伊東潤のレビュー一覧

  • 巨鯨の海

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     紀伊半島の漁村・太地。そこで組織捕鯨を確立し、日々鯨に挑む漁師たちの姿を描いた連作。

     「なんという迫力……」

     この小説を読み終えた時の感想を最も簡潔に表すとこうなります。

     太地の人々の鯨漁はもはや漁ではありません。それは戦いなのです。時に十数メートル以上の鯨に対し銛を打ち込み、何度も網をかけ少しずつ弱らせ最後にとどめを刺す…。言葉にすればただそれだけの話なのですが、その描写力たるや…

     太地の漁師たちの息遣いやピリピリした感じももちろん伝わってくるのですが、さらにすごいのは狩られる側である鯨の生きたい、死んでたまるか、という気持ちすらも伊東さんが書き込んでいること。

     作中で

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    2015年10月01日
  • 巨鯨の海

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    「山田風太郎賞」受賞作ってことで、文庫化を待望していた作品。過去の受賞作品から、まず期待外れってことはないだろうと思っていたけど、これもまた高品質でした。捕鯨に生きる村を舞台にした、時代をまたいでの短編集。迫力満点の捕鯨シーンもさることながら、それに対峙する人々の描写も活き活きしていて、どの作品も素晴らしかった。この作者の他の話題作も読んでみたいと思いました。

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    2015年09月24日
  • 巨鯨の海

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    太地・鯨シリーズの第一弾。江戸時代末期から明治時代までの紀伊半島の漁村・太地で組織捕鯨に携わる男たちを描いた連作短編集。いずれも読み応えのある6編を収録。

    鯨と人間が対等に近い立場で、命をやり取りをした時代…太地鯨組の厳しい掟と捕鯨に携わる男たちの勇気と苦悩。若者は捕鯨を通じて成長し、若者を導く年長者はいつか身を引いていく。

    『旅刃刺の仁吉』。流れ者の刃刺の仁吉が太地鯨組の中での地位を確立していくと共に妾腹の音松に刃刺への道を示す。

    『恨み鯨』。鯨組の厳しい掟の中で生きていく親子と物哀しい家族愛を描いた佳作。

    『物言わぬ海』。耳が聞こえない喜平次と刃刺となった与一の友情とその間に立ちは

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    2015年09月16日
  • 国を蹴った男

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     6編収録の歴史小説短編集。

     伊東潤さんの作品は”熱い”です! 
    戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を
    描くからか、伊東さんも作品を書いている時、
    アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの
    ではないかと自分は感じています。
    そのアドレナリンが作品を通して読者である
    自分に伝わってくるように思います。だから
    ”熱い”のです!

    どの短編も読み応え十分の傑作・佳作揃いですが
     いわゆる傭兵的存在である武田軍の牢人衆を
    描いた「牢人大将」は彼らの心意気が非常に
    カッコいい作品です。

    「天に唾して」は時の権力者、豊臣秀吉と最後
    まで戦い抜いた茶人の山上宗二の姿や心理描写が
    凄まじくそして素

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    2015年06月14日
  • 武田家滅亡

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    主な視点人物は、北条家から武田家に嫁いだ桂と、彼女を迎えた武田勝頼ということになるのだが、本作は“群像ドラマ”の体裁だ。“派閥”のようなものが形成されて纏まらない武田家中の人々から地侍に至るまで、多くの人々が登場し、それぞれの「武田家滅亡」が、勝頼・桂夫妻の運命に収斂して行く…

    「上の立場」の物語も在るのだが…本作に関しては、「伊奈の地侍達」や「内膳と弥兵衛」というような男達の物語に強く惹かれる…

    本作は、何か「強い余韻」のようなモノも残る作品だ…或いは…本作のような「敗者の物語」というものは概してそうなのかもしれない…

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    2015年02月02日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    運命に弄ばれるかのようであり、同時に「徒手空拳から運命を拓く」かのように争いの一方の頭領格となる上杉景虎…揺れる心情や、迫られる選択等、景虎の生き様が活写される本作である…

    本作では…かの『天地人』の主役である直江兼続や上杉景勝は、「かなり手強い敵役」として登場している。彼らと対峙する上杉景虎が目指したモノは何だったのか?

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    2015年01月20日
  • 城を噛ませた男

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    タイトルは「城を噛ませた男」だけど、短編集なので
    ここの感想とかそうゆう類のものを書こうかな、と。

    見えすぎた物見…
    小さい集落である佐野家。そんな佐野家の筆頭家老である宝衍の話。
    当時の各勢力に、のらりくらりと応対しているのに対してお家を守るという義の塊なのではないかと。
    外様大名として生き残った佐野家だけども、この物見の仕事が出来過ぎる感が遺恨の原因となり
    結果的にお家取り潰しという何とも皮肉な話。
    宝衍の頑張りも確かによくわかるが、何でも頑張りすぎちゃいかんな…とか。

    鯨のくる城…
    北条家の傘下である伊豆国雲見の海での戦い話。
    鯨漁を主に生活している長、高橋丹波守のとんちにもに似た実

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    2014年12月01日
  • 義烈千秋 天狗党西へ

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    余りにも多くのことが次々に起こる時勢の中、とにかくも信じるところを訴えようとした一団が在り、無残に粛清された…敢えて一言で言えば、“天狗党”の歩みはそういうことになるのだろうか?何かそういう辺りに、煩雑な経過の“時代モノ”でありながら、強い“今日性”を滲ませる物語だった…更に余計な話しをすれば…本作は“映画原案”として好適かもしれないと読後に思った…

    劇中人物達の“迷い”のようなものが赤裸々に綴られる感で、少し圧倒された…そういう辺りが、この天狗党の一件を扱った従前の作品とは一味違うと感じた…お勧め!!

