【感想・ネタバレ】異類婚姻譚のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月15日

⚫︎受け取ったメッセージ
「夫婦は似てくる」というのは良いことなのか?
表面的には似てきても、本質的には思いもしない相手の姿があるかもしれない。

⚫︎あらすじ
(異類婚姻譚)
専業主婦の私は、夫に顔が似てきていることに気づく。最後決別に至る。夫は可憐な花になる…

(犬たち)
別荘に女一人こもって...続きを読むいる。犬がたくさんくる。村人は山を降りないと居ない。なぜか?
村人がいなくなる。犬は見つけたら捕まえられないといけないルールがある。
女の背中に白い毛が生えてくる。

(藁の夫)
夫の小言がどろどろの楽器になって、藁の間から漏れ出す…

⚫︎感想
「夫婦は似てくる」というフレーズを、マイナスの意味で受け取ったことがなかった気がするので、新しい見方を与えてもらった。他人の本音はわからないし、自分の本音すら見て見ぬ振りをしながら生きている…
犬たち、笑の夫も非常におもしろく、本谷有希子さんの他の著作も読みたいと思う。

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Posted by ブクログ 2022年10月10日

結婚や家庭に関する寓話4作。根底には人と関わりたくない思いがある気がした。
結婚すると互いに似てくるとはよく言うけれど、それを溶解していく妖怪のように描いたのは風刺がきいてて面白い。粗相をするからという理由で山に捨てられる猫のサンショと、主人公のサンちゃんは名前が似ているし、夫婦は互いに尻尾から食べ...続きを読む合って頭だけが残る蛇ボールだという話を聞く時サンちゃんは鰻の食べ比べ弁当に山椒を振って食べている。最後に山芍薬になった夫を、サンショを捨てた山に植えに行く。隣に咲くよく似た竜胆はサンショであってサンちゃんなのだと思う。
キタヱさん夫婦や弟カップルの様に似ない夫婦もいて、それは間に「何かを挟んでいる」ということなのだろうが、意識的にそうしない限り飲み込まれていくのが結婚なのかもしれないし、そうして似た者同士になった2人だけで人間であることをやめて山でひっそり生きるのもいいなと私は思う。人間社会で夫婦として生きていくのはストレスフルなのかもしれない。
「藁の夫」は解説を読んで、たしかに口うるさいだけの夫をどろどろに溶けた楽器ばかり吐き出して後には家畜の飼料のような藁しか残らない人間に見立てているとしたら相当面白いなと思った。

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

・異類婚姻譚
感想がまとまらない
あとで考える。保留

・トモ子のバウムクーヘン
この世界が途中で消されてしまうクイズ番組だということを理解した。
ってどんな感じ?

・〈犬たち〉
白い犬と雪深い白い世界が美しい。
街に誰もいなくなった描写は、本当に自分以外が街からいなくなったのか、それとも自分が異...続きを読む世界に連れて行かれたのか分からなくて、でも不思議と恐怖がない。一番好きな話。

・藁の夫
藁の夫むかつく
けど、車を傷つけたのは奥さんも悪いしな…とも思ったり。
全体的によくある夫婦の話だけど、少しのファンタジー要素が混じって不思議な読み心地と、家庭・夫婦の問題以外に伝えたいことがあるんだろうなと思わせる本谷有希子さんの作風がおもしろい

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Posted by ブクログ 2023年12月02日

あなたは、『自分の顔が旦那の顔とそっくりになった』らどうするでしょうか?

夫婦は似た者同士が良いのか?そうでない方が上手くいくのか?このあたりは世の中意見は千差万別でしょう。同じものが好きだからといって一緒になった夫婦が最後まで添い遂げられるかといったらそんなことはありません。嗜好は正反対という夫...続きを読む婦が瞬殺で離婚してしまうかというとそんなこともありません。規則性、法則性がないから夫婦の形も数多あり、考え方も数多あるのだと思います。

とは言え、それは性格の話です。顔となってくると話は全く異なります。そもそも血縁関係にない男と女の顔がそっくりということ自体普通にはないと思います。もし偶然にもそっくりな顔をした異性と出会ったとしてもそれが結婚というゴールに繋がるとも思えません。

一方で、結婚した後、嗜好が似てくるということはあるかもしれません。これは可能性としてありうるようにも思います。しかし、顔が似てくる、これはないように思います。そんなことがあったとしたら結婚することに躊躇もしてしまいます?

