伊東潤のレビュー一覧

  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    真田丸の少し前の時代、武田晴信が甲府から撃って出て、信濃を足掛かりに越後を狙おうとするその時期に、信濃の地を守り抜こうとする信濃の国衆がいた。

    自ら喰うに足りる分の領地を治めるだけでは飽き足らず、自らに歯向かうものには、容赦なくその矛先を向ける。
    必要とあらば、調略の限りを尽くし、親兄弟までもを裏切らせ、国を制圧していく武田勢。

    そのいわば合理的という戦い方に対し、義を重んじ武士たろうとする若武者須田満親。
    その須田満親を中心に描きつつ、五度にわたる川中島の決戦を描くのは伊藤潤。
    これが、面白くないわけはなかろうという布陣で、結果その通り面白く最後まで読み切った。
    須田満親、長尾景虎、そし

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    2016年05月31日
  • 武田家滅亡

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    物語を膨らませる上で作者はいい仕事はしていると思うが、武田氏滅亡の過程について史実を変える訳には行かず、返って膨らませた部分の作り物感が強調されてしまうのがこのテーマの難しいところではないだろうか。

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    2016年05月30日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    川中島の戦いを,須田満親を主人公として描いている.自ずと上杉謙信側の目で捉えることになるが,武士によって死んでいく弱き者たちが哀しい.城の位置など地図が添付してあり,わかりやすかった.

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    2016年05月29日
  • 城を攻める 城を守る

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    日本の城の解説本だが、美しい写真集や名所案内ではなく、攻城・籠城戦を紹介する異色作。対象となる城そのものの攻略法・守り方というよりは、近隣の城主の調略や陸海路の確保など、大局的な要素が勝敗を握る重要な鍵となった事例が多いのが興味深かった。

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    2016年05月20日
  • 城を噛ませた男

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    真田丸やってるけど、まさにその辺のお話し。
    非情の戦国の世で、さまざまな策をめぐらせる人たちの生き方を描いている。
    真田昌幸の読み筋の恐ろしいこと。

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    2016年05月11日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐

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    私は北信濃全体の地理がわからないので、p.3,4の地図を確認しつつ読んだので、疲れてしまい、肝心のストーリーが楽しめなかった。どうしてこうもわかりにくい本を作るのか理解できない。

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    2016年05月04日
  • 城を噛ませた男

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    小田原北条氏と豊臣秀吉、徳川家康らの新興勢力の進出の最中、どの武士団も生き残るために戦々恐々としていた。特に、戦場に所領を持つ家にあっては、大きな決断が迫られていた。戦国の世は、その繰り返しであった。この小説でも、秀吉は武士団が勝手に侵略することを御法度とすることにより、敢えて秀吉自身の進出を企てる戦略がとられていた。その時代に、自らの城を乗っ取られたように見せかけ、相手を潰しにかかった戦国末期の事実を基にした小説である。小説の題名も上手い。これぞ本屋大賞。

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    2016年01月19日
  • 巨鯨の海

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    鯨の捕獲で有名な伊勢太地町を舞台にかつて男たちが生死を賭けて鯨と闘ってきた物語。伊東潤の小説は、丁寧な取材や資料づくりにより、江戸期の太地の鯨捕りの細かな描写を投影しながら、庶民の生活に視点を当てながら、人情話を織り込んでいく。此処でも読み手の期待を裏切らなかった。。

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    2016年09月29日
  • 巨鯨の海

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    太地の鯨漁をテーマにした短編集。網と銛での古式漁は命がけ。捕鯨シーンは壮絶で臨場感溢れる。そんな厳しい生業を暮らしの基にしている共同体のヒエラルキーや掟の厳しさ、絆の強さ、閉塞感が伝わってくる。心に残る1冊。

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    2015年10月06日
  • 巨鯨の海

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    鯨漁で繁栄した村とそこに生きる人々という設定だが… 
    まあ… 鯨の血の臭いがしてきそうで残酷だという感じは拭えない。なら、鮪ならいいのかと言われると困るが…
    豊かであるがゆえに、厳しい掟と閉鎖された社会の息苦しさが辛い。

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    2015年09月26日
  • 城を攻める 城を守る

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    歴史小説作家である伊東潤が2014年に発表したお城を紹介した本。本書では、戦のためのお城を取り上げており、五稜郭や会津若松城、大阪城など有名な城もありますが、あまり一般的ではない山城などを選択しているのが特徴。著者が歴史小説の題材として取材旅行などをしたことのある場所というのも選考の基準だったのかもしれません。ある程度、お城を好きな人向けに書かれているため用語や歴史的背景が端折られている部分がありますが、一般的なお城紹介本に飽きた人には面白く読めると思います。作者の推論が多いので読む際に注意が必要。

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    2015年09月22日
  • 黎明に起つ

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    ネタバレ

    2014.12.新九郎は,伊勢家からの人質として今出川義視のもとに行く.その後,新九郎は故郷の備中に戻り,そこを統治するようになるが病が流行り,その薬への費用が莫大にかかるため,故郷を離れ幕府申次衆となる.新九郎は,宗瑞と名乗るようになり,民のための領地を作るために,古い武家政治との伊豆や関東での戦いに明け暮れる.三浦まで勢力を伸ばしてきて,三浦同寸との戦いとなる.激しい戦いを繰り広げたのち宗瑞は勝利を収める.そして,家督を息子に譲り,宗瑞は64歳の生涯を終える.のちに,北条早雲と言われる武家の話.一生,様々な勢力との戦い,和睦だったのだろうが,色々とありすぎてあまりよく分からなかった.

