戦いはおもしろかった。

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    2020年08月30日
  • 茶聖【電子特典付】

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    茶聖、千利休が世の静謐を求めるため、秀吉と時に強調しつつも、徐々に疎んじられついに死を賜るまでを描いている。最初に茶の湯の影響力がどこまで腑に落ちるかで、話の納得感が違ってくるわけで、私の場合はなかなか素直に読めない点があった。しかし、場面場面の展開や新たな解釈は納得できる面もあり、500頁を超えていても、きっちり読み進めることができたのは、安定の伊東節ゆえでしょう。

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    2020年08月22日
  • 黎明に起つ<文庫版>

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    読み終えた時の第一印象は、「戦の多い歴史小説だったなあ」というバカみたいな感想だったりする。応仁の乱から戦国時代へ。北条早雲を主人公とした『黎明に起つ』という歴史小説は、理想のために戦い続けた武将の物語です。

    家と政治の思惑が絡み合う中、将軍、足利義正の弟である義視の元に仕えることになった、12才の新九郎(後の早雲)。しかし何の運命の悪戯か、その立場から実兄と対峙し、結果兄を自らの手で殺してしまう事態に。

    政治と権力、そして様々な思惑が「魔」として跋扈する京を離れた新九郎は、家系が代々治める領土に戻るが、運命は再び新九郎を京へ呼び戻し……

    伊東潤さんの歴史小説はいずれも漢くさいというか、

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    2020年08月18日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐<文庫版>

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    北信濃の国人、須田満親目線から描いた川中島の合戦記。
    こういう渋い人選は、歴史小説ファンには堪らない。
    それぞれの武将にドラマがある。

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    2020年08月05日
  • 黎明に起つ

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    戦国時代の到来とともに現れた武将北条早雲の一代記。
    後の関東の覇者北条氏の礎を築いた、成り上がりの武将ながら、他の武将と比べ暗いイメージがないが、その理由が彼の生き様から感じられる。

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    2020年07月27日
  • 黎明に起つ

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    いわゆる北条早雲、伊勢宗瑞、早雲庵宗瑞。
    源平の昔より連綿と続いた武士の世が終わりを告げ、新しき時代が始まるとき。
    足軽雑兵が入り乱れる戦国時代の先駆けとして、時代を駆け抜けていく早雲。
    三浦道寸との因縁、争いに、最後の武将達の生き様が見られ、感動的でした。

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    2020年05月17日
  • 走狗

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    ネタバレ

    「もう昔の山出しじゃありませんから」
    自分の考えを持たず引き立てられた人
    にとことん尽くす走狗
    彼の悲劇は、自分が走狗を使う側に移っ
    たと錯誤したため、何時までも走狗扱い
    をする大久保に対して判断誤りが出た事

    川路利良は城下士という下層武士らしい
    彼は上士層から蔑まれる立場のようだ
    薩摩では更に下層の身分があり、外城士
    (郷士)は、半農半士として謂れのない
    差別を受け事だろう

    小説は学者の描く世界と異なり、動機を
    持つ人間が知っている行動(笑)をとる
    ま、この先知ってる~、という自己満足

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    2020年04月19日
  • 決戦!本能寺

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    本能寺を主題に沿えた、7作家によるアンソロジー。
    実行者は明智光秀であるが、その動機あるいは黒幕については、いまだに諸説紛々。
    本作では、葉室麟著『鷹、翔ける』は、明智光秀の家臣斎藤内蔵助こそ、変を起こした随一の者としている。
    木下昌輝著『幽斎の悪采』では、細川藤孝の謀を示唆する。
    天野純希著『宗室の器』は、宗室の独白で信長への思惑が語られる。
    裁判などで分かるように、事実の裏にある真実や当事者の心理などを正確に明らかにすることは、現代の事件においてさえ困難を極める。まして、過去の歴史上の事件など。
    だからこそ、あれやこれやと、作家の想像力を刺激するのだろう。読者にとっても、歴史小説を読む楽し

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    2020年02月18日
  • 黒南風の海 「文禄・慶長の役」異聞

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    前半特にドラマが起こらず読むスピードが早まらなかったけども、喜兵衛と金カンの運命が交錯し始める後半面白くなる。こんな人物が実在したとは。清正の墓を参りたくなった。

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    2020年02月09日
  • 天地雷動

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    世は戦国時代ながらも、現代に当て嵌めるとなかなか面白い。カリスマリーダーからの事業承継に苦心する勝頼、上司からの無理難題を超克する秀吉、危機に瀕しながらも外部リーダーシップを駆使する家康、組織の命令に従いつつも地縁を重視する帯刀...。合戦のリアルより、互いの心理戦を楽しむ方が良いだろう。うん、一気読みでした。

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    2020年02月05日
  • 江戸を造った男<文庫版>

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    河村瑞賢が主人公。

    恥ずかしながら、そのような人物が存在したことさえ、
    まったく知らず、本書を読んで把握するに至った。

    タイトルから想起するものとは異なっていたけれども、
    江戸商人のひとつのモデルケースとして捉えるとなかなか興味深いものだった。

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    2020年01月05日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    北信濃の須田満親。上杉謙信のもと、義を貫いて、戦い抜いていく生涯を描く。信玄、謙信の合戦を謙信目線にて、捉えている。川中島の合戦について、かなり詳細に書かれており、読み応えがある。

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    2019年10月14日
  • 峠越え

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    幼少期を人質として過ごした家康は、織田と同盟を組むが、家臣同然の忍従を強いられる。
    信長の命で堺にいるとき、本能寺の変が起きた。
    三河へ戻るには、明智の追っ手から逃れ、敵が潜む伊賀を越えねばならぬ。
    部下たちもくせ者揃い。
    己の凡庸さを知る家康は、脱出できるのか? 
    本能寺の変の大胆仮説もふくむ大仕掛け

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    2019年11月11日
  • 真実の航跡

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    夏の課題図書《その1》

    大日本帝国海軍の巡洋艦「久慈」がイギリス商船「ダートマス号」を撃沈、救助した捕虜のうち69人を殺害、海に投棄した。
    「必要最低限の捕虜を除いて、すべての捕虜を処分せよ」という命令。「処分」の意味も明言されず、状況に応じて忖度せよというあいまいな状況下、上官の命令は絶対の軍隊において苦しい判断を迫られる「久慈」の艦長・乾。そして起こった最悪の事件。

    敗戦後開かれたBC級戦犯裁判で、乾の上司で「久慈」が所属していた第16戦隊の司令官・五十嵐を弁護することになった若き弁護士・鮫島は、死を受け入れ何も語ろうとしない五十嵐を説得し、「死刑」という結論ありきの裁判で真実を追求す

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    2019年08月01日