伊東潤のレビュー一覧
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購入済み
戦後はまだ終わっていない
伊東潤氏の現代ものを初めて読んだ。横浜が舞台の警察小説ということで、はじめは
森詠の「横浜狼犬シリーズ」みたいな作品を想像していたが、全然違っていた。
伊東氏の文章は読みやすく、また多くの史実を丹念に調査して書かれているものが
多いので殆どハズレがない。本作はオリンピック直前の横浜で発生する連続女性殺人
事件を追って、ハーフの日本人警官(ソニー沢田)とアメリカ軍のSP(ショーン坂口)
が活躍するという筋立てだが、戦後約20年を経過しても日本に駐留を続けるアメリ
カ軍兵士に、日本人がどのように映っていたのかがよくわかった。そして、その傾向
はおそらく今も変わっていない。アメリカ人( -
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所謂「北条五代」(早雲・氏綱・氏康・氏政・氏直)の中、二代目の氏綱の頃から、豊臣秀吉との戦いに敗れる五代目の氏直の時代までを背景に6つの挿話で構成されている物語である。
6つの挿話を通読すると、北条家が勢威を拡大し、関東の覇者となり、そして滅ぼされてしまうまでの経過が視えるのだが、本作はそういう経過を少し変わった視点で描いている。代々の北条家に仕え続けて独特な活動を展開していたという大藤家の人達を主要視点人物に据えて各挿話が綴られているのだ。
最初の挿話の冒頭は「城をひとつ、お取りすればよろしいか」という台詞で始まる。この『城をひとつ』が最初の挿話の題名であり、同時に本作全般の題名ともなってい -
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2022-06-17
「修羅の都」(伊東 潤)を読んだ。
約三年ぶりに再読。
伊東潤氏の"してやったり"という顔が目に浮かぶようだ。
我々読者はもはや抵抗する術もなくがっちりとハートを鷲掴みにされて、はやる気持ちを抑えつつページを繰るのであった。
『永井版 政子』も悪くはないのだが、私はこちらに軍配を。
2019-09-24
「修羅の都」(伊東 潤)を読んだ。
透徹した視線で頼朝と政子の生き様を見事に描ききる。
抑え気味の筆致がクライマックスにおいて一気に極限の高みに駆け上る。
嗚呼、痺れる!
これは伊東潤氏の代表作のひとつになるかもしれない。 -
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本作は「米国人の風貌を持つ日本人」(=ソニー沢田)と「日本人の風貌を持つ米国人」(=ショーン坂口)という“境界”に在るような、やや複雑な背景の視点人物達を設定している。そして物語が、「戦後から高度成長の真っただ中へ」、「オリンピックを経て大きく踏み出そうとする前夜」という時代の“境界”という状況下に在る1963年の横浜で展開するのだ。
“境界”に在るような、やや複雑な背景の視点人物達が、警察官や憲兵という「正義を貫く職分」で「正義を貫きたい」とする強い想いを抱きながら、「色々な事情」の下で苦闘する、“境界”を蠢くというような感もした物語だ。全般として、各々の社会で「やや異質?」な者達が自身と社 -
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ネタバレ鎌倉時代の終焉から建武の新政、南北朝、室町幕府が勃興するあたりの時代には疎く、この作品の主人公「高師直」も名前ぐらいしか知らなかったが…。伊東潤の筆のおかげもあるんだろうが、思ってたよりずっとオモロい小説だった。
高師直といえば、名前しか知らない俺でも、日本史の中では名だたる悪役だと知ってるくらいのワル。主人公に持ってくる人物がシブいよなぁ。
彼には「実力主義で野心と栄達に強欲」という一本まっすぐな信念が貫かれている。そのためには既得権益や情やそんなものは一切無用、皆が仲良く平和に暮らす世界などクソくらえだと豪語する。いやーワルい、潔い。ワルの信念を貫き、主君足利尊氏に天下をとらせるため東奔