伊東潤のレビュー一覧

  • 江戸を造った男

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    河村瑞賢という名前は歴史の教科書で
    東廻り、西廻りの航路を考案した人物として載っていた記憶があったけど、本作を読んですごい人だなとしきりに感心。

    明暦の大火で、建物には木材が必要だと気付いて、木材を
    調達して財をなすものの、そのお金でお米を買って、明暦の大火で被災した人々に、お粥をふるまった話もびっくりしたが、なによりも、流れてきたナスやキュウリで、漬物を作って商売したりとアイデアもさることながら、ある程度商売が軌道に乗ったら、ほかの人にさっさとゆずりわたすあたりも
    すごい。それで本来材木商でありながら、新田開発、銀山開発、航路開発といったプロジェクトに幕府の老中、大老に次々任命される。これ読んでみるといかに今の政治家が自分たちのためにしか政治を行っていないのがよくわかる。

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    2018年10月12日
  • 国を蹴った男

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    全六話からなる短編集。浪人大将、長束正家、蹴鞠職人などあまりスポットライトを浴びない個性ある主人公の物語が面白い。

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    2018年10月03日
  • ライト マイ ファイア

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    簡易宿泊所が放火される。警察官・寺島は捜査を進めるが、難航する。少しの手がかりでもと調べてゆくうちに、一冊のノートを見つける。「1970」「H・J」暗号。1970年前後、学生運動が盛んな頃、警察官・琢磨は統学連に潜入することになる。琢磨はトップの白崎の信頼を得て、ハイジャックのメンバーとなり北朝鮮に向かう。現在の放火の捜査と過去の琢磨の活動を互い違いに入れて物語は進んでゆく。放火事件の真相と琢磨がとった行動は…。ハイジャック犯の中に警察がいるという設定、ハイジャック犯の行く先、琢磨の運命、興味深く読めました、緊張感を維持しつつ最後まで。洗脳やら熱エネルギーが強い時代なんだなあと思いつつ、学生運動を経験しなくてもその時代を大人として生きてきた人にはより深く読めるんでしょうね。

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    2018年09月09日
  • ライト マイ ファイア

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    現代の放火事件の捜査と、過去の学生運動過激派グループによるハイジャック事件の実行犯となった公安の潜入捜査官の物語が点から線に結びついていき。。。って、これ以上は言わないほうがいいでしょう。このヒリヒリするような潜入捜査の緊張感や、当時の学生運動の青臭いが故の狂気がビシビシ伝わってきて、息苦しくなるほど。仕掛けられた物語上の謎は、あ、こうだろうな、ってすぐわかっちゃうんだけど、それはあまりの生々しい世界観に対して、物語の進行上の仕掛けが「お話」っぽい肌感があるからかもしれない。当時を知らなくてもそこにいるような気分を味わえる、VR超えの活字作品、強くおススメしたい。

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    2018年09月01日
  • ライト マイ ファイア

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    友人に勧められて読んでみました。簡宿の火災と学生運動という時代の異なる事件がどう結びつくのかわからず、でも引き込まれるように読んでいくと、ラストでそういうことか、と思います。おすすめ

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    2018年08月12日
  • 野望の憑依者(よりまし)

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    足利尊氏に天下を取らせた執事高師直の生涯記。欲望に取り憑かれたものはやがて欲望に滅ぼされる。尊氏の弟直義と師直の争いは直義の勝利にて決着するが、その直義も尊氏に毒殺され、足利幕府の安定が築かれる。人の世の諍いと儚さが上手く描かれている作品でした。

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    2018年08月11日
  • ライト マイ ファイア

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    あまり「よど号事件」は知らなかったけれど、「琢磨」に感情移入しながらドキドキハラハラしながら一気に読んだ。
    最後の疾走感は、伊東潤史上最高の疾走感ではなかろうか。読む手が止まらなかった!

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    2018年07月22日
  • ライト マイ ファイア

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    著者の現代ものということで興味深々で読んだ。よど号ハイジャック事件の裏面史的内容の小説。序盤から中盤のグイグイ迫ってくる描写に流石と思ったが、終盤はかなり急ぎ足でバタバタしてしまった印象、なので評価4で。ただ、プロットは相当なものですごく読み応えあり。寺島刑事の伏線が見事だ。やはり上手い作家さんの作品は、時代ものでも現代ものでも面白いということですな。

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    2018年07月18日
  • ライト マイ ファイア

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    伊東潤が現代史を書いた、ということに驚き。歴史小説の印象が強いので。というか、その印象しかないやね。
    川崎で起きた簡易宿泊施設の火災を捜査する警察官・寺島の現在と、「よど号」ハイジャック事件へと続く学生運動の公安潜入捜査員・中野の過去が交互に描かれる形で物語は進みます。
    中野の心情のブレが公安警察の持つ冷徹さと乖離していて、イマイチ入り込めませんでした。ただ、そのブレが生じる原因があったからこそ、最終幕の決着を見ることができたのだとは思います。

