伊東潤のレビュー一覧

  • 修羅の都

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    苦しい苦しい小説であった。特に、大姫……そして、鎌倉府、家族、病に思い悩む頼朝……政子も如かり……

    私は、何を守って生きていくのか。

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    2018年03月21日
  • 巨鯨の海

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    ネタバレ

    江戸時代から明治にかけての紀州太地における集団鯨漁を題材にした短編小説集。さすが伊東潤ブランド、捕鯨の迫力、人間ドラマ、漁という職種のもつ悲劇性…どれも漏らすことなく丁寧に描かれていて読ませる。この人、ホンマに上手いなぁ。

    捕鯨については色々意見もあるだろう。
    俺は「食うために獲る命ならやむを得ないだろう」派だが、一部反捕鯨団体とそれに対する一部反反捕鯨団体の、お互いヒステリックな応酬には辟易している派でもある。
    命を戴くとは、という本来一番考えなければいけないテーマをないがしろにして、ああいうバカげたことをする連中のいうことなどなんの中身もない。
    捕鯨文化の歴史、鯨の生態、経済や地域に及ぼ

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    2018年03月15日
  • 修羅の都

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    大好きな伊東さんの最新作。


    戦国時代ものもいいですが、

    平安時代を取り上げた「悪左府の女」や南北朝時代を取り上げた「野望の憑依者」

    も抜群におもしろかったので、今回の鎌倉時代草創期を取り上げた本作も相当期待していました。



    結果やっぱりめっちゃおもしろい。

    通説ではほとんど語られない源頼朝の冷徹さやいかに武士の世の中を築いたか

    そして末期の綻び、北条政子や執権の一家となる北条家の成り上がりなど

    これは新説で本当におもしろい。一気読みでした。

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    2018年03月12日
  • 城を噛ませた男

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    伊東潤の別の短編集「国を蹴った男」がたいそう面白かったので本書を買ってみがのだが,期待に違わず満足感の得られる一冊.
    「見えすぎた物見」関東で北条と上杉の間で苦悩する佐野家が智恵で戦国を生き抜き,その智恵のために江戸幕府に取りつぶされるまで.
    「鯨の来る城」秀吉軍を迎え撃つ北条家の家臣の籠城戦.
    「城を噛ませた男」真田昌幸の極悪非道な策略.
    「椿の咲く寺」旧武田家臣の家康への復讐の顛末.
    「江雪左文字」”真田丸”で有名になった江雪斎の関ヶ原の戦いにおける小早川への調略とその後.
    江雪斎の話が良かったなあ.

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    2018年02月24日
  • 武士の碑

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    何故、この国の最後になる内なる戦いが、無ければならなかったのか?西郷と大久保の次には・・・。一人の後継者であったかもしれないこの男の人生。パリでの日々も又、愛おしい。

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    2018年02月09日
  • 義烈千秋 天狗党西へ

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    「水戸天狗党」という言葉は聞いたことがありましたが、去年「恋歌」を読んであまりの壮絶な出来事に驚きました。
    ボタンをひとつ掛け違えたように悲劇に転じていく様がわかりました。それにしてもこの時代は藩がまさに「国」だったのですね。藩の矜持なのでしょうが、遺体を藩に持ち帰り、改めて磔にするなど、現代の私にはただただ残酷なことにしか思えませんでした。大義に殉じた侍たちの意志は崇高ですが、彼らが新政府で活躍していたらと思わずにはいられません。

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    2017年11月27日
  • 国を蹴った男

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    ネタバレ

    いずれも主役になることのなかった人物が主人公の6編.長束や佐久間は名が通っているが,それ以外に本当に聞いたことのない(実在かどうか分からない)人物が主人公の話もあり.
    秀吉の小田原攻めに北条側として立ち会うこととなった茶人が主人公の「天に唾して」が痛快である.ちなみに,6編の主人公達は全員死にます.

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    2017年09月12日
  • 決戦!関ヶ原

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     怪僧恵瓊(木下昌輝著)は文庫版でのみ参戦。対するは毛利元就や、毛利の両川に比べて智謀に劣る毛利隆元が率いる毛利本家を案ずる、吉川広家。徳川家康に弓引かないことで、本領安堵を狙ったが…。敗戦後囚われても何故か余裕を見せる恵瓊。この一作も快作、買って損無し!

