あらすじ
北陸育ちの姉妹。長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不穏なムードに……。時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、シニカルな筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ。
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Posted by ブクログ
ほんと面白かった。
娘しかいないお父さんって、このタイプ多いよね、と。
サービス精神が溢れてしまっているかんじ。
方言の会話がテンポ良くて、読んでいるうちに自分が
おもち(何代目?)になって一家と一緒に過ごしているような。
帰宅時に何か読みたいなと職場の文庫書架で目についた一冊を考えなしに手に取ったのだけれど、この直前に『死刑のための殺人』を読んで「砂漠のような家族」に戦慄していたので、「大丈夫、こんな家族もあるよ」と慰められた。
こういうことがあるから本の虫は止められない。
Posted by ブクログ
完敗。
テンポよい北陸の方言での会話や、“おもち”のネタでゲラゲラ笑って勢いよく読み終えてしまったけれど、解説を読んで本谷さんの鋭さを感じて怖くなってしまった。まるで、頭のキレるやり手芸人だー。(なぜか残っているつまらぬ芸人ではなく、頭の冴えたずるがしこい人間。)
母、姉と3人で私もグアムに行ったことがあり、小説に登場するナイトマーケットの情景が容易に思い描けた分物語の迫力が3倍増しくらいになった。 なんて書きたいわけではなく、、、
本谷さんの表現する対象が、とっても好ましい! 痒い所に手が届く とはこのことであろう・・・ 生きることに大半の時間を割いている つまらぬ日常をぬかりなく切り取って説明してくれる。
読解力のない自分には、こういうことぐらいしか本谷さんの魅力は解らないのだろう・・・ ああ悲しい。
家族の存在を確認するためにも。もう1回読みます。 オススメ!! 生きてるだけで、愛 を読んでウツウツさで苦手な方も グ、ア、ム は読めると思います。
Posted by ブクログ
『時代が時代なら「うつけ者!」と斬りつけられてもおかしくないほど集中力を欠いた状態である。』
『人の顔に点在するほくろを線でつなぐと何かのメッセージが浮かび上がってきそうで怖い…だの。』
『長女は「妹をアリバイ工作に利用した、睡眠時間経過の誤認トリックを思いつきましたので」と泣き、「わけが分からん!」と父親からさらに怒られていた。』
『うるさいな、おとん! あほ! おとんがあほや! おとんが将来ぼけろ! ぼけ老人になれ! ー ぼけたらほっぽり出してやる! 裸で近所、うろうろしろ!』
『ちなみに長女が状況する際、彼が同様に出した条件は"AV女優にならないこと"だった。』
『信用金庫の同僚ともそれほど信用のある付き合いはしていない。』
『今のはたぶん「オランジィ・ジャゥス、プリーズ」と発音せねばならなかったに違いない。 ー 「オランジィ・ジャゥス」と言わなかったばかりにトメィトォ・ジャゥスが目の前に来てしまった。』
『「ビーファーチッキン?」もうビーファーとしか聞こえない。どうせお前ら分からないだろうと高をくくり、本当にビーファーと言っているとしか思えない。』
『あー、何が幸せなのか分からないけど、今が幸せじゃないことだけは、分かる。』
『ああ、一人って楽だな。人間って他人といなければストレスなんて発生しないんだな、と思えてきた。』
『やきもきー、と実際に声に出して言ったのは、彼女にとってもこれが人生で初めてのことである。』
『やがて次女が死刑台にこれから上がろうとするかのような表情でバスルームのドアを重々しく開けて現れ、そこから一歩も動こうとせずに声を発した。』
『お前はいっつもそんなんやからやろ? なんでお前はいっつもそんな自分が正しい、みたいな言い方するんじゃ。なんの、どんな根拠があってお前が正しいんじゃ。』
『もういい。なんでもいいから、おかん、喜ばせよう ー 楽しいふり、しよう』
『甘酸っぱ辛い!』
