伊東潤のレビュー一覧
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伊東潤『琉球警察』ハルキ文庫。
戦後、米軍に支配される沖縄の微妙な社会情勢の中を警察官として必死に泳ぎ続ける東貞吉の姿を描いた歴史冒険小説。
前半の余りある熱量のある展開に比べて、終盤は安っぽいドラマに成り下がった感がある。結局、米軍の横暴から沖縄を護ることも出来ず、何も変わらぬままに終わるという現実が際立つだけだった。洗脳を超えて、いきなりの催眠術とか余りにも陳腐ではないか。非常に勿体ない。
奄美諸島徳之島出身の東貞吉は、琉球警察名護警察署配属時に米軍現金輸送車襲撃事件で手柄を立て公安担当になる。
米軍に支配される微妙な社会情勢の中で、貞吉は沖縄刑務所暴動で脱獄した人民党の瀬長亀次 -
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川中島決戦を舞台に、信玄と謙信二人の大名の間で生き抜こうとする二人の若武者の物語。
どうしても大国に注目が集まるのは、エンタメとしても学問としても仕方がないところではありますが、その裏というか下というか、知られることのない部分に多くの人々が暮らしていたことを忘れてはいけない知っておきたい。
だって、自分もそういう存在の一人だから。
大名の生き様、処世術を学ぶのもいいけど、何者でもない人々の人生こそがきっと学ぶことが多いと思います。
まあ、物語の主人公になっている時点で、名もなき存在ではない、と無粋なこと思うこともある。
いつでもどこでも誰からでも、学ぶことがあるということですよ。影響を受け -
Posted by ブクログ
島原の乱を描く歴史小説。
元小西家臣の三人の視点から描くのも、それぞれの立場がいい立ち位置になっているのもよかったです。
関ヶ原の戦いから島原の乱までは三人の主人公の変遷とキリシタンへの弾圧の強化が並行して描かれていて、序奏としてはよい感じでした。
乱自体の史実についてはちゃんと抑えられているので勉強になりますが、天草四郎の成り立ちに主人公の一人が絡んで詐欺まがいなことをさせるのにはちょっと違和感がありすぎました。
あと、三人の主人公のうちの一人は実在の人物(といっても素性はよくわからないらしいです)なので、最後についても予定調和っぽい感じがしました。
ただ、現在の社会で大きな戦争がいくつか -
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日露戦争直前の八甲田山雪中行軍演習における大遭難事故、その原因に対する定説の矛盾点を抉るミステリー小説である。
部隊兵員の軽装と指揮官の服装の差、殉難者200人を当局が199人と発表したこと、ここに軍上層部による極寒状況下での兵員の耐寒人体実験への疑惑と消された一人が現地人に殺され隠された事実があったとする。この行軍演習の真の目的を上官から知らされ伝達の密命を帯びた当人がその消された本人であったとする。軍隊組織の統制の問題と現地住民との関係、真相解明のストーリー構成の錯綜で少し釈然としないものが残る。猛吹雪の中で方向を見失い彷徨う部隊の絶望感はリアルである。
主人公が個人の問題を抱えながら雑誌