本谷有希子のレビュー一覧

  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    ネタバレ

    作者は演劇の世界に身を置く人物であるので、きっと澄伽みたいに「実力はないけど、自尊心だけは高い」人物。
    男性、女性に関わらずたくさん見てきただろう。
    モデルはいるのだろうか。いるとしたら、作者は本気で嫌ってるんじゃないだろうか。

    清深はどうだろう? 「不謹慎だと思いながらも物語のネタにしたくてしょうがない」人物。
    これも沢山いそうだ。私生活を削って脚本を書く人。身近な人物をネタに使うわけだから、近ければ近いほどネタにしやすい。結果、ネタ元には嫌われる。こちらに対して、作者は同情的な立場にいるように思う。

    タイトルの「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は誰から誰に対するメッセージなのだろうか。

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    2020年02月26日
  • 嵐のピクニック

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    怖いような、不思議なような、解説にもあるがなんとも奇妙な味のする短編集。
    「哀しみのウェイトトレーニー」「マゴッチギャオの夜、いつも通り」「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」が好き。
    「Q&A」からの「彼女たち」の流れもおもしろかった。

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    2019年12月20日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    ネタバレ

    力強いタイトルが印象的な一冊。でも読み終わって、なんでこのタイトルなんだろう、、と思うなどした。美人だけどそれ以外がメチャクチャな姉と、才能があるけどその興味が姉に偏ってしまった妹。義兄と義姉のいびつな夫婦関係。激しい怒りの応酬。呪い。

    ラストシーンの赤い封筒が散らばるシーンの鮮やかさが印象的だった。舞台という映像ありきで書かれた小説だからこそ、抽象表現が見事なのかもしれない。

    激辛カレーを食べたあとみたいなすっきり感だけが救い。救いはないけど。。

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    2019年12月10日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
    面白かったです。
    ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
    「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
    多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
    岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
    表紙の感じに既視感が

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    2019年08月30日
  • 嵐のピクニック

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     一つ目からガッツリ心を掴まれた短篇集。非常に短い短篇ばかりながら、どれもこれも違った世界観で構成されており、読んでいて飽きがこない。
     なかでも面白かったのは、一つ目の短篇「アウトサイド」。中学生が抱く、みみっちいけど残酷な悪意と、そんなものを一瞬で吹き飛ばすような大人の底なしの狂気と闇。
     最後の短篇の〇〇も味があって良かった。

     『異類婚姻譚』『腑抜けども(略』も良かったけど、エンタメ的な意味ではこれが一番面白かったかな。

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    2019年08月02日
  • 自分を好きになる方法

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    ミルクくさそうな少女時代からしょぼくれた老後まで、飽きさせないエピソードがつづく。
    40代のときだけ性格が変わってる気もするけれど、浅い考え方と見栄っ張りな性格が海外小説の翻訳版みたいで面白かった。オリーヴキタリッジにブリジットジョーンズをふりかけたような。
    じぶんを好きになる方法が何なのかはわからないけれど、ひとはこうやって1日ずつ生きていくということがしみじみ感じられる。
    もうすこし何か印象に残る場面や言葉があれば…

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    2019年06月20日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    ネタバレ

     『異類婚姻譚』以来2冊目。既に崩壊しきっているる感のある家族で両親が死んでしまい、残された子どもたちと嫁いできたお嫁さんがいよいよ大変なことになっちゃう話。今年読んだ中でも屈指のヤバイ小説だった。もう本当に、ヤバイ以外の形容詞が思い付かないのだ。
     『異類〜』は極めて近い人間関係が齎す発酵のようなものが非常に印象的だったが、こっちは発酵などといわず完全なる腐敗。もう捨てるしかないって感じ。
     超絶自意識過剰ワガママ女に育った姉、間違った方法(だと私は思う)家族を守ろうとする嫁にDVする兄、家族の不幸を売り物にしちゃう妹、不幸欲張りセットな人生を歩んできたお嫁さん。楽しい話になる訳がない(ある

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    2019年06月08日
  • 自分を好きになる方法

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    本谷有希子週間。どんどんと洗練されていく。海外小説の様だ。驚くほど以前の野性味がなくなった様に思うが、お得意の粘着質はそこはかとなく漂っているか。神経質は健在。興味深い。

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    2019年03月28日
  • 幸せ最高ありがとうマジで!

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    良くできた戯曲だ。佳作。途中までは特にいい。いかれた「女」が新聞販売店の家族などで巻き起こす騒動は、かなりのものだ。作者自身の経験も含まれているだろうか。登場人物はそれぞれいい個性でとてもいい。タイトルも秀逸だ。結末が腑に落ちなかった。本谷の芝居は2作観たが、本作の方が断然優れている。

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    2019年03月20日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    あー、めんどくせぇ!でもこのめんどくせぇのにハマってますわ。
    いいところなーんにもない。自己中心的な小説をわざわざ書いてるんだろうね。
    イヤミスと同じ括り。怖いものみたさのみ。

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    2019年03月09日
  • 自分を好きになる方法

