伊吹有喜のレビュー一覧
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なでし子物語シリーズ3
出版順に読んでいる。
正直な感想としては、不完全燃焼な気分。
ヨウヨとリュウカと龍治が共に過ごし友だちになった過程に胸がジンときたし、
龍治と千恵とのあけすけな言い合いもよかったし、
耀子の龍治に対する第一印象も知れたし、
照子と龍治親子の微妙な関係も感じれたし、
立海の純粋な子供らしさや繊細な心の内も伝わってきた。
世の中には人の不幸を屁とも思わない人間がいる事も認識できた。
でも、なぜ、龍治なのか。私には足りなかった。耀子の気持ちが私には足りなかった。
でも、それが作者の意図なのか、とかぐるぐる色々考えて、次作をもう一度読もうと思った。
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Posted by ブクログ
岩手県盛岡市、岩手山を背景に、ホームスパンを通じて心と心を紡ぎ合う親子3代の物語。
ホームスパンの様に、心がふわっと柔らかくなり、とても温かい話だった。
自分の気持ちを言葉で表現できない主人公、美緒。
人のことが怖い美緒。
何が好きで何がしたいのか分からない美緒。
美緒の性格は、母親の影響が大きいのだろう。
私も子育て中は、いつも子ども達を急がせていた。自分の考えを押し付ける、美緒の母親、真紀と自分の姿が重なった。
美緒は、岩手の祖父や、裕子先生、息子の太一くんの温かさに包まれ、少しずつ自分らしさを見つけていく。
中でも、祖父は美緒にとって偉大な存在だった。
幾多の細かい作業工程を経て出来上がったホームスパンは、大切に使われることで、時間が経ってさらに良い物に育っていく。
祖父は、孫の美緒にも愛情をかけ、せがずに待った。美緒が自分を知り、自分らしく生きる日が来ることを信じて待った。
偉大な祖父に心が熱くなった。
実在するカフェやパン屋さん。
古き街並み、建物。
四季折々の風景。
おじいさんのコレクションの鉱物や織物。
その中から美緒が選んだ黒い漆塗りのスプーン。
漆塗りのカフェオレボール。
宮沢賢治の絵本。
外国の絵本。
おじいさんの優しい言葉の数々。
この本は、たくさんの宝物に溢れていた。
本を携えて、盛岡に行きたくなった。 -
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なでしこ物語シリーズは、読む順番が話題になっていることを知り、私は時系列順に読んだ方がスッキリするだろうなと考え、『常夏荘物語』→『天の花』→『地の星』と読み進んだ。結果、この時系列順番読みで耀子の成長の物語を夢中になって読み進められた。常夏荘のおあんさんになっていた耀子には9才の子どももいた。生みの母に酷い目にあったが、耀子は人生を諦めることなく、『自立と自律』、『どうして』ではなく『どうしたら』と苦境の中でも進んでいく。人との付き合い方が苦手だったけれど、耀子の心、知恵、行動力が人を動かしていった。このあと、どうなっていくんだろう。続きがとても気になる。大好きな一冊。
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鎌倉近くに住んで、何度も鎌倉に遊びに行っていたこともあり、知っている地名に、情景が浮かんで、
また、鎌倉に行きたくなった。
紅茶も好きで、台湾茶も好きで、この喫茶店に行きたいなー
着物もいいなー
ここで、のんびり読書したいなーと思ったり。
人生の幕引きを考えてた主人公が、
いい出会いを重ねて、生きていくってのは、
素敵だけど、
出来過ぎじゃないー?
