伊東潤のレビュー一覧
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高師直を主人公とした小説。
2013年の本なので、太平記の内容や、1965年の佐藤進一説を多く採用している。尊氏が躁鬱、って小説の中で文字として見るの初めて!
愛や情を知らず「野望」のため生きる師直の生き様。半分までは、周囲を馬鹿にして、ともかく自分(足利家)のために策謀を巡らし、戦で功を立ててるけど、篠(太平記の塩谷の妻)に惚れてから、どんどん人らしさを持ってしまう師直。篠が出てから王道感な流れになって面白くなってきた。
しかし師直も直義も絶対尊氏は守らないと!ってなるの良いね。
歴史物語は史実が必ず基になるので、オリキャラが脇キャラが展開を動かすのが常道だけど、今回の野望の憑依者は、オリキ -
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ネタバレ江戸時代の絶体絶命な逃亡劇集。
「島脱け」
「夢でありんす」
「放召人討ち」
の3編収録。
「島抜け」はラストの爽快感も含めてよくできた時代劇のようです。
時代背景も田沼時代から寛政の改革で、佐渡奉行交代の史実をうまく取り入れていると思いました。
「夢でありんす」は捕物調で面白かったのですが、オチが残念。
時代背景は大河ドラマのちょっと後で、力蔵吉原捕物シリーズのようなものならよかったかも。
「放召人射ち」は追手と逃手の視点で最も逃亡劇として面白かった。
実在の久保田藩主の佐竹義格がとんでもない感じだが、元ネタがあるのだろうか? -
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私は同氏の著書といえば「大鳥圭介」の本くらいしか読んだ事がないが、歴史小説作家の伊東潤によるものである。帯に「史上初の武家政権は、鎌倉幕府ではなかった!」のメッセージが躍る。平家の台頭から平家政権の誕生、日宋貿易、福原への遷都、清盛の挫折と死、その後の平家の最後、源氏政権との比較まで。歴史小説作家ならではの観察眼で、幕末まで700年続くことになる武家政権の礎を築いた平清盛の人物像を描く。
一言だけ、低俗な愚痴を。平家の人たちに限らず、この時代、登場人物の名前や家系図、関係性が分かりにくい。苗字は同じ、名前は一字違いなど。それに限らず、幼名と諱、出家して法名へ名前が変わる。苦労しながら読んだ。 -
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日本におけるキリスト教信仰の終焉のシンボルとなる島原の乱に取材した小説。
島原の乱のキリスト教徒がたてこもる原城には元小西行長の配下の武将がおり、攻める側にも小西行長の配下の武将があった。また仏教僧となり、形だけの棄教をすすめることでキリシタンの命をすくおうと東奔西走するのもまた小西行長の小姓であった。武士として生きるか、キリスト教徒としていきるか、あるいは表面上は仏教徒となりながらも本当の救いとは何かを求めるという三人三様の人生。それぞれの運命が
関ヶ原の敗戦(小西行長陣として)以降の時系列で描かれる。
この時代の飢饉があったり、あるいは人生で不運なことがあったときにキリスト教の救いによりハ -
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伊東潤さん三作目。題材は、秀吉晩年の汚点とされている文禄・慶長の役。地名や名前に馴染みがないせいか、一方的な「殺戮」に近い戦場の描写が惨たらしいせいか、なかなか進まない一冊だった。
その場にいる誰もが、もう嫌だ何故こんなことをと辟易しているのに、止まらない止められない。空虚な大義の下で無益な戦いに駆り出され、それでもそこで自分のできることを、信義を曲げずに果たそうとする。でも、止まらない止められない。その後も幾度となく繰り返される戦争の暴走と、翻弄され抗えず蹂躙される無力な民衆。数万と記される数は、一人一人一人一人なのに。
これまで戦国期の小説を読んでも、こんな風に感じることはなかった。感想を