【感想・ネタバレ】嵐のピクニックのレビュー

あらすじ

弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づく――。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他13編。キュートでブラック、しかもユーモラス。異才を放つ著者初の短編集にして、大江健三郎賞受賞作。

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⚫︎感想
ひとつひとつ、大変興味深い短編が13編。
語り手の年齢、性別を自在に操る感覚に感銘を受けた。日常の設定からわずかに逸脱していく感覚が共通していて、興味深く読めた。また読み返したい。

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づく――。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他13編。キュートでブラック、しかもユーモラス。異才を放つ著者初の短編集にして、大江健三郎賞受賞作。

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2024年06月29日

Posted by ブクログ

13の短編が収録されている。まず2つの作品を続けざまに読んだとき僕は、ずっとこれを求めていたに違いない! と目の覚めるような想いとともに、自分の読書脳と創作脳がほの温かく躍動し始めるのを感じたのでした。わかりそうな人たちに、「ちょっとこれ読んでみ」と前のめりで薦めたい。見つけた!感が泡立つのです。

話を展開をしていくために言葉のバランスを考えたり表現を考えたりしながら書いている部分と、内容や自己に沈潜して書いている部分と、そしてもともとの発想があると思うのだけど、三位一体的でした。そしてぎゅっとして無駄がない。

以下、とくに好きだった3作品についての感想です。

「私は名前で呼んでる」
カーテンのふくらみから妄想と記憶が流れ出す話。こういう、なんともいえない錯覚の渦中にいる感じってあるなあと思う。でも、言葉にできるほど意識の腕が届いていない領域のものでもある。この、書き手の「意識の立ち位置」みたいなものを考えないわけにはいかない。そんなところに立っていたか!と言うような立ち位置から書いている気がした。目を閉じて想像や思考の世界に耽溺しているだけでは書けない。だからといって目をかっと見開き外の世界をつぶさに見つめ続けるだけでも書けない。言うなれば、薄目で外の世界を眺めながら思考や想像ともつながっている意識で書いたような小説、という感じがして、そこを対象化して言葉にしたのがすばらしい。

「マゴッチギャオの夜、いつも通り」
猿山のなかのいっぴきの猿。名前をマゴッチギャオという。その猿山にいっぴきのチンパンジーが入れられることになり、マゴッチギャオはおそるおそる近づいてみる。この作品はもっとも寓意を感じるような話で、印象深い。ラストの締め方に一撃を食らいます、それもやられてしまう一撃ではなく、なんていうか力がわくような一撃です。

「ダウンズ&アップス」
主人公のデザイナーは、自分にこびへつらいお世辞ばかり言われる環境を、とても心地の良いものと肯定している。それも、強固な肯定感で。意見を言う若者を、表向きは物珍しさのために近くに置くようになるのですが、それでも、自己肯定感の恒常性のほうが強かった。意見を言う若者を近づけたのは、ほんとうに、物珍しさのためだけなのか。主人公の心の中にはいっさい迷いがないようではありますが、実は無意識のほうで渇望しているものがあったのだろうなとうっすらと思うのでした。しかし、この主人公の自己肯定感の強さはほんとうにすごくて、読んでいると、主人公が穢れのないくらい潔癖に正しい、と思えてしまうくらい。それほど、この短い話に揺さぶられてしまった。主人公像としては、アンディ・ウォーホルが思い浮かびました。

というようなところです。僕も自分の小説を書くにあたって、真似したいわけではないのだけど、自分の才能をぐいいっと空間の隅々まで伸ばして書くような書き方をしてみたいです。読み手としては興奮するし、書き手としては刺激になりました。よい出合いでした。おすすめです。

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2022年10月26日

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一冊の本でジェットコースター体験ができる。

「は??」
「ええええ!!」
「嘘だろ…」
「どういうこと」

新しい話を開くたび、常識や現実が派手に壊される。
なんだこれ、なんなんだコレ。

ただ間違いないのはどの話も恐ろしく面白い。
どこかが確実に狂っているあべこべな世界なのに、妙な現実味と手触りがある。
一度読み始めたら最後、終わるまで降りられない。

