伊東潤のレビュー一覧

  • 江戸を造った男

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    以下、本文より引用。
    「わいなんか、取るに足らない男です。」
    「人なんてものは皆、取るに足らないもんさ。
    だがな、取るに足らない男ほど何事にも真摯に取り組む。
    そして成果を出す。その見本があんたさ」
    七兵衛と宗甫が声を上げて笑った。
    「いかにも、わいの人生はその繰り返しでした。
    人よりも劣るから人よりも懸命に働く。それだけです。」
    「それが、あんたって男を築いたんだね」
    宗甫は、「作った」ではなく「築いた」という言葉を使った。
    その理由が、七兵衛にもよく分かる。
    「宗甫さんも一芸を極めに極めた。
    それで、どれだけの人が喜んだか分かりません」
    「そう言ってくれると、人生の終わりを前にして、
    晴れ

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    2017年01月02日
  • 天地雷動

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    『天地雷動』は、よく知られている戦国時代の合戦と言い得る「長篠の戦」の裏表が多面的に描かれ、一軍の将から、兵站担当者、前線の兵というような多層的なドラマが展開する作品である。なかなかに面白い!!

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    2016年11月06日
  • 巨鯨の海

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    伊東潤氏の作品は戦国物を何作か読んだかハズレなし、何れも素晴らしかった。
    伊東氏の目線を通すと戦国武将の誰を描いても生き生きしていて読み応えがある。

    今回は太地という鯨漁を生業とする土地の歴史を江戸初期から明治初期に渡って描かれた物語。
    今まで読んだ物とは趣向が違ったが又素晴らしかった。
    日本人が生まれ育った土地に縛られながらも生を全うする過酷さと尊さをこんな風に描けるなんて!

    司馬遼太郎さんを信奉する私だが伊東潤氏の作品からも同様の感動を得ることが出来る。
    これからも読み続けたい作家だ。

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    2016年07月16日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    「吹けよ風、呼べよ嵐」
    甲斐の武田と越後の上杉に挟まれた信濃の小豪族たちの生き残りを賭けた戦い。そして史上最も有名な戦の一つ、川中島の戦いの火蓋が切って落とされる。
    全然知らない須田一族が主人公ですが、面白いです。
    「真田丸」が始まってから、やたら信濃の小豪族たちを描いた小説が目につきます。流行ですかね。
    それよりも興味が湧いたのは本書の題名。これってピンクフロイドの登録商標じゃないの?
    念の為にググってみましたが、ピンクフロイドとブッチャーしか出てきません。
    魅惑的なフレーズですがピンクフロイドに許可は取ったのでしょうか。そもそも「one of these days」がなんで「吹けよ風、呼べ

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    2016年06月28日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    伊東潤さんの本を月1ぐらいで読み漁っていますが
    今月読んだこの「北天蒼星」もおもしろかったですね。

    上杉謙信が亡くなった後に勃発する跡目争い。
    その敗者側の上杉景虎の視点で書かれた小説。

    今まで自分自身が感じていたこの跡目争いのイメージを
    根本からひっくり返された、歴史ってあらためて視点によって全然見え方が違うということを
    知りました。

    なにせみんな大好き直江兼続が徹底的に悪役。
    若干20歳そこそこで景勝を操り、景虎を陥れていく様はすごく苦々しいものがあります。

    なぜこの跡目争いが勃発したのか
    なぜ圧倒的に有利に見えた景虎側は御館の乱に敗れたのか
    そしてなぜこれほどまでに凄惨な終わり方

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    2016年06月26日
  • 巨鯨の海

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    日本人の心
    生きるためにすること
    風土と文化 を久しぶりに感じた。
    行ったことのある地域ですので非常にリアルな感じ非常に読みやすく良かった

    なんか最後涙が出た

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    2015年10月13日
  • 巨鯨の海

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     紀伊半島の漁村・太地。そこで組織捕鯨を確立し、日々鯨に挑む漁師たちの姿を描いた連作。