さてここに、結婚してもうすぐ四年という夫婦を描いた物語があります。ある日、妻が『自分の顔が旦那の顔とそっくりになった』と気が付いたことから始まるこの作品。そんな作品の他に雰囲気感を共通とする三つの短編が収録されたこの作品。そしてそれは、”あとでじわじわ効いてくる毒が、ここにはたっぷり盛られている”という本谷有希子さんの芥川賞受賞作な物語です。

『ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた』とふと思ったのは主人公の『私』。『結婚していなかった五年前と、ここ最近の写真を見比べて』、『見れば見るほどに旦那が私に、私が旦那に近付いているようで、なんだか薄気味悪』いと感じる『私』。そんな『私』がそのことを弟に話すと、『うーん、二人が?俺は別に思ったことないけどなあ』、『あれじゃない?いつも二人でいるうちに、表情がお互い似てきたとか』と言われてしまいます。場面は変わり、『旦那に頼まれた小包を郵便局に出しに行った帰り』、マンションに設けられた『住人専用ドッグラン』のベンチにキタヱが座っているのを見かけた『私』は、そんなキタヱに手招きされます。『毎日昼過ぎに愛猫のサンショを』『日なたぼっこさせにやって』きているという『私とは三十歳近く離れている』キタヱはサンフランシスコから夫婦で日本に戻ってきました。そんなキタヱに『旦那と、顔が一緒になってきました』と話すと、『「やだ。」と予想外の食いつきを示し』ます。『結婚して何年だっけ?』と訊かれ『もうすぐ四年です』と答える『私』に、『サンちゃんみたいな、なんでもかんでも受け入れちゃうような子は、あっという間に…かれちゃうんだから』と返すキタヱ。よその住人の犬が吠えたせいで、『私』は『…』のところを聞き逃してしまいます。そして、キタヱは『私の知り合いの夫婦にさあ』とこんな話を始めます。『家族ぐるみで親しくしていた』『古くからの友人夫婦』と10年ぶりに『再開する機会に恵まれた』というキタヱは、イギリスに移り住んだ彼らとロンドンで食事をするために『待ち合わせのレストラン』へと訪れました。『「久しぶり。」と椅子から立ち上がった二人を見た瞬間、目を疑』うキタヱ。そこには、『双子みたいに、そっくりになって』いた夫婦の姿がありました。『一瞬、整形でもしたのかと思っ』たものの、『目、鼻、口を一つ一つ見ていくと、二人はやはりきちんと別人』という二人。『吸い寄せ合ってる感じっていうの?お互いがお互いを真似ちゃってるっていうかねえ』とその似具合を説明するキタヱ。そんなキタヱは、『さらに十年後に』夫婦と再開した話を続けます。『同じロンドンのレストランで待ち合わせをしたキタヱは、鏡のようにそっくりになっていた二人のことを思い出し、少しどきどきし』ますが、そこに待っていたのは『元の、似ても似つかぬ他人に戻っ』た二人でした。そんなキタヱが十年前のもやもやした思いを妻に打ち明けると、『二人の家に誘われ』ます。酔い潰れた夫を部屋にのこし、庭に出た二人。そんな中、『どうしてあたしが元に戻ったのか、教えてあげる』と『妻は笑いを堪えているような口調で』語ります。『あたしがどうして戻れたのか。知りたいでしょう』と言う妻は、『それよ、それ』とあるものを指さします。そんなまさかの説明に『酔いが一気に吹き飛んだ』というキタヱ。そんなキタヱが旦那と似ていくということのまさかの理由とまさかの結末が描かれていきます…という中編〈異類婚姻譚〉。スルスルと読みやすい物語が意味不明な結末へと読者を誘う好編でした。

“子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…”と、どこか危うい夫婦関係を匂わす内容紹介が妙に気になるこの作品。2015年に第154回芥川賞を受賞した本谷有希子さんの代表作です。そんな作品の表紙は一見古風な嫁入りを描写したイラストが描かれていますが、よく見ると花嫁を含め婿以外は猫が描かれているという怪しさ満点な体裁をとっています。そもそもが「異類婚姻譚」というなんだか今にも化け物が飛び出してきそうな書名もあって読む前から雰囲気感はバッチリだと思います。とは言え、この作品は化け猫が登場するようなおどろおどろしい物語ではありません。そこに描かれるのは〈解説〉の斎藤美奈子さんがこんな風に表現されるものです。

