あらすじ
ずっと、透明になってしまいたかった。でも本当は「ここにいるよ」って言いたかった―― いじめに遭っている少女・耀子、居所のない思いを抱え過去の思い出の中にだけ生きている未亡人・照子、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しむ少年・立海。三人の出会いが、それぞれの人生を少しずつ動かし始める。言葉にならない祈りを掬い取る、温かく、強く、やさしい物語。
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Posted by ブクログ
どんぐりさんの投稿を見て読みたくなった作品。
なでしこシリーズの第1弾♪
好きな予感がする!と思って手にしたけれど、やっぱり予感的中、どっぷりハマってしまった。
あ〜これしみじみ良かったな〜(´ー`*)
父を亡くし、母にも捨てられ、いつもいじめられてばかりだった小4の耀子。
遠藤家の御曹司という重圧に苦しむ、とても病弱な小1の立海。
そんな2人が、静岡県の天竜川上流にある、遠藤家の別邸「常夏荘」で巡り合う。
勝手に昭和初期のイメージを持って読んでたけど、どうやらもっと最近で50年くらい前の設定のお話だったみたい。
山奥の自然豊かな場所、ちょっぴり厳しくもあたたかい周りの人達、そして何よりもぼくとつとしているけど、優しく頼もしいおじいちゃん。
どんぐりさんが言われてたけど、ほんとちょっと"ハイジ"の世界じゃないか〜!笑
友達もできず、学校にも行けず、いつも「どうして自分ばっかり、、」という思いを抱えて生きてきた2人に、初めて友達という存在が出来た。
お互いを"ヨウヨ"と"リュウカくん"と呼び合う2人が、少しずつ気持ちを前向きに、成長していく姿がとても愛しかった。
青井先生の存在は偉大だったな〜!
特にヨウヨにとっては。
自分の事を認めてもらえる人がいるって、こんなにも力になるんだな。
「どうして」と自分を責めない。「どうしたら」と前に進もうとする。
ネガティブ思考の私にもめっちゃ刺さりました笑
シリーズ4作あるみたいなので、ゆっくりヨウヨとリュウカくんの人生見守っていきたいな〜♡
Posted by ブクログ
伊吹有喜さんの作品はどれも大好きだけど、なでし子物語は
その中でもだんとつ、大好きな本になりました。
ストーリーはいじめられっこの耀子と生い立ちゆえの重圧といじめに苦しむ立海それに、過去の思い出の中に生きている照子、三人が出会って少しずつ強く前向きになっていくお話です。
魅力は、なんといっても
本当にみんな可愛いくて愛らしく
周りの人達も温かで、素敵な人ばかりだということです。優しい気持ちになれます。
後半は、その暖かさで、優しさで
何度も涙が出ました。
それから
家庭教師の青井先生の言葉も素敵でした。
耀子ちゃんに託した言葉で
自立 顔をあげて生きること
自律 美しく生きること
というのがあります。
すごく
素敵な言葉だと思います。
私自身も励まされるような
前向きになれるそんなお話でした。
続きがあると言うことで…
楽しみだなぁ。
Posted by ブクログ
『雲を紡ぐ』が面白かったので、続いてこの作品も。これも面白かった。全5巻なのでしばらく読む本には困らなそうだけど、他のことに費やす時間が足りなくなりそう。
Posted by ブクログ
照子の亡き夫との新婚旅行の回想シーンでは、涙が止まりませんでした。
セミの夫と呼ばれ、長くは生きられぬ身体の夫に
「夏しか生きられぬセミならば、私が永遠の夏を差し上げます。花は撫子、常夏の花。いつまでも仲睦まじく、千歳、百歳、あなたの隣で咲き続ける」
そう告げる照子。
とても強くて美しい人だなぁと思いました。
Posted by ブクログ
このシリーズ大好きです。
みんな何かあって、泣ける、けど、心が温まる。みんなを応援したくなる。
ヨウヨと立海が好きだけど、次巻読むと龍治も好きになんのよなー、
Posted by ブクログ
少し前に読んだ「雲を紡ぐ」の解説の中で、北上次郎氏が作者の作品でいちばん気になっていることとして「なでし子物語」に触れて『読みごたえ抜群の書だ』としてあったので、読んでみたいと思っていた。
最初は少しつかみどころのないお話に思えたが、ゆっくりと山間の里、峰生の、常夏荘での、耀子と立海の物語に惹き込まれた。
父を亡くし母には置き去りにされ祖父が仕える屋敷に引き取られた少女・耀子。庶子である生い立ちや病弱な体に苦しむ少年・立海。
