伊東潤のレビュー一覧

  • 北条氏康 関東に王道楽土を築いた男

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    織田信長、徳川家康、上杉謙信、武田信玄と比べると何となく影が薄いと思ってきたけど、北条氏康の生きざまも好きになりました。

    北条氏康よりも北条早雲を思い出しますが、考えてみると、武田信玄、上杉謙信と言った強者たちと互角に渡り合ってきたのだから、優れた武将だと思う。

    特に四公六民の民に優しい政治や倹約を重んじたり、合戦への奢りからくる不行儀なことを戒める五ヶ条の遺訓は今にも通じる教義だと思います。

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    2017年12月19日
  • 走狗

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    幕末からの維新やったー!って物語かと思って読み始めたら、意外と実際の史実をベースにしながら、中盤後半とどんどこ維新の裏側の新解釈が盛り込まれつつも、そこに至る状況の描写が鮮明で、今までボヤッとしてた維新のエピソードが、腑に落ちていくのが面白い。主人公の日本の近代警察の父、川路利良がこの物語のように実際に暗躍したかはわからないし、そこはフィクションとして楽しめばいいかと思うが、維新ものとして新たな楽しみ方を提供してれた作品となった。

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    2018年01月07日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    謙信の死後、2人の養子が家督相続をめぐって争いが
    起こりました。北条氏から養子に入った上杉景虎の
    視線から書かれた小説です。
    「天地人」の主人公・直江兼続がヒール役に
    なっています。

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    2017年12月12日
  • 決戦!関ヶ原

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    先に「決戦!関ケ原2」を読んでしまったので、こちらも。
    今回は徳川家康(伊東潤)、可児才蔵(吉川永青)、織田有楽斎(天野純希)、宇喜多秀家(上田秀人)、島津義弘(矢野隆)、小早川秀秋(沖方丁)、石田三成(葉室麟)。

    2を読んだ時も感じたが、この戦いほど様々な思惑が交錯した戦いもないように思える。裏切りや傍観や致したかなく、という気持ちで参戦する者、戦いが終わった途端に保身や論功行賞に走る者、純粋に戦うことを突き詰める者、自分自身でなく自分の国をどう守るかに徹する者…。

    この戦いでの勝者と敗者ははっきりとあるものの、その後の人生や評価、あるいは自分自身が顧みての勝者と敗者はそれぞれで、何が勝ちで何が負けかは分からない。
    それらを七人の作家人が七様に描いてくれたのでどれも面白かった。
    個人的には安国寺恵瓊も面白そうな人物で、その後に別の人物像で描いてもらえないだろうかとも思った。

    この中では織田有楽斎や宇喜多秀家、小早川秀秋は面白かった。

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    2017年12月05日
  • 天地雷動

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    信長が死んだ後の、かつての戦国最強軍団・武田家vs織田・徳川連合軍の、天下分け目の戦い描いた作品。武田・織田・徳川・秀吉 それぞれの組織の作り方がすごく勉強になる。信玄は強かったけど強すぎて二世がうまく育たなかったんだなあ。徳川は、強さ(カリスマ性)より人の良さで上に上り詰めたんだなあ。とか。

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    2017年11月05日
  • 決戦!関ヶ原

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    ありえないとも言い切れない設定、前提が面白い連作だった。冲方丁目当てで読んだが、どれも読み応え十分だった。

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    2017年09月19日
  • 江戸を造った男

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    ネタバレ

    河村瑞賢のおはなし。経世済民の具体例。江戸という100万都市を可能にする流通システムを作り上げた男の仕事人生。

     振袖火事で燃え尽きた江戸を復興していくところから始まるところが良かったんだろう。建て増するより、更地になったところから都市計画を作ったほうが良いものができる。江戸の復興を担った保科正之とか松平信綱とかの都市計画を支えたのはこういう実力をつけてきた商人たちだったんだよなぁ。


     経済規模の拡大ができる人ってのがポイント。歴史に名を残す商人になりたかったら、公共事業に私財を投入して、自分たちの市場を拡大して投資分を回収するのだ。現代の投資家であるビルゲイツとか孫正義もそういうことをしているよね。投資家の視点を江戸の商人で持っていた人がいるっていうことよね。