     「なんという迫力……」

     この小説を読み終えた時の感想を最も簡潔に表すとこうなります。

     太地の人々の鯨漁はもはや漁ではありません。それは戦いなのです。時に十数メートル以上の鯨に対し銛を打ち込み、何度も網をかけ少しずつ弱らせ最後にとどめを刺す…。言葉にすればただそれだけの話なのですが、その描写力たるや…

     太地の漁師たちの息遣いやピリピリした感じももちろん伝わってくるのですが、さらにすごいのは狩られる側である鯨の生きたい、死んでたまるか、という気持ちすらも伊東さんが書き込んでいること。

     作中で

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    2015年10月01日
  • 巨鯨の海

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    「山田風太郎賞」受賞作ってことで、文庫化を待望していた作品。過去の受賞作品から、まず期待外れってことはないだろうと思っていたけど、これもまた高品質でした。捕鯨に生きる村を舞台にした、時代をまたいでの短編集。迫力満点の捕鯨シーンもさることながら、それに対峙する人々の描写も活き活きしていて、どの作品も素晴らしかった。この作者の他の話題作も読んでみたいと思いました。

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    2015年09月24日
  • 巨鯨の海

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    太地・鯨シリーズの第一弾。江戸時代末期から明治時代までの紀伊半島の漁村・太地で組織捕鯨に携わる男たちを描いた連作短編集。いずれも読み応えのある6編を収録。

    鯨と人間が対等に近い立場で、命をやり取りをした時代…太地鯨組の厳しい掟と捕鯨に携わる男たちの勇気と苦悩。若者は捕鯨を通じて成長し、若者を導く年長者はいつか身を引いていく。

    『旅刃刺の仁吉』。流れ者の刃刺の仁吉が太地鯨組の中での地位を確立していくと共に妾腹の音松に刃刺への道を示す。

    『恨み鯨』。鯨組の厳しい掟の中で生きていく親子と物哀しい家族愛を描いた佳作。

    『物言わぬ海』。耳が聞こえない喜平次と刃刺となった与一の友情とその間に立ちは

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    2015年09月16日
  • 国を蹴った男

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     6編収録の歴史小説短編集。

     伊東潤さんの作品は”熱い”です! 
    戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を
    描くからか、伊東さんも作品を書いている時、
    アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの
    ではないかと自分は感じています。
    そのアドレナリンが作品を通して読者である
    自分に伝わってくるように思います。だから
    ”熱い”のです!

    どの短編も読み応え十分の傑作・佳作揃いですが
     いわゆる傭兵的存在である武田軍の牢人衆を
    描いた「牢人大将」は彼らの心意気が非常に
    カッコいい作品です。

    「天に唾して」は時の権力者、豊臣秀吉と最後
    まで戦い抜いた茶人の山上宗二の姿や心理描写が
    凄まじくそして素

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    2015年06月14日
  • 武田家滅亡

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    主な視点人物は、北条家から武田家に嫁いだ桂と、彼女を迎えた武田勝頼ということになるのだが、本作は“群像ドラマ”の体裁だ。“派閥”のようなものが形成されて纏まらない武田家中の人々から地侍に至るまで、多くの人々が登場し、それぞれの「武田家滅亡」が、勝頼・桂夫妻の運命に収斂して行く…

    「上の立場」の物語も在るのだが…本作に関しては、「伊奈の地侍達」や「内膳と弥兵衛」というような男達の物語に強く惹かれる…

    本作は、何か「強い余韻」のようなモノも残る作品だ…或いは…本作のような「敗者の物語」というものは概してそうなのかもしれない…

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    2015年02月02日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    運命に弄ばれるかのようであり、同時に「徒手空拳から運命を拓く」かのように争いの一方の頭領格となる上杉景虎…揺れる心情や、迫られる選択等、景虎の生き様が活写される本作である…

    本作では…かの『天地人』の主役である直江兼続や上杉景勝は、「かなり手強い敵役」として登場している。彼らと対峙する上杉景虎が目指したモノは何だったのか?

