本谷有希子のレビュー一覧
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「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
1.著者 木谷有希子氏
知るひとぞ知る劇作家。
作品は2000年に舞台化されていて、小説が2005年。
2.作風
タイトルは激しく挑発的。
内容は、読者に対して挑発的ではない。
色彩に例えると黒または灰色のトーンである。
そう、明るい兆しが一切ない。
3.テーマ
人間の内面にある保身、プライド。
それに気づかず大人になった人間の顛末を描いている。
4.読み終えて
人間はどんなときに「絶望」をするのかと考えた。
同じく、分をわきまえる、足るを知るについても考えてみた。
わきまえる、足るを知るには、自己と向き合う/認識する時間づくりが必要となる。
それ -
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ネタバレリンデという女性の16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳の日常の一場面を切り取ったような短編集。生きるのが不器用そうなリンデ。いつ「お互い心から一緒にいたいと思える相手」に出会えるのかと思い、どんどん読んだが、どの年齢のリンデもあまり幸せそうではなくてモヤモヤした。そもそも心から一緒にいたい相手と暮らしている人はそういないのではないだろうか。それを求め続けるリンデの純粋さに感心し、愛しさも感じたけれど…。めんどくさいなと思いながらも友達になれそう。
リンデに、淡々と自分のペースでそれなりに満足して生きていくたくましさがありそうで良かった。 -
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現役作家の中から実力派を探したい、という狙いを「大江健三郎賞」受賞者ということをフラグに託してみて、正解だった。無作為に選ぶ、ということは怖い。ナビゲーターとしての大江健三郎は、いまでも好相性だということを再確認。
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大江自身も評価している「アウトサイド」「悲しみのウェイトトレイニー」が好篇。
「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」という10ページほどの短編も良かった.
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大江が解説で「筒井康隆」に言及しているが、雰囲気として近い。
「くすり」とさせられるのだが不気味で気がかり。
発想の突飛さという点では、他に秀逸な作家は見つかるだろうが、料理の仕方 -
Posted by ブクログ
「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求めることには興味はないが、「自分を好きになる方法」があるのなら是非知りたい。
本谷有希子さんの作品は、数年前に何作か読み耽った時期があり、エキセントリックな一面があると思ったのと同時に、人間の良い面も悪い面もすごくリアルに描写される方だなと思っていました。そして本作は、後者に当たると思いました。
読んでて、34歳の結婚記念日までは笑えたのだが、それ以降は(3歳を除き)、笑えなくなっている自分に苦笑するしかなかった。ドキュメントを観ている感覚ですよね。この、こういう女性いるよねという、リアル感は本当にすごい。
主人公の「リンデ」の一見、お洒落な名 -
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タイトルに惹かれて購入した短編集。
長さもテイストもバラバラな作品が13篇収録されており、いい意味での雑多さが作風に合っていると感じた。目次のレイアウトも自由。
何度も読み返して考えたくなる話もあれば、理解不能な話、一度大笑いして2度と読まないだろうなと思う話も含まれていて、これぞ短編集。
「アウトサイド」、「ダウンズ&アップス」はメッセージ性が高く、登場人物の感情の機微が読みやすかった。どちらもあまり明るい結末ではなかったものの、致命的な傷を残すということもなく、喪失感と引き換えにしてしか得られない視界の広がりを感じられた。
「私は名前で呼んでいる」、「Q&A」は大好き!疾走 -
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3編の短編。
「本当の旅」
ここに登場する誰もに、私はイライラさせられっぱなしだ。
「本当の〇〇って、こういうことだよね」
はい?なんだ本当の〇〇って。
嘘もほんともヘチマもあるかい!
みりん風調味料、とか、畑のお肉、なら本当のみりんはこう、肉はこうとわかる。
しかし此奴らは、いい年こいて(40代らしい)結婚とか家のローンは搾取だ、とか、個性を理解できない周りの人間と俺は違う、的な事ばかり言って、周りに合わせようとしない。
それは単なる自意識過剰で自己中心的なだけじゃ!
は ら た つ うぅぅぅぅぅぅ!
結末は、不穏な様子で終わるが、清く正しく生きたいと思う私は決して此奴らの未来を呪うまい。
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