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    2017年07月25日
  • 天地雷動

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    元々織田信長が読みたくて買ったのですが、織田信長の周りの武田勝頼、徳川家康、豊臣秀吉、および地侍帯刀各々の目線で、長篠の戦いまでが描かれています。私はあまり歴史ものを読んだことが無く、また歴史自体も恥ずかしい理解レベルですので、「え?そうだったの?」とか「へえ、そうだったんだ!」と思う箇所が多く、とても楽しめました。特に武田信玄が亡くなった後の武田家については全然知らなかったのだなあと。同じ著者の方が書かれた「武田家滅亡」も読みたく思っています。

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    2017年07月20日
  • 天地雷動

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    大好きな伊東さんの本をようやく読めました。


    金曜日の夜と土曜日の朝で一気読み。

    相当読書に飢えてました。



    舞台は武田信玄の死から長篠の戦いに向かう2年ほどの期間。



    武田勝頼、徳川家康、羽柴秀吉

    この3人の視点で物語が展開します。



    時代の中では、信玄の死から長篠の敗戦までの武田家滅亡への軌跡

    は必然のように思われていますが

    決してそんなことをなく、家康が滅亡を意識したほどに勝頼に追い詰められた場面もあり

    それゆえに長篠の戦いというのが、いかに重要なターニングポイントになったかが

    この本を読むと気づかされます。

    伊東さんお得意の合戦シーンも臨場感たっぷりでおもし

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    2017年04月08日
  • 江戸を造った男

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    以下、本文より引用。
    「わいなんか、取るに足らない男です。」
    「人なんてものは皆、取るに足らないもんさ。
    だがな、取るに足らない男ほど何事にも真摯に取り組む。
    そして成果を出す。その見本があんたさ」
    七兵衛と宗甫が声を上げて笑った。
    「いかにも、わいの人生はその繰り返しでした。
    人よりも劣るから人よりも懸命に働く。それだけです。」
    「それが、あんたって男を築いたんだね」
    宗甫は、「作った」ではなく「築いた」という言葉を使った。
    その理由が、七兵衛にもよく分かる。
    「宗甫さんも一芸を極めに極めた。
    それで、どれだけの人が喜んだか分かりません」
    「そう言ってくれると、人生の終わりを前にして、
    晴れ

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    2017年01月02日
  • 天地雷動

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    『天地雷動』は、よく知られている戦国時代の合戦と言い得る「長篠の戦」の裏表が多面的に描かれ、一軍の将から、兵站担当者、前線の兵というような多層的なドラマが展開する作品である。なかなかに面白い!!

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    2016年11月06日
  • 巨鯨の海

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    伊東潤氏の作品は戦国物を何作か読んだかハズレなし、何れも素晴らしかった。
    伊東氏の目線を通すと戦国武将の誰を描いても生き生きしていて読み応えがある。

    今回は太地という鯨漁を生業とする土地の歴史を江戸初期から明治初期に渡って描かれた物語。
    今まで読んだ物とは趣向が違ったが又素晴らしかった。
    日本人が生まれ育った土地に縛られながらも生を全うする過酷さと尊さをこんな風に描けるなんて!

    司馬遼太郎さんを信奉する私だが伊東潤氏の作品からも同様の感動を得ることが出来る。
    これからも読み続けたい作家だ。

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    2016年07月16日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    「吹けよ風、呼べよ嵐」
    甲斐の武田と越後の上杉に挟まれた信濃の小豪族たちの生き残りを賭けた戦い。そして史上最も有名な戦の一つ、川中島の戦いの火蓋が切って落とされる。
    全然知らない須田一族が主人公ですが、面白いです。
    「真田丸」が始まってから、やたら信濃の小豪族たちを描いた小説が目につきます。流行ですかね。
    それよりも興味が湧いたのは本書の題名。これってピンクフロイドの登録商標じゃないの?
    念の為にググってみましたが、ピンクフロイドとブッチャーしか出てきません。
    魅惑的なフレーズですがピンクフロイドに許可は取ったのでしょうか。そもそも「one of these days」がなんで「吹けよ風、呼べ