本谷有希子という奇才のエンターテインメント性を
思う存分楽しめる大満足の一冊だった。
個人的には「哀しみのウェイトトレーニー」「亡霊病」がすき。

彼女はヤクでもきめてるのか。

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2020年04月24日

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シュールなユーモアが光る短編集。
日常の風景の中に絶妙な違和感を埋め込んだ世界観に、ぐいぐい引き込まれた。
著者の想像力に脱帽。
「マゴッチギャオの夜、いつも通り」、「亡霊病」がとくに印象に残った。
「Q&A」の畳み掛けていく語り口調も面白かった。

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2016年09月09日

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この人の書く文章は心地よすぎて、いっそ毒であるように感じる。「哀しみのウェイトトレーニー」「亡霊病」「Q&A」がとくに好き。

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2015年08月08日

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ネタバレ

1番初めの章は現実的な怖さで好みだった
たくさんの短編が詰まってどれも不思議な非現実的な話だったりして面白かった。

特におさるの話が好きでした。

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2025年02月04日

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ずっと、クスクス笑いながら、でもどこか、後ろを振り返りたくなるような怖さもありつつ…短編だからこそ、後をひきづることなく読み終えられました。

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2024年07月11日

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本谷有希作。各話趣向の異なる短編集。

いい意味で狂ってる。筒井康隆風味。

「彼女たち」「タイフーン」の勢いはヤバかった。

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2021年07月30日

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ネタバレ

本書のタイトルにある「嵐」と「ピクニック」という相反する言葉の組み合わせに惹かれて購読。
もっと言えば、以前から積読している「夜のピクニック」を読まなくてはという意識と、偶然「嵐」の活動休止報道の時期が重なり、何となくタイトルに目が留まった、というたわい無い理由が大きかったかも知れない。だから、短編集だと買ってから気付いた。ちなみにこの作品は、13作品が収められた著者初の短編集で、大江健三郎賞受賞作。

①アウトサイド (10P)
問題児の女子中学生である「私」は、親のエゴでピアノを習わされるが何処も続かず、最後に行き着いたピアノ教室で優しい先生と出会う。しかし、どんなに根気よく教えても「私」には届かず、更に目に余る見た目から、習うのをやめる生徒も出始め、日に日に弱々しくなる先生。しかし、ある日のレッスンで、ピアノを弾く手首の下に尖った鉛筆の先端を近づけて指導する。「私」は恐怖を感じるが、その日から毎日鍵盤に触るようになり、怒涛の勢いで成長していった。そんな時、先生は教室をやめてしまった。離婚するらしい。旦那から自宅でピアノ教室をしていることを責められ続け、思春期だった娘にまで辛くあたられ、お義母さんの介護に疲れ、「私」の改心も先生の疲れ切った心にはもう届かない。ある日先生はグランドピアノの中にお義母さんを入れると蓋をして閉じ込め、半日放置したらしい。「私」はというと、先生がいなくなってからピアノを練習しなくなり、県で一番馬鹿な高校にも入れず、十七のときに子供ができた。ある時、お腹の子供が「私」をピアノに閉じ込めるところを想像し、自分もお腹に子供を閉じ込めていることに気付いた。誰だって自分が今、ピアノの中なのか外なのか分からないまま生きているのだろう。

②私は名前で呼んでる (10P)
とある女上司は、年下の部下たちと大事な会議をしていたが、視界に入ったカーテンの膨らみが無性に気になってしまう。どうせ何も居ない、でももしかしたら誰かいるんじゃ…女性だからといってなめられたくないプライドと、夢見る少女的な発想の間で葛藤するが、最後には急に会議室を後にして、「シューダダダ!」と叫びながら駆け回る。

③パプリカ次郎 (6P)
十歳のパプリカ次郎はおじいちゃんを手伝うため、屋台の売り子として市場に立ち、野菜を売りさばいた。そして帰る頃、幾つもの屋台を破壊しながら何かがやって来た。追われる謎の男女が屋台に突っ込み破壊、その後を黒いスーツの男たちが銃を撃ちながら追いかけ残ったものを破壊。慣れた様子で「あいつらはいつもわざと追われている」と言うおじいちゃん。なぜ逃げないのか聞くパプリカ次郎に、「露店商なら避けられない」と教えるおじいちゃんは、流れ弾に当たって死んだ。屋台を受け継いだパプリカ次郎は、何度目かの襲来時にスーツ男にしがみつくが、彼らは風のように速く走り、スーツに見える不思議な皮膚が剥がれ、パプリカ次郎は砂漠に落下。何日もかけて何とか故郷に帰り、今でも露店商を続けている。彼らはたまに破壊しにやってくるが、パプリカ次郎は誰よりもぶつかりやすい店先に立ち、激突していく彼らに最大の敬意を払い、なるべくオーバーリアクションで驚いてみせる。

