本谷有希子のレビュー一覧

  • 自分を好きになる方法

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    ネタバレ

     リンデという女性の、16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳。それぞれのたった1日を切り取っただけで、リンデがどのような思考の持ち主か、どうやって生きてきた(いく)のかが浮かび上がってくる。

     クラスでお弁当を食べるグループを天秤にかける。海外旅行先で渡すチップごときに、うだうだ言う。第三者の目からみて絶対に合わない相手と結婚する。クリスマスパーティのために買った15mの電飾ごときでその場の空気を悪くする。宅急便の配達員にくだらない見栄を張る。ほんとにしょーーーーもないことばっかりなんやけど、このリンデにイライラしてしまうのは自分にも似た部分があるからなのかもしれない。
     「自分を好き

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    2017年04月20日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    女優になるため上京していた姉・澄伽が両親の訃報を受け帰郷。その日から妹・清深への復讐が始まる。家族間で繰り広げられる悲しみの愛を描く、魂を震わす物語。
    非常に非現実的なストーリーだが、決して嘘っぽくない。人間が持つ嫉妬や羨望、愛情と憎悪がチクチクと突き刺してくる。妹の痛烈なしっぺ返しは驚きだが、彼女たちに大きな影響を与えたと思われる母親の描写があまりないのが残念。

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    2017年03月27日
  • 嵐のピクニック

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    奇想天外な物語の短編集だが、どの作品もかなり深い内容やオチになっているなと感じた。
    本谷有希子らしい一冊になっているが自分はやはり長編の方が好みだす。

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    2017年03月19日
  • グ、ア、ム(新潮文庫)

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    性格真逆で不仲の長女と次女、そんな二人の間でおろおろ仲をとりもとうとする母。
    そんな女三人の三泊グアム旅行。
    フリーターでわがままの身勝手な長女と、信用金庫勤めで堅実な現実主義の次女という組み合わせが妙にリアルだわ。
    姉はしっかり者、妹は奔放マイペース、みたいな世間一般のイメージとは違いますよね。
    私自身は姉でもあり妹でもある立場なので、両方の言い分に共感できました(どちらかと言えば妹寄り)。
    物語にただよう一触即発の空気と、本谷有希子の独特なユーモアセンスにニヤニヤがとまらなかった。
    旅行終盤のがむしゃらとまで言える決死の思い出づくりから、ラストまでの展開もこの家族らしさがあって良かった。

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    2017年03月03日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    和合家の両親が交通事故で亡くなったところから、物語はスタートします。女優になることを夢見て上京していた長女の和合澄伽も実家へと戻り、その日から、長男の和合宍道と次女の和合清深、そして宍道の嫁の待子は、澄伽に振り回されることになります。

    澄伽は幼少時から自分は女優になるべくして生まれてきたのだと信じきっていました。周囲はそんな彼女を冷ややかな目で眺めていましたが、もっとも冷酷な観察者が妹の清深でした。高校生のとき、清深は姉のエキセントリックな振る舞いをマンガに描いて応募し、見事に受賞してしまいます。その結果、澄伽は妹を深く恨み、彼女を止めようとして宍道も傷つくことになります。やがて東京へ出て女

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    2016年12月26日
  • 江利子と絶対 本谷有希子文学大全集

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    世間を見捨てると豪語しながらも、何もかもを見過ごす事ができない愛らしい引きこもりの江利子。
    ゼッタイのぐるぐるまきを江利子が解いたように、江利子のぐるぐるまきをいつかだれかが解いてくれるといいよね。

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    2016年09月23日
  • 自分を好きになる方法

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    主人公リンデの、さまざまな年齢での1日を切り取った物語。りんでは「心から一緒にいたい人」を求め続けてるけれども、中々出会えなくて諦めて、でもどこか期待している。
    自意識過剰でせっかく周りに集まってくれる人を心から受け入れられないのははっきり言って不愉快で、おばさんになった以降は当然独りでただひたすら憐れ。
    でも自分にそんな一面がないといえば嘘で、共感があるからこその不愉快さやこの本の面白さなのだと思う。リンデにならないように、縁があった人を大事にしよう。

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    2016年09月19日
  • 自分を好きになる方法

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    ネタバレ

    16歳のリンデとスコアボード
     ◇ランチ。ボーリング。遠慮し合う友達。
    28歳のリンデとワンピース
     ◇結婚前夜の旅行での諍い。試し合い。
    34歳のリンデと結婚記念日
     ◇旅行を思い出す記念日。後悔。
    47歳のリンデと百年の感覚
     ◇クリスマスパーティー。新しい男。配達人。
    3歳のリンデとシューベルト
     ◇お昼寝の時間。先生とのやりとり。
    63歳のリンデとドレッシング
     ◇一日のうちにやること。配達人。

    非エキセントリックなもっちんは、どこか物足りない。
    しかしこの作品では、物足りなさが含蓄となっている。
    特に「47歳の」における、諦念。
    後追いになるが、もっちんの新境地だと静かに興奮した。

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    2016年07月20日
  • 嵐のピクニック

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    現実と地続きのように始まるのだけれど、ほんの一行、一瞬で「あれ?」と妙なことになっている。本質は哀しい話なのに、一風変わったユーモアがほんのり漂い、しかもどことなくグロテスクなところが新鮮だ。どことなく、というのがミソ。極端な味付けをして、「ほら、刺さるでしょ?」みたいにされるのにはうんざりだから。