“慣れ親しんだ生活のなかで、ふと垣間見てしまった異世界。家族が他人に見える瞬間の恐怖”。

芥川賞を受賞した表題作はその傾向が特に顕著です。そんなこの作品は表題作が全体の分量の三分の二を占める中編、残りの三編がサクッと読める短編という異形な構成になっています。いずれも斎藤さんが評されるどこか不穏な雰囲気を纏っています。そんな中でも表題作の中に登場する『蛇ボールの話』は深く脳裏に刻まれました。想像するとあまりに不気味でこの作品の内容を忘れても一生私の記憶から消せない…そんな強烈なインパクトを受けました。このレビューを読んでくださっているあなたにはせっかくなので共有させていただきますね。あなたの記憶からも一生消えないと思います。

『蛇ボールの話、知ってます?』と訊く弟の彼女ハネコは、こんな風に続けます。『二匹の蛇がね、相手のしっぽをお互い、共食いしていくんです。どんどんどんどん、同じだけ食べていって、最後、頭と頭だけのボールみたいになって、そのあと、どっちも食べられてきれいにいなくなるんです』。そんなハネコは、『分かります?なんか結婚って、私の中でああいうイメージなのかもしれない。今の自分も、相手も、気付いた時にはいなくなってるっていうか』。そんな話を聞いて『うろこでびっしり覆われたまっ白な球を思い浮かべ』る主人公の『私』。

どうでしょうか?私はこの世で蛇が最も嫌いです。こんな風にタイプするだけで意識が飛びそうなくらい大嫌い。そんな蛇が登場する『蛇ボール』。怖いです。気持ち悪いです。やめて欲しいです。しかし、この表題作で取り上げられるのは上記でも触れた通り『ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた』という起点から夫婦の関係性に思いを馳せていく主人公の『私』の物語です。そんな『私』は、どうして旦那と自分が似てきたのかを考え続けます。そんな中に象徴的な登場する『蛇ボール』の話は、『私』にこんな思いを抱かせもします。

『恐らく私は男たちに自分を食わせ続けてきたのだ。今の私は何匹もの蛇に食われ続けてきた蛇の亡霊のようなもので、旦那に吞み込まれる前から、本来の自分などとっくに失っていたのだろう』。

そして、基本的にのんびりとした『私』の日常を描く物語は一気に不穏な雰囲気を増していきます。

『朝起きて鏡を見ると、顔がついに私を忘れ始めていた』。

まさかの表現で描写される『私』の物語は読者を振り落とそうとでもするように理解不能な表現世界へと突入していきます。これには驚きました。そして、ほぼ振り落とされてしまった私。〈解説〉の斎藤さんの丁寧な説明を読んでそんな物語を振り返りましたが、流石の芥川賞受賞作、なんとも言い難い世界を見る中に予想だにできない結末を見ることになりました。これは、ハマる方にはとてもハマる表現世界だと思います。

一方で、この作品の魅力は、そんな表題作に続いて上記した通り三つの短編が収録されているところです。決しておまけではなくこれら三作が続くことによって作品としての不穏な雰囲気が強化されていきます。続いてそんな三つの短編をご紹介しておきたいと思いますが、それぞれの短編は一見意味不明な宣言のもとに始まります。合わせてご紹介しましょう。

・〈トモ子のバウムクーヘン〉: 『コンロの火を弱火にしていたトモ子は、この世界が途中で消されてしまうクイズ番組だということを理解した』。主人公のトモ子は『普段は甘いものをあまり食べさせない』子供たちに『バウムクーヘンを焼いてあげ』ます。そんなトモ子は『お兄ちゃんの頭の匂いを思いきり吸い込んだ時と、下の子の指をお守りのように握りしめた時だけ』『本当の意味で落ち着く』と感じています。そして、キッチンに立つトモ子は、ふと『リビングが自分を誘惑し、恐ろしい罠に嵌めようとしている』という思いに苛まれていきます…。

・〈犬たち〉: 『その山小屋にはたくさんの犬たちがいた。私は犬たちを愛し、犬たちも私を愛した。犬たちは何十匹もいた。そしてどの犬たちもみんな、降ったばかりの雪のように真っ白だった』。『誰にも会わず、暖かく暮らしていた』という主人公の『私』は、山小屋で犬と暮らす中に『彼らが糞や尿をするのを見ること』がないこと、『餌もほしがらな』いことに気づきます。たまたま麓の町で『犬にはくれぐれも用心して下さい』と言われた『私』は、ある日、『山の奥に向かう犬たちをこっそりつけてみることにし』ました。そして、そこに見たものは…。