互いに仲良しになりたいがそれぞれが持つコンプレックスや育ちの違いもあって接し方が分からず、だけどもおずおずと少しずつ距離を縮めていく様が好ましい。
「リウのひみつ」に書かれた子どもの遊びや六田家でのクリスマスパーティーなど時代を感じさせるほのぼのとしたエピソードと、大人の事情が生み出す理不尽で苛烈な出来事や過去の経緯が交互に語られていく構成が絶妙。
その中で子どもたちの心の持ちようや考え方の成長が感じられ、加えて耀子と常夏荘の女主人・照子の目線でこれまた交互に語られることで、親の立場・子の立場、それぞれの視点で受け止めることも出来る。
夫を亡くし、息子とも心が通わず、過去の思い出の中だけに生きる照子だが、立海の中に夫や息子の面影を見る彼女を通して女親の葛藤もよく描かれており、新婚旅行の逸話は女盛りだった頃の彼女を思わせて味わい深く、亡き夫がその時聞かせたという「星の娘っこ」の話が、これもまた綺麗。
立海の家庭教師の青井の、二人の子どもを子ども扱いをせず、その個性と人格を尊重してひとりの人間として接し、ひとつひとつ言い聞かせていく姿にも好感。不遇を乗り越えて来た彼女の凛とした言葉はフレーズにしっかりと留めておこう。
冒頭の解説はこう続く。『3作で十分に堪能できる。しかし個人的な願望にすぎないのだが、このシリーズをあと2作、書いてほしいとずっと熱望していた。…第四部は年内には刊行される予定というから愉しみだ。…まだその第四部を読んでもいないのに気が早いことだが、出来れば第五部も書いてほしい。そのときまで元気でいたい。それがただいまの私の目標である』
北上さん、あなたが続きを読めないのが残念です。そして、これからあなたの文章を読めないのが寂しいです。
Posted by ブクログ
最近とても好きな伊吹有喜さんの本。
立海と耀子の2人の子供たちが本当に可愛い。色々辛い環境だが、お互いにいい影響を与えあってかけがえの無い存在になってゆく。この2人がこれから共に幸せになってくれることを願ってしまう。
立海の家庭教師の青井先生がとても良い。自信の無い耀子に対して前向きに生きることを教えてくれる。
「どうして、と思ったら、どうしたら、と言い換えてみる」...私も実践してみようと思う。
あと龍一郎が、自分に自信の無い照子に「美しい靴は美しい場所に連れていってくれる」と言って綺麗な靴を送る所が、本当に素敵だった。そりゃ照子も忘れられなくなるよね。
Posted by ブクログ
感動しました。
ひと昔前の文学作品の趣でした。手元に残しておきたい素晴らしい物語です。自立と自律。娘が通っていた女子校の校訓です。
この作家さん、今まで読んだ本すべてが星5つです。
続編はどちらから読もうかな?
Posted by ブクログ
立海くんのおしゃべりがかわいくて、かわいくて、何度も読み返してしまいました。
おあんさんの関西弁もすてきで、出てくる人たちの会話に引き込まれました。
小さい頃私もこんなふうに悩んだり考えたりしていたな。と思い出させてくれる作品でした。
ミステリーや犯罪物も面白いけど、こういうの沢山読むべきと思った。
Posted by ブクログ
評判のよい作品なのはわかっていましたが、長く積ん読していて、ようやく読めました。
たくさんの方に読んでほしいと思う反面、あまり広まってほしくないような、世間の垢に触れず大切に大切にしてほしいようなお話でした。
愛を与え合う、愛を育むことは、本当に本当に大切で、だれかに大切に扱われたことは、その後のその人の人生にどんなに強く影響することか。それは、子どもでも、大人でも同じです。
ヨウヨとリュウカ、ずっとずっとこのままがいいです。ようやく子どもでいられるようになった2人なのに、もっとゆっくり子どもの時間を過ごしてほしかった。そうさせてあげたかったです。
続編が2冊出ていますが、私はこのお話だけでいいかな。気になりますが、読めないです。
Posted by ブクログ
未読のまま続編を先に、いつか読む日がいまだった
中途半端な救いじゃないこと、そして自立と自律に
燿子だけじゃなく、照子に、そうやって巡る気持ち
では、謹んで続編の再読と
Posted by ブクログ
子どもたちの成長から勇気をもらえ、わたしも頑張ろうと思えた作品だった。
なにより、先生の存在が好きになった。
・自分で自分のことをいじめない。怪我をしても黙って治して自分を支えてくれる身体は自分のことが大好きだ。自信をもつこと。
