あらすじ
妻の乙美を亡くし気力を失ってしまった良平のもとへ、娘の百合子もまた傷心を抱え出戻ってきた。 そこにやってきたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。 乙美の教え子だったという彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を伝えにきたのだった。 大切なひとを亡くしたひとつの家族が、再生へ向かうまでの四十九日間を描いた、感動の物語。
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Posted by ブクログ
タイトルに、四十九日、とあるくらいだから涙的な作品なんだろうなとは思っていたが、やっぱりじんわり泣けた。人が人を思う気持ちに心が熱くなった。この作者の作品は2冊目だが、前回も似たような感想をもったなぁと思い出した。「人が人を思う気持ち」たぶん、そこが私のツボなんだろうなぁ。他の作品も読んでみたい。
「夢はかなわぬこともある。努力は報われぬこともある。正義は勝つとは限らない。だけどやってみなけりゃわからない。さあ、頑張ろう」
きっと人生には何かが必要だ。
食って寝て起きての日々を鮮やかに彩る何かが。幸せな気持ちを作り出す何かが。笑い、喜び、驚き、ときめき、期待する、心を動かす美しい何かが。
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百合子の夫の姉妹、義姉と義妹の言い分、伯母の珠子の主張。少し前は多数が持っていた(かもしれない)意見なんだろうけど、胸くそ悪い。ひどくべったりと残る。残虐な事件のニュースを聞いたときと同じような。自分にも子どもがいないから百合子側なのかもしれないが。
読み終わった。
最後、良平のいうとおり、もしかしたら乙美が、ハルカが帰ってきたのかもしれないくらい、夢のような四十九日だった。あんなにボロボロだった百合子が徐々に復活し、浩之が不貞を犯しながらも諦めない姿が、なんかちょっとよかった。
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私が読んだ伊吹さんの作品は再生の物語が多い気がする。
この作品も、妻である乙美を亡くした良平とその娘の百合子がどのように生きていくのかを考えて進む物語だ。
突然現れた井本とハルミ。現実にこんなことが起こったら受け入れることは難しいだろう。しかし、こんな2人がもし現実に現れたなら自分の人生も変わっていくのかもしれない、と想像したら楽しくなった。
良平も百合子もこの2人に出逢わなかったら、人生なにも変わらなかっただろう。
乙美が託した想いを繋ぎに来た井本。
井本とハルミの去っていく姿がどちらも気になる。
実際この2人は何者だったのか、と。
ずっとずっと良平と百合子と居て欲しかった。そこが少し残念。
井本が去って行った時の良平の気持ちが切なかった。
良平と百合子を取り巻く親族にも腹が立ったり、共感したりと色んな気持ちにさせられたところを思えば、なかなか面白い作品だったと思う。
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本棚にあったのを数年ぶりに読み返しました。(挟んであったレシートによると2012年に大阪ルクアで買ったらしい)自分にも子供ができてようやくわかるようになった、登場人物の痛いまでに張り詰めた想いに泣きそうになりました。本は自分次第で何度も違う気持ちになれるから、いい。
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妻の乙美が亡くなり、何も手につかず、憔悴していた良平のもとへ、娘の百合子も夫の浮気で離婚を決意して、実家に戻ってくる。
そこに突然、亡くなった乙美の教え子という真っ黒に日焼けした金髪の女の子の井本がやってきて、乙美から教わったレシピで、四十九日まで面倒見てほしいと頼まれたからと言い、乙美がいるかのような料理や掃除をやりだす。
家族とは、子供のいない人生とは、いろいろ考えさせられる感動のストーリー。
映画で、井本を二階堂ふみさんがしていることを知り、さらにびっくり。
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伊吹有喜さんの「犬といた季節」がとても良い小説だったので、今回の本を購入。
再婚相手の妻を亡くした夫、不妊に悩んだ末に夫に浮気をされ家を飛び出し実家に戻る娘。
ここからスタートする物語に未来はあるのか?と思うのだけれど、読み進めるにつれて何度も大笑いしてしまうストーリーは、さすが!