・〈藁の夫〉: 『結婚して半年、自分達の前には、幸せへの道が用意されているという確信は強まるばかりだった』という主人公のトモ子は、自分の夫をこんな風に思います。『トモ子の夫は藁でできている。稲や小麦の茎の部分だけを乾燥させたあの藁 ー 家畜の飼料や、その寝具に使われる植物が、人間のように束ねられ、巻き上げられてできているのだった』。そんなトモ子はある日、夫が『買い替えてまだ一ヵ月も経っていない、真新しいBMV』に乗り込んだ時に『シートベルト』を窓枠にぶつけてしまいます。『ーがっくし』と溜め息を吐く夫との間に沈黙が訪れます…。

三つの短編の概要を簡単に抜き出してみましたが、なんだか意味がよく分からない…という声が聞こえてきそうです。でも…、

安心してください!私もよく分かっていませんよ(笑)

いずれにしても、上記した通り、これら三つの短編も表題作同様に不穏な雰囲気を纏っています。二人の子供の母親であるトモ子が、突然に奇妙な感覚に囚われていく様を描く〈とも子のバウムクーヘン〉はそんなトモ子がどんな感覚に陥っていくのか、ここが物語の筋の部分です。続く〈犬たち〉では、主人公の『私』が共に暮らす犬がいつどこで何を食べ、排泄しているかを知らないというところに不穏さが顔を出します。そして、最後の〈藁の夫〉は、そもそも『トモ子の夫は藁でできている』と意味不明なことを断定する記述の先に、新車を傷つけられた夫が示す反応が物語を薄暗く支配していきます。そんな不穏な雰囲気を味わえるのがこの作品を読む何よりもの醍醐味です。如何にも芥川賞作家さんの物語というその感覚が一つの作品世界を作り上げていきます。なかなかに深入りしそうにもなる四つの物語は、本谷有希子さんという作家さんの個性を強く感じさせる異形のものたちの存在をそこかしこに見せてくれるものでもありました。

『ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた』。

そんな言葉の先に旦那との関係性をさまざまに考えていく主人公の『私』が辿るまさかの結末を見る表題作など四つの中短編が収録されたこの作品。そこには不穏な雰囲気の中に見え隠れする異形なものたちの姿を感じる世界が描かれていました。とても読みやすい文体が故にイメージがスルスルと頭に入ってくるこの作品。そうであるが故に、物語が発するホラーっぽさとシュールさがダイレクトに伝わってくるこの作品。

なんだか癖になりそうな独特な味わいを感じさせる物語の中に、本谷有希子さんの上手さを見た、そんな作品でした。

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Posted by ブクログ 2023年05月05日

自分が男性なので、本谷さんの書く男性像にはドキッとする。
自分はこうじゃないと思ってるし、こうなりたくないなぁって感じの男。
でもそのダメさに主人公の女性などが慣れてたり諦めてたり、なんなら居心地良く感じたりしてるように思うので読んでて非常にむずむずする。居心地が悪い。

自分にはこういうあり方は無...続きを読む関係だ。
でもこういうあり方はきっと存在するし、それってすんごいイヤだなぁっていう。
あーやだやだ。

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Posted by ブクログ 2023年04月12日

夫婦は妥協と諦めで互いに似てしまう。
不満を持ちながらも、どこか身を任せたほうが楽だと思った結果であり、自身も不満を持たれていることがある事実に目を背けた結果でもある。
そんな誰にも起こりうる問題をファンタジーに落とし込んだ秀作。

最後の藁の夫のモラハラDV具合が怖かった。

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Posted by ブクログ 2022年12月04日

表題作を含む4編。いずれも夫婦や家庭に対する違和や不安をテーマにした奇譚。感覚に鋭いリアリティを感じる分、奇譚であることについていけない人もいそう。
表題作含め登場人物たちは基本的に「演じている」「演じさせられている」という感覚が課題の根本にあるように感じたが、劇作家の著者としてあえてそのような視点...続きを読むを狙って書いているのか、著者自身の人や社会の見方が基本的にそうであるからなのかは判断ができなかった。いずれ他の作品も読んで考えてみたい。