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    確かBRUTUSの読書特集で知ってに取った本。久しぶりの、もしかしたら10年ぶりくらいに読む本谷有希子かもしれない。若い頃は、第1章16歳のリンデのモヤモヤのような、本当の友達は...みたいな女同士の面倒くさい感情の描写にすごく惹かれた。でも私も作者も年をとったのか、もっと年配の女性の描写に主眼が移り、そこに映し出される「お一人様」の姿が痛々しかった。

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    2019年01月31日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    自身の才能を信じる女優志望の姉、彼女を観察し漫画にした過去のある怯えた妹、最悪のちょっと上の半生だった鈍い兄嫁。俯瞰するような視点が独特の心地好さで、どうしようもなくても三人が不思議と力強くて、無二の世界にとても引き込まれた。ぼんやりと覚えている映画版を思い出しながら、更に濃やかに強力に感じた。

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    2018年10月13日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    いくつか読んだことがある作品も収録されていましたが、今までの愛に対する見方を思いっきり揺さぶられる一冊であることは間違いなし。
    どれもこれもお勧め?
    「韋駄天どこまでも」は漢字遊びの要素なので、編者も書いているように翻訳は超絶技巧が必要だなぁ。
    単行本にしか収録されていない作品があるそうなので、単行本も読まねば。

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    2018年07月21日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    欲望と欲望は惹かれ合う。欲を重ね合う私たちはどこまでが本当でどこまでが嘘かなんてわからない。それは実に滑稽に見えるけれど同時にそれがリアル、でもある。

    僕たちが紡ぎ出す言葉や行動は滑稽でなんの思考も介さない浅はかなものに他人の目からは写るだろう。だがその過程には、並々ならぬ葛藤と迷いと、欲望やらが飛び交っているのだ。

    この作品は終始熊田の脳内での会話を描いている。手に取るように熊田が感じられ、熊田という女性が自分の中の人格のうちの一人なんじゃないかと錯覚するような読書体験だ。共感はしないけれど、お腹の中の何かを煮えくり返されるようで面白かった。

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    2018年06月14日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    2018.2.26

    魅力的な人間に対しての表現が鍵がしっくりおさまるようにぴったりくる表現でとてもよかった すきだと思う気持ちと暴くという気持ちを同時に持ってしまう感情をわたしももったことがある、最後までこれが恋なのかわからなかったし暴いたと思った瞬間どうでもよくなったりした そしてこういう人間との出会いをわたしは本当に求めている、旅をしている これが興味というものなのだろうか?そうだとすればたしかに興味はひとを殺しかねないぬるい毒だ ひとりの人間の奇妙さみたいなものをリアルにいきていても見つめていたいし、小説にして解説したい気持ちをずっと思っているので、やりたいことも作品の意図もとても心の

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    2018年03月03日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    腑抜けども、悲しみの愛を見せろって、誰の台詞だったんだろう。
    それが分かったら、もっとこの作品を理解できるような気がするのに。

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    2017年10月24日
  • グ、ア、ム(新潮文庫)

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    東京で垢すりマッサージのアルバイトをしている長女と、大阪で堅実に信用金庫に就職した次女、そして2人の母親が、今にも爆発するのではないかという一触即発の関係を抱え込んだまま、台風のさなかグアム旅行に出かけるという話です。

    1970年代に、著者と同じく劇作家の山田太一が『岸辺のアルバム』で当時の家族の問題を鋭く衝き、大きなインパクトを与えましたが、本作にも現代の家族の問題を描きつつ、コミカルな方向へ突き抜けるような衝迫力を感じました。

    前作『生きているだけで、愛』もシニカルなホーム・ドラマで、やや印象が重なるところはありますが、おもしろく読めました。

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    2017年07月21日
  • 自分を好きになる方法

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    ネタバレ

     リンデという女性の、16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳。それぞれのたった1日を切り取っただけで、リンデがどのような思考の持ち主か、どうやって生きてきた(いく)のかが浮かび上がってくる。

     クラスでお弁当を食べるグループを天秤にかける。海外旅行先で渡すチップごときに、うだうだ言う。第三者の目からみて絶対に合わない相手と結婚する。クリスマスパーティのために買った15mの電飾ごときでその場の空気を悪くする。宅急便の配達員にくだらない見栄を張る。ほんとにしょーーーーもないことばっかりなんやけど、このリンデにイライラしてしまうのは自分にも似た部分があるからなのかもしれない。
     「自分を好き

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    2017年04月20日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    女優になるため上京していた姉・澄伽が両親の訃報を受け帰郷。その日から妹・清深への復讐が始まる。家族間で繰り広げられる悲しみの愛を描く、魂を震わす物語。
    非常に非現実的なストーリーだが、決して嘘っぽくない。人間が持つ嫉妬や羨望、愛情と憎悪がチクチクと突き刺してくる。妹の痛烈なしっぺ返しは驚きだが、彼女たちに大きな影響を与えたと思われる母親の描写があまりないのが残念。

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    2017年03月27日
  • 嵐のピクニック

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    奇想天外な物語の短編集だが、どの作品もかなり深い内容やオチになっているなと感じた。
    本谷有希子らしい一冊になっているが自分はやはり長編の方が好みだす。

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    2017年03月19日