あらすじ
天保九年(一八三八)二月一六日。九州の佐賀城下にひとりの男子が誕生した。幼名を八太郎。後の大隈重信である。名君と謳われた佐賀藩主鍋島直正(閑叟)に、その才能を見いだされ、同じく熱い志を持つ仲間たちと、激動の幕末へ乗り出した若き重信。西郷隆盛、大久保利通、坂本龍馬、岩崎弥太郎をはじめ錚々たる志士たちと巡り会い、佐賀の、そして日本の未来のために奔走する! 近代国家・日本の礎を築いた偉人の生涯を描く!
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Posted by ブクログ
「大隈重信」という人物に関してはかなり詳しい伝記の新書や、故郷でもある佐賀で出された評伝や、その他に様々な形で接しているのだが、本書は或る意味で「決定版!」的な迫力も在る小説になっていたと思う。
大隈重信は大正時代まで生きて、晩年近くになっても色々と活躍している。様々な挿話に彩られた人物が。本書は「幕末佐賀風雲録」となっていて、「何事かを夢見た若者達の一群」の中に在った大隈八太郎が、幕末の揺れる情勢の中で様々な活動に携わり、新たに登場した明治政府の官吏になって活躍するようになるまでが描かれる。
少年から青年になるような頃、「あのようなモノ!」と少し毛嫌いしていた『葉隠』のような古典について、少し年輪を加えた中で「自身が直面している時期、時代なりの解釈」ということで少しずつ「得心し得るモノ」にして行くような経過が何やら面白かった。そしてよほど名前が売れているとか、立場が酷く上というような人士と臆せずに向き合って何事かを話そうとするような辺りなどが酷く面白かった。
幕末期の大隈重信は、長崎での様々な活動に携わり、他方で来日したオランダ系米国人の宣教師であったフルベッキが主宰した教室に出入りして英語を学んでいたという。そういう経験が後に生きて来る訳である。
大変に面白い人物である大隈重信だが、これまで小説やテレビドラマ等で主役的な扱いになっていた経過は余り思い浮かばない。そんなことも在って、少し力が入りながら本書を読んだ。
実は、やや旧い話しだが、「九州各県に足跡を…」と佐賀に立ち寄ったことが在り、その際に大隈重信生家という場所も訪ねていた。父親が比較的早くに脳出血らしい症状で他界したことから、姉や母親と暮らしたという家が、当時の雰囲気のままで大切に保存されている。傍らに、明治期の礼服に身を包んだ様子の大隈重信の銅像と、事績を伝える記念館が在った。何れも興味深く見学した覚えが在る。
本当に小説の題名のとおりに「威風堂々」と己の道を突き進む大隈重信の有様が痛快だった。「下」の明治時代以降の動きが何やら酷く愉しみだ…
Posted by ブクログ
大隈重信の話。
伊東さんの作品はどの作品も、自分自身を振り返るきっかけをくれたり、世の中の流れについて考えさせてくれたり、示唆に富んでいる。
折に触れて読み返したくなる作品。
Posted by ブクログ
佐賀藩大隈重信の幼少期から明治維新初期までを舞台にした上巻。嫌な奴が一人も登場しないから、兎に角さわやか。時代が流れ何もかもが変わっていく中で、それに気がつく、気がつかない、気がついているけど目を逸らす、皆が不安の中で漠然と教育に答えを求めていく。
Posted by ブクログ
志士の時代、九州にも義祭同盟という将軍藩主より
天皇に忠誠を誓うグループが出来た(賢人会?)
大隈重信も脱藩をして大政奉還を将軍に伝えんとす
るが秘策を土佐に漏らし功を奪われる(史実は不明)
なお本作では薩長同盟の意義が正確に語られている
と思うが、薩摩藩士としての亀山社中と描いてない
(通説はまだ健在?)
四賢公と言われた閑叟だがギリギリまで幕府を支え
たのに薩長土肥として存在感を示したのは日本最大
の武器生産国だったためである
中立とは敵に回したくないだけの存在(軍事力)を
もって初めて可能になる(現代にも通じる真理)
そして、新政府に加わった大隈重信の強みは英語と
西洋人の考え方・合理性や法律をフルベッキなどか
ら学び、それを論理的に使いこなした所にあり、万
能的に仕事をこなす事で認められていった
(実は下巻を先に読んでいる)後半に続く(´・ω・`)
Posted by ブクログ
歴史の本が好きで読み続けているが、坂本龍馬がいなくなった以降はあまり読んでこなかった。
この作品にも坂本龍馬がちょっと、ほんのちょっとだけ登場します。それだけでうれしいです。
「大隈重信」が主人公の小説は初めて読んだ。
とにかく熱い人だな。そして確実に坂本龍馬以降(幕末ではなく明治新政府)に使命を持って天から遣わされた人だと思った。
下巻は明治編なので、もっと活躍が期待できる。