あらすじ
【電子書籍特典】
『デウスの城』発刊記念対談「これからの宗教の役割」を収録。
関ヶ原の戦い、大坂の陣、
そして日本史上最大級の内戦・島原の乱。
幕府軍12万vs一揆軍3万7000
三人の若きキリシタン侍に待ち受ける試練。
信仰の自由を懸けた最後の戦いが始まる!
歴史小説の第一人者、新たなる代表作!
神とは。信仰とは。生きるとは。
天下分け目の関ヶ原の戦いに西軍で参陣した小西行長の小姓・彦九郎と善大夫、そして肥後の地で守りにつく佐平次。彼らは幼馴染みの若きキリシタン侍だった。敗れて主家を失った三人はそれぞれ全く別の道を歩むことに。やがて、激しい弾圧と苛政に苦しむ島原・天草の民が、奇跡を起こすという四郎という少年の下に起ち上がった。この地で、三人は立場を変え、敵同士となって再会を果たすことに――。魂震わせる大河巨篇!
【目次】
第一章 生きてこそ
第二章 神はいずこに
第三章 武士と十字架
第四章 運命の変転
第五章 われらの祈りを聞き給え
第六章 讃美歌の海
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
織豊期~江戸初期のキリスト教を描く。
宗教をさまざまな角度から描き、その描かれ方によってさまざまなことを考えさせられた。
三人の登場人物が三位一体であるという構成。ハライソも極楽もなく、今、目の前にこそ幸せがあるということ。ハライソを信じさせそこに導くことも役割であるという、ひとつ上のフェーズからの物の見方。
様々な立場の、様々な思考がある。それが人間。
Posted by ブクログ
宗教は深い。ただし信仰を持つ人間が強いか、持たない人間が強いかは何とも言えない。そして信仰は正義かそうでないかも何とも言えない。だからこそ現在に至るまで宗教を起因とした混沌がなくならないのだろう。
Posted by ブクログ
昨日、天草の崎津集落に行ってみたからタイムリー
関ヶ原で西軍についた小西家(小西行長、キリシタン大名)の若い家臣彦九郎、善太夫、左平次の3人のその後のとんでもなく苛酷な生涯…かな
視点が3人分あって次々入れ替わり多角的。だから、読みやすいという印象はない
読書メモに書きながら読んだ
佐平次は武士として生きるために棄教、その罪悪感からキリシタン弾圧にかえって邁進。
彦九郎はキリスト教の残酷性に苦悩しながらキリスト者として生きている。
善太夫は、殉教よりも人々を死なせぬ(衆生を救う)ことに重点を置き、そのために僧侶となりキリシタンたちに殉教せぬように(表面上だけ棄教するように)説得する。
矛盾をかかえる宗教と理屈の通じない一途な信仰心、征服を伴う布教を警戒し残虐な手法を用いる公儀…
怒涛のような
Posted by ブクログ
名作だな。
関ケ原で敗北した小西家の若き武士3人が、それぞれの人生を歩む。そして30数年を経て、島原の乱で運命の再会を果たす。
迷いながらも信仰を続ける者、逆に弾圧する側になる者、仏門として救う道を模索する者。三様の人生が、島原の乱で重なる。その壮大な人生ドラマ。ここまで圧倒される歴史小説は極めて稀だ。
Posted by ブクログ
壮絶な島原の乱を生き生きと描いて信徒と為政者との闘いが日常の中でせめぎ合っていたのがよくわかる。けれども生きてこその信仰であり幸福のための祈りであり、それを衆生に分かってもらう術が稚拙であったというほかない。
Posted by ブクログ
肥後国のキリシタン大名小西行長に仕える3人の若者
彦九郎、善大夫、佐平次の3人の若者が、キリシタンとして、待ち受ける試練に翻弄されていく。
ただ単に宗教だけの問題ではなく、当時の欧州諸国の植民地生産が、悲劇的な結末を生んでいるのだろう。
Posted by ブクログ
日本におけるキリスト教信仰の終焉のシンボルとなる島原の乱に取材した小説。
島原の乱のキリスト教徒がたてこもる原城には元小西行長の配下の武将がおり、攻める側にも小西行長の配下の武将があった。また仏教僧となり、形だけの棄教をすすめることでキリシタンの命をすくおうと東奔西走するのもまた小西行長の小姓であった。武士として生きるか、キリスト教徒としていきるか、あるいは表面上は仏教徒となりながらも本当の救いとは何かを求めるという三人三様の人生。それぞれの運命が
関ヶ原の敗戦(小西行長陣として)以降の時系列で描かれる。
この時代の飢饉があったり、あるいは人生で不運なことがあったときにキリスト教の救いによりハライソ(天国)にいけるという確信を得るというは魅力であったのかもしれない。
この乱以降、一部のキリシタンは潜伏し、明治維新後の解放まで信仰を持ち続ける。
島原の乱にいたるまでの事象をよくわかるように整理してくれた良書であった。
キリスト教に興味のない当時の人はなぜそんな信仰に走ったのか訝しげに思ったのかもしれないが、外国人の神父が熱心に信仰を説き、病を治し、学問を授けたことを考えると、嗚呼これが真実だったのかとキリスト教に走る人がいても不思議ではないだろう。
高山右近が逃げたマニラでは普通にキリスト教が普及していたようだがその後どうなったんだろう。確かに今もフィリピンはキリスト教徒が多い気がする。
Posted by ブクログ
島原の乱を描く歴史小説。
元小西家臣の三人の視点から描くのも、それぞれの立場がいい立ち位置になっているのもよかったです。
関ヶ原の戦いから島原の乱までは三人の主人公の変遷とキリシタンへの弾圧の強化が並行して描かれていて、序奏としてはよい感じでした。
乱自体の史実についてはちゃんと抑えられているので勉強になりますが、天草四郎の成り立ちに主人公の一人が絡んで詐欺まがいなことをさせるのにはちょっと違和感がありすぎました。
あと、三人の主人公のうちの一人は実在の人物(といっても素性はよくわからないらしいです)なので、最後についても予定調和っぽい感じがしました。
ただ、現在の社会で大きな戦争がいくつか起きている中で、信仰のために死ぬこと、殺すこといかに空しいかを教えてくれたような気がします。