・「どうして」と嘆くのではなく、「どうしたら」に置き換えてもがいていくこと。この置き換えは自分の中になかった。わたしも意識しようと思った。
ここではあげきれないほど先生からわたしも学んだ。
出会えてよかったとじんわり思える一冊でした。
Posted by ブクログ
「良かったなぁ」しみじみとそう思える作品。
登場人物3人がそれぞれ自分だけの重荷を抱え周囲の人と関わりながら、少しずつ、静かに前に進んでいく。
読み進める程にどんどん物語に引きこまれていきました。
自分のことをグズでバカで何も出来ないと思い込んでいた不登校の耀子。でも決してグズじゃない。丁寧で言葉にするのに時間がかかるだけ。
青井先生の言葉が優しく心に沁みる。
そんなふうに受けとめて、言葉にするまで待ってあげられる大人が、今いったいどれだけいるだろう。
耀子が青井先生と出会えて本当に良かった。立海と耀子も出会えて良かった。
とても温かい物語。また読み返したい一冊です♪
Posted by ブクログ
一歩足を踏み出す勇気をもらいました。
社会人1年目で、本当ならば研修とかがある中コロナの影響で全て中止。焦ってた自分を、おあんさんや青井先生、おじいちゃん、峰生の人たちが優しく包み込んでくれました。
さあさあみんな、やらまいか。
Posted by ブクログ
大人の事情に翻弄されるふたりの子供たち。
ふたりのささやかな幸せがかなったと思うと、その矢先にくしゅっと大人の手でそれを潰されるようなシーンが何度もあり、その度に、切なく苦しい気持ちにされられます。
適度な距離感でふたりを見守るおあんさんこと照子と立海の教育係青井の存在が救い。
でもそのふたりの力も、さらに大きな力には及ばない。
可愛らしく微笑ましい子供たちの姿が愛おしく、だからこそ切ない。
自立と自律、前を向いて歩き始めた耀子の成長とその後を知るために、今回はこのままシリーズを続けて読む予定です。
Posted by ブクログ
途中までずいぶんことばがずっしりしていた。だんだんきれいなことが増えてきて、こんないいものあったんだな、みたいな。発見。すきです。
と、思ったら四十九日のレシピの人だったのね。懐かしい。あの本も好きだった。
Posted by ブクログ
耀子の祖父の抱える亡くした家族への想いと、傷ついてきた耀子を理解して労わる姿に号泣。
耀子が祖父と家庭教師の青井、理解ある大人と出会えてよかった。
視野が狭くて気付けずに苦しむことがたくさんあるけど、たくさんの繋がれる手を得ることで子どもは逞しく成長できるんだなと暖かい気持ちになった。
青井が教える魔法の言葉、
「どうして」と自分を責めるのではなく、「どうしたら」と前に進もうとする、が素敵。
一方、照子と立海の心情はよくわかったけど、具体的な成長はよくわからず、続編があるみたいなのでこれからなのかな?
Posted by ブクログ
自立、顔を上げて生きること
自律、美しく生きること
紙に貼り出して部屋に飾りたいくらい名言。
お家のこととか、それぞれの話辛いのも多かったけど、最後、明るく踏み出そう!で終わってるのがすごくよかったし、子供達が純粋で癒される。
やらまいか、か。
Posted by ブクログ
伊吹さんの彼方の友へ という小説が素敵だったので この小説を手に取りました。
小説に登場する 小学生2人がなんとも頼りなく
弱く そして予想に反して強く 子どもって
たくさんの困難な事を全部受け止めて それを
一生懸命 なんとかしようと考える存在なんだなと
子供特有のもどかしさと でも最後は清々しい気持ちで読みました。
続編もあるので 登場人物がどんな風に成長しているのか 楽しみです。
Posted by ブクログ
私とほとんど同じ世代のお話だったが
もっと古い時代に感じた
昔って
こういう使用人、お手伝いさんって
普通にいたよなぁ
私の家のお隣もお手伝いさんがいて
子ども3人は私立学校に通っていた
奥さんはいつもお化粧して
綺麗な服を着ていたけど
子どもの私にも
全く偉ぶるところがなくて
普通に接することができたことを
懐かしく思い出した
ぞれぞれの色々な立場の人がいて
みんな悩みがある
失敗して躓いたり
誰かの手を借りたりしながら
前を向いて生きていく
みんな違うけど
みんな同じだよ
って背中を押してくれる作品だった
Posted by ブクログ
間宮耀子