『苦悩なんて誰にでもできるということに気づいて、じゃあもうそういうのは他の人に任せようと目をつぶった。そうだ、苦悩なんて誰にでも、できる。』
Posted by ブクログ
東京で垢すりマッサージのアルバイトをしている長女と、大阪で堅実に信用金庫に就職した次女、そして2人の母親が、今にも爆発するのではないかという一触即発の関係を抱え込んだまま、台風のさなかグアム旅行に出かけるという話です。
1970年代に、著者と同じく劇作家の山田太一が『岸辺のアルバム』で当時の家族の問題を鋭く衝き、大きなインパクトを与えましたが、本作にも現代の家族の問題を描きつつ、コミカルな方向へ突き抜けるような衝迫力を感じました。
前作『生きているだけで、愛』もシニカルなホーム・ドラマで、やや印象が重なるところはありますが、おもしろく読めました。
Posted by ブクログ
性格真逆で不仲の長女と次女、そんな二人の間でおろおろ仲をとりもとうとする母。
そんな女三人の三泊グアム旅行。
フリーターでわがままの身勝手な長女と、信用金庫勤めで堅実な現実主義の次女という組み合わせが妙にリアルだわ。
姉はしっかり者、妹は奔放マイペース、みたいな世間一般のイメージとは違いますよね。
私自身は姉でもあり妹でもある立場なので、両方の言い分に共感できました(どちらかと言えば妹寄り)。
物語にただよう一触即発の空気と、本谷有希子の独特なユーモアセンスにニヤニヤがとまらなかった。
旅行終盤のがむしゃらとまで言える決死の思い出づくりから、ラストまでの展開もこの家族らしさがあって良かった。
本谷有希子の小説すべてがツボだわ。
Posted by ブクログ
姉妹ってこんなにもいがみ合うものなのか?
わたしは弟なのでこんなに距離感が近くない
兄弟でもどこか他人なんだな。
でも下の子は上みたいには絶対ならないとかああいう風にやったらいかんとか反面教師で生きてるから世渡り上手だし、逆に上はやって学ぶから図太くなれるし
家族それぞれのポリシーがある
嫌いあっているようで根っこはお互い信頼してる
くだらない言い合いこそ家族
渦中にいるのはしんどいだろうけどいい家族に出会えた
Posted by ブクログ
父を日本に残し、母と姉妹の三人でグアムへ旅行する話。家族同士の滑稽でくだらないやりとりの描写が絶妙で何度もクスリとした。家族の嫌なところはたくさんあるけど縁が切れるわけでもないので我慢するしかないという諦念や、母や姉(妹)のようにはなりたくないという反発、同じ女同士だからこその対立など、あるあると頷ける感情がそこかしこに散りばめられていたけれど、結局は嫌いになりきれないものだなぁと思う。皮肉とおかしみがちょうど良く混ざりあっていてとても面白い作品だった。
Posted by ブクログ
電車内で笑いをこらえるのに苦労した。
そういう経験がなかなかない私には稀有な小説。
「テロリストやと思われるぞ、おかん」
裏日本からは逃れられない。
装丁もGOOD。
Posted by ブクログ
女三人母、長女、次女でいく、上手くいかないグアム旅行。
いい意味でどんより(笑)
仲良くない姉妹の鬱屈した感情がばっちり笑いに昇華されてました。
留守番の父親がいい味だしてます。家族が旅行に出てからの父親だけを追った話が読みたいくらい。
Posted by ブクログ
うん、おもしろい!
いそうなキャラを極度にデフォルメして、それを普通の人の視点で描くといった本谷有希子のお得意パターン。
会話やモノローグが相変わらず隙間をつついた感じで笑える。
Posted by ブクログ
ロスジェネ世代に生まれた無防備な姉と、その少し下の世代の堅実な妹、それに間に立たされる母のグアム女三人旅の物語。
家族の間にある微妙なあの感じを描くのがうまくって、思わず自分も兄との気まずい会話、微妙なあの感じなんかを思い出してしまった。
Posted by ブクログ
設定がでたらめに好きでした。
姉の気持ちいいほどの自分勝手っぷりと母のなんとなく姉妹の間に入っての切ない感じ、妹の真面目な正しさのトライアングルがすごく心地よかったです
方言も上手い具合に嫌みでない感じに使われていて物語に入っていきやすかった!
