伊東潤のレビュー一覧

  • 巨鯨の海

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    太地町の捕鯨を舞台にした短編集

    ・旅刃刺の仁吉
    ・抹香の竜涎香→朝鮮人参
    ・喘息の与一×耳が聞こえない喜平次
    ・船虫の晋吉×血を好まざるを得ない菊太夫
    ・吉蔵、才蔵、太蔵
    ・大背美流れ、M11.12.24

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    2016年04月04日
  • 巨鯨の海

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    和歌山の太地と呼ばれる漁村を舞台に、江戸末期から明治にかけて行われていた捕鯨を題材にした短編集。直木賞を獲っても不思議ではないレベルの作品のように感じたが、当時の選考会では北方謙三が猛烈に推したものの受賞には届かなかった。
    人間vs鯨のダイナミックで命がけの戦いの描写に目を奪われがちだが、太地という治外法権がまかり通る特殊な地域における様々な人間ドラマが、すごく丁寧に描かれている点が非常に印象的だった。あと、鯨親子の絆に象徴されるように、鯨はただ人間に捕られるだけの道具として描かれているわけではないので、捕鯨に嫌悪感を持たれているであろう欧米の方々にも是非読んでいただきたいと思う。
    内容的に実

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    2015年12月09日
  • 巨鯨の海

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    ネタバレ

     鯨漁を生業として生きる太地の男たち。躍動感のある鯨漁を背景に、6つの物語が紡がれる。
     江戸から明治にかけ、激動の時代の中、地域ぐるみで捕鯨を守る一組織であった太地。閉鎖的だがそうでもしなければ生きられない人々の悲哀や意気込みが伝わって来る。
     鯨がよく獲れた頃は羽振りもよかったが、明治になってアメリカの捕鯨船が幅を利かせるようになり、鯨の数が激減した太地は衰退して行く。その移りゆく時代に生きる、人々の心の襞を丁寧に描いており、読んでいるとつらくなってくる。
     私は学生時代から鯨に興味があり、学生時代大学の先生にお願いして鯨の眼球の解剖をさせていただいたこともある。鯨に関する本も相当読んだし

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    2015年10月18日
  • 城を噛ませた男

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    戦国時代の終わり。全五編からなる短編集。乱世に様々な思いを抱いて行動する人達。色々なパターンの話があって、とても楽しめる一冊だった。

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    2015年04月30日
  • 武田家滅亡

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    勝頼の奥さんが輿入れしてから武田家滅亡までの5年間?の話。600ページくらいあって、こんなに話あるのかな?と思いながら読んでいたが、北条、上杉、徳川との駆け引き、高天神の話、物語を彩る魅力的な登場人物、武田家を見限る家臣たち、そして滅亡へ…と話がてんこ盛りであり、読み応えあり!
    勝頼の奥さんを見ていると、戦国時代は、男だけでなく女性も強かったんだなあと思った。戦国時代はすごい魅力的な時代ではあると思うが、その分悲劇も多かった悲しい時代なんですね。

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    2014年12月19日
  • 義烈千秋 天狗党西へ

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    血で血を洗うお家騒動、この本を読む前の水戸藩のイメージはそれだけでした。この本を読み、彼らの強い志が新しい時代への礎になったのだと思い胸を打たれました。
    莫大な資料を調べたのだろうと感心させられた一方、それらを一部割いてでも、もっと伊東さんの描く人物像や歴史観が全面に出ていても面白かったのではないかと思いました。

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    2014年11月27日
  • 城を攻める 城を守る

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    戦国歴史作家である著者が、戦国時代の有名な合戦を「城」の観点から読み解こうとしている本。両軍の軍事作戦における城の役割を軍略的観点で大局的に述べることを主眼としており、防御施設としての城の構造や、局地的な攻城戦についてはそれほど記述していない。それどころか、「精神的な支柱」の一言で片づけられてしまった城すらある(春日山城の章)。それでも、地政学や外交的な駆け引きも含めた軍略全般に興味があれば、本書はそれなりに楽しめると思う。

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    2014年11月17日
  • 城を噛ませた男

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    戦国短編集。
    ひとつひとつが味わい深い。
    城を噛ませた男。という題名もいい。
    戦国モノだけど読みやすい。
    マイナーな主人公たちなのもいいわー

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    2014年11月08日
  • 城を噛ませた男

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    ネタバレ

     表題作を筆頭に良作揃いの、戦国を舞台にした短編集。解説にもありますが、展開や盛り上がりどころが計算され尽くされていて、抜群の安定感があります。以下、話ごとに軽くコメント。
    「見え過ぎた物見」:物理的な意味での「見る」と、先読みという意味での「見る」、二つの「物見」が話に重なってくるラストが絶妙。
    「鯨のくる城」:あたかも作者がその目で見てきたかのような、捕鯨シーンの迫力が凄まじい。
    「城を噛ませた男」:昌幸の顔が笑み崩れるシーン、ほとんどホラー(怯)
    「椿の咲く寺」:五作品の中で、これだけはちょっとロマンチストな印象。彦蔵さんのせいですな(笑)
    「江雪左文字」:時代を何度も行き来するので序盤

