伊東潤のレビュー一覧

  • 走狗<文庫版>

    Posted by ブクログ

    最下層の武士ながら
    強烈な上昇志向で討幕、維新を生き抜き
    日本初の警視総監まで上り詰めた男、川路利良。

    敬愛する西郷隆盛すら裏切り、国家のために、自ら狗となった男の一生を描いた作品。

    幕末は、幕府側が主人公の小説は何冊か読んだが
    新政府側からの視点は新鮮。
    歴史の教科書に出てくる名前のオンパレードで
    あらためて激動の時代だったのだなぁと。

    0
    2021年01月09日
  • 決戦!本能寺

    Posted by ブクログ

    緊急事態宣言の中、令和二年のGWに読んだ歴史小説です。何も活動のできなかったGWでしたので、読書だけが楽しみでした。

    この本は有名な本能寺の変を題材にしていますが、7人の武将の立場から見た形でストーリーが展開しています。新しい歴史小説の形で楽しいです、事件現場の空から中継を見ている感じです。

    以下は気になったポイントです。

    ・源頼朝の鎌倉幕府も、足利尊氏の室町幕府も、どちらも憎悪と野心をたぎらせた親族と家臣達が互いに憎しみ合いながら敵と戦っていた。だからこそ彼らは幕府を開けた(p67)

    ・肩衝(かたつき)とは肩の部分が尖った茶入れで、楢柴は初花肩衝、新田肩衝と並び「天下三肩衝」と称される逸品である、初花と新田はすでに信長の手中にあり、楢柴を手に入れれば天下三肩衝が揃うことになる、信長は手柄を立てた家臣に領地の代わりとして名物茶器を与えている(p140)

    ・博多の湊は南蛮船が来航して賑わっていたが、南蛮交易の拠点は肥前の平戸や長崎に移りつつあった。代わりに武士の姿、軍船が博多には多くなった(p142)商いの特権を持つ座を廃し、船が入る際の税である津料も免除すればさらに人と物が集まってくるだろう(p178)

    ・家康が武田信玄に決死の覚悟で挑んだ三方ヶ原合戦では、結果的に敗れはしたが信長も宿老筆頭の佐久間信盛に3000の兵を授けた(p202)

    ・信長、家康、秀吉といった諱は、本来、その死後に言う忌み名である。存生中は、特に目下の者などが口にして良いものではない(p221)

    ・信長の元では手柄を上げるほど危地へと送り込まれ、より強大な敵と戦わなければいけない。それが織田の家老の宿命である(p258)

    ・木綿は絹よりも高価な繊維だが、硝石やかねで加工することで水に強い雨火縄となった(p267)

    ・正親町天皇の弟である覚恕法親王を主とするなど朝廷の加護厚く、地理においては陸路の要衝をなし、軍事において数万の兵をおいている坊舎、山から延びる道を支配し、政治・貿易・軍事・信仰の拠点として一帯に君臨してきたのが比叡山である。越後の上杉景虎が四宝としたものを全て持っていた(p381)

    2020年12月30日作成

    0
    2020年12月30日
  • 茶聖【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    信長、秀吉の生涯と軌を一にしているので、主要な出来事を押さえるだけでもこのページ数になるのだろう。

    裏の実力者感が前面に出ている分、利休の人間的な苦悩などは感じ取れない。

    0
    2020年12月29日
  • 茶聖【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    秀吉と利休の物語。通説などから大きな逸脱はない。
    秀吉の人物像、利休との関係性、利休の目的、秀吉の原動力、関係の破綻、死の理由、、
    秀吉は自分がどこまでいけるかという欲望に突き動かされる。
    利休は静謐を目的に行動する。キリスト教には反発、茶の湯への影響は描かず。
    表と裏、武を鎮める茶の湯。
    秀吉は茶の湯に興味を失う。能へ。
    互いが互いを必要とした関係が破綻、納得ずくの死。
    それがありきで死の理由がつくられた。
    意趣返しの切腹。

    0
    2020年12月21日
  • 決戦!本能寺

    Posted by ブクログ

    本能寺に関わる人の話ではあるけど、なんか距離が遠い。もっと、本能寺そのものを色んな視点から描くと面白いと思う。

    0
    2020年12月14日
  • 西郷の首

    Posted by ブクログ

    明治維新は、華やかな一面もあるが、この大きな歴史のうねりに飲み込まれ大変な苦労をした人々がいたという事も忘れてはいけないと思った。

    0
    2020年12月08日
  • 武田家滅亡

    ネタバレ 購入済み

    強過ぎた大将

    武田勝頼
    歴史的には評価され難い存在である武将。
    が、実際には武田信玄存命中を超える最大版図を築いた非凡な大将であった。
    この武将の魅力はなんと言っても軍事の才能。
    妾腹ということもあり、順当に行けば家督を継ぐことなく、諏訪衆を束ねる戦闘集団の旗頭かつ有力一門として名を轟かせたことと思う。
    家督を継承しないとなれば気安く前線での戦いに身を置くことも出来、戦功著しい猛将となったはずである。
    しかし、歴史の流れは勝頼を武田家陣代としてしまう。