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Posted by ブクログ 2022年01月14日

結婚すると夫婦は似る、と言う。
面倒くさがりな夫の顔が気を抜くと適当な配置になっているのを見て「私はいつ人間じゃないひとと結婚したんだろう」と思う。
それを寓話的に描いている本作。愛猫の粗相に悩むキタヱさんの話と相俟って、まさに異類婚姻譚と姥捨て山を現代風に語り直したような、不思議だけど示唆的な話だ...続きを読むった。
他3編も面白い。

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Posted by ブクログ 2021年01月17日

本谷さんが書く小説が好きです。

その中でも今回の本は間延びもなくテンポも自分好みで一気に読み切ってしまいました。
そして…ラストの余韻が最高でした。

本谷さんの毒ぽい台詞も良かったです。
「人でなしと思わないでね。
ごめん。嘘。人でなしと思ってくれたほうがいいや。」とか。ちょこちょこした会話も、...続きを読む
なんかツボりました。

本谷さんが書く小説の登場人物たちが、
自分の人生に関わってきたら絶対やだな。関わりたくないなーって笑。思うのですが、本当にみんな滑稽でどうしようもなく好きで。本谷さんの本を読むとストレス解消になります。

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Posted by ブクログ 2024年02月26日

芥川賞受賞作品という事もあり、とても期待して読んだわりには、、、?????
みたいな所が沢山ありました。

一作目はなかなか面白かったけど、、、4作目の藁???
私には理解不能でした

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Posted by ブクログ 2024年02月13日

「人の形」

慣れ親しんだ生活の中に異物が一点混ざり込み、それが当たり前として読者の中に溶け込んだタイミングでその異物が“異物らしさ”を表象する。
読み手は強制的に第三者の立場から読むことになるため、この世界に恐ろしさを感じつつも現在の世界とそう大して変わらない世界に違和感を懐く。
怖さとユーモアが...続きを読む混ざった文章は、この筆者ならではだなあ。

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Posted by ブクログ 2024年01月21日

旦那の横柄さとか、家で気が抜けて顔が崩れる感じ、ちょっと自分を顧みてヒヤッとする。描き方が上手だな、と。
最後、同一化した挙げ句に花になるのはなんだったのだ、、、?結局旦那捨てただけ、、?

それにしてはなんかほのぼのした読後感で不思議。

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Posted by ブクログ 2024年01月06日

表題作の冒頭一文は、タイトルとの相乗効果で衝撃。以降は、期待感程ではなかった。寓話と言うには粘度が強すぎる。

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Posted by ブクログ 2023年09月10日

女の人が主人公の、4つの短編集。
家族や夫婦がテーマになっているが、寓話を読み慣れていないせいか、理解が難しかった。
異類婚姻譚と藁の夫に関してはこんな夫婦にならないよう気をつけようとは思った。
バウムクーヘンの話は、今自分がリアルと思っている世界は、作り物じゃないかという空想は恐ろしくもあるが案外...続きを読む楽な考え方かなと思った。
作り物の世界ならば、自分で判断したり責任を負わなくて済むから。

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Posted by ブクログ 2023年03月22日

……ホラー⁉️と思った。
日常の話と思って読んでいたら、急に世にも奇妙な物語みたいな……まあ読み終わって考えてみるとなるほどと思ったりもする。
表題作の異類婚姻譚については、自分も長く付き合った男と話し方が似てきていたり「顔が似ている」と言われたりしたことがあるので、わかるなあと思った。まあ一緒にい...続きを読むる相手と似てくるというのは本当にある話なんだろう。しかし終盤の怒涛の"世にも"感たるや……。夫がどんどん妻に近づいていき、不穏な空気を纏っていくのが恐ろしかった。ラスト、あれは……下ネタか?と思ったのは私だけだろうか。まあそういうことではないと思う。夫が花になるって、そんな馬鹿なと思うけど、自分が単にこういう突拍子もない話が苦手なだけだと思う。

犬の話については、まあなんだか謎が多かったけどパストラミを助けたことで犬たちの仲間として認められ、結果犬との同一化が進んだみたいなことなのかなあ。なぜ町の人が消えたのかはよくわからなかった。犬が認める人間は1人だけだから?あの町に住む犬には何か特別な力があるとか?まあ深く理解しなくても良いものかなと気持ちを落ち着けた。

