本谷有希子のレビュー一覧
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躁鬱気質で過眠症の25歳の寧子。うまく生きていけないことへの悔しさや、自分に対して嫌気がさしててうんざりしてる気持ちとかがすごく伝わってきた。寝て起きてご飯食べて、社会に出て人間関係構築して恋愛して…って普通なことに思えて一番難しいよねと思った。自分はこんなにも感情を剥き出しにしてぶつかってるのに、相手は無気力で楽されてるって思うと余計苛々するところにすごく共感した。「担任が正面から見た新幹線に似ていて勉学に励む気にならないという理由で高校を中退しかけるような、就職活動を尻が半分出そうな丈のスカートをはいて回って全滅しているような、どこにいっても浮いてしまう女であるあたし」がちょっと面白かった。
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子供もおらず、ただぬくぬくと専業主婦生活を少しの罪悪感と共に過ごす主人公。だがある日、徐々に自分の顔が旦那の顔に似てきていることに気がつく。
唐突にこの世界が途中で消されてしまうクイズ番組だと理解した主人公。
隠遁生活の中で不思議な犬たちと出会う主人公。
町の人たちがいう「犬に気をつけろ」という不思議な言葉。
周りの反対を押し切り、藁の旦那と結婚した主人公。
どのお話も寓話的で、久しぶりに言葉をそのまま飲み込むのではなく、噛み砕かないといけない話を読んだ。
家庭の中の問題の多くは、本人たちが良ければそれでいいもので、周りから見れば些末な問題だったりする。
けれど、そこが幸せじゃないと根本的に自分が幸せになることはない気がする。目をつぶることは簡単で、できないことではない。でもそれは本当に幸せか?と突きつけられているような気がしてしまった。 -
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タイトルで勘違いしてしまいそうですが自己啓発本ではありません。純文学です。
「お互い心から一緒にいたいと思う」相手を求めつづけるリンデ。
3才~63才までのある一日を描いた6編の物語。
リンデの思う「お互い心から一緒にいたいと思う相手」って難しいなと思った。
自分が一緒にいたいだけでなく、相手も自分と一緒にいたいと思うってことでしょ。
だいたいの人はマイナスの面があってもプラスの面で穴埋めして自分の許容範囲内で妥協して向き合っていくんじゃない?
相手との関係の深さによって、許容範囲も変わってくるし。
友達と結婚相手ではまた違ってくると思う。
リンデのように妥協しないで完璧な相手っているのかな?
ある意味では自分に正直でポジティブで強い女性だと思うけど、不器用で生きずらいなと思う。
案の定、追い求めた結果が何ともやるせない。
それでもリンデは追い求めていくのだろう。
タイトルの「自分を好きになる方法」というのもいろいろな意味にとれてしまう。
自分を好きになるには、他者からの承認も必要だと思う。
物語のなかでもリンデは自分を好きになろうと自己肯定感を高める努力はしていたけど、他者から肯定して貰える場面は少なかったかな。
自分を好きになるために相手に自分を肯定して貰い、自分を好きになって貰いたい。自身も相手を肯定し好きになりたいという気持ちと、
自分自身を自己肯定し自信を持ち、自分を大切に生きていきたいのかなっと。
この本は、読み手にある程度判断を委ねているところがあるので、読み手の現状で左右されてしまいそう。
まーそれが面白いのだけれどね。
1番印象に残ったのは、16才の描写かな。
思春期の息苦しさとか、リンデの気持ち、
こんな表現できるの!
ボウリングのシューズとスコアボード、なんの意味もないようで、実はこんな意味だったのかと。
3歳のサブタイトル「リンデとシューベルト」
シューベルトの曲に菩提樹というのがあるのだけれど、菩提樹をドイツ語にすると「リンデ」というらしい。
曲の内容もリンデにピッタリで驚いた。
正直にいうと難しかった。
この本を読んで、自分が生きてきて大切にしているものは何なのだろう?と考えさせられたのと、自分は一緒にいたいと思う相手に巡り会えたのが奇跡のように素晴らしく思えた。
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寄生虫の一種にロイコクロリディウムというのがいて、かれらは中間宿主であるカタツムリの意識を収奪してゾンビ化させると、終宿主である鳥類に見つかりやすい明るい場所へと誘導する特徴を持っている。なぜこの生き物の事を書いたかといえば、本作のキーであるSNSや所謂映えにそれと近いものを感じたからだ。主人公は何がなんでもフォロワーを増やしたい正に寄生されている側の人間である。ただひとつ違うのは自らを承認欲求と自意識が生み出した子だとはっきり認識している点。絶対的な価値基準をフォロワー数に置き、他者と接する時マウントを取らずにはいられない、実に卑小で滑稽な人間ではあるものの、他でもない本人がその卑小さ滑稽さから逃れられない懊悩に常に喘いでいる。その姿を私は安易に一笑に付すことは出来なかった。《もう二度とSNSができない身体にしてほしい》という作中の言葉が示すとおり、いまを生きる世代が抱えるあまりにも哀切な物語である。
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ネタバレSNSのフォロワーを増やすことに己の全てを囚われており、他者とは迷惑を介してしかつながり合えず、店員に難癖をつけてマウントを取ることをライフワークにしているミクルと呼ばれる女性が主人公。またの名を勘解由小路、だいなごんあずき、五百旗頭、大右近。本名不詳。
現代ではわりに見かける設定ではあるけれど、主人公の奇天烈っぷりと暴走っぷりが突き抜けていてサイコーだった。近年の綿谷りさと金原ひとみの作風を足して二乗したような感じ。
回転寿司店で、寿司ネタに唾を擦り付けるという迷惑行為をくり返すきょうだいを目撃したとき、勝手に姉のようなシンパシーを感じているシーンが好き。
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