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    2016年06月28日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    伊東潤さんの本を月1ぐらいで読み漁っていますが
    今月読んだこの「北天蒼星」もおもしろかったですね。

    上杉謙信が亡くなった後に勃発する跡目争い。
    その敗者側の上杉景虎の視点で書かれた小説。

    今まで自分自身が感じていたこの跡目争いのイメージを
    根本からひっくり返された、歴史ってあらためて視点によって全然見え方が違うということを
    知りました。

    なにせみんな大好き直江兼続が徹底的に悪役。
    若干20歳そこそこで景勝を操り、景虎を陥れていく様はすごく苦々しいものがあります。

    なぜこの跡目争いが勃発したのか
    なぜ圧倒的に有利に見えた景虎側は御館の乱に敗れたのか
    そしてなぜこれほどまでに凄惨な終わり方

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    2016年06月26日
  • 巨鯨の海

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    日本人の心
    生きるためにすること
    風土と文化 を久しぶりに感じた。
    行ったことのある地域ですので非常にリアルな感じ非常に読みやすく良かった

    なんか最後涙が出た

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    2015年10月13日
  • 巨鯨の海

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     紀伊半島の漁村・太地。そこで組織捕鯨を確立し、日々鯨に挑む漁師たちの姿を描いた連作。

     「なんという迫力……」

     この小説を読み終えた時の感想を最も簡潔に表すとこうなります。

     太地の人々の鯨漁はもはや漁ではありません。それは戦いなのです。時に十数メートル以上の鯨に対し銛を打ち込み、何度も網をかけ少しずつ弱らせ最後にとどめを刺す…。言葉にすればただそれだけの話なのですが、その描写力たるや…

     太地の漁師たちの息遣いやピリピリした感じももちろん伝わってくるのですが、さらにすごいのは狩られる側である鯨の生きたい、死んでたまるか、という気持ちすらも伊東さんが書き込んでいること。

     作中で

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    2015年10月01日
  • 巨鯨の海

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    「山田風太郎賞」受賞作ってことで、文庫化を待望していた作品。過去の受賞作品から、まず期待外れってことはないだろうと思っていたけど、これもまた高品質でした。捕鯨に生きる村を舞台にした、時代をまたいでの短編集。迫力満点の捕鯨シーンもさることながら、それに対峙する人々の描写も活き活きしていて、どの作品も素晴らしかった。この作者の他の話題作も読んでみたいと思いました。

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    2015年09月24日
  • 巨鯨の海

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    太地・鯨シリーズの第一弾。江戸時代末期から明治時代までの紀伊半島の漁村・太地で組織捕鯨に携わる男たちを描いた連作短編集。いずれも読み応えのある6編を収録。

    鯨と人間が対等に近い立場で、命をやり取りをした時代…太地鯨組の厳しい掟と捕鯨に携わる男たちの勇気と苦悩。若者は捕鯨を通じて成長し、若者を導く年長者はいつか身を引いていく。

    『旅刃刺の仁吉』。流れ者の刃刺の仁吉が太地鯨組の中での地位を確立していくと共に妾腹の音松に刃刺への道を示す。

    『恨み鯨』。鯨組の厳しい掟の中で生きていく親子と物哀しい家族愛を描いた佳作。

    『物言わぬ海』。耳が聞こえない喜平次と刃刺となった与一の友情とその間に立ちは

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    2015年09月16日
  • 国を蹴った男

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     6編収録の歴史小説短編集。

     伊東潤さんの作品は”熱い”です! 
    戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を
    描くからか、伊東さんも作品を書いている時、
    アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの
    ではないかと自分は感じています。
    そのアドレナリンが作品を通して読者である
    自分に伝わってくるように思います。だから
    ”熱い”のです!

    どの短編も読み応え十分の傑作・佳作揃いですが
     いわゆる傭兵的存在である武田軍の牢人衆を
    描いた「牢人大将」は彼らの心意気が非常に
    カッコいい作品です。

    「天に唾して」は時の権力者、豊臣秀吉と最後
    まで戦い抜いた茶人の山上宗二の姿や心理描写が
    凄まじくそして素

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    2015年06月14日