    先代の負の遺産を背負ったまま、家臣の軋轢が多い家を切り盛りしなければならない環境。
    更に周囲を強力な大名に囲まれ、政治力が必要とされる場面での人材不足。
    おそらく勝頼でなくともこの時代の武田を繁栄に導くのは至難であったはずである。

    本書はそんな勝頼の苦悩を切々と書かれており
    輝かしいまでの武才を発揮する場面は殆ど無い。
    部下の言に判断を左右される言いなり大名となっている場面も多い。
    ただ、そこが人間らしさを垣間見ることが出来る部分でもある。
    多分に現代人の感情、感覚が先行している印象はあるが、それだけに文章に心を沿わせやすいと思う。

    避けられぬ滅亡を前に『強過ぎた大将』は何を想うのか。
    道は己が決めるもの。
    最期を無残と見るか否かはそれぞれの心次第。

    #切ない

    0
    2023年06月04日
  • 横浜1963<文庫版>

    Posted by ブクログ

    母方の実家が横浜にあったので、子供の頃にマリンタワーへ連れて行ってもらった記憶が蘇る。題名通り、作品の舞台は1963年の日本。敗戦国の名の下に米軍統治下となった横浜で起きた連続女性殺人事件に挑むのは混血の刑事・ソニー沢田と日系三世の米軍SP・ショーン坂口のバディ。ミステリーとしての目新しさは全くないが、ギミック一切なしの直球なハードボイルドが胸をすく。どちらの国にも根を張れない二人の目を通した当時の日米関係や港町の情景描写が秀逸。あとがきにて著者は将来の日米関係に想いを馳せるが、見通しは決して明るくない。

    0
    2020年11月27日
  • もっこすの城 熊本築城始末【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    戦国末期の世の中の動きを加藤清正を通して、築城という独特な切り口から描く。

    石垣の積み方や築城方法など興味深いし、朝鮮出兵時の半島各地での攻防など、本書で始めて知った。

    数多の城を築きながら早逝する藤九郎の愁嘆場で物語を閉じるのがよかったのかはわからない。

    0
    2020年11月24日
  • 巨鯨の海

    Posted by ブクログ

    捕鯨漁で生計を立てていた地域の人々の短編小説集。

    死が近くにあり、掟に厳しい中での人びとの生き様を書いている。短編小説だけど、各ストーリーにしっかりと重みがあって、読み応えがあった。練りに練った伏線や読者を驚かせるようなカラクリがある訳では無いけど、読んでいても苦にならない、そんな小説でした。

    0
    2020年10月03日
  • 武士の碑

    Posted by ブクログ

    西南戦争をモチーフとした作品で1870年代のパリを交わらせる試みは非常に興味深かった。

    一方で西南戦争自体の描写は惰性で読んでしまった感が否めない。その理由には、史料が多く残りすぎているために描写や展開に遊びが見られず入りこめなかったこと、そもそもの戦争の大義名分や意義に共感ができなかったりことがあると思う。

    古い武士の誇りと言えば綺麗なものだが、勝てる見込みもないのに大志ある若者の命を犠牲にし続ける西郷以下の幹部たちはリーダーと言えるだろうか。結果として、本戦争が士族の不平反乱を終わらせたという歴史的意義はあるものの、非常に苦い後味だった。

    0
    2020年10月03日
  • 北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

    Posted by ブクログ

    歴史の結末は分かっていても、義を通した者が敗れ、滅びるのはやはり後味が悪い。作者が言いたかったことは何か、戦国にも現代にも通じる世の中の理不尽さか。

    0
    2020年09月30日
  • 茶聖【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    戦国時代、群雄割拠の中、最後のフィクサー

    ただただ世の中の静謐を求め続けた芸術家……
    信長により見出だされ、秀吉とともに没することに。
    表の顔は秀吉、心の顔は宗易、利休

    お互いの領域を越えることなく、着実に静謐に近づく先にあるのは、乱世か太平か?