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    2014年11月06日
  • 黒南風の海 「文禄・慶長の役」異聞

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    秀吉の朝鮮出兵における附逆と降倭の悲劇と友情を描いた作品。巻頭の地図と併せ読みながら文禄・慶長の役のおおまかな流れも学ぶことが出来ますし,戦国末期の対外戦争のダイナミズムや一兵士の哀しみや誠実さも感じることのできる良作です。

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    2014年10月30日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    「武田家滅亡」の姉妹編?
    謙信の死の謎と、景勝・兼続の謀略、兵を持たない北条からの養子の景虎の理想と現実、滅びゆく様が描かれている。
    作者には何か滅びの美学を感じる。

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    2014年08月25日
  • 山河果てるとも 天正伊賀悲雲録

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    信長による天正伊賀攻めを題材とした歴史物
    時勢の捉え方、己の生きざま、多種な捉え方をしている。
    織田信雄の性格、そしてその取り巻きと謀略。
    勝者よりも敗者に清々しさを感じさせる。

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    2014年08月24日
  • 山河果てるとも 天正伊賀悲雲録

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    自分ひとりの力では抗えない、大きな力に出くわしたとき、人はどう生き方を選ぶのか。
    立ち向かうのか、付き従うのか、逃げるのか。

    作中の人物それぞれが導きだした結論に、あれこれ異議を唱えはしないけれども、竹馬の友ともいうべき間柄が崩れ去っていくのは、やはり悲しく迫ってきます。

    引き裂かれた運命は、袂を分かれた人生は、再び交わることなく進むのみ。

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    2014年07月27日
  • 城を攻める 城を守る

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    他の天守閣とかの写真で城をもてはやすのではなく、戦いを前提に今は城跡、ただの山みたいになってる城をも取り上げ、歴史を自説も交えて説明してくれるんだよね。そこがおれの感性に凄くあったとゆうか、こういった知識を持って城跡巡りしたらもっと学こと大なんだろな。

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    2014年07月27日
  • 城を噛ませた男

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    個人的に、真田昌幸という武将が好きなのだが、表題作で昌幸がとてつもなく卑怯な人間として描かれていたのに衝撃を受けた。確かに戦乱の世のおいては、騙されるのが悪い、という価値観はあったのだろうけれど、本書では義もへったくれもなく、単に嘘をついて騙しただけであったので、読後感が極めて悪かった。収録されている他の作品も読後感はあまりよくないけれど、滅びゆくものとは実際こんなようなことなのかもしれない。

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    2014年07月25日
  • 城を噛ませた男

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    腹の底にズーンと響く懸命で骨太な生き方の数々。それは上下の身分を問わない。
    自分の生き方や信念を貫いて、結果、それぞれの役目を完遂した人たちの清々しい余韻が残る「鯨のくる城」と「江雪左文字」の読後は快感。
    あっさりとしか触れられていないが、「見えすぎた物見」の宝衍の弟の生き様然り、表題作登場の主水然り、潔い決断と覚悟にも頭が下がった。

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    2014年05月31日
  • 黒南風の海 「文禄・慶長の役」異聞

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    朝鮮出兵の話で、戦地に赴いた日本兵の葛藤と、突然の侵略を受けた朝鮮の人たちの苦しみや怒りがドラマチックに描かれている。
    朝鮮出兵というと、教科書では文禄・慶長の役がありましたってくらいしか知らなかったからおもしろかった。
    加藤清正の周辺の人々について語られていて、清正のイメージもだいぶ変わった。おもしろい。

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    2014年04月23日
  • 城を噛ませた男

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    戦国時代、しかも、関東が舞台である。
    それぞれの話が非常によく考え、練られている。
    主人公たちも、お馴染みの顔ぶれと違い、新鮮である。

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    2014年04月19日
  • 黒南風の海 「文禄・慶長の役」異聞

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    本屋が選ぶ時代小説受賞作。文禄・慶長の役(秀吉の命で日本軍が朝鮮へ出兵)したことを題材とした物語。日本側の鉄砲隊の隊長と、朝鮮側の役人の二人が主人公。ネタバレをしたくないので内容は記さないが、二人の生き様に涙が出ることまちがいなし。この小説を両国民が読めば、恩讐を越えて仲良くなれるかも知れない。

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    2014年01月07日
  • 黎明に起つ

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    北条早雲一代記。
    戦国時代最初期に下剋上を成し遂げた謎に包まれた人物を少年時代から描く。最新説に従い生年月日をずらして没年齢を64歳としているので、今までの北条早雲像と随分違う。
    司馬遼太郎の「箱根の坂」だと87歳が没年齢になっている。
    その差23歳!これだけ違うと話を変えざるを得ない。
    今までの枯れたイメージとは違う、アクティブな早雲、勇壮な早雲、命知らずな早雲、に描かれている。
    が、至極真面目に作文しているなぁ~と言うのが正直な感想。
    これだけ前半生が不明な人なんだから、もっと放埓・奔放に描いても良かったのでは。得体の知れない戦国大名No,1は「国盗り物語」で描かれる斉藤道三だと未だに思い

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    2013年12月16日