④人間袋とじ (10P)
突然、しもやけを利用して足の小指と薬指をくっつけてみると言う彼女。戸惑う彼氏だったが、付き合いたての頃、足の二本の指にお互いのイニシャルを彫り合ったことを思い出す。薬指には彼氏、小指には彼女のイニシャルのタトゥ、それをくっ付ける意味が分からない。いい加減にしろと怒るが、彼女に見つめられ、最近ちょっかいをかけている女の子の存在がバレたのではと不安になる彼氏。
諦めたように「馬鹿馬鹿しくなってきたからやめる」「この皮膚裂いてよ」と言う彼女。そうして裂くのを手伝い、切れ目があと数ミリまで来たところで、指と一緒に二人の関係も終わることにようやく気付く彼氏。

⑤哀しみのウェイトトレーニー (21P)
夫に気を遣ってばかりいる妻は、夫がテレビで観ていたボクシング選手の身体に魅せられ、夫とは対照的なその肉体が頭から離れなくなり、次の日からボディビルダーを目指した。昔から、自分がこうだと決めつけすぎて、他の可能性を考えようとしない癖があり後悔していた。大人しい自分はジェットコースターなんか嫌いなはずという決めつけもその一つだ。もしあの時、みんなとジェットコースターに乗っていたら本当はどうだったんだろう。
だからジムに通い続け、職場でも隠しきれないほど身体が大きくなっていったが、何とか職場でも受け入れられた。そんなある日、とあるショックな出来事があり夫に弱音を吐いてみるが、夫のあまりに無関心な態度に涙を流し、家を出た。ジムへ行き、担当の若い男性コーチにトレーニングを頼み、「コーチが私のパートナーならよかったのに」と漏らしてしまう。その時、窓を叩く夫の姿。コーチが夫を迎えに行っている間、何か言いたそうな夫の目の前で、ガラス越しにボディビルのポーズをする妻。信じられない、という顔をする夫。
コーチに迎え入れられた夫は、不安そうにしながらも妻を抱きしめた。
それからは、夫婦で公園に出かけたりもするようになった。二人の体格差に道往く人が振り返るが、二人はまったく気にしない。

⑥マゴッチギャオの夜、いつも通り (13P)
動物園の猿マゴッチギャオは、新入りのチンパンジーが気になっていた。群れに馴染めない新入りに優しく話しかけ、オツムがよくてIQは人間の子供くらいあり、名前はゴードンだと教えてもらった。さらに他の動物のことや、笑顔だと人間と心を通じ合わせられる知った。その夜、人間がハナビを投げつけてきた。あれが当たるとすごく痛いし、赤い肉が見えるというのに、ゴードンはなぜか逃げず、ただ叫び声が響いていた。そして、口の端を持ち上げて心を通じ合わせようとしたが、そのうち人間が石を投げ出して、ゴードンは死んだ。
人間が帰ってから、マゴッチギャオたちはゴードンを囲んで祈りを捧げ、生き返らせた。生き返らせただけなのに、ゴードンはキセキだとか言って驚いていたが、マゴッチギャオは猿だから難しいことはあんましよく分かんない。

⑦亡霊病 (18P)
「亡霊病」は人生で一番幸せかもしれないという瞬間にかかる率が高い病気で、「自分じゃない感覚」の後、体が浮き平行移動する、口からエクトプラズムが出る、壁などを通り抜ける、体が薄くなり消滅、短時間で性格が変貌するという症状が表れる。
コンクールに入選した「アタシ」は、その贈呈式の最中に亡霊病が発症する。必死に隠そうとしながら、思考を巡らせ抵抗したり両親に感謝したりするが、無情にも悪口雑言を発して消滅。

⑧タイフーン (7P)
雨宿りをしている男の子に、ぼろぼろの服を着たおじさんがクッキーを差し出し、話しかけてきた。台風の中、ずぶ濡れでも傘を必死に差している人たちは、傘で人が飛べると信じているんだよと説明し、おじさんが3、2、1と数えると、傘をすぼめていた男性が空高く舞い上がっていった。その後不思議なおじさんも「バイビー!バイビー!バイビー!!」と言いながら消える。
おじさんは次の日、隣町で潰れて発見されたけど、飲み会でその話をすると、「バイビー!×3」のくだりで盛り上がること間違いなしだ。