初めての3人での海外旅行がこんなに悲惨だったらもう、ほんと常に泣きそうになってしまうだろうなあ
で、後で盛大に笑い話にしてやりたいです!笑
本谷さんの本、これからちょっとずつ読み進めていきたいなーと思います
私は立場的には妹ですがワーキングプアの刹那主義なもんで、現実主義者でちょっとぼーっとしている姉を思い出しました
私たち姉妹も性格が全く違うのでいつか旅行とかいってみたいですね
もちろん母と3人で
Posted by ブクログ
2011年に購入していた積読本。苦笑
数年前に7ルールというTV番組で著者を拝見し、
こんな方なのか!と驚いた記憶です。
帯は、
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この人たちに自分のペースを乱されたくない。
この、自己顕示欲の塊たちに。
母・姉・妹の女三人海外旅行
イタくて笑えるゼロ年代の家族小説
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北陸育ちの姉妹。
姉は上京するが、就職できずワーキングプア。
妹は姉を反面教師として、高卒で地元の信用金庫に就職。
姉妹の間をとり持つように、折衷案を提示し続ける母。
女たちにケツの毛まで毟り取られた父。笑
姉妹の微妙な関係や距離感と、
両親の二人への愛情(?)と。
父と飼っているウサギはお留守番で、
姉妹と母でグアム旅行に行く話。
いるかも、あるかも、こういう家族。
私だって兄とべたべた仲良い訳ではないし、
思春期の頃なんて本当に仲が悪かったし。
姉妹で仲良い友達を見てうらやましかったり。
どちらも可愛い子どもという、
両親の気持ちも
この年になってわかるようになった気がします。
以前、7ルールに編集者の助宗さんが出ていて、
家族というのはチームプレーで、
家族というチームをみんなでうまく回していくための
役割でしかない、みたいなことを言っていて。
だから誰が稼いでも、誰が家事をやっても、
それは家族としてバランスをとって
機能していくための役割だと。
この本を読んでいて、
なんとなくそれを思い出しました。
グアムで珍道している間に、
父は父で戦いを繰り広げていた…みたいな最後は特に。笑
完全に余談ですが、
どうして今…みたいなタイミングで生理になっちゃう気持ちも痛いほどわかりました。笑
短くてすぐ読み切れます。
今いくらなのかわからないけれど、362円(税別)と書かれた値段に「安っ!」と思った私です。時代ですね。苦笑
Posted by ブクログ
【本の内容】
北陸育ちの姉妹。
長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。
そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。
姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不隠なムードに…。
時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、シニカルな筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ。
[ 目次 ]
[ POP ]
北陸出身の姉妹と母が3人で初の海外旅行へ。
東京在住の姉はワーキングプアで自分勝手、ギャルファッションに身を包む妹は姉のようになるまいと堅実に暮らす。
ぶつかる2人の間で気を揉む母はどこかマイペース。
ハプニング続きの道中と独特のセンスが炸裂する会話に笑いながら、リアルな心情に胸を突かれる。
劇作家として活躍する著者の新感覚家族小説。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
Posted by ブクログ
現代的な質感の言葉を繰り出しテンポよく笑える、よく出来たコント。父親の飄々さが、物語を可笑しいペーソスの上に支える。
実体不分明な匿名多数という権力としての「社会」が、誰でもない誰かを、「何か」として範疇化する。そうした言語による概念的規定を通してでしか他者を視ることができないのなら、そこに在るのは、当の個人そのものではなく、「社会」が機械的に撚り出していく言葉の束以上ではない。手垢に塗れた意味の塊でしかない、という無意味、物。逆に、その範疇を通してしか自己を視ることができないのなら、「社会」という権力に翻弄された自己喪失でしかない。
「社会」に対する態度は、闘争か逃走か、二つに一つだ。取り憑かれてはいけない、翻弄されてはいけない、意識を乗っ取られてはいけない、言葉を簒奪されてはいけない。
"お前、あたしにどんだけでかいもんに勝たせようとしとれんて! 無茶言うなや! そんなん勝てんぞ! 勝てるわけねえがい! 社会やぞ?"
