伊東潤のレビュー一覧

  • 江戸を造った男

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    ネタバレ

    河村瑞賢のおはなし。経世済民の具体例。江戸という100万都市を可能にする流通システムを作り上げた男の仕事人生。

     振袖火事で燃え尽きた江戸を復興していくところから始まるところが良かったんだろう。建て増するより、更地になったところから都市計画を作ったほうが良いものができる。江戸の復興を担った保科正之とか松平信綱とかの都市計画を支えたのはこういう実力をつけてきた商人たちだったんだよなぁ。


     経済規模の拡大ができる人ってのがポイント。歴史に名を残す商人になりたかったら、公共事業に私財を投入して、自分たちの市場を拡大して投資分を回収するのだ。現代の投資家であるビルゲイツとか孫正義もそういうことを

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    2017年09月19日
  • 合戦の日本史

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    5名の小説家による歴史座談会。山本兼一さんが亡くなられたので、途中から4名になっています。信長・秀吉・家康・幕末がテーマの4回。
    やはり、同じ歴史上の出来事でも、それぞれが着目する点って違うんだな、と当たり前なんだけど新鮮に感じました。それだからこそ、数々の歴史小説を読む意味もあるというものです。まだまだ読書量も勉強も足りません。

    司馬遼太郎の影響について言及されているのも興味深い。ざっくりいうと、司馬遼太郎を超えて行け、ということですな。あの竜馬を超えるのは大変でしょうねぇ。
    三国志演義と三国史は別物。それに気づいたのっていつだろう?史書でなく小説・マンガから触れることが多いのが歴史だと思

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    2017年09月17日
  • 国を蹴った男

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    よかった。特に「天に唾して」「国を蹴った男」。かたや天下人秀吉に喧嘩を売った宗二、かたや生まれる時代を間違えた氏真を愛した五助。末期は「死」に行き着くが、男の生き様を見た思いで感動した。痛快な短編に出会い嬉しい。

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    2017年07月30日
  • 決戦!関ヶ原

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    それぞれの関ヶ原。勝つものがいれば、当然負けるものもいる。領土への野心のため。天下のため。家を守るため。戦う理由はひとそれぞれ。

    怪僧恵瓊の毛利に対する態度。家康と三成との結託。面白かったけど、人間的に好きになったのは小早川秀秋。徳川と豊臣との間で揺れながら米のことを考える姿がよい。幼少より秀秋のことを考える家臣がいたなら世間の評価はまた変わったものになったかもと思う。

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    2017年07月26日
  • 天地雷動

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    ネタバレ

     勝頼・家康・秀吉、そして「宮下帯刀」の四つ視点から長篠合戦を描き出す骨太作品。伊東さんの長編はいつも前半を読むのがなかなか大変ですが、中盤からクライマックスにかけての盛り上がりに飲み込まれます。三段撃ちのシーンへの持って行き方が巧すぎる……!
     有名どころ三人それぞれの性格や苦労・苦悩の違いも見どころですが、この面々の中では異色の帯刀視点でのエピソードが、一番心に残るものがありました。

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    2017年07月18日
  • 峠越え

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    家康がなかなか気弱な人だったというのはドラマ「真田丸」など見ているとそうかなと思わせるが、この小説の家康もなかなかどうして気弱で、平凡な自分をわかっている。信玄や信長に怯えつつしかし結果的にはそれら重しを除いていける家康の知謀。この話の後も読みたいのだが...。

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    2017年12月30日
  • 江戸を造った男

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    材木商河村屋七兵衛は、大都市江戸のインフラとしての開運航路を開発し、淀川の治水工事、銀山開発などに一生を捧げる。知恵と根性で難局を乗り越えた男の物語。

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    2017年05月24日
  • 国を蹴った男

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    人を使うこと、人を信じることの難しさが身にしみる。
    相変わらず伊東イズムは漢の牢人衆や武将、高名な茶人、無名の鞠職人に至るまで義を貫く生き方の人選が絶妙。結果その先に死が待っているのだけど、家や子に縛られる女にはできない生き方に惚れ惚れしてしまう。でも、義に死なず汚名や恨みを買ってでも生き延びてほしい妻の本音も分かるなぁ。どちらを選んでもそこが十人十色の人間のおもしろさ、間違いじゃないと思いたい。
    表題作は短編にしておくのがもったいないほどの底光りある逸品。

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    2017年04月16日
  • 江戸を造った男

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    立て続けに似たような題名の本を読んだ。
    「家康、江戸を建てる」と本作「江戸を造った男」
    「家康~」は主人公がたくさん、本作は河村瑞賢ただ一人。教科書にも名前が出ていたような気がする。
    ただ本作は子供向け偉人伝みたいな造りで、成功、成功、また成功、ちょっぴり挫折みたいな。
    気分爽快だけど、ちょっと悲哀に欠ける?
    う~ん。滅びゆく大名豪族を描かせたら天下一品なんだけど。

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    2017年03月08日
  • 江戸を造った男

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    めっちゃ面白い。
    タイトルに引っ張られる感はありますが、江戸をと言うより、国を造ったと言っても過言じゃないかも。
    ものすごく勉強になったのは、人間は安きに流れやすいのに、何とかしてやろうと思い詰めるほど考えて、考えて、考えて、やり抜くのは大切なこと。
    今一度自分のやってることを振り返らねばと思った次第。

