本谷有希子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
劇作家としての本谷有希子さんのほうが、
小説家である本谷有希子さんよりも先輩なのだろうか。
本作は自作の戯曲を小説化したものです。
それを知ってから読んでしまったこともあって、
舞台で繰り広げられるような展開だなぁなどと読めてしまった。
そう感じてしまったところには、
まず「インパクト」がありますよね。
キャラクターのインパクト、キャラクターの行動のインパクト。
こういうのいるかもしれないなと思わせながらも極端で、
人間離れすれすれのキャラクターに感じられるところもあります。
そういうのが、舞台映えするだろうな、と思い浮かぶところでした。
ストーリーでいえば、
話の幹の部分よりも、枝や葉っぱの部分が充実していて、
幹よりも太い感じ。そういう作りのように思えました。
…と、木に喩えるからわかりにくいのですが、
例えば、地下鉄の何何線がテーマだとすると、路線というよりか、
駅ばかり注目して充実させて紹介する感覚かなぁ。
とにかく、出来ごと重視。
こうなってこうなった、ってのをこまごまと書いているというよりは、
こうなった、そのことを重点的に書いて、それの連続という感じ。
なので、また下手な木の喩えに戻りますが、
幹の見えない、大きな葉っぱだらけの木のような小説に、
僕なんかには見受けられたということです。
しかし、わき役の待子さんのキャラクターは面白かったですね。
打たれ強すぎて、かつ不幸すぎて。
おいしい役どころでもあります。
こういうことあるかもしれないっていう出来ごとが、
装飾されて虚構の中にその突き出て感じる部分をもっと突き出させた感じがする。
出っ張った部分をもっと出っ張らせよう、という。
そういう試みによって特色を持った作品のように思えました。
アンバランスな家族が主役になっています。
ドタバタと、リアルに落とし込みすぎて読むと、
暴力シーンには辟易としてしまうでしょうが、
ちゃんとフィクションとして読むとこの作品の暴力シーンは笑えてしまう。
また書きますが、そこが戯曲的だと思うのです。
澄伽は自信たっぷりに女優を目指す性格にふさわしい美人なんだろうなぁと
想像して読みましたが、いやいや、迷惑な人でもあります。
群像劇みたいな感じですが、この人の行く末を中心にして語られる物語なので、
そこを注目すると、報われるのか報われないのか、なかなか一転二転するので、
そういうところからは目が離せずに読めてしまいました。
言葉も、語彙が豊富だし、文章をちゃんと泥臭く構築していく感じで、
20代半ばでよく書いたなぁと、驚いたりもしました。
ただ、ちょっと、お酒を飲みながら書いているんじゃないのかいと
思わせられるところもあるんですよね。
まぁ、いいですけど。
本谷作品は初めてでしたが(舞台はひとつDVDで観たことがある)、
面白かったです。 -
Posted by ブクログ
勢いとブラックさがいっぱいの3つの短編が収録。
あとがきで本人も言っているけど、「本谷有希子文学大全集」という
副題をつけてしまう図太さがすごい。
「江利子と絶対」
生きづらさを抱えたひきこもりの女の子が主人公で
まさに本谷有希子の原点という感じ。
自分なりに頑張っているのを認めてほしい江利子の気持ちは
うっすらわかるような気もする。
「生垣の女」
これが1番好き。
どたばたしていて毒があって、岡田あーみんの漫画のような雰囲気。
アキ子はケチャップとマスタードで何をしようとしてたんだか(笑)
「暗狩」
小学生の男の子が主人公で、しかもホラーというのは
本谷有希子にしては珍しい。でも途中からラストが予想できてしまった。
「暗狩(くらがり)」というタイトルがかっこいい。 -
Posted by ブクログ
『生きてるだけで、愛。』
を引きずったまま読んでしまったら。
大誤算でした。笑
【江利子と絶対】
「引きこもりというハンデを背負いながら
ポジティブに生きていく。
引きこもってるのにポジティブ。」
実家を飛び出し、お姉ちゃんの家に居候する江利子。
精神不安定で引きこもりな江利子は、
ある日、
絶対の存在を見つける。
犬にゼッタイという名前をつけ、
自分だけの唯一の存在にする。
あーん、痛い。笑
「・・・・・・エリのキレイな気持ち返せよ。早く返せ。」
と暴走する場面では、
もう滅茶苦茶で笑えるのに
なんだか苦しくて泣けてきそうだし
でも、
止めないで!!誰も止めないで!!
いけー!!と思ってしまった。
痛くて脆くて、剥き出しな感じが
女子高生とピッタリでした。
【生垣の女】
「何故ならば正直なところ、
アキ子の壊れたイッちゃっいっぷりを思うと
多田は何だか元気になれたのだ。」
生垣にケチャップとマスタードを両手に持って、
多田の隣人の本間を探しているアキ子。
そんなアキ子に翻弄される、
ズル剥け頭皮から出血している多田。
もうあとがきでご本人も書いていますが、
漫画のような作品。
動物の登場の仕方が、前作江利子~同様ちょっとニガテですが・・・
最後の置いてけぼり感は、ハンパない!!
【暗狩】
恐かった。泣
私はとにかくホラーとかあーゆーの嫌いなんです。泣
もーやだ、
もーやだ!!と思いながら
読み始めちゃった以上やめられないし、
早く終われーと思いながら
必死に読みました。笑
波多野くんに逆らうことは許されない。
ウンコ人間ばかり登場します。
そんな波多野くんと
主人公の僕(小田原)と
太っててちょっとトロい吉見くんと
3人で訪れたのは。
行方不明事件の殺人犯の家。
熊手を持って、
少年たちとかくれんぼ。
みぃ~つけた~。
もーやだ。泣
恐すぎた。泣
でも、
究極に追い詰められたとき
死ぬのと生きるのと
希望と絶望と
もうそれは滑稽に鬼気迫るものとして描いています。
男性の大人の圧倒的な力を。
恐怖として。
夜に読まなくてよかったあ。苦笑
江利子の
「お前らなんか前向きに見捨ててやる」
この一言。
やっぱり本谷さんはキワキワを描く達人でした。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。