本谷有希子のレビュー一覧

  • セルフィの死

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    SNSに依存し、フォロワーの増減に一喜一憂する。店員相手にいちゃもんをつけ、マウントを取ることでしか他者の存在を確認できない。そんな自意識と承認欲求にまみれた女性を主人公にして、スマホに支配された現代社会を毒気たっぷりの一人称で描いた痛快作。
    これは連作短篇なのだろうか。1話ごとに(数字)というタイトルがつけられている。が、数字の意味がわからない。

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    2025年04月23日
  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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    悲惨な方向へ、悲惨な方向へとストーリーは展開していく。救いようがなく、救う必要もない。そうなることが必然であるような家族の物語。

    ひたすら悲惨で、救いようがなく、読んでいて心地良くは決してないが、面白い。

    それぞれの思惑、異常性が読み進めるうちに受け入れられる。

    この作家、嫌いじゃない。

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    2025年04月06日
  • セルフィの死

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    ネタバレ

    帯にはブラックユーモアとあるけど?

    どれもこれも最近の新刊のテーマはSNS。
    そして、まさにSNSド直球。
    装丁のうさぎちゃんがすべてを物語る。

    テンポが良すぎて中毒性?
    とはいえ、読後はかなりお疲れモードです。

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    2025年03月31日
  • セルフィの死

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    んー…面白そうかなって雰囲気が出てたんだけど…そこまでの感情移入は出来てなかったってことなんだろうな。過去に遡ればmixi、その後FacebookやX(旧Twitter)、昨今ではInstagramやTikTokなんかのSNS。もうSNSの無い世界では生きられないのか?と言うぐらいの今。そんな背景に焦点を当てた物語。「いいね」や「フォロワー」の数だけが承認欲求を埋めてくれる自意識の世界。改めて凄い時代になったものだと感じる。逆張りしてSNSを一切やってない人もいる。この時代の終焉はどこにあるのか?

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    2025年03月03日
  • セルフィの死

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    寄生虫の一種にロイコクロリディウムというのがいて、かれらは中間宿主であるカタツムリの意識を収奪してゾンビ化させると、終宿主である鳥類に見つかりやすい明るい場所へと誘導する特徴を持っている。なぜこの生き物の事を書いたかといえば、本作のキーであるSNSや所謂映えにそれと近いものを感じたからだ。主人公は何がなんでもフォロワーを増やしたい正に寄生されている側の人間である。ただひとつ違うのは自らを承認欲求と自意識が生み出した子だとはっきり認識している点。絶対的な価値基準をフォロワー数に置き、他者と接する時マウントを取らずにはいられない、実に卑小で滑稽な人間ではあるものの、他でもない本人がその卑小さ滑稽さ

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    2025年02月21日
  • セルフィの死

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    ネタバレ

    SNSのフォロワーを増やすことに己の全てを囚われており、他者とは迷惑を介してしかつながり合えず、店員に難癖をつけてマウントを取ることをライフワークにしているミクルと呼ばれる女性が主人公。またの名を勘解由小路、だいなごんあずき、五百旗頭、大右近。本名不詳。
    現代ではわりに見かける設定ではあるけれど、主人公の奇天烈っぷりと暴走っぷりが突き抜けていてサイコーだった。近年の綿谷りさと金原ひとみの作風を足して二乗したような感じ。
    回転寿司店で、寿司ネタに唾を擦り付けるという迷惑行為をくり返すきょうだいを目撃したとき、勝手に姉のようなシンパシーを感じているシーンが好き。

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    2025年02月11日
  • セルフィの死

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    時代がほんの数年あってない気がした。それとも私がSNS離れしてるからかな…今もそんなにフォロワーフォロワーな世の中なのかしら。
    久しぶりの本谷有希子さんの新刊楽しみにしてたけども、相変わらず表現が独特で少し気味悪くて楽しかったけど、ちょっとずれを感じたかな…

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    2025年01月26日
  • 異類婚姻譚

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    ともかく独特!
    初めて本谷さんの本を読んだんだけど、この本から入ったのは正解⁉︎

    夫婦が似てくるまではよかったが...異類婚姻譚
    人が消えていく街の白い犬...犬たち
    愛猫がナニカに⁉︎...トモ子のバウムクーヘン
    藁と結婚⁉︎...藁の夫

    変でしょ!すっごい変っ!

    めちゃくちゃだけどSFファンタジーって思えばおもしろい!

