本谷有希子のレビュー一覧
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ネタバレ本書のタイトルにある「嵐」と「ピクニック」という相反する言葉の組み合わせに惹かれて購読。
もっと言えば、以前から積読している「夜のピクニック」を読まなくてはという意識と、偶然「嵐」の活動休止報道の時期が重なり、何となくタイトルに目が留まった、というたわい無い理由が大きかったかも知れない。だから、短編集だと買ってから気付いた。ちなみにこの作品は、13作品が収められた著者初の短編集で、大江健三郎賞受賞作。
①アウトサイド (10P)
問題児の女子中学生である「私」は、親のエゴでピアノを習わされるが何処も続かず、最後に行き着いたピアノ教室で優しい先生と出会う。しかし、どんなに根気よく教えても「私」 -
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SNS三部作(と期待して読むとちょっと違うかも。虚構と現実といった感じ。)
冒頭「本当の旅」のうすら寒〜〜い、痛々しい〜〜感じがもうたまらん。
SNSでは「イケて」て、他の人とは違う、クリエイティビティ溢れる仲間たち、であるところの40前後男女3人組がクアラルンプールへ旅をするお話。40ってとこがリアルに痛すぎてつらい。
SNSを、スマホを通して見る自分たちだけが本物。人生は金じゃない、大切なのはクリエイション。写真に写りこんだ冴えないおばさんも、動画の途中で外国語で文句を言ってきたおじさんも、トリミングしてしまえばなかったことになる。大丈夫、マジでチョーイケてる。
読んでいる間ずっと心が -
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ネタバレ強烈な自己愛を持つ澄伽。
澄伽は高校卒業後、女優を目指して田舎から上京していたが、両親の事故死で4年ぶりに帰省。田舎に住む妹・清深や、兄そして兄嫁をまじえ、様々な騒動をまき起こす、というお話。
話が進むにつれ、ドロドロとした4年前の出来事が明らかになっていきます。
当時18歳の澄伽は、女優になるべく上京を望む。自身の才能を信じて疑わない澄伽は、上京さえすれば成功すると思い、上京の資金を貯めるため、身体すら同級生に売っていた。
澄伽は女優になりたいので上京したいと父親に訴えるが、澄伽の演技力は高校の文化祭ですら失笑されるレベル。父親は「お前に女優の才能はない」と一蹴するが、反発した澄伽は -
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少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。 -
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ネタバレ作者は演劇の世界に身を置く人物であるので、きっと澄伽みたいに「実力はないけど、自尊心だけは高い」人物。
男性、女性に関わらずたくさん見てきただろう。
モデルはいるのだろうか。いるとしたら、作者は本気で嫌ってるんじゃないだろうか。
清深はどうだろう? 「不謹慎だと思いながらも物語のネタにしたくてしょうがない」人物。
これも沢山いそうだ。私生活を削って脚本を書く人。身近な人物をネタに使うわけだから、近ければ近いほどネタにしやすい。結果、ネタ元には嫌われる。こちらに対して、作者は同情的な立場にいるように思う。
タイトルの「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は誰から誰に対するメッセージなのだろうか。 -
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「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
面白かったです。
ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
表紙の感じに既視感が -
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ネタバレ『異類婚姻譚』以来2冊目。既に崩壊しきっているる感のある家族で両親が死んでしまい、残された子どもたちと嫁いできたお嫁さんがいよいよ大変なことになっちゃう話。今年読んだ中でも屈指のヤバイ小説だった。もう本当に、ヤバイ以外の形容詞が思い付かないのだ。
『異類〜』は極めて近い人間関係が齎す発酵のようなものが非常に印象的だったが、こっちは発酵などといわず完全なる腐敗。もう捨てるしかないって感じ。
超絶自意識過剰ワガママ女に育った姉、間違った方法(だと私は思う)家族を守ろうとする嫁にDVする兄、家族の不幸を売り物にしちゃう妹、不幸欲張りセットな人生を歩んできたお嫁さん。楽しい話になる訳がない(ある