と、思っちゃうこともありつつ。
めちゃくちゃ男性に慕われるやん。
そりゃ、女の敵も多いわなー
「香りや味が薄れても、よいお茶はどこまでも美しい味わいを残すのですよ。女が死ぬまで女であるように。」
は、とてもよき。
「をんな」のくだりは、あまり響いてこなかった。
それでも、鎌倉の四季を感じれたので、星5つ。 -
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ネタバレ「なでし子物語」の4冊目にして、完結編。
前巻からまた10年経っていて、2008年の春から始まる物語。
あれからも燿子は懸命に働き会社を大きくしたものの、地域住民との摩擦も増え、一方、龍治は異国に去り、瀬理や立海とは距離が開く。
青井先生の死や配送センターの火災に追い打ちをかけられ、深い孤独、場違いなところにいるような寂しさの中で生きている燿子の姿が強調される前半は辛く、胸が詰まる思いで読み進む。
それでも、物語の中盤、大祭で星の天女の大役を果たす瀬理に燿子がかける言葉*には、彼女の生き方の芯がずっと変わらずにいることが知れて、やはりこの話はいいなあと胸が熱くなる。
*フレーズに登録 P.186
今回は、かつての常夏荘の女主人・照子の存在感も大きい。
峰生を出ることが少なかった彼女が東京へ行き、かつての伝手を頼って燿子が再び立ち上がる後押しをする。
「母」という言葉に縁が薄かった照子が燿子に「おかあさま」と呼ばれて微笑んでいる姿には、これまで彼女が抱えてきた屈託や悔恨を読んできただけに、また泣ける。
その後押しによって心が晴れた燿子の「やらまいか!」に応えるなでしこ屋のスタッフの「やらまい、やらまい」の声にもグッとくる。
そこから後半は、常夏荘を開放しての「峰生の秋まつり」に向けて、どんどんと大きくなる話に台風の大雨によるトラブルも挟んで矢継ぎ早の展開。
照子の古くからの友人、伝説の歌手・寧子が語る言葉*も、青井先生の言葉と性質は異なるが、これもまたこの物語の芯を作るようなものに感じる。
*フレーズに登録 P.248,250
そして迎えた終幕。かくも長かった紆余曲折。
ずっと「どうして」ではなく「どうしたら」と考えて生きてきた燿子が、初めて「どうしたい」と考えて手に入れた“ずっとほしかったもの”。
燿子と立海が、二人が一緒になることになって本当に良かった。
こうして感想を書いている今でも、何だか泣きそう。
このシリーズ、とても良かったです。 -
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ネタバレけっこう、後半はウルウルと目に涙をためながら読みました…。題名の通り、20代の一人娘の結婚が決まってから、両親のもとを去るまでの日々を描いた物語です。
父親(夫)の健一、母親(妻)の智子、その娘でもうすぐ結婚する真奈の目線で時系列で話が進んでいく。真奈の婚約者の優吾の両親は、いわゆるインフルエンサーで、祖父母も資産家で実家が「太い」。真奈の家はごく普通のサラリーマンで、娘が肩身の狭い想いをしないように、立派に挙式ができるようにしよう、と思うと、かなり頑張らないといけない。
夫の健一はそろそろ役職定年で、今後の身の振り方を考えなければならず、家ではため息ばかりついている。妻の智子は着物の着付けの仕事をしていて、専業主婦のようにほぼ家事を一人で担って、夫を支えてきた。
2人とも娘を心から愛しているが、娘の結婚準備をきっかけに、金銭感覚や、お互いへの態度に不満が募り始める。
智子は一生懸命に歩み寄り、「明るい家庭」を維持しようとするが、健一はそんな妻がうっとおしく感じてしまう。
私は最近、女はもっと自由でいいんだ!というメッセージが隠されているような物語や、女がいかに虐げられてきたかを描くことで女側に共感してしまう物語ばかり読んできたが、本書は趣向が違った。
