本谷有希子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2016年に「異類婚姻譚」で第154回芥川賞を受賞した本谷有希子さん。
舞台演出家としての顔を持ち、他にも数多くの文学賞を受賞している作家でありながら、実はこれが初読となります。
文学フリマで ご本人さんが売ってらしたので
この機会にと。
「芥川賞作家」という印象から、純文学的な方向を構えて読み始めましたが、本作はむしろテンポ良く読み進められるタイプ。
少しSF的な設定の不穏さと、現代的なコミカルさが交錯し、エンタメ作品らしい面白さも強く感じられました。
「推子のデフォルト」
近未来の日本と思われる、ごく普通の家庭が描かれていきます。
社会問題としても語られるオンライン依存や、SNSでの承 -
Posted by ブクログ
ネタバレメンヘラの時(2018?! )に読みたいと思ってメモしたけど、結局7年くらい読んでなくて、当時のメモを発掘して購入。
もうメンヘラじゃないから主人公にあまり共感はできなかった。
なんで、生きてるだけで、愛ってタイトルなんだろうと思った。
最後に津奈木がなんで寧子と一緒にいるのか、って答えを聞いたときのセリフが印象に残った。
そうだよね、あたしは、あたしとは別れられないんだよね一生…。
あまり共感はできなかったけどまた読み返したいと思った。
本谷さんの別作品も読みたいと思った。
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でも俺はいろんなものを自分に近づけないようにしただけだったのに、寧子はゲロ吐いて頭から血流したまま意 -
Posted by ブクログ
葛飾北斎の美術展のおともに。ピンクに染まった神奈川沖浪裏がとってもキュート。
ほぼ9年ぶりの再読だったけれど、当時読んだときのインパクトがそのまま蘇ったようでうれしかった。津名木〜!
寧子がしぶしぶ働き始めたアットホームイタリアンで大暴れするシーンが以前に増して痛快だった。優しくぬるま湯に浸けられてる宇宙人みたいな構図がおもしろくてしょうがなかった。
「あたしはもう一生、誰に分かられなくったっていいから、あんたにこの光景の五千分の一秒を覚えてもらいたい」
五千分の一秒。生きていて何度そうした機会があるだろうか。あまりにも刹那的だけど、でもそれに気づいてパッと捉えられるというのはものすごい奇 -
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『2001年宇宙の旅』を想起させる結末で、『2001年宇宙の旅』が突出したSF小説だったように、本作の突出したディストピア世界観に、僕はもう追いつけない。
Windows95の出現を社会人として経験し、トラディショナルな価値観の下で人生を過ごした自分には理解できないところに、まさに世間は到達しているんだと思った。
今も昔も自意識も承認欲求もない人間はいないが、世の中には不条理があり、不条理に向き合った時、SNS以前の青年はうつむくことしかできなかった。本書を舞台に現在を生きる彼・彼女らはSNSで発信することでそれらと向き合う。ディスプレイに表示される共感を得ることで身を律していくんだろ -
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2匹の蛇が互いに食い合うように、夫婦も少しずつお互いを食って、お互いに似ていって、お互いではないものになっていく。
「あの夫婦って見た目も似てるよね」という、多くの人が見聞きしたことある言葉の中には、実はこんな奇譚があるのかもしれない。
人間社会はクイズ番組なのだと思った(気が付いた?)主婦、山奥の小屋で不思議な犬たちに囲まれて生活する男、「藁の夫」との結婚は何も間違っていないと感じる妻。
どの物語も、ベースにあるありふれた生活風景が見事に奇譚・寓話として仕上がっているので、気味が悪いと思いながらも、「もしかして」という気持ちになるから面白い。