    茶の湯を通し、天下を手にした利休……ここにあり。
    最後に手にしたものは何だったのか。

    0
    2020年09月08日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐<文庫版>

    Posted by ブクログ

    武田信玄の野望に翻弄された北信濃の国衆を須田満親の目を通して描いた作品。
    他の本との併読で読み終わるのに時間がかかってしまったが、クライマックスの第四次川中島の戦いはおもしろかった。

    0
    2020年08月30日
  • 茶聖【電子特典付】

    Posted by ブクログ

    茶聖、千利休が世の静謐を求めるため、秀吉と時に強調しつつも、徐々に疎んじられついに死を賜るまでを描いている。最初に茶の湯の影響力がどこまで腑に落ちるかで、話の納得感が違ってくるわけで、私の場合はなかなか素直に読めない点があった。しかし、場面場面の展開や新たな解釈は納得できる面もあり、500頁を超えていても、きっちり読み進めることができたのは、安定の伊東節ゆえでしょう。

    0
    2020年08月22日
  • 黎明に起つ<文庫版>

    Posted by ブクログ

    読み終えた時の第一印象は、「戦の多い歴史小説だったなあ」というバカみたいな感想だったりする。応仁の乱から戦国時代へ。北条早雲を主人公とした『黎明に起つ』という歴史小説は、理想のために戦い続けた武将の物語です。

    家と政治の思惑が絡み合う中、将軍、足利義正の弟である義視の元に仕えることになった、12才の新九郎(後の早雲)。しかし何の運命の悪戯か、その立場から実兄と対峙し、結果兄を自らの手で殺してしまう事態に。

    政治と権力、そして様々な思惑が「魔」として跋扈する京を離れた新九郎は、家系が代々治める領土に戻るが、運命は再び新九郎を京へ呼び戻し……

    伊東潤さんの歴史小説はいずれも漢くさいというか、熱量がいつもスゴく感じます。今回もそんな熱さが随所に感じられる作品。

    領主として何を目的として生きるのか。新九郎がたどり着いた真理は「民のため」というものでした。応仁、そして戦国時代と世の中が様々な権力者や武将たちの政争や思惑で荒れていく中、新九郎はただ一人、民のために、争いのない平和な世の中のため、旧勢力たちに戦いを挑んでいきます。その姿勢や覚悟の描き方というものが格好いい。

    で、その格好良さがスマートな格好良さでなく、どこか迫力や気迫に満ちた、漢らしい格好良さなのが良いのです。

    そして、自らの死期を悟った宗瑞(新九郎の法名)の迎える、クライマックスの一騎打ち。武士の時代から新しい時代の黎明を象徴する一戦。このシーンも読み応え十分! 血湧き肉躍るというべきか、ここでも改めて伊東潤さんの筆力を感じます。

    新九郎以外で印象的だった登場人物は、阿茶という女性の金貸し。新九郎の領土内で流行病が起こった際、新九郎はその対応のため、多額の借金を重ねます。その借金の貸し手が阿茶なのですが、新九郎と阿茶、愛とか恋とかいう言葉では収まらない、二人の逢瀬と阿茶の思い。一筋縄でいかない男女の縁と哀しさが、描かれていたと思います。

    もう一点、伊東潤さんの熱量を感じる点といえば、史実の部分の書き込み量。正直歴史の流れについていけなかった面も無きにしも非ずなのだけど、史実に対する誠実に向かい合い、そこから浮かび上がる歴史上の人物の思いを熱く描き切る。そんな伊東潤さんらしい歴史小説だったと思います。

    0
    2020年08月18日
  • 吹けよ風 呼べよ嵐<文庫版>

    Posted by ブクログ

    北信濃の国人、須田満親目線から描いた川中島の合戦記。
    こういう渋い人選は、歴史小説ファンには堪らない。
    それぞれの武将にドラマがある。

    0
    2020年08月05日
  • 黎明に起つ

    Posted by ブクログ

    戦国時代の到来とともに現れた武将北条早雲の一代記。
    後の関東の覇者北条氏の礎を築いた、成り上がりの武将ながら、他の武将と比べ暗いイメージがないが、その理由が彼の生き様から感じられる。

    0
    2020年07月27日
  • 黎明に起つ

    Posted by ブクログ

    いわゆる北条早雲、伊勢宗瑞、早雲庵宗瑞。
    源平の昔より連綿と続いた武士の世が終わりを告げ、新しき時代が始まるとき。
    足軽雑兵が入り乱れる戦国時代の先駆けとして、時代を駆け抜けていく早雲。
    三浦道寸との因縁、争いに、最後の武将達の生き様が見られ、感動的でした。

    0
    2020年05月17日
  • 走狗

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「もう昔の山出しじゃありませんから」
    自分の考えを持たず引き立てられた人
    にとことん尽くす走狗
    彼の悲劇は、自分が走狗を使う側に移っ
    たと錯誤したため、何時までも走狗扱い
    をする大久保に対して判断誤りが出た事

    川路利良は城下士という下層武士らしい
    彼は上士層から蔑まれる立場のようだ
    薩摩では更に下層の身分があり、外城士
    (郷士)は、半農半士として謂れのない
    差別を受け事だろう

    小説は学者の描く世界と異なり、動機を
    持つ人間が知っている行動(笑)をとる
    ま、この先知ってる~、という自己満足

    0
    2020年04月19日