あらすじ
あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが……。誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛”の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編「あの明け方の」を収録。
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Posted by ブクログ
生を感じるために何度も読み返している。きっとそれは津奈木が寧子を想うことと似ているんじゃないかと思っている。好きな本も泣ける本もたくさんあるけれど、私はこの本があれば生きていける。
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もう、たまらない。最高です。今年一番の出会いかも。
文章の温度、速度、内容、その全てが今自分の求めていた小説そのもので、というよりそれを遥かに越えて胸をぐわしっと鷲掴みにされてて、息が上がってる。再読必至。
「ねえ、あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ?雨降っただけで死にたくなるって、生き物としてさ、たぶんすごく間違ってるよね?」
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久しぶりに没入したまま走り抜けた作品
勢いのある文体と独特のユーモア。
めちゃくちゃではあるけれどめちゃくちゃさが丁寧かつスピーディに描かれているので終始面白い。
それは、今全裸じゃなきゃ無理?
むり
相手への返答が、質問の一部を繰り返す端的な返事は魅力的に思える
人間失格の、
あたしが稼ぐのじゃだめ?
だめ
に通ずる愉快さがある。
文字の詰め込まれたページの中に大きな余白を作り出すから面白いんだろうか?
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映画が好きなので、原作も読むべく購入した
トイレをぶっ壊した寧子と、抑えてるものがときどき爆発してしまう自分が重なって見えて、私だけじゃないんだなと
寧子のことをわかろうとしていた津奈木がいたこと、それだけで生きていけるなって感じた
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私はBPD?を持っているんですがこの小説はすごい共感するところがところどころありました。
私はメンヘラって言葉じゃなくてもう障害だと思ってます。実際に障害だったし私も過眠症って自分で言ってたので序盤でドキッとしました。あと、私はまだ中学生なのですが小学一年生の頃から主人公と同じような行動してました。小1の頃にいきなり担任にブチギレて罵詈雑言を吐きクラスのみんなに「しね!」発言を連発。椅子を頑張って持ち上げて殴りつけようとしてたらしくて初めて親から聞いた時は驚きました。すごい似てると思います。後小3の頃に書道バッグを忘れて学校のトイレを全て回って消臭ビーズの丸いやつを蓋開けて一つのトイレに全て流し込んだりしたこともあり、やってることが一緒すぎて大人になったらもっと酷くなるのだろうか、と思うと背筋が凍りついた感触がして痛かったです。メンヘラーってかわいいってイメージを持たれがちだし自称する人には30人ほど出会ってきたけど正直全員かわいいもんだし全員ばっちりメイクしててかわいい人だったけど私はめんどくさいから、とメイクもせず肥えていき本当に他のメンヘラーの方々はどういう風に生きているのって思います。後男性でよく「メンヘラってかわいい」とか言うやつは死んで欲しいです。彼女にしたらどうせ嫌がるくせに何がメンヘラ好きだよ消えろ。三奈木か忘れたけどこの小説に出てくるような男と付き合いたいです。これにもう少し共感力強めのイケメンが欲しい。なんだかんだこの男と出会えた主人公はとてもいい女だと思います。普通にこの奇行を許してくれるのは奇跡だと思います。生涯大切にしましょう。あとメンヘラかわいいじゃなくて「メンヘラってきしょ」とか言ってる男も消えて欲しいです。こっちよ悩み全く分からないくせに偏見で物語るな、って思います。そこももう少し詳しく小説で書いていたら嬉しかったです
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ブレーカーが落ちてボロボロ涙が出てくることとか、ウォシュレットの話でダメになっちゃうこととか、時計を見て時間に絶望することとか
わたしってなんだったのかな
わたしもこの先ずっと頭がおかしいのかな
こわい
自分をもっとわかってほしいとか、わたしと同じ熱量を持ってほしいとか、そういうのを求めてしまう
どんなにがんばって普通になりたくても、普通の人じゃない瞬間に心が崩れそうになる
どうしたらいいんだろう
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ずしりと響いた。
自分が自分のことをわかってないのに、それを全部分かってもらおうなんて無理な話。
葛飾北斎の波を描いた絵が、現代の技術を駆使して撮った写真とちょうどぴったり重なって見えるその確率5千分の1。
それがうまくこの話を盛り上げてくれてて、実際にどんなものか見てみたくなったし、知ってから絵を見ると見方もかわって今では絵まで好きな作品になった。
本当にぴたりと重なってるように見えて、小説の内容は勿論、絵と写真、2度楽しめました。
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メンヘラの時(2018?! )に読みたいと思ってメモしたけど、結局7年くらい読んでなくて、当時のメモを発掘して購入。
もうメンヘラじゃないから主人公にあまり共感はできなかった。
なんで、生きてるだけで、愛ってタイトルなんだろうと思った。
最後に津奈木がなんで寧子と一緒にいるのか、って答えを聞いたときのセリフが印象に残った。
そうだよね、あたしは、あたしとは別れられないんだよね一生…。
あまり共感はできなかったけどまた読み返したいと思った。
本谷さんの別作品も読みたいと思った。
********
でも俺はいろんなものを自分に近づけないようにしただけだったのに、寧子はゲロ吐いて頭から血流したまま意味もなく走ってて、すごいと思ったよ。土手をずっと後ろからついて走ってた時に、パルコ死ね、パルコ死ねって叫んでる寧子の青色のスカートの裾が揺れてきれいだったんだ、すごく。こういう意味がわかんなくてきれいなものがまたみたいと思ったから
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葛飾北斎の美術展のおともに。ピンクに染まった神奈川沖浪裏がとってもキュート。
ほぼ9年ぶりの再読だったけれど、当時読んだときのインパクトがそのまま蘇ったようでうれしかった。津名木〜!
