本谷有希子のレビュー一覧
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ネタバレリンデという女性の16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳の日常の一場面を切り取ったような短編集。生きるのが不器用そうなリンデ。いつ「お互い心から一緒にいたいと思える相手」に出会えるのかと思い、どんどん読んだが、どの年齢のリンデもあまり幸せそうではなくてモヤモヤした。そもそも心から一緒にいたい相手と暮らしている人はそういないのではないだろうか。それを求め続けるリンデの純粋さに感心し、愛しさも感じたけれど…。めんどくさいなと思いながらも友達になれそう。
リンデに、淡々と自分のペースでそれなりに満足して生きていくたくましさがありそうで良かった。 -
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現役作家の中から実力派を探したい、という狙いを「大江健三郎賞」受賞者ということをフラグに託してみて、正解だった。無作為に選ぶ、ということは怖い。ナビゲーターとしての大江健三郎は、いまでも好相性だということを再確認。
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大江自身も評価している「アウトサイド」「悲しみのウェイトトレイニー」が好篇。
「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」という10ページほどの短編も良かった.
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大江が解説で「筒井康隆」に言及しているが、雰囲気として近い。
「くすり」とさせられるのだが不気味で気がかり。
発想の突飛さという点では、他に秀逸な作家は見つかるだろうが、料理の仕方 -
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「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求めることには興味はないが、「自分を好きになる方法」があるのなら是非知りたい。
本谷有希子さんの作品は、数年前に何作か読み耽った時期があり、エキセントリックな一面があると思ったのと同時に、人間の良い面も悪い面もすごくリアルに描写される方だなと思っていました。そして本作は、後者に当たると思いました。
読んでて、34歳の結婚記念日までは笑えたのだが、それ以降は(3歳を除き)、笑えなくなっている自分に苦笑するしかなかった。ドキュメントを観ている感覚ですよね。この、こういう女性いるよねという、リアル感は本当にすごい。
主人公の「リンデ」の一見、お洒落な名 -
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タイトルに惹かれて購入した短編集。
長さもテイストもバラバラな作品が13篇収録されており、いい意味での雑多さが作風に合っていると感じた。目次のレイアウトも自由。
何度も読み返して考えたくなる話もあれば、理解不能な話、一度大笑いして2度と読まないだろうなと思う話も含まれていて、これぞ短編集。
「アウトサイド」、「ダウンズ&アップス」はメッセージ性が高く、登場人物の感情の機微が読みやすかった。どちらもあまり明るい結末ではなかったものの、致命的な傷を残すということもなく、喪失感と引き換えにしてしか得られない視界の広がりを感じられた。
「私は名前で呼んでいる」、「Q&A」は大好き!疾走 -
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3編の短編。
「本当の旅」
ここに登場する誰もに、私はイライラさせられっぱなしだ。
「本当の〇〇って、こういうことだよね」
はい?なんだ本当の〇〇って。
嘘もほんともヘチマもあるかい!
みりん風調味料、とか、畑のお肉、なら本当のみりんはこう、肉はこうとわかる。
しかし此奴らは、いい年こいて(40代らしい)結婚とか家のローンは搾取だ、とか、個性を理解できない周りの人間と俺は違う、的な事ばかり言って、周りに合わせようとしない。
それは単なる自意識過剰で自己中心的なだけじゃ!
は ら た つ うぅぅぅぅぅぅ!
結末は、不穏な様子で終わるが、清く正しく生きたいと思う私は決して此奴らの未来を呪うまい。
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ネタバレ躁鬱病の女の子の話。すごい勢いで頭の中を吐き出している。テンポがはやく、展開は少ないのだけと、吐き出される頭の中がおもしろく、わかるわかるって気持ちもあり、あっと言う間に読み終えた。
対照的な津奈木の静けさが怖く感じたけど、本当に懐の深い人だったんだ。
(映画を見た)内容をほとんど忘れていたけど、確か暗い話だったよなーっていう印象だけ。でも、自分の感想見直すとそうでもなかった。そして、映画、すごくよかった!見終わって、なんだか心が救われた。趣里ちゃんと菅田君の演技が本当によい。二人のインタビューで、ラストは話し合って、脚本と変えた、セリフを減らした、とのことだった。もう一度原作読みたい。 -
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二人の変な女性(20代)が同居している。語り手たる「巡谷」は第一印象がチェルノブイリという強烈な女の子「日田」に同居を持ち込まれ、一緒に住むことになる。読者たる私は巡谷の抱く日田へのイメージから「あぁ、日田はやばいね」と思うのだが、だんだんと「えっ、お前も大概だぞ」と巡谷にも思うようになってゆく。そんな話。私も大概かもしれないが。
巡谷が日田を飼ってあげてるんだけど、そのくせ巡谷が日田を必要としているようにも見える。狂気に振り回され地に足を付けたくても付けられない感じ。そんな自分が世間からつまはじきにされている感じ。そんなもやもやを全て吹き飛ばしてやろうとする終盤の畳みかける爽快感。
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