自分を取り巻く不全感・閉塞感の原因を自分の人生がくぐり抜けさせられた社会情勢のせいにして、自己憐憫と他世代への嫉妬に精神的平衡を保とうとする「姉」のこの科白は、「社会」が媒体を通じて流通させている「ロスジェネ世代」という用語で以て自縄自縛している当の「姉」自身への批評へと、読む者を向かわせる。
上手い具合に、針が振り切れていく以外に、無いのだろうか。
"・・・、苦悩なんて誰にでもできるということに気づいて、じゃあもうそういうのは他の人に任せよう・・・"
それでも、彼女の日常は、どうしようもなく続いていく。
この作品自体、「社会」に対する笑いを帯びた一つの悲鳴じゃないか。
Posted by ブクログ
いがみあってる姉妹と母親、三人のグアム旅行は生憎の雨。行く先々でも日々の生活同様に、全然思ったようにいかない。妹からの提案で、母親のためにも旅行中は仲良くしようとするが、、、
Posted by ブクログ
母と娘二人の3人でグアムへ旅行。楽しいはずの旅が様々なアクシデントに見舞われ・・・。
元々ソリが合わない姉妹に、間を取り持とうとするもどこか間が抜けて空回りする母。
楽しいはずのグアム旅行も、着いてみればまさかの台風直撃。妹は歯痛に苛まれ、母は生理痛。
自分の境遇に満足せず時代を恨み妹を羨む姉に、姉を反面教師に堅実に生きてきたが社会人生活がしっくりこない妹。
元々ソリが合わない二人は、旅中に重なるアクシデントや互いの理解できない振る舞いにストレスが重なり、常に険悪ムード。
間を取り持とうとする母も、肝心なところでサンダルで足を痛めてたり、睡眠導入薬を間違って娘に飲ませたりと、いい感じに水を差す。
誰もが幸せに生きたいと思いながらも答えを見いだせず、せめてこの旅行は楽しく過ごしたいと思っても全て空回り。
そんな現代人の悩みを軽快にさらりとシニカルに書き切って、一気読みできる佳作。
でも自分が、いま置かれている境遇に満足しているタチなので、共感はできず。
Posted by ブクログ
とてもシンプルな本。
ちょっとだけにやにやしながら一気に読めた。
本谷有希子の作品は一見普通のエンターテインメントっぽいので大して深く考えずにどんどん読めてしまう。
何かくだらないものに動かされている感の続く三人の、あまりに居心地の悪い旅行譚の中で時折り垣間見える「素直さ」みたいなものが待ち遠しくなる。
それはベランダで電話を切った後の妹であったり、母と妹が快晴のグアムを前に眠ってしまい、いびきの歯ぎしりの中での長女の思案であったりする。
それは絶望状態でも希望状態でもない、フラットな何かであったりする。
Posted by ブクログ
『腑抜けども…』のような爆発的なトンデモなさはないけれど、この人の描いていきたい「家族」というものが、フツーに伝わる一冊になっています。
なぜ、『グ、ア、ム』なのか。
そしてそれをタイトルにする感覚、好きだー。
Posted by ブクログ
物語後半に出てくる姉妹の口喧嘩が一番好きでした。
おねえの言ってることはあからさまにイロジカルなのですが、そうだと分かっていても、自分の現状を全部人のせいにしてしまいたくなる気持ちに、ちょっと共感。
Posted by ブクログ
母と娘二人でグアム旅行に行く、というお話なのですが、登場人物が半端なく個性的で、そのドタバタぶりに読んでる方もなんだか同じように慌てふためくようなテンションで読まされちゃったような印象。自分もその場にいるような気持ちになりつつ「あ〜いるよね、こういう困った人」と客観的に共感しながら読むのは楽しかったです。
それにしても本谷有希子さんの作品に出てくる人は、みんな性格がトンがっていて強烈ですねぇ。何となくですが、どの作品も舞台映えしそうな気がします。(舞台あんまり見に行ったことないけど、なんとなくそんなイメージってことで…)
Posted by ブクログ
人間(特に女性)のマイナス感情を描かせたら右に出るものがいない本谷有希子。
今回は、母・姉・妹の女三人グアム旅行という楽しそうな題材にも関わらず、やっぱり本谷ワールド全開。
ワーキングプアな姉は、自分の現状を「ロストジェネレーション」のせいにし、そんな姉を反面教師にして堅実に生きる妹はギャル風ファッションに身を包む。
そして、母親はそんな二人に気を使い過ぎる折衷主義の人。
家族小説風なストーリーでありながら、ユーモア小説風(?)の結末。
登場人物のキャラクタが明確なところは、劇作家としての一面が表われているのかもしれませんが、物語としてはとてもわかりやすいです。
本谷さんの話としては、「歪み」度が甘いかもしれないけれど・・・。