     新井白石とか保科正之とかビックネームが出てくるから楽しい。

     やっぱり日本は水が最大の敵だなぁ。水との闘い。それに立ち向かってきたものが世の中を革新してきた。そんな感じがある。

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    2017年09月19日
  • 合戦の日本史

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    5名の小説家による歴史座談会。山本兼一さんが亡くなられたので、途中から4名になっています。信長・秀吉・家康・幕末がテーマの4回。
    やはり、同じ歴史上の出来事でも、それぞれが着目する点って違うんだな、と当たり前なんだけど新鮮に感じました。それだからこそ、数々の歴史小説を読む意味もあるというものです。まだまだ読書量も勉強も足りません。

    司馬遼太郎の影響について言及されているのも興味深い。ざっくりいうと、司馬遼太郎を超えて行け、ということですな。あの竜馬を超えるのは大変でしょうねぇ。
    三国志演義と三国史は別物。それに気づいたのっていつだろう?史書でなく小説・マンガから触れることが多いのが歴史だと思います。最初にインプットされた情報がフィクションだと理解するのは大変だもの。その情報のインパクトが大きければ大きい程ね。

    「合戦の日本史」というタイトルですが、それほど合戦メインで話はされていないように思いました。
    自分が興味持ったのが、世界情勢の中の当時の日本の立ち位置だったからかな。立場が変われば、小説上の善悪が入れ替わる。なので、いろんな小説を読もうと思っているのですが、それこそ当時の日本と諸外国の立場で考えると、面白くなるなと。
    合戦メインじゃなくて、合戦単独で話はされていないですね。
    ちゃんと東西の歴史を連動させないといけませんね。

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    2017年09月17日
  • 国を蹴った男

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    よかった。特に「天に唾して」「国を蹴った男」。かたや天下人秀吉に喧嘩を売った宗二、かたや生まれる時代を間違えた氏真を愛した五助。末期は「死」に行き着くが、男の生き様を見た思いで感動した。痛快な短編に出会い嬉しい。

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    2017年07月30日
  • 決戦!関ヶ原

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    それぞれの関ヶ原。勝つものがいれば、当然負けるものもいる。領土への野心のため。天下のため。家を守るため。戦う理由はひとそれぞれ。

    怪僧恵瓊の毛利に対する態度。家康と三成との結託。面白かったけど、人間的に好きになったのは小早川秀秋。徳川と豊臣との間で揺れながら米のことを考える姿がよい。幼少より秀秋のことを考える家臣がいたなら世間の評価はまた変わったものになったかもと思う。

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    2017年07月26日
  • 天地雷動

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    ネタバレ

     勝頼・家康・秀吉、そして「宮下帯刀」の四つ視点から長篠合戦を描き出す骨太作品。伊東さんの長編はいつも前半を読むのがなかなか大変ですが、中盤からクライマックスにかけての盛り上がりに飲み込まれます。三段撃ちのシーンへの持って行き方が巧すぎる……!
     有名どころ三人それぞれの性格や苦労・苦悩の違いも見どころですが、この面々の中では異色の帯刀視点でのエピソードが、一番心に残るものがありました。

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    2017年07月18日
  • 峠越え

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    家康がなかなか気弱な人だったというのはドラマ「真田丸」など見ているとそうかなと思わせるが、この小説の家康もなかなかどうして気弱で、平凡な自分をわかっている。信玄や信長に怯えつつしかし結果的にはそれら重しを除いていける家康の知謀。この話の後も読みたいのだが...。

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    2017年12月30日
  • 江戸を造った男

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    材木商河村屋七兵衛は、大都市江戸のインフラとしての開運航路を開発し、淀川の治水工事、銀山開発などに一生を捧げる。知恵と根性で難局を乗り越えた男の物語。

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    2017年05月24日
  • 国を蹴った男

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    人を使うこと、人を信じることの難しさが身にしみる。
    相変わらず伊東イズムは漢の牢人衆や武将、高名な茶人、無名の鞠職人に至るまで義を貫く生き方の人選が絶妙。結果その先に死が待っているのだけど、家や子に縛られる女にはできない生き方に惚れ惚れしてしまう。でも、義に死なず汚名や恨みを買ってでも生き延びてほしい妻の本音も分かるなぁ。どちらを選んでもそこが十人十色の人間のおもしろさ、間違いじゃないと思いたい。
    表題作は短編にしておくのがもったいないほどの底光りある逸品。