藁の夫の話は……わからなさすぎた。
周囲の反対を押し切り藁と結婚した←どんな世界線やねん。「がっくし。」がなんだか可愛いが藁の中身が楽器というのもわからない。し、妻が燃やしたいと感じているのも恐ろしい。みんなどんな気持ちで読んだんだ。どんな気持ちで読むものだったんだ。まあ正解なんてないけど、終始「ええ……」と思っていた。

実は宇宙人だとされてる芸能人の検証動画とかあるじゃない?エラ?があったり、まばたきが変なやつ。あれは合成かもしれないけど、なんかあれを思い出した。結婚生活は、自分と違う"異種"たる相手と線を引いてもいいし、融け合ってもいい、その選択ができるのはいいことだよな。自分は……難しい。もうだいぶ融けてしまっていると感じる。今鏡を見たら、顔のパーツがいそいそと動き出すかも。

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Posted by ブクログ 2022年11月06日

夫婦は似る、とはよく聞く。同じものを食べ、同じ家で生活していれば、血のつながった者同士のように、似ていくのだろう、きっとそれが、家族になる、ということなのかもしれない。しかしそれは、少し怖いことかも。

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Posted by ブクログ 2022年10月26日

うーーん、というのが素直な感想です笑はっきりと断言することの出来ない薄気味悪さが夫婦の日常の中にあります。
最初は顔が似てくることでマンネリ化してる生活を暗喩しているのかと思いましたが、そうでは無いようですし…。難しい!
ただどの話にも猫や犬が出てきたのでそれらの動物が物語の重要な鍵なのかとも思いま...続きを読むしたが、私にはわかりませんでした

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Posted by ブクログ 2022年09月29日

一番初めの夫婦が顔が似てくる、と言う話が興味深かった。溶けて混ざり合って、一緒になることを拒否することもできるし同化を望むこともできると言うのは単なる比喩表現ではないと感じた。でも、猫を山に〜のところは理解できなかった。

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Posted by ブクログ 2022年09月09日

本谷有希子4冊目くらい
古本で購入
短編集「異類婚姻譚」「トモ子のバームクーヘン」「犬たち」「藁の夫」
文体がとても読みやすい、以前読んだ短編集の猫殺しと殺人ハウスが怖すぎてもう読まない!と思ったけどやはりちょっと気になってしまう棘が、この本はそこまで恐怖でないまでも存在している〜
解説の通り家庭に...続きを読む閉じ込められそうな女性は「主婦」一括りではなくその中の恐怖安寧驚きの機微を映し出しているところが愛おしいなと思った。まだ描かれていない感情を全部描く。

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Posted by ブクログ 2022年07月26日

文藝春秋で読む。旦那と混ざり合う、私サンちゃん。夫婦が似てくるとはよく言うが、蛇ボールのように、食わせ合う図はゾッとする。夫婦とは、そこまで密な関係になることなのだろうか。自分がなくなり、相手を取り込むこと。
なんとか人のカタチを維持しようとする旦那。あなたは一体、、、摩訶不思議な話ではあるが、おと...続きを読むぎ話じゃなくて、もっと現実味を帯びた、、、ここまではいかずとも、似た現象は起きているのではないかと思ったりする。結婚してないけど。笑

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Posted by ブクログ 2022年04月09日

異類婚姻譚は、結婚のリアル?を描いているのかなと思った。
他の三篇は私には難しくあまり理解できなかった。藁人間とは、本当に藁人間が存在する世界線なのか、それとも人間の夫が藁人間のように見えてしまう妻の目線なのか謎が多い、、、

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Posted by ブクログ 2022年03月12日

【あらすじ】
専業主婦のサンちゃんは、ある日自分の顔が夫とそっくりになっていることに気づく。二匹の蛇が、互いの尻尾に食いつき、やがて頭だけの蛇ボールになるように、夫婦の境界がなくなっていく。夫と同化することに恐怖を覚えたサンちゃんは、夫に「好きな形になりなさい」と告げ、夫は山芍薬になる。
ほか、短編...続きを読む3篇。

【感想】
自分の夫婦関係になぞらえて、興味深く読んだが、他の短編も含めて、ホラーのようで少し怖かった。若干情景の表現が薄いような気がした。

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Posted by ブクログ 2022年02月25日

結婚であり家庭であり。書かれている中身は大人びている。
でも読んだあとは何故か懐かしい、子供の頃に読んだ日本昔ばなしを思い出させる。

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Posted by ブクログ 2021年11月28日

専業主婦の私は自分の顔が夫とそっくりになっていることに気付く。
第154回芥川賞受賞した表題作ほか、短編4篇。

怪異とまではいかないけど奇妙な感覚の残る話。
そっくりの夫婦、飼い主と犬はいるよね。なぜか。
あの不快感を抱かせる夫が綺麗なものになるのは、ちょっと納得いかないけど