⑨Q&A (12P)
仕事と家庭を両立し、かっこいい女性として持ち上げられ続けた80代?の女性がQ&A方式で、自分に対する世間のイメージや苦悩を正直に打ち明け、その後のお悩み相談でも、DV彼氏に困っているなら河原に呼び出し決闘を挑みましょうと言ったり、出会いがないと言う相談者にサドルをパートナーにすれば良いなどとふざけた事を言うが、それでも編集部はもはや神の声だと賞賛する。

⑩彼女たち (10P)
わけも分からず急に彼女に決闘を挑まれ戸惑う彼氏。場所を探して歩いていると、同じような男女に何組も出会う。男はみな悲しげな表情で、彼女たちは息を切らし、涎を垂らし、女性的なパーツが極端に変化し強調されていくようだった。そして数百組の壮絶な取っ組み合い。この彼氏は、「そのままの君が好きだよ」と言い、泣きながら棘のついた鉄球を振り回し、スタンガンを食らわせ、「お願いします。助けて」という彼女の頭を棍棒で何度も殴りつけた。彼女は川に倒れ、ゆっくりと流れて行った。
あのとき、本当は彼女がわざと負けてくれたんだと僕には分かっていた。なんて優しい彼女。君を失うなんて、死んでも考えられない。

⑪How to burden the girl (13P)
悪の組織と戦ういたいけな女の子だと思って助けることを決意したが、実際は巧妙に母親から父親を奪い子供を産んだヤバい女が、母親からの復讐を受けて殺し合っていた。そうとも知らずに好きになったせいで巻き込まれた男が、胸糞悪い思いをする話。

⑫ダウンズ&アップス (20P)
上部だけの権力者と、正直な凡人の価値観の話。

⑬いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか (10P)
試着室から全く姿を見せず、試着を延々と続ける謎の客の対応に苦労する店員さんだったが、日付が変わっても試着を続ける客を、逆に何としても満足させたいと熱心になり、ローラー付きの試着室ごと運び出して洋服を探しに外へ移動する事に。その間、謎の客の体型をカーテン越しに観察し、どうやら人と違う形に思えたが、結局その正体は分からなかった。坂の上まで運んで気が緩んだ時に、試着室だけが坂道を下り始めた。追いかける元気が残っていない店員さんは、声を振り絞り、「お客様!よかったら、その試着室のカーテンをどうぞ!」と叫んだ。
カーテンから突き出た手が、さよならするように振られ、道にはどこの国のものかも分からない紙幣が置かれていた。
それ以来、想像しながら歩く癖がついた店員さんは、野原に敷いたピクニックシートを見て、彼女に結構似合うんじゃないかと想像するのだった。




◯感想
全体を通して、タイトルでも感じた矛盾や意外性みたいなものが込められているように思った。
文学的というか、意味が分からなくて要約が長くなってしまったが、一つ一つの作品が個性的で読み応えがあったし、短編集はあまり好きでは無いと思っていたが、コレはこれで悪くないなと思えた。
その中で、アウトサイド、How to burden the girl、ダウンズ&アップスは、世の中にある表と裏の怖さを感じ、結構深い内容だと思う。
そして、私は名前で呼んでる、悲しみのウェイトトレーニー、Q&A、いかにして私が(省略)は、ユーモアのある作品で、特に哀しみのウェイトトレーニーは、男の肉体に惹かれていたと思ったら何故か自分がボディビルダーを目指したり、シリアスな場面なのにポージングしたりと、なかなかシュールで面白かった。いかにして私が(省略)に関しては、珍しい試着室の話ということもあり、お笑いコンビ、ロッチのネタが思い出された。内容的には試着が進まないと言う共通点以外関係なかったが、試着室ごと服探しに行くと言う発想がぶっ飛んでいて良かった。
パプリカ次郎やタイフーンはファンタジーって感じが強すぎてよく分からなかったため、いつか理解したいと思った。
以前の自分なら低評価になっていたかもしれないが、こういう楽しみ方もあるのだと再認識することが出来た。

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2021年02月12日

Posted by ブクログ

怖いような、不思議なような、解説にもあるがなんとも奇妙な味のする短編集。
「哀しみのウェイトトレーニー」「マゴッチギャオの夜、いつも通り」「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」が好き。
「Q&A」からの「彼女たち」の流れもおもしろかった。

