伊東潤のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
簡易宿泊所が放火される。警察官・寺島は捜査を進めるが、難航する。少しの手がかりでもと調べてゆくうちに、一冊のノートを見つける。「1970」「H・J」暗号。1970年前後、学生運動が盛んな頃、警察官・琢磨は統学連に潜入することになる。琢磨はトップの白崎の信頼を得て、ハイジャックのメンバーとなり北朝鮮に向かう。現在の放火の捜査と過去の琢磨の活動を互い違いに入れて物語は進んでゆく。放火事件の真相と琢磨がとった行動は…。ハイジャック犯の中に警察がいるという設定、ハイジャック犯の行く先、琢磨の運命、興味深く読めました、緊張感を維持しつつ最後まで。洗脳やら熱エネルギーが強い時代なんだなあと思いつつ、学生運
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Posted by ブクログ
現代の放火事件の捜査と、過去の学生運動過激派グループによるハイジャック事件の実行犯となった公安の潜入捜査官の物語が点から線に結びついていき。。。って、これ以上は言わないほうがいいでしょう。このヒリヒリするような潜入捜査の緊張感や、当時の学生運動の青臭いが故の狂気がビシビシ伝わってきて、息苦しくなるほど。仕掛けられた物語上の謎は、あ、こうだろうな、ってすぐわかっちゃうんだけど、それはあまりの生々しい世界観に対して、物語の進行上の仕掛けが「お話」っぽい肌感があるからかもしれない。当時を知らなくてもそこにいるような気分を味わえる、VR超えの活字作品、強くおススメしたい。
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Posted by ブクログ
伊東潤が現代史を書いた、ということに驚き。歴史小説の印象が強いので。というか、その印象しかないやね。
川崎で起きた簡易宿泊施設の火災を捜査する警察官・寺島の現在と、「よど号」ハイジャック事件へと続く学生運動の公安潜入捜査員・中野の過去が交互に描かれる形で物語は進みます。
中野の心情のブレが公安警察の持つ冷徹さと乖離していて、イマイチ入り込めませんでした。ただ、そのブレが生じる原因があったからこそ、最終幕の決着を見ることができたのだとは思います。
登場人物それぞれが、個人個人のしがらみとこだわりに縛られつつ、そこから抜け出そうとしての感情・熱狂・盲信の炎熱に動かされてしまった人々の物語。
最終 -
Posted by ブクログ
この方の歴史短編は、誰を題材にしても深みがあって、本当に外れがない……今回も良作揃いでした。
戦国時代の「敗北者」たちをピックアップした短編集ですが、市井の人の活躍が大好きな私のお気に入りは、数字・経済的側面からの戦を描く「戦は算術に候」と、蹴鞠職人の視点で今川氏真を見守る表題作「国を蹴った男」。他のタイトルにも共通していますが、戦や政治以外の才にたけた人物たちの、だからこその皮肉が光ります。
そんな中で異彩を放つのが、冒頭作「牢人大将」。政治的思惑に踊らされることなく、己が意志を貫き、己が職務を全うする無理之介の天晴な戦いぶりが清々しいです。
それにしても、伊東さんが描かれる三英傑の