本谷有希子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
どっちともいえない。どっちもイヤで、どっちもありえる。なんなら支持できる…というか支持せざるをえない。「最大多数の最大幸福」なんて言葉があって、この言葉は、最大多数はあくまでも多数だから「最小少数」の犠牲なら無視しても構わないという合理性の反語のようなもので矛盾だらけなのだけれど、矛盾なんて都合の良い言葉は、この本に描かれた物語の中では通用しない。過去ではなく、未来に向かう現在の世に“人間らしさ”など必要なのか疑わしくもあるし、それら“人間らしさ”は、どの方向を向いているのか、これからどうなるのか。
さっぱり見当がつかない。とはいえ見当がつかないことは、選択の余地があるということ。生きてゆくために、この先の道は、狭いより広いほうがいいと思っているけれど。
結果はどうであれ、なるようにしかならない。
「なるようにしかならない」考えてみれば、この言葉は、これ以上考える必要のない力強さに裏打ちされているみたいだ。
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Posted by ブクログ
『僕らの時代』に、小木さん、ファーストサマー・ウィカさんとともに本谷由紀子さんが出演されていて、誰よりもよく小木さんを言語化していて俄然興味が湧いた。
本谷さんの作品は異類婚礼譚くらいしか読んだことがなかったけれど(こちらも小木さんがモデル。あまり似つかわしくない気がした)、自意識がテーマと知り、長らく読みたかった本作。
でも、うーーーん、という感じ。
リズミカルな文章は、僭越ながら文才を感じたけれど、突然人外になる系の物語はやはり苦手。
主人公は、自意識と承認欲求から生まれたミクル。ミクルであり、勘解由小路であり、だいなごんあずきであり、五百旗頭であり、大右近である。つまり実態を持たない。
ただただ、フォロワーの数が人の価値であると信じてやまない生命体。
基本的にはずっと共感ができなかったけれど、『4968』という章の玉ねぎだけはなんかわかる気がした。
P.39
なぜならそういう社会的な振る舞いをすると、私の中の玉ねぎが小さくなってしまうからです(略)
私の玉ねぎはとても繊細な玉ねぎです
私が社会に無理矢理迎合するような真似をすると皮が剥け、鍋の中で溶け始めもす
火を止めれば守ることはできるけど、それには私が世間と完全に距離を取ることが必要です(もちろんネット上も)
買い物に行ったスーパーで、見つからない商品を散々探してカゴに入れたり
こっちの列の方が早いだろうと見越したレジが全然進まなかったり
ママチャリに乗ったおばさんに後ろからベルを鳴らされたりするだけで
気づけばすぐにまた玉ねぎがドロドロになって、私はまともに何もできない体になってしまいます
先週も、頑張ってネット銀行の口座開設をしたら、三日間寝て過ごすだけの人になりました(マジで意味わからん)
私も他の人達みたいにおっきくてカッチカチの玉ねぎね持ち主になりたかったです
玉ねぎ強者になりたかった
私も自分の玉ねぎを守るため、三連休は一つしか予定を入れません。
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Posted by ブクログ
表紙に惹かれて気になってた本。
本谷有希子さんは、「異類婚姻譚」で知ってたので、期待値が高かった。
主人公の女が、結局本名も分からなければ見た目もわからずどんな人生を送ってきたのか全然分からないまま、物語が進んでく。
ありえないクレーマーは、この世によくいるらしいことは何となく分かっていたけどこんな思考回路だったとは!かなり胸糞だったけど、初めて知ることができたので勉強になったわ……
主人公の捻くれた考えと、独特な感性が見ていて興味深かった。
村田沙耶香さんの作品が好きな人は好きそう。
大きな雲や虹色の綿あめを、モリモリとしていると表現したり、自分のプライド?を玉ねぎで表しているのが面白かった。
主人公の周りにいる人も当たり前によく分からんキャラで、マッスーさんも死ぬほど嫌味なやつだし、ウォンくんもなぜあそこまでお人好しなのか分からないし、虹色の綿あめを待ってた水色カラコンの男も、結局何がしたいのか分からなかったし、ソラも…この子はまあよくいるような女の子か……
登場人物が、一人一人ちょっとずつおかしくてでもなんかリアルで面白かった。
各章の数字はフォロワーの数だったのか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ決して読みやすい小説ではないなという印象。
主人公の心中以外は結構抽象的に書かれるものが多くて、それこそ語り手と同じように自意識に苛まれてる人でないと分かりにくいんじゃないかなと思った。
コテンパンに(されてはいるんだけど直接的に)されるでもなく、鬼になって復讐を遂げるでもなく、それを忘れながら死を意識していた23歳を超えていく結末。たしかにぬるいなと思ったし、それが人生だよねーと思う。大なり小なり人に嫌な思いをさせられて、嫌な思いをさせて、それが意図的なこともあるし無意識なこともある。
個人的にはもっと壮大なやり返しをして向伊にぎゃふんと言ってもらいたかったけれど、こういう曖昧さも悪くないなあとは思った。
ただちょっと、心が疲れてる時には向かないかも。序盤に繰り出される向伊の友人ふたりには結構傷つけられてしまった。「なんか、浅そうですね、熊田さんって」。モラルと相手を労る気持ちがない人、こちらからしたらあなたも"下"だと思うのに、その時の雰囲気や空気感で"上"に立たれているような構図。そういう人から言われるこういう一言って、本当にえぐられる。
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