    登場人物それぞれが、個人個人のしがらみとこだわりに縛られつつ、そこから抜け出そうとしての感情・熱狂・盲信の炎熱に動かされてしまった人々の物語。
    最終幕で描かれる彼らの終着と出発は、感情・熱狂・盲信の熱さに炙り焦がされた結末を迎えた存在と違って、きれいすぎやしないかと思うけども、再生の炎となったというのでもいいんじゃないかなぁ。あんまり救いのないラストもいやかなぁ、と思います。


    簡易宿泊施設の火災事件は、実際の事件を題材にしています。あのニュース報道の視聴者映像を見た人も多くいるかと思います。
    燃え盛る建物から聞こえてくる、救助を待つ叫び声。

    あの映像が忘れられない。
    犠牲になった方の冥福を、改めてお祈りします。

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    2018年07月04日
  • 修羅の都

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    頼朝に寄り添った北条政子の思い,鎌倉幕府のために失ったものと成し得たこと,が頼朝を語ることで,浮かび上がって来る.頼朝がボケてからの第五章の描写が少しダラダラした感はあるが,全体にテンポよく鎌倉幕府創成期を一気に駆け抜けた様な読後感.とても面白かった.

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    2018年06月06日
  • 黒南風の海 「文禄・慶長の役」異聞

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    秀吉の文禄・慶長の朝鮮出兵を舞台とした株少ない作品の一つ。衝撃のクライマックスに度肝を抜かれました。

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    2018年05月10日
  • 武田家滅亡

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    桂の苦悩が……勝頼の苦悩が……その他多くの登場人物たちが、本当に胸を苦しくする。勢いを失ったものの哀しみ、最期まで従う忠義。
    人間の感情が詰まった、一冊である。

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    2018年05月07日
  • 決戦!関ヶ原

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    歴史小説は好きでこれは面白いと思って読んだが期待通りであった。7人の上手い書き手による人物ごとの短編である。それぞれが書き込まれているので、短編集にありがちな薄さ物足らなさはなかった。
    書き手の取り上げ方によって史実の見方を変えている所も興味深い。一番は「怪僧恵瓊」だった。
    このシリーズは追っかけたい。

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    2018年05月03日
  • 国を蹴った男

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     この方の歴史短編は、誰を題材にしても深みがあって、本当に外れがない……今回も良作揃いでした。
     戦国時代の「敗北者」たちをピックアップした短編集ですが、市井の人の活躍が大好きな私のお気に入りは、数字・経済的側面からの戦を描く「戦は算術に候」と、蹴鞠職人の視点で今川氏真を見守る表題作「国を蹴った男」。他のタイトルにも共通していますが、戦や政治以外の才にたけた人物たちの、だからこその皮肉が光ります。
     そんな中で異彩を放つのが、冒頭作「牢人大将」。政治的思惑に踊らされることなく、己が意志を貫き、己が職務を全うする無理之介の天晴な戦いぶりが清々しいです。
     それにしても、伊東さんが描かれる三英傑のキャラクターの、首尾一貫していることよ……。

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    2018年04月30日
  • 北条氏康 関東に王道楽土を築いた男

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    北条家という、歴史小説ではレアなイメージのある武将および家系がメインの本。

    歴史小説でもなく、解説書などでもなく、手軽に読めてなおかつ史実に沿った解説が伝わってくる本でした。

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    2018年03月22日
  • 決戦!関ヶ原

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    関ヶ原の戦いを7人の武将の視点から、7人の小説家が描いたオムニバス短編。一つの事件でも、異なる立場から見たら別々の物語になる。ということを感じさせてくれる。

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    2018年03月11日
  • 維新と戦った男 大鳥圭介(新潮文庫)

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    闘志と背丈は、必ずしも比例しない。
    「……たまるか」「……たまるか」と生きていきたい。

    佐藤賢一の『ラ・ミッション』のブリュネも、また読み返したくなった。

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    2018年03月10日
  • 修羅の都<文庫版>

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    「夜叉の都」を先に読んでしまったことを後悔。頼朝死後、「武士の府を守る」を大義名分に、血を分けた将軍の抹殺や古参の御家人の滅亡に突き進むことになった背景が分かってもっと理解を深められたように思う。
    ところで、頼朝の死は落馬だとずっと思ってきていたが、どこかあっさりし過ぎていて腑に落ちてなかった。
    所説色々あるようだが、本作品では頼朝の老耄による幕府崩壊の危機を回避するために、政子・義時兄弟が仕組んだ毒殺というのは尤もらしいと感じた。53歳で?、という疑問は残るものの。

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    2026年01月17日
  • 一睡の夢 家康と淀殿

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    秀頼の復権を目指す茶々と、秀忠への世代交代を目指す家康が対照的で面白い。茶々はそれが叶わなくなると、武家の誇りを守り抜くことに注力し散っていく姿が、清々しく感じた。

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    2026年01月17日
  • 走狗

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    戌年の1冊目は、『 走狗』。犬ですな。警察組織を作り上げた川路利良の一代記。
    西郷の、大久保の、明治という時代の、自らの野心の、走狗であった。まさに、狡兎死して走狗烹らる、であった。

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    2018年01月09日