伊東潤のレビュー一覧
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1902年1月23日、青森の駐屯地から陸軍第八師団第五連隊の210名が、豪雪の中、八甲田山への雪中行軍演習に出発した。だが、折からの天候悪化により猛吹雪で先が見通せず、道に迷い、199名の犠牲者を出す世界登山史上最大級の遭難件となった。 歴史雑誌の編集記者である菅原誠一は、特集企画のため、この八甲田雪中行軍遭難事件を調べるうちに、過去の「顛末書」には「遭難死200名」とあり、遭難兵士の人数が一致しないことに気付く。
取り憑かれたように青森で取材する菅原は、豪雪に消えた地元出身のもう一人の兵士・稲田庸三一等卒の存在を発見する。
稲田は歴史の闇に消された兵士なのかを調べようと -
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(1)読んだ本
システムエンジニアとして知恵と胆力で危険をくぐり抜け、江戸時代の各種インフラ構築事業に邁進していく「江戸を造った男」を読んだ。
こんな立派な人が江戸の始めにいたことを知らなかった。新井白石との交流や、堀田正俊の刃傷事件のエピソードを絡ませながら、その活躍は見事である。
そして、いつか機会を見つけてこの偉人の足跡を辿りたい。
(2)感想
感動したポイントをビジネス、人としてのありかた、リーダ、仕事に対する心構え、家族愛に分類し、主人公のセリフをもとに、感想を述べたい。それらの一言一言に重みがある。
①ビジネスの基本
「あきないとは人のしないことをし人の望むものを望む形で供すること -
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2023年6月に伊東潤先生の 小説 走狗という本を読みました。
これは 幕末期の薩摩の武士階級の下の階級が出自であった初代警視庁大警視の 川路利良の生涯を書いた小説です。私は次の点で色々と感動と覚え、その感想を書いてみます。
(1)チャンスをものにできる強運にあやかりたい
彼は薩摩城下の近郊に生まれて 幼少の頃から大変 貧乏で 士族の子供達からいじめられるなど身分制度の厳しさに泣く外城士の出自の境遇の少年だったが、持ち前の 反骨精神とチャンスをものにする力によって出世をして行きました。
東京に出て幕府との戊辰戦争の時には相当な戦功をあげて、「川路の*ん*ま」エピソードはこれだけでも幸運 -
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天下大乱 伊東潤
大将が一つの城の攻め方や女たちの救出まで口を挟んでいては、大局に立って物事を判断する者が居なくなる。
戦略と戦術・作戦
物事には階層レイヤーがある
毛利元康 奮闘したが天下取りのリーダーではない
豊臣秀頼までのつなぎ
徳川家康は天下を取る決意・胆力がある
軍事力の優位性は西軍にあっても、実際の実力はリーダー次第 リーダー不明では発揮できない
淀殿の弊害 女が国政・軍事に口を挟む 視野は狭い
結局、豊臣家を滅ぼした
秀頼8歳が年長なら? タイミングは待てなかったか
この後、大阪冬の陣1614・夏の陣
結局、家康の策謀に嵌まる豊臣家
ただし当時「天下の構想」を持っていたのは家康 -
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伊東潤『囚われの山』中公文庫。
世界登山史上最大級の遭難と言われる199人もの犠牲者を出した1902年の八甲田雪中行軍遭難事件を題材にした長編ミステリー。
八甲田山雪中行軍遭難事件を描いた作品には、映画にもなった新田次郎『八甲田山死の彷徨』、伊藤薫『八甲田山 消された真実』などがあり、本作はミステリーということだが、一体どんな展開を見せてくれるのだろうか。
確かにミステリー小説だった。非常に面白い。120年前の悲劇が現代へと蘇るという、全く予想外の展開だった。現代の主人公が、悩む歴史雑誌の編集者である菅原誠一ならば、120年前の謎の鍵を握る主人公は一等卒として山口少佐の従卒を務めた稲田康 -
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一気読みの傑作
登場人物は歴史ファンにとって良く知る人ばかり。行末、結末も知ってはいるが、作者が精緻に書き綴る会話に思わず手に汗を握ってしまう。まるでその場に立ち会っていたかのような臨場感だ。なんどか同じ素材の小説を読んだが、ようやくスッキリした感じを得ている。
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本気が感じられるアンソロジーだ。全編、妥協がない。絶対に楽しい。
「地獄のアロハ」には、池田貴族など、早逝した友人たちをモデルにした人物が出てくる。オーケンの昔のエッセイをよく読んでその時代の空気感に憧れていた90年代生まれのわたしは、ホロリときた。そして後半のカオスにオーケンやっぱり天才か…と。
「なまはげ」には東北の寒さと閉塞した雰囲気にちょっぴりの優しさ(情けかも)を加えた味わいが。
「超自然現象」には圧倒される。人間椅子と文芸を好きでいたおかげで、今日もまた新たな興奮と刺激と出逢うことができました。物語は様式美的なカタストロフィ。
「遺言状放送」を読む前に、作者の長嶋さんが芥川賞を取