伊吹有喜のレビュー一覧
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なでし子物語の続きということでまたあの素敵な世界に入りこめることをとても楽しみにしておりました。
読み始めると時代はだいぶ進み
耀子が高三になっていて
常夏荘を出ていくところから
なのですが、話の大半は
耀子が中2で
立海くんが小5のひと夏が
メインで入ってきます。
まだ大人でも幼い子供でもない
微妙な心模様も可愛らしく
今回は、照子の息子である龍治がメインに新たに加わり
そのスパイスがなんともいえず甘酸っぱくきゅんとしてしまいました。
少しクールな龍二が立海にかかれば、面倒見の良い兄のような存在になり、母に対する暗い影の気持ちが少し和らぐ
立海パワーは健在で、みんなを巻き込みながら、でも耀子 -
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伊吹有喜さんの作品はどれも大好きだけど、なでし子物語は
その中でもだんとつ、大好きな本になりました。
ストーリーはいじめられっこの耀子と生い立ちゆえの重圧といじめに苦しむ立海それに、過去の思い出の中に生きている照子、三人が出会って少しずつ強く前向きになっていくお話です。
魅力は、なんといっても
本当にみんな可愛いくて愛らしく
周りの人達も温かで、素敵な人ばかりだということです。優しい気持ちになれます。
後半は、その暖かさで、優しさで
何度も涙が出ました。
それから
家庭教師の青井先生の言葉も素敵でした。
耀子ちゃんに託した言葉で
自立 顔をあげて生きること
自律 美しく生きること
というの -
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今回は燿子がお仕事を始めてからの成長物語。昔嫌なヤツだった由香里がかっこいいバリキャリになっていて、燿子のいい相棒となっていくのがすごく良かった。好きだなぁ。こういうはっきりした女性。オドオドして自分に自信のない燿子が、由香里や千恵や照子たちの影響で少しずつ変わっていく。そして燿子の心にいつもある青井先生の言葉、
・「どうして」ではなく「どうしたら」と考える。
・自立(顔を上げて生きること)と自律(美しく生きること)
この2つは本当に前向きになれる素敵な言葉だと思う。
立海との関係は相変わらず切ない。この後どうなっていくのか。続きが早く読みたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ盛岡の景色がほんとに綺麗な言葉で繊細に再現されていて想像するとワクワクが止まらなかったです。
行ったことはないけど、川のせせらぎや橋から見た岩手山の壮大さ、桜並木や、たくさんのお店、そして山の麓にある工房、ショールーム。全てがキラキラしていて本当に素敵でした。
そして親子の在り方や、それぞれの人生の生き方。
祖父の言葉はどの言葉も強く、綺麗な、真っ直ぐとした、そしてたまに後悔もある言葉でした。
美緒の母は、母とは何か、娘のためにこうすべきである、と言う形から、子供の頃の自分はどうだったのか、本当の娘の気持ちは何かどうしてあげるべきなのか全てが手探りな状態でしたが、美緒が織った端が凸凹したショー -
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お母さんになり、常夏荘で“おあんさん”となった28歳の耀子に会えて感慨深かった。
時代の移り変わりとともに環境も変われば、耀子自身の心境にも変化が起きていく…。
目まぐるしく、思わぬ展開でした。
ここが耀子にとっての人生の分岐点、今が大事な時だと思うと読みながらつい力が入ってしまう。
亡き父が叶えようとした未来に思いを馳せる耀子。
人生いろいろ。ちょっと切ない場面も。
深く心に染み入るストーリーで、温かく清々しい読後感でした。
『“私たちは小さな撫子”。星の形に似たこの花は、風に揺れても折れない、うつむかない。つつましくとも凛と咲き、地の星のごとく光を放つ。』