最後にはしっとりと涙するとっても素敵な物語です。
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乙美さんが愛情深く心優しいステキな人だったんだろうと至る所から感じた。お父さんとの出会い方も良かった!大事なものは失くしてから気付く事ってよくあるけどそうならないように毎日を後悔なく過ごしたいとしみじみ思う。最後のちょっとファンタジーちっくなのも好みでした。
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百合子
三十八歳。五歳のとき、動物園に行った日。父に乙美を紹介された。お弁当を食べようと差し出した重箱をたたき落とした。乙美お母さんを縮めてオッカと呼んでた。
乙美
継母。父との間に子をもうけぬまま、七十一歳でこの世を去った。
熱田良平
百合子の父親。警備の仕事をしていた。釣りに出かける際に乙美が作ったコロッケサンドのソースがしみていて怒鳴りつけ持って行かなかった。
井本幸恵
十九歳。乙美がボランティアで絵手紙を教えていた福祉施設の生徒。乙美から、自分が死んだら、捨てるものとか整理するものがいっぱいあるから片付けとかの面倒を見て欲しいと頼まれていた。
万里子
百合子の産みの親。熱田の先妻。百合子が二歳の時に病死。
浩之
百合子の夫。都内で進学塾を経営。進学塾の事務をしている女と浮気している。
珠子
熱田の実姉。
笹原亜由美
浩之が経営する進学塾の事務員。浩之の子を妊娠した。
美保
浩之の妹。
カルロス・矢部
自動車関連会社の工場で働いていた日系ブラジル人。ハルミと呼ばれている。
カイト
亜由美の息子。
聡美
「リボンハウス」の元園長。乙美が独自時代に働いていた病院の同僚でもある。
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何気に手に取った本だったが、とても面白かった。
失ってみて、大丈夫がわかることは本当にある。
妻を突然亡くした妻とその娘の再生の話。亡き妻の乙美さんのレシピが深い。多くの恵まれなかった女性達や亡くなった家族にも素晴らしいレシピ、処方箋を残してくれた。愛情に溢れた素晴らしい女性だったんだろうな。
四十九日の宴会も良かった。熱田の姉があまりにひどい物言いで腹ただしかったかったが、ずっと頭が上がらず言い返せなかった熱田もついに言い返せた。これも大きな変化。怒って帰ってしまったと思えた姉だが、最後の展開もほろっとした。これもやはり乙美さん人徳だろう。
他にも、いろいろな展開があって面白かった。他の伊吹さんの作品を読むのも楽しみだ。
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身近な誰かが亡くなった時、不思議なことが起こるような話はよくある。実際にも起こりうるのか分からないけど、説明できないことがあってもいいじゃない、と思う。
優しくて、固まった心を溶かしてくれるような、そんな本だった。
わたしもレシピ残していこうかな
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面白かった。とても読みやすくポップな感じですね。内容的には深みはあまりないですが、とても良いストーリーで読後感はとても良かったです。伊吹さんの作品は初めてでしたが他の作品も読んでみようと思います。
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1年前あたりから私の中ではちょっぴりブームな作者さん。★も良かった初期の作品に行ってみる。
しかし、なんだな、歳を取るとこういう話に弱くて、最初のほうで妻(乙美)に先立たれた熱田が生きる気力もなくした姿を読むと、自分でもそうなってしまうだろうなと心が揺れる。
そこに、亡き妻から頼まれたという日焼けをした黄色い髪の女子(井本)が押しかけて、加えて、夫の不倫から離婚届を置いて家を出て来た娘(百合子)が戻ってきて…と始まる話。
『四十九日には明るくて楽しい大宴会みたいなのができればいいな』という乙美が遺した言葉に従って、井本と彼女が連れてきたブラジル人(ハルミ)にも後押しされ、熱田と百合子はゆるゆると動き出す。
乙美の生涯を綴る年表づくりの中で語られる熱田と乙美の、乙美と百合子の、それぞれの記憶のひとつひとつに、夫婦の愛、親子の愛について考えさせられ身に沁みる。
福祉施設でボランティアだった乙美に教えられたという井本やハルミの行動と、その仲間の人々の心情に、人としての情の深さを感じいる。
見合い話を断られて押しかけてきた乙美が熱田との出会いである夏祭りの豚まんの話を語る場面がとてもあたたかい。
四十九日の宴会に美佳がコロッケサンドを持ってきた場面は、冒頭の弁当の話につながって、通勤電車の中で読んでいたが、泣けてきて困った。(毎日早起きしてお弁当を作ってくれている配偶者に感謝)
井本とハルミの存在がファンタジーのように語られる終い方も話の落ち着け方としては良かった。
百合子の夫(浩之)と相手(亜由美)には我慢ならず、関わらなければよいのにとずっと思っていたので、よりが戻って良さげに終わったのが唯一不満。
物語としてはああ締めざるを得ないのかもしれないが、女癖ってのは簡単には直らないと思うぞ。
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登場人物がみんな不器用で愛らしく、とっても素敵なお話でした。私たちの人生はテイクオフボードのようなもの、という言葉が胸に刺さりました。私も誰かのテイクオフボードになれるような人生を歩みたいと心から思います。
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随分前にドラマを見て、最近映画を見て、結末の違いに、原作が気になり手に取りました。
また、著者の伊吹有喜さんは好きな作家さんで、最近少しずつ過去作を集めています。
終盤に向かい、乙美母さんの四十九日法要の盛り上がりと、皆が帰ってしまった後の寂しさ。
でも、もしかしたら失ってしまったあの人たちだったのかもしれないと思うことでどこか胸が暖かくもギュッと締め付けられるようなそんな結末でした。
最後のからくりにほろりときました。
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突然亡くなった女性、熱田乙美。
傷心する乙美の夫と、その娘百合子。
百合子にとって乙美は産みの母ではなく、継母であり、「乙母さん(おっかさん)」と呼んで慕っていた。
百合子は夫の不貞問題で東京の家を出て実家で屍のように過ごしていた。
その二人の前に現れた「井本」という金髪ギャルの女の子。乙美の絵葉書教室で世話になった、乙美の四十九日の大宴会のためにやってきたという。
そこから、ブラジル人青年(名前はなく、熱田がハルミと愛称をつけた)も加わり、大宴会への準備を進めていく。
この本、身勝手な大人が多数登場して、途中読むのも憚られるような場面もあった。
でも、ラストへのたたみかけが、さすが伊吹さん!