龍一郎の秘書をしていた間宮裕一の娘。母が出て行き、父のふるさと峰生に預けられる。
耀子の母
男と一緒に逃げた。
遠藤照子
家の跡継ぎだった夫、龍一郎を亡くした。
龍一郎
病弱で三十七歳で亡くなる。
遠藤龍巳
遠藤家の本家の当主。親父様。若い愛人との間に次男・立海をもうけた。
龍治
照子の息子。大学生。
間宮裕一
浜松の進学校に学び、遠藤家の援助を受けて一橋大学に進学した。卒業後は遠藤家の地所を管理する会社に入り、龍一郎の秘書の一人だった。龍一郎亡き後に会社を辞め、その数年後に亡くなった。
立海
龍一郎と同様に病弱。
間宮勇吉
遠藤家の山の管理をしていた耀子の祖父。
青井宇明子
立海の家庭教師。
佐々木鶴子
使用人。六十過ぎ。
佐々木信吾
鶴子の息子。一緒に長屋に暮らしている。運転手。
千恵
二十六歳。コック。
六田公一
体格のいい男子。
遠藤由香里
一学年上の女子。立海の親戚。
公介
公一の一つ下の弟。
小夜
立海の母。美和。
聡子
由香里の母。
ハナ
立海のシッター。
辰美
上屋敷の遠藤家の息子。
沙也香
上屋敷の遠藤家の娘。
天香
公一の妹。
公一の母
オッカン。奥峰生の診療所で看護婦をしている。
公一の父
オットん。大男。
大宮
龍巳の若い秘書。
絹江
耀子の祖母。
Posted by ブクログ
静岡の奥、名家で坊っちゃんとして育てられる病弱な男の子。親に捨てられ従業員の孫として名家の近くで暮らす、いじめられている女の子。二人の出会い、成長を描く。
「常夏荘物語」がシリーズ4作目だと知って、1作目から読んだ。華やかではないが、じわじわと深々と染みる話。こういう物語を堪能できるだけ自分が成長できたかと思う。次作が楽しみ。
Posted by ブクログ
〈ぼくはときどきユゲになるのよ。ここにいるんだけど、いない。〉
まるで、世間から取り残された様な撫子の咲く常夏荘。
そこに住む人々の佇まいにいつしか引き込まれる。
これは、2013年に単行本で読んだ時の感想。
『常夏荘物語』を読み終え
シリーズ一作目の内容をすっかり忘れてしまっていたので再読。
立海と耀子の出会い。
おあんさんと呼ばれると照子の過去。
自立し、かおを上げ
自律し、うつくしく生きる(生きた)人たち。
ここに全て書かれていた。
立海の可愛らしさ。
『常夏荘物語』では立派な男性になられて。
シリーズを順番に読まなくても
十分に楽しめる作品。
次は『天の花』『地の星』を読もうか。
Posted by ブクログ
時代背景が昔っぽいけど、意外と 自分世代のようで…。不思議な感じの地域感。
いわゆる立場の違う二人の子供が互いを必要とし、強く生きて行こうとする。
続きが知りたい。
Posted by ブクログ
人は大切にされないことで心が荒み愛されることで回復するということに改めて気づかされた。
物語が途中で終わった感があるが、続きがあるのだろうだろうか?
Posted by ブクログ
「どうして、って思いそうになったら、どうしたら、って言い換えるの」「『どうして』グズなの?この質問に答えは出ない。だけど『どうしたら』グズではなくなるの?この質問には考えれば答えがでる。 答えが浮かばなかったら誰かに相談してもいい」
自立、かおをあげていきること。
自律、うつくしくいきること。
やらまいか。
あたらしいじぶんを、つくるんだ。
これは、父親を早くに亡くし、母親が男を作っていなくなってしまったことで、常夏荘に連れてこられた、燿子に、立海の家庭教師・青井がかける言葉だが、いい大人の私にも十分に響く言葉だった。
それと同時に、子供にかける言葉は本当に大切で、安易に悪い言葉を使ってはいけない、と改めて思った。自分をグズだなんて、嫌われる子だなんて、思わせてはいけない。悲しいときに大声で泣けない子にしちゃいけない。
Posted by ブクログ
8月-20。4.0点。
田舎の名家、使用人の孫娘(母親が逃げ、学校でもいじめられていた)、跡取り(身体弱い)、跡取りの兄嫁(兄は死亡、屋敷の管理)の三人の物語。出会い、別れ、成長が詰まった、やさしい物語。
心に残る、いいお話。跡取り専属の家庭教師がとてもいい味を出していた。
Posted by ブクログ
父を亡くし、母に置き去りにされた少女。 耀子が祖父のもとに引き取られた。
そこの女主人、照子も夫に先立たれ一人息子とは疎遠になっている。
そして舅が他の女性との間にもうけた息子、立海。3人が同じ屋敷内に暮らすことで生まれる救い。