    かなり短めのものが多く読みやすい。突拍子もない展開なのに完成されている。できればもっと長い物語も読んでみたい。

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    2016年06月19日
  • あの子の考えることは変

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    本谷ワールド炸裂
    社会にうまく馴染めない二人のしょうもない掛け合いが面白い
    こんだけいい合えるなら理想の友達関係だな

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    2016年05月06日
  • グ、ア、ム(新潮文庫)

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    姉妹ってこんなにもいがみ合うものなのか?
    わたしは弟なのでこんなに距離感が近くない
    兄弟でもどこか他人なんだな。
    でも下の子は上みたいには絶対ならないとかああいう風にやったらいかんとか反面教師で生きてるから世渡り上手だし、逆に上はやって学ぶから図太くなれるし

    家族それぞれのポリシーがある
    嫌いあっているようで根っこはお互い信頼してる
    くだらない言い合いこそ家族
    渦中にいるのはしんどいだろうけどいい家族に出会えた

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    2016年05月04日
  • 幸せ最高ありがとうマジで!

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    戯曲の脚本がそのまま本になってる。
    嘘とハッタリで物語が進んでいって一見空虚やけどテーマは意外にも一貫してるのかなと。
    それは日常に潜む絶望や不幸。僕も無意識のうちにあらゆる絶望から目を背けて生きているのだろう、とそんなことに気付かさせてくれた。

    他の方のレビューでもあるけど、ほんとにタイトルが本当に良い笑
    読む前に惹かれたタイトルでもあるが、読後にタイトルがすっと心の中に入り込んでくる秀逸さがある。

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    2016年04月14日
  • 嵐のピクニック

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    意味不明な話もあったけど、それ故にか読むのに消耗した。
    1話を読み終わるごとに、一旦本を閉じて意識を現実に戻してから読んだ。
    「哀しみのウエイトトレーニー」「マゴッチギャオの夜、いつも通り」「私は名前で呼んでる」「タイフーン」が特に印象に残った。

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    2016年03月27日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    結局 主人公目線の世界がどこまで本当で、本当の世界はどんななのかな?!
    と 考えずにはいられない おもしろさ。

    序盤では話が掴みきれずになかなか興味がそそられなかったけど、中盤からは 結末に何が待っているのか…?!と前のめりで読んでしまった。

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    2016年03月24日
  • グ、ア、ム(新潮文庫)

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     父を日本に残し、母と姉妹の三人でグアムへ旅行する話。家族同士の滑稽でくだらないやりとりの描写が絶妙で何度もクスリとした。家族の嫌なところはたくさんあるけど縁が切れるわけでもないので我慢するしかないという諦念や、母や姉(妹)のようにはなりたくないという反発、同じ女同士だからこその対立など、あるあると頷ける感情がそこかしこに散りばめられていたけれど、結局は嫌いになりきれないものだなぁと思う。皮肉とおかしみがちょうど良く混ざりあっていてとても面白い作品だった。

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    2015年12月17日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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     タイトル通りじんわりとぬるい毒が体内に巡っていくような、しんどい読後感。ガツンとした衝撃はないけど、確実にダメージを受けた気分。
     私は本谷さんがおっしゃるように(あとがきより)、熊田は向伊に恋をしてはいないと思う。だけど強烈に引き込まれているのは確かで、そこまで魅力ある向伊に会ってみたい、人を平気で嘲笑える嫌な男なのに会ってみたいと思ってしまう。それが熊田が(ある意味)虜になった向伊の魅力なら、怖い。ラストは熊田の徹底的な逆襲が見られる訳でもないところがまた、こちらをじんわりと重たくさせる。

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    2015年12月14日
  • あの子の考えることは変

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     自分のコンプレックスを気にしすぎる日田と、自分の唯一の武器にすがる巡谷。そんな二人の関係性は、単純に友情と呼ぶには少し違う、時にはすれ違ったり疎ましく思ったり戦ったりしながらも、どこかでお互いがお互いを支えていて、結局これが友情というものなのかもなぁと思う。作品自体はぶっ飛んでいるけれど、程度の差はあれどみんなどこか変わっている世の中で、一口に友情と呼びきれない複雑だけど大切な関係性を築いている現実を思えば、この作品はある種の普遍性を持っているなぁと感じた。面白かった!

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    2015年12月08日
  • グ、ア、ム(新潮文庫)

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    電車内で笑いをこらえるのに苦労した。
    そういう経験がなかなかない私には稀有な小説。

    「テロリストやと思われるぞ、おかん」

    裏日本からは逃れられない。

    装丁もGOOD。

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    2015年09月20日
  • あの子の考えることは変

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    な、な、何度笑ったことか。
    タブスというポケモンのくだりとか。
    豚のぬいぐるみで録音するところとか。
    す、すみませ~ん、を録音して繰り返しにして外出するとか。
    グルーヴ先輩のくだりとか。
    細かい細かい意地悪なものの見方がこんなに面白くなるとは。

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    2015年07月14日
  • 嵐のピクニック

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    おおおおおお!
    こーいうのを読むのは本当に久しぶりな気がする。
    うん、うん、うん!!
    こ―いうのが読みたいんだよ。
    なんていうのか、ちょっとだけ現実をずらして見たんですが、実はかなり現実からずれた作品ができましたというやつですね。
    笙野頼子さんの「母の発達」を読みながら思いだしていました。
    人によっては嫌悪する作品もあると思いますが、私はどの作品も好きですね。特に「悲しみのウェイトトレーニー」とか「彼女」たちはどこか滑稽だけど、笑えないものがあって大好きです。

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    2015年06月08日