あらすじ
剛腕の歴史小説旗手が放つ川中島合戦!
義を貫いてこそ―
上杉謙信と武田信玄が鎬を削る北信濃の地で、若武者須田満親が、才を磨き、戦塵を駆け抜ける!
徹底的な現地取材を基に描く新たな合戦像!
時は戦国、あまたの武将ひしめく北信濃の地。甲斐の武田晴信(信玄)は、今川・北条と盟を結びつつ野望の眼を北に向けた。北信の盟主村上義清に忠義を尽くす須田家の後継満親と、従兄にして刎頸の友でもある須田庶家の信正。川中島に所領を持つ二人の若者は悩み、葛藤する。道は二つ、裏切ってでも生き残りを策すべきか、滅ぼうとも義を貫くか。やがて武田の脅威に抗しきれなくなった時、満親は越後の長尾景虎(上杉謙信)に支援を請う使者に立った……。北信濃を巡って謙信の義と信玄の欲が火花を散らす中、流転を強いられる須田一族の運命は――。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「吹けよ風 呼べよ嵐」(伊東 潤)を読んだ。信玄や謙信目線の川中島決戦ではなく『須田満親』目線の川中島決戦が新鮮で面白い。またしても伊東潤氏の妙手にしてやられた感たっぷりである。今年の夏に(今はもう静かな)川中島古戦場跡とか海津城跡とか行ったんだよね。読んでから行けばよかったな。
Posted by ブクログ
「吹けよ風、呼べよ嵐」
甲斐の武田と越後の上杉に挟まれた信濃の小豪族たちの生き残りを賭けた戦い。そして史上最も有名な戦の一つ、川中島の戦いの火蓋が切って落とされる。
全然知らない須田一族が主人公ですが、面白いです。
「真田丸」が始まってから、やたら信濃の小豪族たちを描いた小説が目につきます。流行ですかね。
それよりも興味が湧いたのは本書の題名。これってピンクフロイドの登録商標じゃないの?
念の為にググってみましたが、ピンクフロイドとブッチャーしか出てきません。
魅惑的なフレーズですがピンクフロイドに許可は取ったのでしょうか。そもそも「one of these days」がなんで「吹けよ風、呼べよ嵐」になったのでしょう。
題名を付けたのは何処のどなたなのでしょう。イーグルスの「one of these night」は「呪われた夜」なのに。
くだらない疑問が嵐の様にうずまく今日この頃でした。
Posted by ブクログ
川中島の戦い,及びその前の村上義清と武田信玄の信濃をめぐる攻防を北信濃の一豪族,須田氏の若き当主須田弥一郎こと満親を主人公に描く.上杉謙信側から見ているので当然信玄は悪者である.
Posted by ブクログ
高校生の頃、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を読みはじめ、彼の作品をあらかた読んだあと、山岡さん新田さんもかなりつつきました。その頃は、記憶もまあまあしっかりしていて、武将の名がたくさん出てくるのもへっちゃらでしたが、今回はそれに慣れるのがたいへんでした。たしか?新田さんの「武田勝頼」でもそのほかの作品でも武田家目線のものがほとんどだったと思います。上杉対武田を義対欲と描いたこの作品は新鮮で楽しむことができました。
歴史小説、やっばりいいですね。
Posted by ブクログ
主人公は、北信濃の武将・須田満親。満親は海津城(松代城)代となり真田信繁とも因縁を持つのだけれど、それは後の話。この作品では、真田幸綱の調略で武田方に寝返った分家に故郷を追われて長尾景虎を頼るようになってから、5度にわたる川中島合戦が終わるまでを描く。大国同士の争いに翻弄される小領主の悲哀は、まるで現代の国際政治を見ているかのよう。第四次川中島合戦は手に汗握るほどスリリング。従兄弟の須田信正を好敵手に置いたのが上手い。
Posted by ブクログ
川中島決戦を舞台に、信玄と謙信二人の大名の間で生き抜こうとする二人の若武者の物語。
どうしても大国に注目が集まるのは、エンタメとしても学問としても仕方がないところではありますが、その裏というか下というか、知られることのない部分に多くの人々が暮らしていたことを忘れてはいけない知っておきたい。
だって、自分もそういう存在の一人だから。
大名の生き様、処世術を学ぶのもいいけど、何者でもない人々の人生こそがきっと学ぶことが多いと思います。
まあ、物語の主人公になっている時点で、名もなき存在ではない、と無粋なこと思うこともある。
いつでもどこでも誰からでも、学ぶことがあるということですよ。影響を受けるものがある、ということです。
ふわっとした感想だな、読んでいない人間が書いているみたいだな。
Posted by ブクログ
2024.3.16完了
時代背景といい、小国人の須田氏を扱うあたり興味津々に拝読させていただきました。伊東潤氏の作品だし外すことはない。なにより須田氏の親族関係が知れたのは良かった。
須田一族を完結させていないところも良い。
Posted by ブクログ
北信濃の須田満親。上杉謙信のもと、義を貫いて、戦い抜いていく生涯を描く。信玄、謙信の合戦を謙信目線にて、捉えている。川中島の合戦について、かなり詳細に書かれており、読み応えがある。
Posted by ブクログ
須田満親、知らなかったなぁ。wikipedia見ると、謙信、景勝と仕え、重用されたらしい。この物語はその前半生、第5次川中島の戦いまでとなる。まだまだ知らないいい武将がいるな、と思えただけで、良しとしたい。
Posted by ブクログ
真田丸の少し前の時代、武田晴信が甲府から撃って出て、信濃を足掛かりに越後を狙おうとするその時期に、信濃の地を守り抜こうとする信濃の国衆がいた。
自ら喰うに足りる分の領地を治めるだけでは飽き足らず、自らに歯向かうものには、容赦なくその矛先を向ける。
必要とあらば、調略の限りを尽くし、親兄弟までもを裏切らせ、国を制圧していく武田勢。
そのいわば合理的という戦い方に対し、義を重んじ武士たろうとする若武者須田満親。
その須田満親を中心に描きつつ、五度にわたる川中島の決戦を描くのは伊藤潤。
これが、面白くないわけはなかろうという布陣で、結果その通り面白く最後まで読み切った。
須田満親、長尾景虎、そして満親の親友須田信正。
それぞれが清々しく、潔かった。
Posted by ブクログ
川中島の戦いを,須田満親を主人公として描いている.自ずと上杉謙信側の目で捉えることになるが,武士によって死んでいく弱き者たちが哀しい.城の位置など地図が添付してあり,わかりやすかった.