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2019年12月20日

Posted by ブクログ

 一つ目からガッツリ心を掴まれた短篇集。非常に短い短篇ばかりながら、どれもこれも違った世界観で構成されており、読んでいて飽きがこない。
 なかでも面白かったのは、一つ目の短篇「アウトサイド」。中学生が抱く、みみっちいけど残酷な悪意と、そんなものを一瞬で吹き飛ばすような大人の底なしの狂気と闇。
 最後の短篇の〇〇も味があって良かった。

 『異類婚姻譚』『腑抜けども(略』も良かったけど、エンタメ的な意味ではこれが一番面白かったかな。

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2019年08月02日

Posted by ブクログ

奇想天外な物語の短編集だが、どの作品もかなり深い内容やオチになっているなと感じた。
本谷有希子らしい一冊になっているが自分はやはり長編の方が好みだす。

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2017年03月19日

Posted by ブクログ

現実と地続きのように始まるのだけれど、ほんの一行、一瞬で「あれ?」と妙なことになっている。本質は哀しい話なのに、一風変わったユーモアがほんのり漂い、しかもどことなくグロテスクなところが新鮮だ。どことなく、というのがミソ。極端な味付けをして、「ほら、刺さるでしょ?」みたいにされるのにはうんざりだから。

かなり短めのものが多く読みやすい。突拍子もない展開なのに完成されている。できればもっと長い物語も読んでみたい。

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2016年06月19日

Posted by ブクログ

意味不明な話もあったけど、それ故にか読むのに消耗した。
1話を読み終わるごとに、一旦本を閉じて意識を現実に戻してから読んだ。
「哀しみのウエイトトレーニー」「マゴッチギャオの夜、いつも通り」「私は名前で呼んでる」「タイフーン」が特に印象に残った。

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2016年03月27日

Posted by ブクログ

おおおおおお!
こーいうのを読むのは本当に久しぶりな気がする。
うん、うん、うん!!
こ―いうのが読みたいんだよ。
なんていうのか、ちょっとだけ現実をずらして見たんですが、実はかなり現実からずれた作品ができましたというやつですね。
笙野頼子さんの「母の発達」を読みながら思いだしていました。
人によっては嫌悪する作品もあると思いますが、私はどの作品も好きですね。特に「悲しみのウェイトトレーニー」とか「彼女」たちはどこか滑稽だけど、笑えないものがあって大好きです。

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2015年06月08日

Posted by ブクログ

作者を先に知って、そこからこの本に辿り着いた。作風を知らなかったから読み心地が浮ついていたけど、最後まで読んでようやくこういうジャンルか、と理解した。あとがき?として寄せられていた文章を読んで作品の異質さを知る。

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2024年07月25日

Posted by ブクログ

私が毎週観ている番組のレギュラー出演者でもある本谷さんの小説を前々から読んでみたいと思っていた。テレビでお話しされている本谷さんしか知らなかったため、最初は「本谷さんってこういったお話を書かれるのか!」と現実と小説の世界を行き来させながら読んでいたのだが、あっという間に彼女のつくる独特且つ奇妙な世界に引きずり込まれることとなった。
13篇どれを取ってもかなり変わったストーリーだったと言える、しかし一度入り込むと病みつきになりページをめくる手が止まらなくなってしまう。
なんだか催眠術にかかっている気分だった。

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2022年01月31日

Posted by ブクログ

現役作家の中から実力派を探したい、という狙いを「大江健三郎賞」受賞者ということをフラグに託してみて、正解だった。無作為に選ぶ、ということは怖い。ナビゲーターとしての大江健三郎は、いまでも好相性だということを再確認。
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大江自身も評価している「アウトサイド」「悲しみのウェイトトレイニー」が好篇。
いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」という10ページほどの短編も良かった.
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大江が解説で「筒井康隆」に言及しているが、雰囲気として近い。
「くすり」とさせられるのだが不気味で気がかり。
発想の突飛さという点では、他に秀逸な作家は見つかるだろうが、料理の仕方に独自性が存在する。かつ、料理の仕方がひとつではなく多彩。

