【感想・ネタバレ】あなたにオススメののレビュー

あらすじ

身体に埋め込んだチップで複数の娯楽を同時に楽しむ時代。子供達の将来の夢は「ええ愛」が大人気。完璧な等質教育で名高い保育園で、オフラインに拘るママ友の観察は最高のエンタメだった…。「推子のデフォルト」ほか、マンション最上階に住む家族を滑稽に描く「マイ・イベント」を収録。世界が注目する作家がえぐり取る最恐リアルな全2編!

スマホ依存、管理教育……私たちはどこへ向かうのか?
本谷有希子が愛用するAI・マルスラによる解説を収録。

「推子のデフォルト」
子供達を<等質>に教育する人気保育園に娘を通わせる推子は、身体に超小型電子機器をいくつも埋め込み、複数のコンテンツを同時に貪ることに至福を感じている。そんな価値観を拒絶し、オフライン志向にこだわるママ友・GJが子育てに悩む姿は、推子にとっては最高のエンターテインメントでもあった。

「マイ・イベント」
大規模な台風が迫り河川の氾濫が警戒される中、防災用品の点検に余念がない渇幸はわくわくが止まらない。マンションの最上階を手に入れ、妻のセンスで整えた「安全」な部屋から下界を眺め、“我が家は上級”と悦に入るのだった。ところが、一階に住むド厚かましい家族が避難してくることとなり、夫婦の完璧な日常は暗転する。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「推子のデフォルト」「マイ・イベント」の2編から成る少し現実とはズラされた世界観の作品。

「マイ・イベント」は皮肉としては割とストレートな表現で、災害も日常に訪れるアクセントのような捉え方、日常のなだらかさに耐えられない人々の話。

「推子のデフォルト」はそのまま、“デフォルト”というものを突き詰める話。
主人公ともう一人の登場人物がかなり極端に立ち位置を変えて物語が進むのだけれど、妙な説得力があってかなりホラー。
村田紗耶香味もあるSFチックな作品だけれど、改めて“常識”というワードを気軽に使用する人間に対する恐怖が募る。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

2016年に「異類婚姻譚」で第154回芥川賞を受賞した本谷有希子さん。
舞台演出家としての顔を持ち、他にも数多くの文学賞を受賞している作家でありながら、実はこれが初読となります。
文学フリマで ご本人さんが売ってらしたので
この機会にと。

「芥川賞作家」という印象から、純文学的な方向を構えて読み始めましたが、本作はむしろテンポ良く読み進められるタイプ。
少しSF的な設定の不穏さと、現代的なコミカルさが交錯し、エンタメ作品らしい面白さも強く感じられました。

「推子のデフォルト」
近未来の日本と思われる、ごく普通の家庭が描かれていきます。
社会問題としても語られるオンライン依存や、SNSでの承認欲求がテーマに置かれているように見えますが、作者はそこに説教じみた暗さを持ち込まない。
むしろ、テクノロジーに純粋に傾倒していく空気感を、軽快さとポップなユーモアで包み、世界観に没入させてくれます。
「現実から乖離する怖さ」のはずなのに、どこかコメディっぽい。その新鮮さがこの作品の魅力だと感じました。
私たちの“今”がもうすでにSFの世界の入口に立っているのかもしれない。

「マイ・イベント」
分譲マンション最上階に暮らし、“自分の生活だけ”を何よりも重視する男が主人公。
石橋を叩きすぎて叩き壊すほどに慎重で、社会との接触を避けながら、極めて個人的な満足を積み上げて生きている。
その偏執的な生活ぶりは、小気味よくリズミカルである一方、読者の心のどこかをざわつかせる。
しかしその「小気持ち悪くて、気持ち良い」感覚こそ、作者の筆致が光るところ。
彼にとっては、自分の生活こそが一大イベント。そんな歪で愛おしいエゴが、ちぐはぐな現代社会と絶妙な距離感を読める。

純文学とエンタメのすごく良いとこらへんを
漂っている感じ。もう少し読んでみようかな。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

一言でいうと、「気持ち悪い」。『あなたにオススメの』というタイトルとは相反して、決して友達にはオススメしないであろう本。この気持ち悪さは、直視し続けると逃げ場がなくなる。体調悪い時なんか絶対読んじゃダメなやつ。

全く新しいジャンルの本で、SFっぽくてホラーっぽいけど人間味臭すぎるし、こわさの種類がなんか今までにない感じ。こんな本、読んだことないぞ…。あとがきも面白かった。なんか、インパクトがとてつもなく大きい読書体験だったな…。

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2026年01月31日

Posted by ブクログ

1作目は「あんな世の中でなくてよかった」、2作目は「こんな人達と関わりたくない」というのが素直な感想。

特に2作目の登場人物は全ての人達が気持ち悪く、この人達が自分が住むマンションにいたら引っ越しを考えるレベル。
ただ、この登場人物の嫌なところは自分のなかにもあって、「そうだよな」と思ってしまうというのも嫌悪感を強めているだと思う。

それにしても作者の人や物事についての嫌〜な部分の取り上げ方や表現にはただただ脱帽でした。

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2026年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「推子のデフォルト」こんなにワクワクしない近未来物語なんて。でもありえなくない事が気味悪く恐怖でした。どちらの母親が子どもにとって最善なのか。怖いけどどちらの立場もわかってしまう自分がいる。でも自分はアナログ派なのでこの時代には適応出来なさそう。

 「マイ・イベント」台風前のワクワクって子どもの頃はあった。非日常に気持ちが高揚する。しかし今は不謹慎だと理解できてる。主人公の渇幸はクズオブクズ。キングクズである。一理ありそうだけども許容できない。読めば読むほど胸が悪くなる。ラストにスカッとしない。もっとと思ってしまった。

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2025年12月10日

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