伊東潤のレビュー一覧

  • 武田家滅亡

    Posted by ブクログ

    主な視点人物は、北条家から武田家に嫁いだ桂と、彼女を迎えた武田勝頼ということになるのだが、本作は“群像ドラマ”の体裁だ。“派閥”のようなものが形成されて纏まらない武田家中の人々から地侍に至るまで、多くの人々が登場し、それぞれの「武田家滅亡」が、勝頼・桂夫妻の運命に収斂して行く…

    「上の立場」の物語も在るのだが…本作に関しては、「伊奈の地侍達」や「内膳と弥兵衛」というような男達の物語に強く惹かれる…

    本作は、何か「強い余韻」のようなモノも残る作品だ…或いは…本作のような「敗者の物語」というものは概してそうなのかもしれない…

    0
    2015年02月02日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

    Posted by ブクログ

    運命に弄ばれるかのようであり、同時に「徒手空拳から運命を拓く」かのように争いの一方の頭領格となる上杉景虎…揺れる心情や、迫られる選択等、景虎の生き様が活写される本作である…

    本作では…かの『天地人』の主役である直江兼続や上杉景勝は、「かなり手強い敵役」として登場している。彼らと対峙する上杉景虎が目指したモノは何だったのか?

    0
    2015年01月20日
  • 城を噛ませた男

    Posted by ブクログ

    タイトルは「城を噛ませた男」だけど、短編集なので
    ここの感想とかそうゆう類のものを書こうかな、と。

    見えすぎた物見…
    小さい集落である佐野家。そんな佐野家の筆頭家老である宝衍の話。
    当時の各勢力に、のらりくらりと応対しているのに対してお家を守るという義の塊なのではないかと。
    外様大名として生き残った佐野家だけども、この物見の仕事が出来過ぎる感が遺恨の原因となり
    結果的にお家取り潰しという何とも皮肉な話。
    宝衍の頑張りも確かによくわかるが、何でも頑張りすぎちゃいかんな…とか。

    鯨のくる城…
    北条家の傘下である伊豆国雲見の海での戦い話。
    鯨漁を主に生活している長、高橋丹波守のとんちにもに似た実

    0
    2014年12月01日
  • 義烈千秋 天狗党西へ

    Posted by ブクログ

    余りにも多くのことが次々に起こる時勢の中、とにかくも信じるところを訴えようとした一団が在り、無残に粛清された…敢えて一言で言えば、“天狗党”の歩みはそういうことになるのだろうか?何かそういう辺りに、煩雑な経過の“時代モノ”でありながら、強い“今日性”を滲ませる物語だった…更に余計な話しをすれば…本作は“映画原案”として好適かもしれないと読後に思った…

    劇中人物達の“迷い”のようなものが赤裸々に綴られる感で、少し圧倒された…そういう辺りが、この天狗党の一件を扱った従前の作品とは一味違うと感じた…お勧め!!

    0
    2014年11月04日
  • 武田家滅亡

    Posted by ブクログ

     信玄亡き後の甲州武田家の棟梁となった勝頼だが、長篠で信長と家康の連合軍に破れたことにより、勢力が弱まる。しかしそれだけが原因で武田家は滅亡へとむかったわけではない。

     長篠後の武田家は増大する信長の勢力に対抗するために、南関東を支配する北条家から桂姫を輿入れさせ、同盟を結ぼうとする。


     嫁入り後の桂姫は二心なく一貫して両家の繁栄を祈り行動するが、勝頼の側近・釣閑の策謀により、武田家と北条家の関係は悪化する。金山の枯渇により軍資金の不足が深刻になったと判断した釣閑は北条家領内にある金鉱脈を狙ったのだ。


     武田家が無敵を誇れた一因は潤沢な軍資金にあったが、それも金山があってのこと。武将

    0
    2017年08月15日
  • オフリミッツ 横浜外事警察

    Posted by ブクログ

    まあ、若干スラスラ物語が展開しすぎている感じはしましたがこの時代ならではの事件と軋轢とラストもなかなか苦味ある作品で良かった。

    3082冊
    今年310冊目

    0
    2025年12月06日
  • 天下大乱

    Posted by ブクログ

    重苦しい空気感が漂う、リアリティがある展開が良かった。結末は知っているけど、どうしても輝元を応援したくなった。自分の凡庸さを知っているだけに大変な日々だっただろう。家康と重臣たちのやり取りは、軽妙で面白かった。

    0
    2025年10月23日
  • 威風堂々(上)-幕末佐賀風雲録<文庫版>

    Posted by ブクログ

    佐賀藩、大隈重信、共に偉大で関心と興味を持ちました。 佐賀に行ってみたいものです。
    長編でしたが、伊東潤は読ませますね。

    0
    2025年10月12日
  • 天地震撼

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    死期を悟った信玄は、自身の死後も武田家を安泰とするために、甲斐国を出陣し、徳川領への侵攻を開始する。
    それを察知した家康も信長に援軍を要請しつつ、武田軍団と戦う事を決する。

    帯の煽りの割に、三方原合戦が割とあっさり終わった…。
    ただそこに至るまでの武田、徳川両家の動きや過去の話が面白くて良かった。しばらく歴史小説は読んでいなかったけど、伊東潤さんを読んでからまた少しずつ読むようになった。