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    2017年03月04日
  • 江戸を造った男

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    時代物は得意ではないのだが、これは非常に興味深く面白く読むことができた。かなり大作で長編だったが、引き込まれて読み終わった。
    史実をベースにしたフィクションなのだろうけれど、何かを成し遂げる大変さと信念の大切さ見たなものを感じさせられた。今の政治家に欠けているものかも知れない。
    いわゆるプロジェクト、プロジェクトマネジメントの教科書にもなり得るのではないだろうか。
    まさに、経世済民のリアルな姿がここにある。

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    2017年01月14日
  • 天地雷動

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    長篠合戦の前夜。登場人物のそれぞれの運命がいかにして決定づけられたか、興味深い。
    緻密に寝られた戦略の賜物か?
    それとも偶然の産物か?
    天下分け目の決戦!

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    2017年01月01日
  • 義烈千秋 天狗党西へ

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    幕末の水戸藩内の抗争と、そこから派生した一集団(天狗党)が京都を目指して西へ行軍する様子を描いた歴史小説。幕末の政局は難しすぎて、内容を理解しきれない…。1000人近い武装集団が移動する中で、天狗党の通り道となった村々や宿場町が見せた様々な対応が興味深かった。彼らにしてみたら、天狗党の通過はいい迷惑だったと思うよ。

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    2016年12月15日
  • 江戸を造った男

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    ネタバレ

    日本人は、武士階級にとどまらず町民まで
    読み書きそろばんを、広く寺子屋で習得できた。
    町民文化の豊かさは、その書物の多さにも知ることができる。
    明治以降、江戸以前を否定し、西欧文化を推奨してきたために
    知られずにいた、数々の物語が、古文書を読み解く研究者の
    努力の賜物で、明治以前の日本人の魂を聞けるような
    物語が読めることになった。

    この本の主人公は、河村瑞賢。
    河村七兵衛という商人。と入っても元々は地方の田舎に住む
    貧乏な下級武士の子、町人になった叔父に預けられ
    江戸に出る。叔父が亡くなり、一度は離散し、大阪へと
    出るが、その途中ある老武士に出会い、

    骨相を見ると
    「己れ一個の欲心を捨て

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    2016年12月02日
  • 江戸を造った男

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    高田屋嘉兵衛は海商だから分かるけど、この時代に国(藩)をまたいで終生活躍する政商なる者がいたのには驚いた。我が郷土にも清原太兵衛とか周藤弥兵衛とかの公人、私人が治水に挑む土木工事で功名を得るが、河村屋七兵衛のスケールは凄まじい。城米廻漕、治水、灌漑、鉱山採掘などなど、ことごとく成果を収める。難事業の数々だが、工事はもとより、複雑な利害関係を調整するその手腕がいかに優れていたかを教える。幕命によるいずれの公共事業も、齢50を超えて携わり、82歳で逝く間際まで仕事を請け続けたというから、高齢化社会で憂いに沈んではいられない。

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    2017年03月09日
  • 峠越え

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    ネタバレ

    所謂、家康の「伊賀越」の話かと思って読み始めたが、人生には様々な峠がありそれを乗り越えていくこと、「本能寺の変」を起こさせたのは家康など、もっと深い作品であった。

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    2016年10月23日
  • 江戸を造った男

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    今回の主人公は武士ではなく、商人の河村七兵衛という人物。まったく知らなかったけど、江戸を造った=江戸という時代を支えるインフラシステムを造った、こんな人物がいたとは。ラストも大円団で、読後のスッキリ感高し。

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    2016年10月18日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    川中島の戦い,及びその前の村上義清と武田信玄の信濃をめぐる攻防を北信濃の一豪族,須田氏の若き当主須田弥一郎こと満親を主人公に描く.上杉謙信側から見ているので当然信玄は悪者である.

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    2016年10月13日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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     高校生の頃、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を読みはじめ、彼の作品をあらかた読んだあと、山岡さん新田さんもかなりつつきました。その頃は、記憶もまあまあしっかりしていて、武将の名がたくさん出てくるのもへっちゃらでしたが、今回はそれに慣れるのがたいへんでした。たしか?新田さんの「武田勝頼」でもそのほかの作品でも武田家目線のものがほとんどだったと思います。上杉対武田を義対欲と描いたこの作品は新鮮で楽しむことができました。
    歴史小説、やっばりいいですね。

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    2016年09月28日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    ネタバレ

    主人公は、北信濃の武将・須田満親。満親は海津城(松代城)代となり真田信繁とも因縁を持つのだけれど、それは後の話。この作品では、真田幸綱の調略で武田方に寝返った分家に故郷を追われて長尾景虎を頼るようになってから、5度にわたる川中島合戦が終わるまでを描く。大国同士の争いに翻弄される小領主の悲哀は、まるで現代の国際政治を見ているかのよう。第四次川中島合戦は手に汗握るほどスリリング。従兄弟の須田信正を好敵手に置いたのが上手い。

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    2016年06月11日