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    2015年01月20日
  • 城を噛ませた男

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    タイトルは「城を噛ませた男」だけど、短編集なので
    ここの感想とかそうゆう類のものを書こうかな、と。

    見えすぎた物見…
    小さい集落である佐野家。そんな佐野家の筆頭家老である宝衍の話。
    当時の各勢力に、のらりくらりと応対しているのに対してお家を守るという義の塊なのではないかと。
    外様大名として生き残った佐野家だけども、この物見の仕事が出来過ぎる感が遺恨の原因となり
    結果的にお家取り潰しという何とも皮肉な話。
    宝衍の頑張りも確かによくわかるが、何でも頑張りすぎちゃいかんな…とか。

    鯨のくる城…
    北条家の傘下である伊豆国雲見の海での戦い話。
    鯨漁を主に生活している長、高橋丹波守のとんちにもに似た実

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    2014年12月01日
  • 義烈千秋 天狗党西へ

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    余りにも多くのことが次々に起こる時勢の中、とにかくも信じるところを訴えようとした一団が在り、無残に粛清された…敢えて一言で言えば、“天狗党”の歩みはそういうことになるのだろうか?何かそういう辺りに、煩雑な経過の“時代モノ”でありながら、強い“今日性”を滲ませる物語だった…更に余計な話しをすれば…本作は“映画原案”として好適かもしれないと読後に思った…

    劇中人物達の“迷い”のようなものが赤裸々に綴られる感で、少し圧倒された…そういう辺りが、この天狗党の一件を扱った従前の作品とは一味違うと感じた…お勧め!!

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    2014年11月04日
  • 武田家滅亡

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     信玄亡き後の甲州武田家の棟梁となった勝頼だが、長篠で信長と家康の連合軍に破れたことにより、勢力が弱まる。しかしそれだけが原因で武田家は滅亡へとむかったわけではない。

     長篠後の武田家は増大する信長の勢力に対抗するために、南関東を支配する北条家から桂姫を輿入れさせ、同盟を結ぼうとする。


     嫁入り後の桂姫は二心なく一貫して両家の繁栄を祈り行動するが、勝頼の側近・釣閑の策謀により、武田家と北条家の関係は悪化する。金山の枯渇により軍資金の不足が深刻になったと判断した釣閑は北条家領内にある金鉱脈を狙ったのだ。


     武田家が無敵を誇れた一因は潤沢な軍資金にあったが、それも金山があってのこと。武将

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    2017年08月15日
  • 真実の航跡

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    良かった
    戦後に、いわゆる戦犯になった人間の弁護を通して戦争とはや尊厳などの心を描き熱い物語が展開します

    3234冊
    今年133冊目

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    2026年05月24日
  • 天下大乱

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    この辺の話を最初から知っていると、イメージが湧いて楽しめる。
    そうでない人、興味のない人はそうでもないかも。

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    2026年05月23日
  • 池田屋乱刃

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    池田屋騒動について、それに関わった複数人の志士の立場や視点が描かれており、様々な思いが錯綜しながらこの出来事に至ったのだということがよく描かれていた。

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    2026年05月10日
  • 悪左府の女

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    類まれなる知性と厳格さで、摂関家の再興に執念を燃やす左大臣・藤原頼長。権力を盤石にするため、多子を近衛天皇の入内(じゅだい)へと送り込む。しかし、頼長のあまりに潔癖で妥協を許さない政治手法は、周囲の貴族や皇族、台頭する武士たちの反発を招き、やがて時代は凄惨な内乱「保元の乱」へと突き進んでいく。政争の道具とされた多子が、滅びゆく頼長の背中を見つめながら見出した、自らの生き様とは。。。特徴は、王朝文化の終焉と退廃を見事に小説の中で描き切った点かな。そして、頼長の信念である「理」や「法」と、多子が抱く「情」との対立が物語の通奏低音となっており、読後には滅びゆく美しさと哀愁が深く残りまよ~。

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    2026年04月28日
  • 峠越え

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    桶狭間、姉川、三方ヶ原、長篠など家康の局所となる戦が描かれている。

    本能寺については、そういう展開にするかーとまた新しい解釈で楽しめた。

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    2026年04月12日