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    2017年04月16日
  • 江戸を造った男

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    立て続けに似たような題名の本を読んだ。
    「家康、江戸を建てる」と本作「江戸を造った男」
    「家康~」は主人公がたくさん、本作は河村瑞賢ただ一人。教科書にも名前が出ていたような気がする。
    ただ本作は子供向け偉人伝みたいな造りで、成功、成功、また成功、ちょっぴり挫折みたいな。
    気分爽快だけど、ちょっと悲哀に欠ける?
    う~ん。滅びゆく大名豪族を描かせたら天下一品なんだけど。

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    2017年03月08日
  • 江戸を造った男

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    めっちゃ面白い。
    タイトルに引っ張られる感はありますが、江戸をと言うより、国を造ったと言っても過言じゃないかも。
    ものすごく勉強になったのは、人間は安きに流れやすいのに、何とかしてやろうと思い詰めるほど考えて、考えて、考えて、やり抜くのは大切なこと。
    今一度自分のやってることを振り返らねばと思った次第。

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    2017年03月04日
  • 江戸を造った男

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    時代物は得意ではないのだが、これは非常に興味深く面白く読むことができた。かなり大作で長編だったが、引き込まれて読み終わった。
    史実をベースにしたフィクションなのだろうけれど、何かを成し遂げる大変さと信念の大切さ見たなものを感じさせられた。今の政治家に欠けているものかも知れない。
    いわゆるプロジェクト、プロジェクトマネジメントの教科書にもなり得るのではないだろうか。
    まさに、経世済民のリアルな姿がここにある。

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    2017年01月14日
  • 天地雷動

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    長篠合戦の前夜。登場人物のそれぞれの運命がいかにして決定づけられたか、興味深い。
    緻密に寝られた戦略の賜物か?
    それとも偶然の産物か?
    天下分け目の決戦!

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    2017年01月01日
  • 義烈千秋 天狗党西へ

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    幕末の水戸藩内の抗争と、そこから派生した一集団(天狗党)が京都を目指して西へ行軍する様子を描いた歴史小説。幕末の政局は難しすぎて、内容を理解しきれない…。1000人近い武装集団が移動する中で、天狗党の通り道となった村々や宿場町が見せた様々な対応が興味深かった。彼らにしてみたら、天狗党の通過はいい迷惑だったと思うよ。

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    2016年12月15日
  • 江戸を造った男

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    ネタバレ

    日本人は、武士階級にとどまらず町民まで
    読み書きそろばんを、広く寺子屋で習得できた。
    町民文化の豊かさは、その書物の多さにも知ることができる。
    明治以降、江戸以前を否定し、西欧文化を推奨してきたために
    知られずにいた、数々の物語が、古文書を読み解く研究者の
    努力の賜物で、明治以前の日本人の魂を聞けるような
    物語が読めることになった。

    この本の主人公は、河村瑞賢。
    河村七兵衛という商人。と入っても元々は地方の田舎に住む
    貧乏な下級武士の子、町人になった叔父に預けられ
    江戸に出る。叔父が亡くなり、一度は離散し、大阪へと
    出るが、その途中ある老武士に出会い、

    骨相を見ると
    「己れ一個の欲心を捨て、万民に尽くす気持ちを持てば
    天地の雲気が全て味方し、六十六国の大名はもとより
    将軍でさえ、感謝する仕事ができる」と言われる。

    その後、物流、灌漑用水、治水、銀山など
    日本各地に行っては、藩はもちろん幕府の経済的窮地も
    救い、人民のためになる大仕事をやってのけた。

    年上だろうと年下であろうと、自分の知らないことを
    知恵を技を持ってる人はすべて『師』と思うという
    奢ることなく、どうしたら良くなるか、
    どうしたら多くの人を救えるのかを考え続けた80年。
    読み応え十分な一冊でしたよ。

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    2016年12月02日