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Posted by ブクログ 2021年09月07日

読書開始日:2021年9月3日
読書終了日:2021年9月6日
所感
【異類婚姻譚】
夫婦は顔も似てくるとはよく言われる。
今まで自分が聞いて聞いてきたケースは微笑ましさまじりだったが、本作はその真逆の恐怖めいたケース。
というよりも自分があまりにも若造で、その夫婦の背景、その言葉の裏側や、発言する...続きを読む人の心境を正しく受け取れていなかったと思う。
サンちゃんと夫には嫌悪感を抱く。
自分の弱さをひけらかし受け入れられた途端に開き直り、全ての責任や厄介事を押し付けてくるその態度が、本当に気にくわない。
こういった人物は実生活でもしばしば出会うが、それが結婚のパートナーであるとなおさら酷だ。
しかしながらサンちゃんも、夫との生活を逃したくないという潜在意識から、夫のすべてを自分の責任とするかの如く許し続ける。
夫はそれを見越していて、さんちゃんの最後の抵抗すらもいなし、蛇ボールでいう「食べさせていたつもりが食べさせられていた」ことをさんちゃんに実感させる。
そうして夫は最終的に、同化を成功させる。
キタエもサンちゃんの弱さにつけ込み「猫を捨てる行為のすべての責任」を押し付ける。
キタエの罪の意識からの逃避にもかなりの嫌悪感を抱く。
恐らく最終的には夫は体調が戻らず死に、同化したサンちゃんは、夫の潜在的な願いを知る。
綺麗な一輪の花となり、現実の喧騒からは無縁な世界で、皆から手放しで「綺麗」とほめてもらいたかったのだ。
なんとも身勝手な野郎だと思う。
自分はこれから結婚をしていく予定ではあるのだが、もし念願叶った場合は、微笑ましい意味での似通った夫婦になりたい。
ただ間違いなく、表裏一体で、いつ恐怖の意味での似通った夫婦になるかもわからない。
責任は別個だ。

【犬たち】
井戸に落ちた瞬間に主人公の女性は死んでしまったのか。
白い犬たちはサンタクロースだったのであろうか。
恐らく後者で山小屋についた瞬間からプレゼントの準備は始まっていて、彼女が望んだ世界は死だったのだと思う。

【トモ子のバームクーヘン+藁の夫】
ランニングの時にて将来の夫婦像を夫と話していた段階から嫌な予感が漂っていた。
どうしてこのような夫が存在するのか。
まさにすかすかの藁だ。
トモ子は本書通りまさに荒野クイズの参加者だ。
「ほんの少しの弾みで自分の重苦しい層が外側に吹き出してしまいそう」という一文にも合点がいく。
そのうち夫を燃やす。
このような自分の思想とは遠く離れているような危険oを必要以上に意識することは、同意できる。


異類婚姻譚
いつのまに私は人間以外のものと結婚してしまったのだろう
蛇ボール
声は出なくとも目の奥が笑っている

犬たち

トモコのバームクーヘン
この世界が途中で消されてしまうクイズ番組
ほんの少しの弾みで自分の重苦しい層が外側に吹き出してしまいそう

藁の夫

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Posted by ブクログ 2021年06月06日

一昨年読んだのを急に思い出してまた読みたくなって、異類婚姻譚だけ読んだ。
一読しただけでは内容がうまく飲み込めなかったため、解説を読んだ。そしたらとても単純なことに気づいた。姥捨山と離婚の話し。

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Posted by ブクログ 2021年05月23日

あんまり読まないジャンルだったが割と楽しめた。
現代の寓話というか、ブラック御伽噺のような作品。
主婦の家庭への仄暗い先のなさへの絶望とそれに対する希望みたいなものが小説じゃないと出せない部分で描かれている。

