伊東潤のレビュー一覧
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織田信雄と北条氏規、どちらも戦国の檜舞台には上がらない人物と思っていたが最近読んだ本に氏規がよく登場し魅力を感じて本書を購入。
武将としての才能に優れていたが生まれが四男ということで運に恵まれなかった氏規、信忠の死によって織田家の中心と成り上がったがほぼ才能のない信雄。
どちらも時代と秀吉に翻弄され苦渋の人生を選ばされるのに無力感が伝わる。
特に信雄は惨めさが情けないのだが、なんとなく共感できる。弱いサラリーマンのようだ。
氏規についてはもっと活躍して欲しかったと思うし、家康の側室のお久との関係も切ない。そんなとこまで運がなかったのか。 -
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世界登山史上最大級の遭難と言われる1902年(明治35年)の八甲田雪中行軍遭難事件。
新田次郎氏著の『八甲田山死の彷徨』を原作として、1977年に映画化された『八甲田山』。
軍規を盾に、兵隊に強要する理不とも云える命令、そのために生じた悲惨な事態が描かれていた。
雪中行軍の特集記事を書くにあたって、歴史雑誌編集者の菅原誠一が資料を調べていると、行軍総数210名中、遭難者数は199人とされているのだが、実は200人だったのではとの疑問点を見つける。
この1名の兵隊は、何らかの事情があって軍が隠蔽したのではと推測し、その真相に迫ろうと八甲田に取り憑かれたように資料収集と現場での取材に入り込んで行 -
Posted by ブクログ
捕鯨を題材にした作品なので、鯨と人との勇壮な闘いが物語の中心なのだろうと勝手に思い込んで読み始めたのだが、視点が違っていた。
飢えて死ぬことが珍しくなかった時代に、鯨を捕ることで、地域全体が栄え、支え合って生きていける。集団で闘えば、集団みんなが生きていける。生きていくために強固に結びつき、生きていくためには強固に結びつかなければならない。その閉じた社会を維持するための絶対的な掟の下で、闘って生活の糧を得るために、特殊技能を磨き上げていく。それが生きることの全て。
集団として生きる個。生きる手段が生きる目的だった。そこに訪れた時代の大きな転換。題材は捕鯨ではなかったのかもしれない。