伊吹有喜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私が読んだ伊吹さんの作品は再生の物語が多い気がする。
この作品も、妻である乙美を亡くした良平とその娘の百合子がどのように生きていくのかを考えて進む物語だ。
突然現れた井本とハルミ。現実にこんなことが起こったら受け入れることは難しいだろう。しかし、こんな2人がもし現実に現れたなら自分の人生も変わっていくのかもしれない、と想像したら楽しくなった。
良平も百合子もこの2人に出逢わなかったら、人生なにも変わらなかっただろう。
乙美が託した想いを繋ぎに来た井本。
井本とハルミの去っていく姿がどちらも気になる。
実際この2人は何者だったのか、と。
ずっとずっと良平と百合子と居て欲しかった。そこが少し残念。
井本が去って行った時の良平の気持ちが切なかった。
良平と百合子を取り巻く親族にも腹が立ったり、共感したりと色んな気持ちにさせられたところを思えば、なかなか面白い作品だったと思う。 -
Posted by ブクログ
伊吹さんの小説、2冊目。読み終えて感じたこと。
美鷲の風景描写が、想像できるくらいの表現の素晴らしさに惹かれた。
家族を失った貴美子と心の風邪をひいてしまった哲司。
貴美子の優しさと気遣い、テキパキとこなす仕事。かっこいいと思った。
お互いに欠けているもの、大切なものに気付き前に進もうとするストーリー。
貴美子は本当に温かい女性だと思う。
謙虚でどんな人にも温かく接することができる女性。
弱いようで、芯の強さもある。
大切なものを手にするために、自由に生きれたらどんなに幸せかなぁ、と思ったストーリーだった。
ちょっぴりもどかしくてせつなくもなる大人の恋も描かれてて、色んな気持ちになれた。
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Posted by ブクログ
【少女雑誌の灯す光】
伊吹さんの本を初めて読みました。
時は戦前の昭和。少女雑誌「乙女の友」が大好きで、その主筆とイラスト作家の先生たちにあと蛾れている佐倉波津子ことハツ。あるきっかけで、その主筆のアシスタント、という形で出版社編集部に雇ってもらえることになるのだけれど…
戦争という緊急事態と価値観の大転換の中でのお話。
いろいろ考えさせられた。
「そんな余裕のない状況なら、書物や雑誌など不要ではないですか」
コロナの緊急事態下に問われたたくさんの文化活動の意味。リアルだった。
出版社や書籍に関わる人々はどう影響され、どのような決断を経ていったのか。
違う時代の話。
たくさんの芸名。
おちゃめでカラフル。
教科書や授業では知りえない、生きている人間を感じられた本。
フィクションなんだけど現実でもある、そんな気がするお話だった。
灯台のような雑誌。「暗がりのなかに光をともす存在」。
状況がどんなに難しくなっても、「彼方の友」―全国の読者―との間に自らが課した約束を守り続けるために下す決断の数々。知りえないけれど。そんなことを考えたり。
女性とキャリア。今も男女のキャリア格差は閉じていない。この議論は今に始まったことでも何でもないことにあらためて気づく。主人公をはじめ、昭和前期にも強く生きる女性たちが生き生きと描かれている。
そしてなにより、この本は、ただ昔を書くのではなく、今老人施設で余生を過ごす主人公ハツが、夢うつつの状態の中、過去を回想している設定。
人の価値観に与える戦争の影響は大きい、ってそのあと読んだ村上春樹さんのエッセイに書いてたけれど、断絶があるぐらい、すごい激動の時代を生きてきた人が、今も生きていて一緒の社会にいるってこと、
凄い貴重だし、普段自分は忘れすぎてる、と思う。
本気で想像しないと想像できないことなのだと思う。