伊吹有喜のレビュー一覧
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とても良い!
後半は涙を止められなかった。
舞台は林業を営む遠藤家の別宅、常夏荘。
父が亡くなり、母からは放棄された少女耀子は、遠藤家の林で働く祖父の元で暮らすことになる。
遠藤家の当主の息子立海は、体が弱く、療養もかねて家庭教師青井とともに常夏荘に預けられる。
遠藤家当主の息子の妻照子は、夫を亡くし、人付き合いが好きではないため、常夏荘で夫の思い出を抱きながら暮らしており、おあんさんと呼ばれ、常夏荘の周辺の人たちからは慕われている。
まず、照子と夫との思い出がとても美しい。
背が高い照子に対して、背が低く体の弱い夫。
セミの夫婦と呼ばれ、大木(照子)にとまるセミ(夫)と嘲笑されたふたり。 -
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少し前に読んだ「雲を紡ぐ」の解説の中で、北上次郎氏が作者の作品でいちばん気になっていることとして「なでし子物語」に触れて『読みごたえ抜群の書だ』としてあったので、読んでみたいと思っていた。
最初は少しつかみどころのないお話に思えたが、ゆっくりと山間の里、峰生の、常夏荘での、耀子と立海の物語に惹き込まれた。
父を亡くし母には置き去りにされ祖父が仕える屋敷に引き取られた少女・耀子。庶子である生い立ちや病弱な体に苦しむ少年・立海。
互いに仲良しになりたいがそれぞれが持つコンプレックスや育ちの違いもあって接し方が分からず、だけどもおずおずと少しずつ距離を縮めていく様が好ましい。
「リウのひみつ」に書 -
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ネタバレ女性が率先して活躍することに偏見が社会だったうえに、戦中という生きていくだけで大変だった時代。
主人公・波津子は貧弱な印象だったが、意外と度胸があるのと、有賀を筆頭に様々な人に揉まれながらも成長していく姿が頼もしかった。
「泣いてはいけませぬ」
どんなときでもその言葉と共に、歯を食いしばりながら立ち向かっていった波津子。その力強さ、たくましさ、ブレない信念、かっこいいなぁと思った。
「乙女の友」という1冊の雑誌を通じて、離れていても、顔が分からなくても繋がっている仲間がいる。読者のことを「友」と表現した伊吹さんの感性が素敵だなと思った。
そして外せないのが、波津子と有賀の恋模様。
自分の -
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ネタバレ最近とても好きな伊吹有喜さんの本。
立海と耀子の2人の子供たちが本当に可愛い。色々辛い環境だが、お互いにいい影響を与えあってかけがえの無い存在になってゆく。この2人がこれから共に幸せになってくれることを願ってしまう。
立海の家庭教師の青井先生がとても良い。自信の無い耀子に対して前向きに生きることを教えてくれる。
「どうして、と思ったら、どうしたら、と言い換えてみる」...私も実践してみようと思う。
あと龍一郎が、自分に自信の無い照子に「美しい靴は美しい場所に連れていってくれる」と言って綺麗な靴を送る所が、本当に素敵だった。そりゃ照子も忘れられなくなるよね。 -
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ネタバレヨウヨがみんなの居場所、峰尾、常夏荘を守るために奮闘する第三巻。
犬猿の仲だと思っていた遠藤由香里がまさかこんなかたちで登場してくるとは…。女性って逞しいなって感じた。
そして何と言っても、立海の一途な想いがただただ切ない。
立海から受け取ったあの指輪、ヨウヨはきっとあのポーチに入れたんだろうな…。
指輪をヨウヨに渡したってことは、想いを断ち切って上屋敷のお嬢と一緒になる決断をしたってことなのかな…。あぁぁぁあ切ない…。
龍治とヨウヨの関係ってどちらかというと似た者同士でくっついた感じなんじゃないかなって思った。
もちろん好きって感情もあるんだろうけど、お互いの傷ついた部分を埋め合う関係と -
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ネタバレ龍治無双。
彼の無自覚なかっこよさ、色気、一見冷たそうに見えるけどその中に隠されてる優しさ。キザっぽい言葉もかっこいい。眉目秀麗とはまさにこのこと。
そりゃあリュウカくんも憧れるわけだ。ヨウヨも惹かれちゃうわ。
やっぱりあの場面、ヨウヨの最大のピンチを助けられるのは龍治だよな。
もし、この出来事を立海が知ってしまったとしたら彼は「ヨウヨよりも大人だったら」って悔やむんだろうな。
それにしてもヨウヨが待っていることを信じてずっと頑張ってきた立海が報われなさすぎて…。
立海の変わらない天真爛漫さ、素直さ、優しさにほっこり。
心を閉ざしていた龍治に対して「友だち連れてきたよ」と立海の言葉がよかっ