本谷有希子のレビュー一覧

  • 自分を好きになる方法

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    芥川賞作家の本谷有希子の作品。デビュー作などいくつか読んだが、いまのところ一番良かった。これまでの作品はやや狙いが鼻に付く感じがあったが、本作では肩の力が抜けた感がある。作品の内容も軽快、自由でよい。

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    2016年10月24日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで――。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。

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    2016年10月06日
  • 嵐のピクニック

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    キュートで奇想天外。奇妙な味が堪能できる初の短編集にして大江健三郎賞受賞作。
    お気に入りは「パプリカ次郎」。市場に突然現れる、カンフーのような動きをするアジア系の男ときれいな白人の女、そして銃を撃ちながら追いかける黒いスーツの男たち。露店商側の視点で映画のよくあるシーンを描く発想がお見事。

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    2016年10月03日
  • 自分を好きになる方法

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    ある年代の特別でない日を1日だけ抜き出して,主人公のそれぞれの年代の6日分だけが描かれている。けれども,その6日を読むことで主人公がどのように生きてきたかが結構はっきりわかってしまうからすごい。作者の手腕なのかな。
    主人公の行動にはちょっとモヤモヤを感じでしまうけれど,自分の中にも同じようなことってあるから,同族嫌悪みたいなものなのかもしれない。リンデにモヤモヤしたところは,今なら遅くないから治せるから治したほうがいいのかもな。

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    2016年08月25日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    しんどい読書だった。主人公はコンプレックスの塊の自意識過剰人間なのだが、個人的にとてもよく共感できてしまって苦しい。さらに、出てくる男がどいつもこいつも人を舐め腐ってるタイプの最低な人間で、主人公を何度も精神的に辱めるものだから、気分が悪くて人間不信が悪化しそうになった。復讐劇を成功させて欲しかったけど、実際にこういう人たちに自分で復讐を果たすのは極めて難しいのは分かるし、自分は立ち向かったんだということで満足するのができる限りの最高の落とし所なんだと思う。最後に主人公が言う、笑われるのも慣れれば良いものだ、というのは私には理解しかねるしそんなことに慣れたくはないと思うが、決定的な反抗を示すこ

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    2016年08月14日
  • 自分を好きになる方法

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    面白かった。個人的な感想になるが、昔友人が書いた戯曲はこんなことを書きたかったのだろうかと感じた。

    16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない1日。主人公リンデの計6日間を切り取り、「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続けるリンデの密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を描く。

    3歳の時には無条件に自分のことを思ってくれる人がいた筈だった。なのに16歳の時に友人、28歳の時に恋人、34歳の時に旦那にそれを求めて挫折し、47歳で諦観が漂い、63歳の時にはもう望むべくもない。大まかに言って、そんな内容だっ

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    2016年08月01日
  • 嵐のピクニック

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    16/07/28
    奇妙な世界に片足つっこんだ感覚。
    まず目次のきれいに並んでないタイトルたちが愛しいです。
    お気に入りは「マゴッチギャオの夜、いつも通り」「亡霊病」「Q&A」「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」。
    自転車のサドルを恋人におすすめする「Q&A」。“もちろん折りに触れ、「お前、それサドルだぞ」などと心ない人たちから野次が飛ぶでしょうが、” て吹き出すわ!

    ・それと、人間はみんな同じだってこと。本当だよ。人間はみんな同じだよ。(P175 ダウンズ&アップス)

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    2016年07月28日
  • 自分を好きになる方法

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    リンデにちっとも共感できなくて、読むのが辛かった。
    最初の16歳の話は、まあスクールカーストってこんな感じか、と思ったけど、それ以外はさっぱり。

    ただ、「なぜ私はリンデに共感できないのか?」と考えながら読んでみると、自分が無意識でしている行動やその根底にある価値観が浮き彫りになったようで、興味深くはあった。

    このリンデという人は、他者との関係性の中に自分の価値を見出そうとしているわりに、物事の見方があまりにも自己中心的。イライラする一方で、気の毒だなとも思う。

    小説(しかも短編のようなもの)にこんな疑問持つのは野暮かもしれないけど、この人仕事してるんだよね?仕事はどんな感じでやってたのか

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    2016年06月25日
  • 嵐のピクニック

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    これが舞台になったら面白いだろうなと想像しながら読んだ。
    言葉が映像に変換できる。
    不思議な世界観。
    亡霊病は怖すぎて夢に出てきそう。

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    2016年04月14日
  • 江利子と絶対 本谷有希子文学大全集