寧子がしぶしぶ働き始めたアットホームイタリアンで大暴れするシーンが以前に増して痛快だった。優しくぬるま湯に浸けられてる宇宙人みたいな構図がおもしろくてしょうがなかった。
「あたしはもう一生、誰に分かられなくったっていいから、あんたにこの光景の五千分の一秒を覚えてもらいたい」
五千分の一秒。生きていて何度そうした機会があるだろうか。あまりにも刹那的だけど、でもそれに気づいてパッと捉えられるというのはものすごい奇跡。
北斎は、偶然ザッパーンの瞬間を目撃できたわけではなくて、目を見開いて富士山のことを何から何まで知ろうとした情熱でその一瞬を手繰り寄せたはずだ。
ほか、短編『あの明け方の』も収録。飛び出していったエキセントリックな彼女を彼氏が迎えにいく話。あとがきはなんかやだった。
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「私」のことを何も気負うことなく好きになれて嫌いにもなれて、簡単に捨てられる。そんな他人が羨ましくて仕方がない。
私が苦しんでいるのと同じようにあなたにも一緒に苦しんでほしいと思ってしまうのは傲慢なのかな。
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ストーリーとしては大きな物語はないが、文体の面白さと鬱のリアルな心情が描かれていて良い作品だと思った。この感じの女性に出会ったことがあり、記憶が呼び起されてしまう。あの時、彼女の内側で起こっていた波が理解できて学びが多い一冊だった。
Posted by ブクログ
個人的には結構好きだった。
私は躁鬱じゃないけどヒステリックなので共感部分が多かった。
だいぶ今は落ち着いたけど昔の自分を見てるみたいだった。
私が必死な分同じ温度感で返してほしいのもわかる。楽しようとしないで。
ただ津奈木と寧子はいいバランスだったのかもしれないなと思う。味が濃い部分、薄い部分いい感じに調和できればよかったのかな。私は津奈木よりもう少し濃いけど自分より薄い人がいいんだろうな〜
あたしはあたしと別れられない。本当にこんな自分1番嫌なのに止められない。酷いこと言いながら泣いてしまったり…不器用すぎてハグ。
お互いを分かち合うことを富嶽三十六景の北斎と富士山に例えるの文学って感じで本当に好き。
Posted by ブクログ
半日で一気に読んでしまった
分かるようで分からないような難しい本
何もかも嫌になる
真っ先に自分が嫌になる
環境が嫌になる
周りの人が嫌になる
でも残るのは愛
自分が嫌でもそんな自分を愛してくれる人がいる
嬉しいけれど…
「あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生」
Posted by ブクログ
僕の寝床の、枕元に積み上げた文庫本の中から薄めの一冊を抜き取った。
『生きてるだけで、愛』
再読しました。
程度の差こそはあれ、僕自身、何もかも嫌になってしまうことがある。僕に限ったことではないな、誰しもが、そうだろうな。其方にも、そんなことがありましょう。
「いま、なんで苛々してたんだっけ?」さて。
顛末を、いちいち紐解いたりしているうちに治ってくる場合もあるけれど、堂々巡りに堂々巡り、持て余すことだって数えきれないほどにある。
「自分の機嫌は自分でとる」
言うだけなら何とでも言えるさ。
もはや、そんな言葉じゃ片付けられないし。
寧子の言葉には、時折り泣かされた。
わかります。わかります。わかりますとも。
読書を続けてきたことで“共感できる自分”に気づいた僕は、なんとかこの位置に留まり続けることができている。きっかけをくれた、かの人のことを、僕は恩人と呼びたい。大げさかな。大げさくらいが、ちょうどいいかな。
Posted by ブクログ
読みやすかった。
一日で読んだ。
自分とは全く違う性格かつ
周りにもいないタイプの人。
躁鬱に悩むと辛いだろうなと思う。
それを見守るつなきがすごい。
そしてつなぎがお金も全部出して養ってくれるモテもすごい。
Posted by ブクログ
躁鬱気質で過眠症の25歳の寧子。うまく生きていけないことへの悔しさや、自分に対して嫌気がさしててうんざりしてる気持ちとかがすごく伝わってきた。寝て起きてご飯食べて、社会に出て人間関係構築して恋愛して…って普通なことに思えて一番難しいよねと思った。自分はこんなにも感情を剥き出しにしてぶつかってるのに、相手は無気力で楽されてるって思うと余計苛々するところにすごく共感した。「担任が正面から見た新幹線に似ていて勉学に励む気にならないという理由で高校を中退しかけるような、就職活動を尻が半分出そうな丈のスカートをはいて回って全滅しているような、どこにいっても浮いてしまう女であるあたし」がちょっと面白かった。
Posted by ブクログ