    0
    2025年09月26日
  • 夢燈籠-野望の満州

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    満州を舞台にした歴史小説家と思いましたが、
    明治、大正、昭和、平成を生きた男の大河小説の第一部ということでした。
    本巻は主人公が生まれてから、出生の秘密を知り、関東大震災や筑豊炭田を経験し、
    張作霖爆殺事件に絡んで大陸で失踪した兄を捜しに新聞記者になって大陸に渡り、
    石原莞爾と知り合い、兄をかくまった匪賊とも知り合い、満州での石油発掘に邁進して、
    石原の失脚とともに夢破れるところまででした。
    満州が絡むので石原莞爾と知り合うのはわかりますが、
    草野心平や中原中也や長谷川泰子と知り合ったりするのは驚きで、
    子供の三島由紀夫や若き横田英樹が出てくることから、今後も政治だけでなく文学や経済も絡んでく

    0
    2025年09月13日
  • 鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス

    Posted by ブクログ

    戦艦大和をつくりあげる。とてつもなく膨大な作業であることは容易に想像できる。それをそれほど多くはない、しかも大学を出たばかりなどの若者が作る。その凄まじさを、丁寧に描写している。素晴らしい。
    しかしその目的石川県珠洲市は今一つだ。大和など作っても実際の戦争には役立たないことは誰にもわかっていたはずだろうに。主人公だって。ましてや戦争への抑止力?ありえなだろう。
    最後の方にある新聞記者を救う事件の話は余計。重厚な物語の中に突然安っぽい格闘劇が紛れ込んでしまった。もしこれが史実だとすればお笑いである。

    0
    2025年09月07日
  • 鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦目前、大艦巨砲主義から航空主兵主義へと戦略思想が移ろうなか、米英海軍に対抗するため計画された世界最大最強の戦艦建造。
    絶対不可能と目され、54名の殉職者を生むこととなった大プロジェクトに、若き造船士官たちは何を夢見ていたのか?
    大和が撃沈してから80年。戦闘のことについては知ってはいたものの、建造についてはあまり知らなかったので、とても興味深く読みました。とにかくすごい艦だったんだなぁと。毎日を普通に過ごせる時代に生きていることの有難さを噛みしめたいと思います。

    0
    2025年08月23日
  • 修羅奔る夜

    Posted by ブクログ

    書店でたまたま見つけて購入。表紙のねぶたの迫力と、「女ねぶた師」という帯に惹かれて。
    読み終わって純粋に、生でねぶた祭りを見たいと思った。ねぶたに懸ける青森の人の思いが、他のお祭りとは違った熱気になるのを感じてみたい。
    冒頭の紗栄子の葛藤は現代のサラリーマンに共通するところでもあり、紗栄子がやり切って、自分の人生をやり直す姿に元気をもらえた。

    0
    2025年06月21日
  • 天地震撼

    Posted by ブクログ

    武力に勝るものの、信玄の病のため、先を急ぐ武田軍。戦いを避けたいと思いつつ、信長からの圧力と、自らの領内を侵攻してきた武田軍に一矢報いたいと思う徳川軍。双方からの視点から西上作戦の物語が進みおもしろかった。

    0
    2025年06月04日
  • 修羅奔る夜

    Posted by ブクログ

    伊東潤の歴史ものではない物語。
    主人公が女性という伊東潤としては珍しいのではないだろうか。そして肝心の小説ですが、いや面白かった。ねぶた祭はいったことがないですが、これを読んで熱くなりました。そしてなんと一日で読み終わってしまいました。

    昔青森の人に「ねぶた」について熱く語られたことも思い出しました。

    この小説はNHKがドラマ化すると非常に受けるのではないだろうかと思った。

    0
    2025年05月15日
  • 天地震撼

    Posted by ブクログ

    戦国時代はまさに浪漫、野望、策略あらゆることが蠢きあってゾクゾクする。なおさら信玄、家康とのせめぎ合い、さらに今回は武田家の奥深い部分までストーリーが展開し、もう文句なし!

    0
    2025年04月25日
  • 江戸咎人逃亡伝

    Posted by ブクログ

    島脱け
    夢でありんす
    放召人討ち

    中編3つ。全部おもしろかった。あっという間に読み終わってしまった。
    特に「放召人討ち」は、「ジャパニーズ、ランボー」じゃん!主人公の又蔵がマタギの知識を駆使し、悪魔のような主君(追っ手)から逃げる話。ラストの落ちが最高です。
    「夢でありんす」はラストがちょっと残念・・・。

    0
    2025年04月19日
  • 天下人の茶

    Posted by ブクログ

    とても面白かったです。常に緊張感がある感じ、利休に関わった武将で話の幕が明け利休の野望で幕が閉じるという感じ。

    0
    2025年04月11日
  • 茶聖【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    リーダーとしての在り方、上役との付き合い方、現代にも通じる教訓のようなものが詰まっている。
    信念に沿っていきること見事過ぎて真似できない。死をも覚悟して志のもとに生きること、そんな生き方をすると日々見える景色も違うのだろう。

    0
    2025年04月10日
  • 修羅奔る夜

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    歴史小説や時代小説でない作家さんの作品は初めてで、しかも女性が主役ということで、なんだか新鮮だった。
    問題は出てくるけど案外あっさり解決していく感はあったし、最後は何もかも上手く行きすぎな感もあったんだけど、私は物語はハッピーエンドがいい派なのでそれもまた良し。
    病院の駐車場でのラストシーンは胸が熱くなった。

    0
    2025年03月30日