伊東潤のレビュー一覧
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日露戦争直前の八甲田山雪中行軍演習における大遭難事故、その原因に対する定説の矛盾点を抉るミステリー小説である。
部隊兵員の軽装と指揮官の服装の差、殉難者200人を当局が199人と発表したこと、ここに軍上層部による極寒状況下での兵員の耐寒人体実験への疑惑と消された一人が現地人に殺され隠された事実があったとする。この行軍演習の真の目的を上官から知らされ伝達の密命を帯びた当人がその消された本人であったとする。軍隊組織の統制の問題と現地住民との関係、真相解明のストーリー構成の錯綜で少し釈然としないものが残る。猛吹雪の中で方向を見失い彷徨う部隊の絶望感はリアルである。
主人公が個人の問題を抱えながら雑誌 -
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母から借りた本
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10人の死者がでた簡易宿泊所の放火事件
そこで身元不明者の物らしい大学ノートが発見される
ノートには暗号のような文字が記されていた
それは何を意味するのか
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現代に起こった放火事件と45年前に起こった飛行機ハイジャック事件
この二つの事件が交錯しながら進んでいく
よど号ハイジャック事件がモデルになっている
高度成長期が背景にあり、学生運動が盛んに行われていた時代
史実は分からないが、まさかそんな行き当たりばったりで?
ハイジャック成功しちゃうの?
と思わないでもないけど、現代のようなハイテクな時代ではないからこそ成功したのかもしれないなと思う
よど号の犯人達のことはこれま -
Posted by ブクログ
明治維新後、世界に近代国家としてデビューした日本ですが、多くの問題を抱えていました。
西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文、山縣有朋をはじめとする薩長による藩閥政治の巨大な壁。
テロに遭い片足を失っても、信念のために邁進する大隈重信。
国会開設、政党政治への移行、内閣総理大臣就任、早稲田大学創設と、後の日本の礎を築いた大隈重信の生涯を描きます。
感動しました!
「社会に出るのは武士の初陣と同じで難しい。社会には伏兵も多くいるはずなので必ず失敗する。だが失敗に落胆はするな。失敗は糧となり、必ずや成功に結び付く。失敗こそが学びの機会であり、社会という大洋を航海するには、学問という羅針盤が必要だ」 ー -
Posted by ブクログ
秀吉の死から関ヶ原に至るまでを、「正史」を忠実にトレースしながら、その裏で交わされていただろう家康と本多昌信や、毛利輝元と安国寺恵瓊などの会話を通じてストーリーが進んでいく。
「知っているお話」がなんでそうなったのかを、会話で追っていくので、つまんなくはないんだけど、途中かなりかったるい場面があったり、いやさすがにそういう話しにはならんだろうとツッコミたくなるシーンが積み重なっていき、だんだん読むのが億劫になってしまった。
しかし、解説的な文章も多いため、戦国ものを読み始めたばかりの人には入門編としては、親切な内容と言えるのかもしれない。そもそもの物語自体は骨太だから、もちろん読み応えはあるの