躁鬱による不安定な女性とその彼氏の生活を繊細にリアルに描いていて、共感よりも温かく見守りたいという感情がわきました。愛の形は人それぞれで、男性の主人公に対する美しいと感じた瞬間のエピソードも独特だなと思いました。淡々とした日常と感情の起伏が激しい主人公との対比が読んでいて心を揺さぶられました。
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ヤンキーのオーナーたちとの隔たりが切ないんだけどなんかギャグっぽくも思えてあまり深刻になりすぎずそれがよかった。寧子が自分と津奈木との関係を葛飾北斎の絵の奇跡的1秒に喩えたくだりが良かった。多分、ピカソ展のあとのラーラリラーとラーラリヒーのくだりがこの二人にとって富嶽三十六景的瞬間だったんじゃないかと思う。人間なんて基本的にわかり合えないものだし、その一瞬があっただけでも元は取ったのではないかな。
あの明け方のの時間軸は素直に生き愛の後日談と捉えてよいか?別れたものだと思ってたけど津奈木と寧子があんな感じで続いてるのが嬉しかったし愛しいな〜と思った。
Posted by ブクログ
主人公の感じている生きづらさみたいなものに少し共感できた。
人はみんな多かれ少なかれ生きづらさを抱えており、その生きづらさは死ぬまで捨てられないんだなと感じた。
この主人公はその生きづらさが肥大化しすぎてしまい、一人では抱え込めなくなってしまったのだろう。
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-あたしはさ、あたしと別れられない。
鬱病、過眠症、メンヘラな寧子と、寡黙にごめんを繰り返す津奈木。寧子の逸脱した行動は共感できないが、本人も頭おかしいと感じていて苦しんでいることは理解してあげたい。
嫌がらせに苛立つ前に、嫌がらせの中身を客観視して分析しながらも、ちゃんとキレところがなんだか面白かった。真っ直ぐに生きられない人がいる、そして本人も苦しんでいること。自分の知らなかった世界があると知れた。
Posted by ブクログ
鬱からくる過眠症で悩む寧子の毎日は、まるで"生きてるだけで、苦しい"状態。自己コントロールが出来なくて、恋人の津奈木に当たってしまう。自我をさらけだし、他者へ理解を求める主人公に少し引きながらも羨ましいと思った。
Posted by ブクログ
共感はできないが、理解はしたい。私は寧子に腹が立ってしまったが、寧子のような感情や精神状態が、私に1ミリもないとは言えない。「生きづらい」だって感じるし、どうして皆んなは普通にできることが自分にはできないんだろう?と思う事柄だってある。人に自分を見透かされている気がする感覚だってわかるし、人の善意に逃げ出したくなる気持ちもわかる。なにより、たった1人でいいから、自分の全部を心から肯定して欲しい、この欲だけには激しく共感。って、書きながら思ってたより共感してたことに気づいた。
「あたし、楽されると苛つくんだよ。あたしがこんだけあんたに感情ぶつけてるのに楽されるとね、元取れてないなぁって思っちゃうんだよね。あんたの選んでる言葉って結局あんたの気持ちじゃなくて、あたしを納得させるための言葉でしょ?」
「あたしを怒らせない一番の方法はね、とりあえずうなずいてやり過ごすんじゃないから。あたしが頭使って言葉並べてんのと同じくらい謝罪の言葉考えて、あたしがエネルギー使ってんのと同じくらい振り回されろってことなんだよね」
「あたしと同じだけあたしに疲れてほしいってのはさ、やっぱ依存?」
「別れてもいいけど、あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生。いいなぁ津奈木。あたしと別れられて、いいなぁ」
Posted by ブクログ
自分のメンタルが比較的安定しているからか、主人公の気持ちはよくわからないし、津奈木は振り回されて大変だなと思った。
あとなんでそんなにすぐ同棲するんだ……
Posted by ブクログ
主人公はほぼ私である。
20の頃から鬱→躁鬱になり、不眠と過眠をさまよった自分。あと2週間で誕生日を迎え、25になるタイミングでこの本を完読するのはタイミングが良すぎた。
主人公ほど激しい躁状態は感じたことないけど、自分が頭おかしいって思ったり、いつ良くなるのか分からないのも、バイトが続かない時期があったのも全部分かる、でも1個だけ違うのは私にはこんな彼氏はいなかった。いても病気のことは隠していたし、ここまで感情をぶつけられる(ぶつけざるを得ないのかもしれないが)相手がいることは素直に羨ましい。
Posted by ブクログ
この本の主人公のような一面って、誰でも持ち合わせていると思う。その程度の差かなと。
(自分は津奈木さんタイプの人間です。)
余談だけど、本編じゃない「あの明け方の」の舞台は自分が今住んでる所に程近いところで情景が浮かんできて面白かった、、