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    学生時代に読んだ。
    『腑抜けども~』で本谷ワールドにはまったんだけど、
    「生垣の女」「暗狩」の2つが怖すぎてトラウマになった。

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    2016年04月06日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    学生の頃に読んだ。当時はすごい衝撃だった。
    妹かわいそう、とか思ってたら、「えぇ!」って。
    サトエリははまり役だったなー

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    2016年04月06日
  • あの子の考えることは変

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    本谷有希子の書く人たちはいつもいい感じに狂ってる、と思う。特に日田みたいな、ちょっと根暗っぽくて弱弱しそうに見える女の子の尋常ならざるしたたかさ(?)と言ったら!話のテンポは劇作家らしい感じでセリフ中心に進むので、自分自身の調子によってはたまに本当に受け付けない(読みづらい)のだけど、時々この、独特のテンポが欲しくなって本谷有希子作品を読みたくなる時があるー。

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    2016年04月05日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    救われない生き方を突き進む主要人物達、たとえその「現実」が他者からはどうしようもない「絶望」だと捉えられるものだとしても、そこから立ち上がって生きていく姿を我々は読後抱くのではないだろうか。そこまでが作者の企みであり、救いないと思われた物語の結末に与えられた「希望」なのかもしれない。

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    2016年03月05日
  • あの子の考えることは変

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    Gカップのおっぱいがアイデンティティの巡谷と、自分の体臭がコンプレックスの日田。アパートの同居人である23歳の二人の暴走迷走青春ストーリー。
    えげつないほどのリアルな会話と日常生活が、男が抱く『女性』のイメージをぶち壊していく。なんせ「私の性欲がすごい勢いで強くなっているんだ、ダイオキシンのせいで。毎晩見知らぬ男を犯す夢ばっかり見るんだよ、処女なのに」ですから。でも、人間はみんな『変』。常識とかまともって、ただ単に理性を維持しているのにすぎないのだ。

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    2016年02月27日
  • 嵐のピクニック

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    ちょうど、これを読み初めてから済むまでに、本谷氏が芥川賞をとった。その前段となるのだろうか、大江賞の掌編集。
    文学的な訴求力が強いが、一方で彼女らしいぶっとんだ人物の登場はほぼなく、ライトでありながら深い現代小説。
    著者の、止めどなく溢れてくる想いを休まずに喋り続けるような文体は嫌いではない。
    「マゴッチギャオの夜、いつも通り」が一番よかった。
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    2016年01月24日
  • 江利子と絶対 本谷有希子文学大全集

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     本谷さんの小説を読むと、登場人物はぶっ飛んでいるもののどこか共感できる気がする生きづらさが感じられて身に迫るものがあるのだけど、この初期作品集でもそれは感じられた。

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    2017年12月18日
  • あの子の考えることは変

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    うーむ、いや、私も普通であれ、とは思わないけど、さすがに、「す、すぃませ~ん」事件とかちょっと引く。コミュニケーションができるかできないかで、引かれるか引かれないかの「変」度合いが変わるのかもしれない。巡谷は、パニック症じゃなかろうか。今回も楽しませてもらいました。

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    2015年12月06日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    ネタバレ

    エキセントリックな女の子ものではなく、嘘の毒牙に酔わされつつ逆襲を画策する、内面に潜り込んだ小説。
    痛快さはない。
    精神面における崩壊感覚。

    初期のエキセントリックな「痛い女子」
    →本作
    →じんわりと描かれる「痛い女」

    その分岐点。

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    2015年11月03日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    本谷有希子ワールド。主人公は、分裂気味。スパンが長いのに、主人公にとっては、先週程度に感じているように思う。向伊たちのサディスティックな遊びは主人公の思い込みなのかなんなのか、わからない。ただひとつ、女、女どもと呼ばれる種類の女たちに対する嫌悪感には同感。この小説の解釈を聞きたい。興味ある。

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    2015年10月08日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    ネタバレ

     昼ドラか!!!

     どろんどろんの、音を立てて崩れた家族、オチは「やっぱお姉ちゃんは最高におもしろいよ」。
     完全に妹の勝ち。いくら虐められても、ずっと「この人おもしろいわー」って思い続けてたんやもん。そんな勝ち方あるか?おもしろすぎるわ。

     最初のページを読んで、この人の文章好きかも!と思ったんやけどなあ。
    「制服のスカートの裾だけがもがく生き物と化し、バタバタとはためいては逃亡の意思を見せている。」
     情景を描くのがすごく上手だなと思う。
     でもただただ全員頭おかしい話やった。

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    2016年05月24日