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    2014年12月17日
  • 城を攻める 城を守る

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    城郭攻防戦。おもしろかった。大河ドラマや他の時代劇で見て知った合戦や城取りが取り上げられていた。戦いから人生を学んだ徳川家康、学ばなかった武田勝頼などの人物評、奇襲戦といわれる合戦の多くが不測の遭遇戦。力による勝利よりも内通による敵の寝返りによる勝利。中央集権的・垂直的主従関係ではなく、地方分権・並列的主従関係など。「信長の城」参照。

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    2014年08月23日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

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    北条・武田・上杉。この三大名家の同盟で、関東一円に平和をもたらす。甲相越三和一統の計。
    その計略を完成させるべく、越後上杉家に養子縁組した北条三郎。後の上杉景虎です。
    理想に燃えて越後入りした三郎を待っていたのは、上杉家の家督争い。理想を成就させるどころか、跡目争いに破れ、短い人生を散らすこととなります。

    理想に殉死した人生。
    理想に順ずるあまり、相手にもそれを求めてしまったゆえの敗北でしょうか。そもそも、仏道に入っていた時から、武士・武家に対する理想、憧れが強すぎたかのように思います。一個人としてならば、武家の理想を追い求めることは何の問題もなく、賞賛されること。
    しかし、大名家の棟梁とも

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    2014年08月12日
  • 城を噛ませた男

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    全1巻。
    短編集だけど、著者お得意の、
    全編通して同じ舞台っていう群像的なつくり。
    今作は関東・北条まわり。

    どの話も、基本的には負けた側の物語。
    最後の話は勝ったけど、
    これもまあ負けからのスタートだし、
    負けるが勝ちだし。

    著者のこの手のシリーズは
    語られることの少ない負け側視点が新鮮で
    ハッとさせられることが多い。

    ただ、帯に書いてた
    「伊東潤のブレイク作」的な文句は
    言い過ぎだと思った。
    個人的には似たような構成の
    『戦国鬼譚 惨』とかの方が好き。

    収録作では「鯨のくる城」が好きだった。

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    2014年07月11日
  • 城を噛ませた男

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    短編集。伊東氏はどちらかというとマイナーどころの人物を主人公に書いているイメージがありますが、短編なので知らなくとも読みやすく、初めて読む人にもいいかもしれません。有名どころはタイトル「城を噛ませた男」の真田昌幸。
    「椿の咲く寺」は女性が主人公で、たおやかで、でも戦国の世の強さと悲しさを描く作品となっています。

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    2014年07月01日
  • 城を攻める 城を守る

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    城をめぐる攻防の話を期待したが、筆者の意図は戦いのあった城の配置資料集的なものだったようで、戦いの経緯説明はあっても、城の攻防戦の記述は少い。それは小説に委ねるということらしい。残念ながら新書版単色印刷では図版も見易くはない。

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    2014年06月18日
  • 天下人の失敗学 すべての人間は4つの性格に分類できる

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    先日の奥トレ#29で交換してもらった1冊。信長、秀吉、家康の他に光秀も加えた4人の天下人のタイプ別に、歴史をたどりながら良かった点と弱点になってしまった部分を説明していて、それぞれのタイプが苦手な領域をどう克服していたかについては、学ぶべき点がありました。歴史をまんま学ぶのでなく、その行動の意味合いとかもっとこうしたらという点が書かれているのは、自分の評価と照らし合わせながら読めるっていう点でおもしろいですね。

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    2015年06月07日
  • 城を攻める 城を守る

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    城に対するこだわりと造詣は伝わってきたが、文章と平面図だけでは、その表している城の構造の素晴らしさが理解できなかった。

    紹介する城の数を減らし、図を何回も参照しながら説明する形であればもうちょっと楽しめたかもしれない。

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    2014年05月21日
  • 城を攻める 城を守る

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    天守が聳える城ではなく合戦があった城を取り上げる、
    というコンセプトはいいのですが、
    やや不十分感が否めません。
    もっと城の縄張りや、
    なぜその城は攻めにくいのか、どこが弱いのか、
    重点的に解説してほしかったですね。
    どうも合戦の記述が優先されている気がします。

    著者自身も認められていますが、
    城の選別も偏っている気がします。
    東日本が大半ですし、江戸時代以降が半数近くを占めています。
    戦国以前は皆無でした。

    視点としては今まであまり見なかったものなので、
    ぜひ続編を期待したいです。
    (他著者の類似本でもいいので)

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    2014年05月12日