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて購入した短編集。
長さもテイストもバラバラな作品が13篇収録されており、いい意味での雑多さが作風に合っていると感じた。目次のレイアウトも自由。
何度も読み返して考えたくなる話もあれば、理解不能な話、一度大笑いして2度と読まないだろうなと思う話も含まれていて、これぞ短編集。
「アウトサイド」、「ダウンズ&アップス」はメッセージ性が高く、登場人物の感情の機微が読みやすかった。どちらもあまり明るい結末ではなかったものの、致命的な傷を残すということもなく、喪失感と引き換えにしてしか得られない視界の広がりを感じられた。
「私は名前で呼んでいる」、「Q&A」は大好き!疾走感と開放感が特徴で、特に前者は自問自答にすぎない頭の中の思考に明らかな相手を見出しており、会話として成り立ってしまっている点が奇妙で味わい深かった。
恋愛観を含む作品が何遍も含まれているのにどれも一貫性がなく、一人の作者がこれだけのバラツキを生み出せるという点に驚いた。
「パプリカ次郎」、「How to burden the girl」に関してはいまいち主題が読み取れず、読み終わっても首を傾げることしかできなかったが、むしろこちらの方がシュール文学の醍醐味を味わっているのかもしれない。

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2021年01月04日

Posted by ブクログ

改めて小説って自由だなぁと思った。
じわじわきます。
お家やお出かけ先に連れて行って、ちょこちょこ読んで楽しませていただきました。

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2019年06月15日

Posted by ブクログ

勢いのある短編集。勢いが良すぎて途中でついていけなくなったり、もやもやしたりしながら終わった作品もあった。20~30代女性がもやもやとして気分転換したいとき、ちょっと外にお出かけするバッグの中に忍ばせておきたい本。

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2019年04月19日

Posted by ブクログ

本谷さんの本を初めて読んだ。
奇妙な短編集で、好きな短編もあったけど、頭がついていかないままに、終わった短編も。

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2019年03月24日

Posted by ブクログ

初読み作家さん。
実に奇妙な短編集だった。
いきなり方向がガクッと変わったり、
始めから変な方向だったり。
オチらしいオチもなかったりするのだが、
なぜか妙に惹きつけられた。面白かった。

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2018年03月24日

Posted by ブクログ

発想が凄い。そうくるか!とか、そんな考え方もできるのか!と度々驚かされた。

『ダウンズ&アップス』の「本音をぶつけてくる世界も、お世辞を浴びせる世界も実はそっくり同じなんだってことに気づいたよ。みんな、僕を喜ばそうとしていることに変わりはないんだ」ってセリフが一番印象に残っている。どっちも結局ただの生存戦略なんだから、好きな時に好きな方の振る舞いを選べばいいんだと思った。書き手の意図とは全然違うかもしれないけど。

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2017年03月29日

Posted by ブクログ

キュートで奇想天外。奇妙な味が堪能できる初の短編集にして大江健三郎賞受賞作。
お気に入りは「パプリカ次郎」。市場に突然現れる、カンフーのような動きをするアジア系の男ときれいな白人の女、そして銃を撃ちながら追いかける黒いスーツの男たち。露店商側の視点で映画のよくあるシーンを描く発想がお見事。

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2016年10月03日

Posted by ブクログ

16/07/28
奇妙な世界に片足つっこんだ感覚。
まず目次のきれいに並んでないタイトルたちが愛しいです。
お気に入りは「マゴッチギャオの夜、いつも通り」「亡霊病」「Q&A」「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」。
自転車のサドルを恋人におすすめする「Q&A」。“もちろん折りに触れ、「お前、それサドルだぞ」などと心ない人たちから野次が飛ぶでしょうが、” て吹き出すわ!

・それと、人間はみんな同じだってこと。本当だよ。人間はみんな同じだよ。(P175 ダウンズ&アップス)

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2016年07月28日

Posted by ブクログ

これが舞台になったら面白いだろうなと想像しながら読んだ。
言葉が映像に変換できる。
不思議な世界観。
亡霊病は怖すぎて夢に出てきそう。

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2016年04月14日

Posted by ブクログ

ちょうど、これを読み初めてから済むまでに、本谷氏が芥川賞をとった。その前段となるのだろうか、大江賞の掌編集。
文学的な訴求力が強いが、一方で彼女らしいぶっとんだ人物の登場はほぼなく、ライトでありながら深い現代小説。
著者の、止めどなく溢れてくる想いを休まずに喋り続けるような文体は嫌いではない。
「マゴッチギャオの夜、いつも通り」が一番よかった。
3

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2016年01月24日

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