私も、井本は乙美で、ハルミは産まれられなかった子だと思った。ファンタジーだけど、そう考えた方が幸せじゃないか。
死んだ人が、遺された家族を思い、遺された家族は死んだ人を思う。
四十九日の間に、遺された家族が再び前を向いて歩いていけるために、乙美が残した「レシピ(処方箋)」。
乙美が、熱田を好きになった理由(夏祭りに豚まんを売りに行って、暑くて誰も買ってくれないとき、熱田が「うまいうまい!」と食べてくれたこと)も、すごく良かった。1930年台生まれの乙美の時代感を感じられたし、乙美の人柄が現れているエピソード。
人の死は悲しい。別れはさみしい。
でも生きている人は、生きていくしかない。
立ち止まって、悩んで、苦しんでも、生きていく。
そんな人みんなに、こんな奇跡が起きたらいいのに。
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お母さんの死から物語は始まります。
乙母さんが亡くなり、その夫は無気力状態。
ある日突然、謎の女性現る!?
頭が黄色のイモちゃん、外国人のハルミがいい味出してるよ。
イモちゃんは、乙母さん(乙美)の四十九日まで家のことを手伝うことに。
乙美が残したレシピ。それは料理だけじゃなく下さい掃除や美容に関すること、生活に必要ないろいろが書かれているレシピ。
乙母さんの夫、そして娘の百合子が四十九日まで、どんどんと変わっていく様子が目に浮かんできて、一気に読みました。
私もこんな素敵なレシピ、欲しいです。
四十九日まで乙美の生きてきた過去が、ちょっと感動しました。
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四十九日にお経で法事ではなく大宴会をしてほしいとの遺言で残された家族がその準備の中、立ち直っていく。
亡くなった乙美さんは広い心ですごく優しい人だったことが、彼女の残したイラスト付の暮らしのレシピやあしあと帳などからわかる。
血の繋がった子供を産めなくても、誰かの名前は残らなくても、踏み台となって誰かをどこかに飛ばすことができればなんて豊かな有意義な人生だったろう。
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沢山の登場じんぶつ、どの人が一番共感できるかというと百合子。
夫の不倫相手が妊娠した。地雷のような不倫相手だが、子どもができたのであれば夫と別れるしかないと実家に戻るも····
百合子が5歳のときから母親代わりとしていた父良平の後妻の乙美が死去し 乙美の遺言通りの四十九日の準備を進めるうち 良平と百合子は少しずつ前に進む力を得ることになる
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失ってから大切さに気づいたり後悔する。
わかってはいても近い存在には何かと雑になってしまうもの。
あの時・・・って思っても、過去には戻れない。
レシピは大切な人に向けて作られたもの。心を癒やす処方箋。
自分も残してみたくなった。
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イモとハルミは何者だったのか?乙美が残していったイラストいっぱいのレシピ。一緒にいる時には気が付かない生きている人の大切さ。皆それぞれの道をたどり始める。
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前に一度読んだ本を読み返す。
優しい物語。
形には残らないものを私も残していきたいな。
優しさとか、思い遣りとか。
誰かの心の中に残せたら生きた証になるんだろうなって思う。
Posted by ブクログ
淡々とゆっくり穏やかな語り口はこれまでに読んだ伊吹さんの作品と同様ですが、ストーリーは違っていました。
家族の温かさが描かれる一方で、ボタンの掛け違いによるすれ違いも。
49日のシーンでもいろいろありますが、最終的にはほっとしました。
亡くなっても皆に慕われるような人生を送ることができたら素敵だなと思いました。
Posted by ブクログ
乙美さんと熱田さんの馴れ初め、素敵なエピソードでした。あしあと帳もよくて、亡くなった大事な人を愛しむ時間が、こんな風に過ごせたらいいなと思いました。
Posted by ブクログ
全体的に流れる雰囲気はとても好きなんだけど、メインの娘さんが優しすぎて共感できず残念。私は絶対に許せない。優柔不断な元夫も、『あなたの為を思って』を盾にした言いたい放題の叔母も。49日の間に姿を変えて見守って助けてくれた二人の事に気付いたお父さんのシーンがよかった。
Posted by ブクログ
誰かが亡くなってから
気づくことがある
亡くなる前に気づいていればよかったのに
と後悔するかもしれないけれど
気づけなかったより
気づけたことを喜ぶしかない
義母が亡くなったことで
近づいた父娘に
義母もにっこりしているだろう