夫婦はそこまで自己の深層を共有しなくてもいいんじゃないかとはこの本で思った。

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Posted by ブクログ 2021年05月16日

夫婦や家族に対してのどこか共感できる感覚を、奇妙な設定、展開に落とし込み描いた、芥川賞受賞作を含む中短編4編を収録した作品集。

専業主婦の私が、夫と顔が似てきていることに気づくところから始まる表題作「異類婚姻譚」。これは私の夫に対する態度や感覚がリアル。

夫が道に痰を吐いたことを注意され、謝罪し...続きを読むながら痰をふき取る私。すると注意した相手は「やくやるね、あんたの痰でもないのに」とぽつっとつぶやく。
この場面が印象的だった。夫の不始末をわがことのように謝り倒す妻。当の本人の夫は知らん顔を決め込む。どこかにこんな夫妻がいそうに思われる。

私の夫というのは話全体を見てても頼りなく、それでいていろいろなことを妻に任せっきりにするダメ夫のように描かれます。
こうした夫に対する妻の苛立ちや、あるいはあきらめの表現が独特で面白い。だらしなくバラエティー番組を見ている夫の顔がどんどん歪んで見えてくる、といった表現は、鋭さとともに、怖さも感じる。自分もだらしなくしているときって、そんなふうに見えてしまっているのではないか、と。

一方で終盤の夫から私への切り返しが痛烈で、これも怖かった。ずっと頼りなく怠惰だった夫。常に理は妻である私にあるように思われたのだけど、切り返しの場面に至ると、その理も妻の夫への違和も怠惰も何もかもが、溶け合ってしまうような不気味な感覚に陥ります。夫妻の顔が似てくる、というのをこう表現するのか、と怖さとともに思わず感心もしました。

他3編も設定は突飛なのだけど、不思議と共感できる部分も多い。「トモ子のバウムクーヘン」の日常生活すべてが誰かに作られたものではないか、とふと妄想してしまう感覚もそう。

そして「藁の夫」もなかなかぶっ飛んだ設定。藁の夫とは、たとえでなく本当に藁でできた夫なのです。藁の夫との口喧嘩から、空想の世界はさらに広がっていき、女性心理がこの世界ならではの表現で切り取られる。

収録作品いずれも、どこか共感・理解できる部分があるのですが、その表現方法が今までにないものばかりでした。現実的な話がある瞬間、空想的なイメージにとって代わられるだけど、その空想の意味、表現の意味を考えると、今の社会のどこかに転がっていそうな、夫婦や家族の違和がそこに映し出されているように思える。

多分表面的にこの『異類婚姻譚』の収録作を読んでいくと、戸惑いしか残らないと思う。その物語の世界観や表現に何が託されているのか、ふと考えると、面白みがより増す作品集だったと思います。

第154回芥川賞「異類婚姻譚」

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Posted by ブクログ 2020年09月02日

これまで当たり前だと思ってきた周囲の人、もの。
それがあるきっかけで、異物のような相貌を見せる。
そんな「体験」を、女性の立場から描いて見せた作品のような気がする。

たとえば漱石の「それから」の末尾。
世界が真っ赤になって、ぐるぐる回るというのも、代助の内面に従ってき世界が見慣れないものになってし...続きを読むまうのだと理解する。
精神の危機が描かれた場面と言うことだろう。

男性を主人公とするそういう描写は珍しくない。
本作の場合、〈犬たち〉を除けば、夫のいる比較的若い女性を主人公にしているところに特色がある。
夫婦、家族の関係に追い込まれていく女性。

「異類婚姻譚」では、楽をすることに執着し、共依存の状態に妻を追いやる、しかしどこか憎めない夫。
妻のサンちゃんが、旦那を振り捨てるまでの過程に引き込まれる。
しかし、このシュールな結末。
私は嫌いではないが、好き嫌いは分かれるところだろう。

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Posted by ブクログ 2020年04月11日

異類婚姻譚/トモ子のバウムクーヘン/〈犬たち〉/藁の夫
の4作を収録

正直なところよく分からなかった。(こじつけて理解する必要もないのだろうけど…)
言い表すならば「奇譚」だろうか。日常の中にいつのまにか異質なものが紛れ込んでいて、ある日突然それに気づいてしまった時のゾッとした感じ。一方で異質さは...続きを読む日常に溶け込んでいて、正常との境が分からなくなる。
少なくとも〈犬たち〉以外の3編は、生活の中に潜む違和感だったり不幸せだったり、歯車のずれているような部分に実体を与えた奇譚っぽいと感じた。

〈犬たち〉は本当に分からない。分からないけど白い犬が可愛かったので割と好きだった。

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