あらすじ
桶狭間の戦いは信長の天才的用兵による「大勝利」だったのか。大坂の戦いにおいて、豊臣家の滅亡は必然だったのか。肥前国平戸藩主・松浦静山の名言「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」ははたして真実なのか――。
人気歴史作家が、戦国史の転機となった十二の野戦に着目、新史実を踏まえて勝因・敗因を徹底分析する。「優位に立つ者は奇道に走ってはならない」「実際の戦場は誤算と失点だらけ」「どんな戦いも勝負は紙一重」等、ビジネスにも人生にも役立つ教訓を導き出した、画期的な戦国合戦史。
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Posted by ブクログ
「賢者は理屈で動き、愚者は感情で動く。」人気歴史作家が分析した戦国の合戦十二番勝負。
幅広い分野の歴史小説で名を馳せる筆者の一冊。小説を支える豊富な知識に基づいた、戦国時代の合戦を最新の知見から分析している。
本書は陸上自衛隊の隊内誌「修親」という何ともマニアックな雑誌の連載コラム。かなり専門的な読者を想定している。
特に長篠の戦いの織田信長と、摺上原の戦いの伊達政宗。相手方を自分の仕掛けたトラップ、窮地に引きつける戦術の見事さ。
近年、関ヶ原の戦いを始め従前の定説を否定する新説が広がりつつある。そんな最新の解釈も踏まえた合戦の解説。
筆者の小説とはまた違った視点から楽しめます。
Posted by ブクログ
歴史小説家伊東潤が戦国時代の野戦12を取り上げ、複数の資料や実際の地形を加味した自信の考察を述べている。歴史は勝者側が作るので確かに合理的に考えるとそうなるよねーと納得のいく部分が多く、定説への良い異論が多い。
学問に現実性が加えられている伊東さんらしい学説。
Posted by ブクログ
有名な小説家の作品だが、事実ベースで合戦を分析している。随所に簡略地図が掲載されているのは非常にありがたい。
ある意味オーソドックスな、それでいて最近の研究も反映させた見解が並ぶので、昭和の通説や司馬史観で育った身としては興味深い話も多く、令和の歴史小説を読むための土台としても有益だと思う
Posted by ブクログ
歴史作家が史実ベースで各種合戦を解説していく。取り上げられている合戦は桶狭間や長篠、川中島に大坂夏の陣など特段詳しくなくても覚えのある有名なものばかりなので、親しみやすく読める。
勝ちに不思議の勝ちありは本当か…。エンターテイメント的にはやはり天才的采配によって混戦から勝ち取った勝利からの快進撃というものを期待するが、実際は情報収集や根回しの違いなど、戦術以前の戦略での差が効いてきているという分析が多い。
まあ、やはり現実というものはそんなものであろう。あと、油断と慢心はよくない。
Posted by ブクログ
戦国史の転換点となった合戦を後世から分析。なるほど、歴史にifはなくても、なるべくしてそうなったのかな。勇将勝頼も信玄のカリスマが武田を滅ぼしたのか。設楽ヶ原や山崎の合戦当日の天気など。
やはり、合戦はうまくいかない想定をどれだけ積んでいるかなんだろうなぁ。