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    2014年11月04日
  • 武田家滅亡

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     信玄亡き後の甲州武田家の棟梁となった勝頼だが、長篠で信長と家康の連合軍に破れたことにより、勢力が弱まる。しかしそれだけが原因で武田家は滅亡へとむかったわけではない。

     長篠後の武田家は増大する信長の勢力に対抗するために、南関東を支配する北条家から桂姫を輿入れさせ、同盟を結ぼうとする。


     嫁入り後の桂姫は二心なく一貫して両家の繁栄を祈り行動するが、勝頼の側近・釣閑の策謀により、武田家と北条家の関係は悪化する。金山の枯渇により軍資金の不足が深刻になったと判断した釣閑は北条家領内にある金鉱脈を狙ったのだ。


     武田家が無敵を誇れた一因は潤沢な軍資金にあったが、それも金山があってのこと。武将

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    2017年08月15日
  • 鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス

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    日本最強の戦艦 大和
    知らぬ者はないだろう
    大和を造った若き士官の物語

    大和が沈むまでの日本海軍の奮戦はいろんな書籍で知ることはあったが、造船に関する歴史は初めて知った
    造船も命懸けであり、そこで多くの命が失われた
    無理な計画を実現するために精神を病む人もいた
    戦争は戦地以外でも悲惨なのだ
    アメリカとの戦争は当時から回避するべきだと誰しもが思っていた
    国力が違いすぎるのだから
    それでも、誇りをかけて戦艦を作り、戦艦に乗りそして戦った
    戦争を美化するつもりはないが、やはり我々はそんな祖先を敬うべきだろう

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    2026年01月18日
  • デウスの城

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    面白かった!
    時代に翻弄された3人の若者が、信仰とは生き様とは悩み向き合い、その生き方がクロスするのがよかった。

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    2026年01月14日
  • 囚われの山

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    歴史的事件を追いながら過去と現在を行き来しながらやがて闇を描き出す、めっちゃ面白かった

    3112冊
    今年11冊目

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    2026年01月12日
  • 西郷の首

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    主人公に関する資料を探していた時、偶然出版されたこの本に出会った。山川の歴史用語辞典にも記載(1)(それも何十年も前の話し)でしかないこの主人公をなぜ選んだのか、どのように調べたのか機会があれば知りたい。タイトルには少々苦笑い(なぞかけのようにしばらく分からなかった)したが、主人公の思いを汲んで長編の物語として構成されたことが有難かった。

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    2026年01月07日
  • 維新と戦った男 大鳥圭介(新潮文庫)

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    幕臣 大鳥圭介の戊辰戦争を描く。
    ーそうだ。何事もあきらめなければ、必ず活路が見出せる。ー
    ー行けるところまで行き、しかるべき場所で死ねー

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    2026年01月03日
  • 天下大乱

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    様々な視点での描写でおもしろかった。関ケ原は、徳川の圧勝だが、家康も勝つか負けるかの大博打で、それでも腹を括った。西軍は、東よりも一枚岩でなく、どちらが勝っても自身の存続を図るものが多く、そこの差がでたのかな。

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    2025年12月21日
  • 北条五代 上

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    第一部は火坂氏が、第二部は(火坂氏の没後)伊東氏が著す。

    火坂氏は「天地人」は正直可もなく不可もなくという感じだった(大河ドラマの脚本よりはいいか、という程度)が、絶筆となった本書は流石に巧みさに磨きがかかっていた。このまま60代70代を迎えていたら更なる好著を生み出しただろう、と考えると惜しまれる。

    伊東氏は既に老練の域に達している。下巻では氏政や氏直、氏規や江雪斎をどの様に描くか楽しみ。氏政の蹉鉄をどう描いたか。

    ここまでアベレージの高い当主を五代に渡って輩出して来た北条(伊勢)氏というのは武家社会では異質の存在ではないか。何か現代社会の老舗オーナー企業に通ずる安定感がある。

    ジュ

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    2025年12月20日
  • オフリミッツ 横浜外事警察

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    まあ、若干スラスラ物語が展開しすぎている感じはしましたがこの時代ならではの事件と軋轢とラストもなかなか苦味ある作品で良かった。

    3082冊
    今年310冊目

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    2025年12月06日
  • 天下大乱

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    重苦しい空気感が漂う、リアリティがある展開が良かった。結末は知っているけど、どうしても輝元を応援したくなった。自分の凡庸さを知っているだけに大変な日々だっただろう。家康と重臣たちのやり取りは、軽妙で面白かった。

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    2025年10月23日
  • 威風堂々(上)-幕末佐賀風雲録<文庫版>

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    佐賀藩、大隈重信、共に偉大で関心と興味を持ちました。 佐賀に行ってみたいものです。
    長編でしたが、伊東潤は読ませますね。

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    2025年10月12日
  • 天地震撼

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    ネタバレ

    死期を悟った信玄は、自身の死後も武田家を安泰とするために、甲斐国を出陣し、徳川領への侵攻を開始する。
    それを察知した家康も信長に援軍を要請しつつ、武田軍団と戦う事を決する。

    帯の煽りの割に、三方原合戦が割とあっさり終わった…。
    ただそこに至るまでの武田、徳川両家の動きや過去の話が面白くて良かった。しばらく歴史小説は読んでいなかったけど、伊東潤さんを読んでからまた少しずつ読むようになった。

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    2025年09月26日