女(主婦・妻・母)である智子をかわいそうに思い、共感すると同時に、家では不機嫌になってしまう夫の健一の気持ちもなぜかよく分かる。両親の仲を取り持とうとする真奈は心優しい素敵な女性で、読者としては「幸せになってほしいな」と心から思う。実家の金銭感覚の違いから、恋人の優吾とうまくいかなくなってしまうのだが、優吾の気持ちもよくわかってしまう上手い描き方だ。
4人全員にとっても共感してしまい、どの立場にも寄り添いたくなる。
結婚生活が長い女性も、男性も、これから結婚しようとする男性も女性も、子どもがいる人もいない人も、読んで心が動かされると思います。
ちなみに
健一は妻をちゃんと愛してきて、大切にしているとは思う。決して悪い人ではないし、よき父親だ。老年になって、家庭のこととは別に趣味を見つけ、そこで異性の友達ができて、ちょっと胸がときめいたりしても別に悪くはないと思う。それにヤキモチを焼く智子は、夫を愛しているんだな、と思う。
私だったら…夫婦といえども、子育てが終わったくらいの年齢になれば、それぞれ別の独立した人格だし、一緒に生計を立て、協力して生活しながら、それを壊さない程度に外で楽しみを見つけるのは全く問題ないと思う。50、60になって肉体関係は気持ち悪いし、人に見られて変な噂をたてられるのも嫌だけど、趣味の活動で異性と仲良くしたり、飲み友達ができたりするのはいいことなんじゃない?と思うな。
もう、お互いに干渉せずに、別々に楽しくやればいい。
卒婚ってやつだな。家庭内別居?
いつまでもラブラブで、二人で共通の趣味を楽しみ、朝昼晩いつも一緒に食事をするような夫婦になれれば、もちろんそれがいいのかもしれないけど、私はたぶん無理だな。
(だってご飯をつくるのがいつも私だから笑)。
切ない結末と、ハッピーな結末が同時にくるので、読後感も複雑。心に残りました。 -
Posted by ブクログ
とても面白くて一気に読んでしまいました。
18才で龍治と結婚し、娘と峰生で暮らしている耀子。
18年前に青井に教わった言葉、
自立、顔を上げて生きること。
自律、美しく生きること。
そう願ったのに、それはできているだろうか。
なぜ仕事をしているのか立海に聞かれた耀子が
これでいいのかって思って
生きていく、力みたいなものがほしい、
守られるだけじゃない、守る力がほしい、この先、この家に何が起きても流されずに、自分の足で立っていられる力がほしい。何があっても生き抜いていく、娘と一緒に。そんな、力みたいな、自信みたいなものがほしい。
と答えるところに共感しました。 -
Posted by ブクログ
この『娘が巣立つ朝』は、娘の結婚をきっかけに、父親、母親や娘…家族それぞれが抱えていた不満や将来への不安が表面化していく家族小説。
特に一人娘・真奈が婚約者を実家へ連れてくるシーンがあるが、婚約者は明るく爽やかな好青年だが、両親は彼の言動や結婚に対する考え方に小さな違和感を覚える。
さらに両家の顔合わせでは、婚約者の父母はそれぞれがSNSで有名な人物であり、自分たちの結婚式に干渉してくる。生活水準やお金、結婚式、親の援助などをめぐる価値観の違いが明らかになり、結婚話は両家全体を巻き込む騒動へ発展していく。
この小説のテーマは結婚は本人同士だけの問題ではなく、両家の経済状況、親の援助、結婚式の費用など、きれいごとでは済まされない現実が描かれ、親世代の「結婚観」と若い世代の考え方がぶつかる。しかし誰か一人が完全に間違っていたり、誰かだけが正しいわけではないところが非常にリアルでした。
僕は娘はいないので、この小説の父親の発言や行動に全て同意はできないが、娘が家庭を離れていく一方で、定年を控えていたり、施設に入っている母親の介護に直面するシーンがあり、その中で苦悩する父親の姿が自分と重なり、感情を揺さぶられる思いがした。
僕の息子2人が、いざ結婚相手ができた時にもう一度読み返してみたい。あらたに何か教訓めいたことを感じるかもしれない。