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    2025年01月25日
  • セルフィの死

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    承認欲求の凄さと主人公の癖の強さがすごい…
    好き嫌いが分かれそうな本だけど、あまりにも主人公がこじらせているのでシュールでちょっとおもしろかった。

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    2025年01月16日
  • セルフィの死

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    “承認されたくて承認されたくていつも死ぬほど震えているのに、目の前の人間からの関心は煩わしいとしか思えない”

    じゃあ彼女は/私は誰から何を承認されたいんだろうな。自分を深掘りされたくはないけど注目はされたい的なことなのかもしれないけど、すごい孤独だなそれと思った。

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    2024年12月29日
  • 生きてるだけで、愛。(新潮文庫)

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    躁鬱による不安定な女性とその彼氏の生活を繊細にリアルに描いていて、共感よりも温かく見守りたいという感情がわきました。愛の形は人それぞれで、男性の主人公に対する美しいと感じた瞬間のエピソードも独特だなと思いました。淡々とした日常と感情の起伏が激しい主人公との対比が読んでいて心を揺さぶられました。

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    2024年12月10日
  • ぬるい毒(新潮文庫)

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    熊田という女性は入り組んだパズルのような不可解な自意識を持っている。そしてそれが真摯に描かれていると思った。向伊が彼女にとって強烈な光源となって彼女自身の濃密な影を浮かび上がらせている。

    彼女の自意識は生まれなどの現実に歪められ、嘘によって繋ぎ止められている。彼女自身を損なうこと、周囲を傷つけること、それのどこまでが嘘によって取り繕われたものなのだろうか?

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    2024年11月20日
  • 異類婚姻譚

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    「夫婦というのは不思議なものである」
    言わずもがな、なんて身も蓋もないかな。
    当然といえば当然なのだから。きっと家族になる過程で何かがあるのだろう。もしかしたら目に見えないだけで、夫婦ってこういうこともあるのかなあ、なんて、それもまた然り、なのかもしれない。異変や変化に気付くこと、気付けそうで気付かないこと、気付いているのに気付かないふりをすること…いろいろあるけれど、見てみぬふりのほうが、結局のところ、わかりやすくて良いのかもしれない。
    きっと物語は、夫さんにもあるのだろうし、むしろ無いわけがないだろう。きっと彼も、あれやこれや折り合いを付けて、折り合いを付けて…付けて、付けて、付けて付けて

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    2024年11月10日
  • 自分を好きになる方法

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    リンデが求めるのは、心から一緒にいたいと願う人だが、タイトルが「自分を好きになる方法」と自分の内側に向いているのが良い。
    自分を好きになることは、一生をかけて見つけていかなければならないものなのだなと感じた。

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    2024年11月07日
  • 生きてるだけで、愛。(新潮文庫)

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    ヤンキーのオーナーたちとの隔たりが切ないんだけどなんかギャグっぽくも思えてあまり深刻になりすぎずそれがよかった。寧子が自分と津奈木との関係を葛飾北斎の絵の奇跡的1秒に喩えたくだりが良かった。多分、ピカソ展のあとのラーラリラーとラーラリヒーのくだりがこの二人にとって富嶽三十六景的瞬間だったんじゃないかと思う。人間なんて基本的にわかり合えないものだし、その一瞬があっただけでも元は取ったのではないかな。
    あの明け方のの時間軸は素直に生き愛の後日談と捉えてよいか?別れたものだと思ってたけど津奈木と寧子があんな感じで続いてるのが嬉しかったし愛しいな〜と思った。

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    2024年10月24日
  • 生きてるだけで、愛。(新潮文庫)

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    主人公の感じている生きづらさみたいなものに少し共感できた。
    人はみんな多かれ少なかれ生きづらさを抱えており、その生きづらさは死ぬまで捨てられないんだなと感じた。
    この主人公はその生きづらさが肥大化しすぎてしまい、一人では抱え込めなくなってしまったのだろう。

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    2024年10月22日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    純文学作家の発想
     ひとつづつ評していく。

     川上弘美。未来SF。
     発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
     人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
     厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
     未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
     妙にSFが現実路線のわりには

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    2024年10月10日
  • 生きてるだけで、愛。(新潮文庫)

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    -あたしはさ、あたしと別れられない。
    鬱病、過眠症、メンヘラな寧子と、寡黙にごめんを繰り返す津奈木。寧子の逸脱した行動は共感できないが、本人も頭おかしいと感じていて苦しんでいることは理解してあげたい。
    嫌がらせに苛立つ前に、嫌がらせの中身を客観視して分析しながらも、ちゃんとキレところがなんだか面白かった。真っ直ぐに生きられない人がいる、そして本人も苦しんでいること。自分の知らなかった世界があると知れた。

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    2024年09月26日
  • 生きてるだけで、愛。(新潮文庫)

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    鬱からくる過眠症で悩む寧子の毎日は、まるで"生きてるだけで、苦しい"状態。自己コントロールが出来なくて、恋人の津奈木に当たってしまう。自我をさらけだし、他者へ理解を求める主人公に少し引きながらも羨ましいと思った。

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    2024年08月12日
  • 嵐のピクニック

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    作者を先に知って、そこからこの本に辿り着いた。作風を知らなかったから読み心地が浮ついていたけど、最後まで読んでようやくこういうジャンルか、と理解した。あとがき?として寄せられていた文章を読んで作品の異質さを知る。

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    2024年07月25日